『マッドサイエンティストの手帳』75
●マッドサイエンティスト日記(1998年9月後半)
主な事件
・深夜のうなぎ屋から始まる連続オフ
・台風が連続通過
・「生首事件」
・桂歌々志くん live & well 守口の落語会「おごろもち亭」
・1年ぶりに岩田直樹さんのクラを聴く
1998年
9月16日(水)
台風8号は静岡に上陸で関西にはほとんど影響なし。
早朝、新聞のコラムと手塚治虫さんに関するエッセイを書いて電子メール。
あとは終日ボンクラサラリーマン。
9月17日(木)
早朝、居住している集合住宅の広報紙を作成、デジカメ写真を入れてカラープリント。なかなかの出来映えである。金にならないことになると熱心になるなあ。
終日ボンクラサラリーマン。
最終の新幹線でソリトン同人・帆羽英一さんが来阪するらしい。深夜大阪到着の場合、深夜開店のうなぎ屋で400円のウナ丼を奢る約束が昨年からある。権利行使の条件を満たしているのでネットに案内をアップして、夜中、0時7分に地下鉄中津の出口で待っていたら、本当に帆羽さんが出現した。さっそく天五へ。せっかくだから徒歩5分のところに住んでいる北野勇作ご夫妻も合流、深夜のうなぎ宴会1時間。ビールを含めた「フルコース」でも千円ちょっとという値段がすごい。
9月18日(金)
夜更かししたのでボンクラサラリーマンのアタマ終日ボンヤリ。社長さんに申し訳ない気持ちでいっぱいである。
夕方、気分回復して19時にヒルトンプラザ。帆羽さんが来たのでソリトンのミニオフ。気が向いたものだけが集まる方式。結果として6人集合。
帆羽、ホーキュパイン、そうこ、半魚、ちょっと遅れて、錯乱坊、タートル。
場所は、ビアホール、ニュートョーキョーの「テラス」席。というと聞こえはいいが、地下2階であるのに空が見える吹き抜け。斜め上に「一般の通路と階段」があって、したがって地下でも携帯電話がつながりやすく、遅れてきた錯乱坊さんとそうこさんが、階段の上とテラスで携帯会話しながら「再会」するというドラマチックな場面も演出された。
それにしても、奇妙なのは、ぼくがいなければ、どこに集まっているのかわからなかったというけったいな状況。2年会っていないと、「変化」が大きすぎて見分けがつかないらしい。主因はタートル氏と帆羽氏。タートル氏はヒゲを生やしたり剃ったりで変化が大きい。もうひとりは、写真から推定してほしい。
ソリトン版の錯乱坊さん、そうこさんの結構祝いの雰囲気になり、9時半頃まで。タートル、帆羽がジョッキで熱燗を酌み交わしはじめたあたりで早めに退散。
名探偵・芦辺拓との「対決」が明日に控えているからである。
9月19日(土)
朝刊を1時間半かけて精読。
夕方に予定している大阪シナリオ学校主催の公開セミナー「名探偵とマッドサイエンティストが語る/体験的エンターテインメント作家への道」のため準備である。うどん屋の「実演コーナー」みたいに、小説の実演コーナーをやってみようということになった。さあどうなりますやら。
午後4時、エル大阪のロビーで芦辺拓さんと会い、簡単な打ち合わせ……というよりも、早くも小説談義になる。
セミナーは予定を20分オーバーして午後8時50分に終了。
ソリトン・メンバー中心に、来てくれたネット関係、ミステリー系、事務局の人たちと近くの中華料理店でビール。
メンバーはSF・ネット系が、順不同・思い出すまま・敬称略・本名ハンドル混在で、高井“夜行鬼”、北野“西瓜頭”、“本間祐”、真殿“タートル”、児島“ポーキュ”、塩田基明、“錯乱坊”、“そうこ”、“帆羽英一”、“のりこり秘密結社専務”、藤原“卓Ver.?”、竹内真弓先生……最後だけ敬称がつくのは、本物の「先生」だからである。精神科医ときいて心強くなる。SFをやってる限り「貴乃花」化する心配はないのだが、まさかの時はよろしくお願いいたします。
ミステリーからは小森健太朗さんも来ている。
会場で原田“リリア”小百合さんをちらっと見たような気がするが幻であったか。
午後11時近くまで。
両端が北野勇作氏と小森健太朗氏。「専務」の顔も見える。
扇町方面へ行くという卓さん、竹内先生と、帰り道が同方向になる北野勇作さんと4人で扇町まで歩く。先生の同級生がいるというスナックで水割り……日付が変わったところでお先に失礼する。西瓜頭と卓さんの絶妙のデュオを聞いたような気がするが……。
9月20日(日)
3日連続のオフ疲れ、終日ごろ寝して読書。
9月21日(月)
午後、大阪商工会議所でロボリンピアのCAD展審査委員会。今年から「動くおもちゃ」というアイデア自由の課題が加わったが、その割に突飛な発想の作品が少ない。ひとり、某高専の5年生でCAD技術も着想も抜群の学生がいる。昨年も最優秀賞だった。どんな学生か、今年は表彰式で会ってみたいと思う。来年は卒業しているはずだから、もう応募してこないと思うと、ちょっと寂しい。
と、CAD画を見ている間に、台風8号が紀伊半島上陸、熱帯低気圧になって消滅したらしい。大阪はほとんど雨は降らず。つづいて7号が来るらしい。
会社に戻ると、ぼくの関連している部署にとつじょ送られれてきた荷物が開封されて、大騒ぎになったらしい。宛先部署なしで中国から送られてきた荷物があって、どの部署への荷物かわからないから、総務の担当者が開けてみたら「生首が2個転がり出てきた」というのである。そりゃ大騒ぎになるわ。
写真で見るとまだきれいだが、これがビニール袋に詰められて髪がグチャグチャだと迫力ありまっせ。
記入してある電話番号から、ぼくが関与している電子部品の貿易部門への荷物と判明。調べてみると、中国から某担当者に「サンプルを送るから売り先があるか当たってほしい」「ええよ」と電話でしゃべった結果らしい。まさかマネキンの首だけが届くとは……。
9月22日(火)
台風8号は消滅したのに、7号が来るという。朝7時の時点で暴風警報が出たため、ボンクラ息子は休校、ボンクラサラリーマンのオヤジのみ出勤する。
たいしたことないだろうと思っていたら、午後に近畿通過しそうで、交通機関が不安とかいう。昼前に「午後は帰宅してよい」というアナウンスが会社で流れる。
まあぼくは地下鉄だし、歩いてでも帰れる場所だから、見物しておればいい。
午後3時頃、突風が吹く。が、ほんのしばらくで、夕方には福井へ抜けたらしい。
9月23日(水)
休日である。
台風一過、明け方、異様な朝焼けで空が血のように染まる。「吸血鬼ゴケミドロ」の冒頭シーンを連想してしまう。
集合住宅に居住する理事の立場として集合住宅の屋上など、被害状況のチェック。
特に被害はないが、前の公園でヒマラヤ杉が一本倒れた。
翌日には市が片づけた。仕事が速いじゃないか。切り株は残った。がこれも3日後に片づく。……バラードの「溺れた巨人」みたいに、巨大な残骸はしばらくは放置しておいてほしい気がする。
9月24日(木)
ボンクラサラリーマン生活。
友あり遠方より……でもないのだが、本来上京する予定でいたところ、先方から来社してくださる。が、お話は「転勤の挨拶」を兼ねるものでちょっと寂しい。が、「年齢」という事情もからんでいて、ぼくも近いうち各方面に挨拶しなければならぬところまできているから、他人事とは思えない。
9月25日(金)
ふだんよりちょっとだけ早起きして、午前3時前に起床。アサヒネットを覗く。昨夜から東京の「ホワイト」で行われている、「カンゾー先生試写会〜筒井康隆氏誕生日」オフのレポートを見るためである。「中継」報告が数件あったあと、午前3時から明け方にかけて「ただいま帰着しました」というメッセージがつぎつぎアップされる。みんな元気だなあ。
6時過ぎの新幹線で姫路経由、播州龍野。
せっかくだからと実家にちょっと寄る。
午前9時になったところで近くの取引先へ。昼までで終了、帰阪。
夕方までボンクラサラリーマン。
午後6時過ぎに会社を出て京阪守口へ。
よく動く日である。
守口で落語を聞く会「おごろもち亭」
これはアサヒネットの落語サロンの主要メンバー「法螺尾福海」「ままよ」両氏が、落語会のない守口のために、ついに主催者となって始めた会である。
「おごろもち」とは、大阪弁で「もぐら」の意味。会場が守口文化センターの地下にあるから。餅を奢ってくれるわけではない。別名「おんごろもち」もっと古くは「うんころもち」だそうだけど、これを使わなかったのは賢明であった。
桂歌々志「犬の目」
桂歌之助「看板の一」
桂 出丸「狸の化寺」
中入
桂 出丸「阿弥陀池」
桂歌之助「替り目」
まあ、お馴染みの題目。守口で初回ということもあって、とっつきやすいネタが選ばれた気配。それだけに実力が問われるわけで、それぞれに実力発揮。もうデビュー1年以上になる歌々志さん、着実に力をつけてきている。
この会場は便利でいい場所(広い座敷に50人ほど。ほとんど満席)だけど、「官」だけに無粋。午後9時に完全閉館とアナウンスされていたが、8時45分に館内に「追い出し音楽」が流れはじめ、これが「替り目」の、まだ田楽を買いに行かせる前のあたり。まあしかし、前もってわかっていたことだから、これは歌コの計算違い
午後9時に片づけ終了で、ゾロゾロと移動したのが、守口駅の北側にある「田楽」という落語のつづきのような名前の居酒屋。半数以上が移動して30人くらい。満員である。
ネットの友人数名といっしょだったが、宴会の席で隣り合わせたのが、なんと「中之島ネットの残党」という方々。「謎の錬金術師」と「はなだんな」のおふたり。中之島ネットにはぼくも短期間在籍していた。「朝のガスパール」開始をきっかけにアサヒネットに移ったのだが、品位のある地域ネットだったことを覚えている。さっそく「謎錬」さんのホームページにリンクを張らせていただきます。
22時半まで。帰宅23時過ぎ。
9月26日(土)
また雨である。梅雨のようである。終日ごろ寝。芦辺拓「十三番目の陪審員」を読む。傑作である。
9月27日(日)
ボンクラサラリーマンとして日頃の仕事の能率が悪いので、昼間出社して雑用片づけ。夕方帰宅して、「国技としての兄弟喧嘩」を見ようと楽しみにしていたら、若乃花が武蔵丸にあっさり負けて「遺恨試合」にはならず。
それはどうでもいいのだが、若乃花の後ろにどこかで見たような顔が背後霊のようにとりついているのが映る。……ん、なにかの間違いじゃないか?
9月28日(月)
とてもここに書けない面白い話をいっぱい聞く。
2年後に「S年F組」ライブがあるのなら、横浜でのSF大会のつづきをやることにしよう。
9月29日(火)
最終火曜日で、サントリー5。サウスサイドバンド出番の日。午後9時頃に覗くと、なんと懐かしい、1年ちょっとぶりに岩田直樹さんが来ていて、2クラでのセッションをやっている。昨年のクラリネットサミット以来である。
ゲストが多い日で、カウンター隣にいた女性がとつぜん指名されて「All of Me」を歌う。石橋なつみさんというジャズ・ヴォーカルの人である。(デジカメがちょっとぶれてしまった、すみません。)
最終ステージで「鈴懸の経」が予定されていたらしいが時間切れとは残念。
9月30日(水)
二日酔いのボンクラサラリーマン状態で早くも9月が終わる。