『マッドサイエンティストの手帳』244
●マッドサイエンティスト日記(2002年7月前半)
主な事件
・夏風邪、汗ドロドロの日々……(6日〜)
2002年
7月1日(月)
朝から播州龍野のタイムマシン格納庫に移動。
冷房装置といえるものが古めかしい大型扇風機だけなので、これからの2月は堪えるなあ。以前は夕刻のビールが楽しみで、汗ダラダラでも平気だったが、血液の粘度が気になりだしてからは水分補給も心がける。が、おれの場合、決して胃腸にはよくない。
タイムマシンで涼しい季節に移動すればいいのだが、そうもいかない。
クルーザーの整備員がデッキで涼風にあたれないようなものか。別荘の管理人という仕事はシーズンオフにしかないようなものか……。
などとぼやきつつ、夜、実家でビール。
7月2日(火)
夕刻帰阪。
7月3日(水)
本日よりしばらく、おれと交替するかのように、よんどころない事情で専属料理人が実家に帰る。
午後、市内ウロウロ。ワカオユキカズギャラリーで「堀晃展」を見る。
7月4日(木)
専属料理人不在であるが、ボンクラ息子その1その2、ともに食事に関しては手がかからなくなっているので助かることなり。
そのかわり、ベランダに植木鉢が増えていて、水をやるのが面倒である。「まさか」の時には、まず、このプランターの廃棄だな。わしゃ都市生活に「うるおい」なんて求めておらんのだよ。
ベランダにクーラー室外機のみという、わが穴蔵のベランダのすがすがしさを見ろ、といいたくなる。
終日穴蔵。
7月5日(金)
寝苦しく、眠り断続的である。
朝から洗濯、植木に水。あとは終日穴蔵。
不思議に英文メール(ノンSF)の多い日である。
夕刻、かんべむさし氏来穴蔵。珍しくもサンダル履きである。
晩年の金日成について奇怪な話を聞く。むむむ。
7月6日(土)
終日穴蔵。
クーラーは使用しなかったが、扇風機回しっ放しで寝たせいか、ノドに痛み。少し咳が出る。
夜は珍しくもボンクラ息子その1とふたりでの夕食になる。
ニューオリンズ・ラスカルズを聴きに行くか迷うが、このところ体力減退、出かける気分になれず、クーラーをフル稼働にして「真夏の夜の鍋」にする。
電磁調理器+テレビ+電子レンジ+クーラー+扇風機で、ブレーカーが落ちる。一瞬「闇鍋」状態。
汗はかくが、体力は戻るか。
7月7日(日)
カンカン照りである。朝8時に室温32℃
咳が止まらず喉が痛い。
洗濯と植木に水。クーラーつけて布団にもぐる。
午後、喉の痛みは少しマシになるが、悪寒。どうも夏風邪らしい。ウズベキンタン行きの時に用意した抗生物質があったはずだが、クスリ箱に見あたらない。専属料理人がいないと、こういう時に困る。
布団の中で、笠原明知『熱砂の約束』(ぶんりき文庫)を読む。これは後日、別途取り上げたい。
7月8日(月)
眠り断続的である。
昨日、名古屋からの新宿行きJR高速バス(中央道経由)、長岡清という運テキが酎ハイあおっての酔っぱらい運転という。
○岡清というのはやることが似ているんだなあと妙に感心。1字違いで大違いとはいかない。大型バスに乗るか新車に乗るかの違い程度である。
喉の痛みはましになったが、今度は鼻水に、ちょっと悪寒も。
健康保険証がちょっと微妙な状態にあるので、地下鉄で昔の勤務先の医局へ。30年来の顔なじみ某さんにクスリを調合してもらう。健保だけはまだ任意継続中なのである。ついでに血圧測定。136-64と正常。「夏場はだいたいいいんですよ」といわれるが、ストレスがなくなったからに決まってますがな。今や「好きなこと」しかしとらんのでっせ。
そのまま播州龍野行きの用意をしていたが、クスリを飲むと体がだるくなる。
西宮の妹に電話。実家行きの役割交替してもらうことにする。
昼前に帰宅、あちこち電話のあと、ずっと眠る。発汗。
夕刻、専属料理人に帰宅。
7月9日(火)
梅雨空である。小雨で湿度が高いところに汗がダラダラでて、入浴にさほど関心のないわしでも、さすがに気持ちが悪い。
下着交換、また穴蔵で寝続ける。
クスリでアタマ朦朧状態で、なかなか眠れないものだから、柾悟郎の「幻の第2長編」『シャドウ・オーキッド』(コア出版)を読む。悪夢であるなあ。これは後日、別途取り上げたい。
おかげで汗ダラダラ、気分はちょっとましになる。
7月10日(水)
台風が通過していきそうだというが、大阪はたいしたことなし。
クスリ飲んで終日穴蔵で布団のなか。
が、どうも寝苦しい。汗で体がベタベタ、自分の皮膚同士が接触するのが気持ち悪いから困ったものだ。
下着交換、タオルで体を拭くが、ともかく布団が大量の汗を吸い込んでいるからなあ。こんなじっとりした布団の中で男同士で抱き合ったらどんな気分なのであろうか……と、こりゃ『シャドウ・オーキッド』の影響だな。いかんいかん。
クーラー除湿にして、ジトジトの布団でごろ寝。
午後、専属料理人に頼んで買ってきてもらった「文芸春秋」8月号の、中国の悪口特集を拾い読みするが、どの記事も徹底を欠くなあ。20年近く前に朝日の上海駐在だった伴野朗氏が「合弁」における中国の欺瞞を斬ったような凄みのある記事は皆無である。状況はさらに悪くなっているのになあ。
夕方、なんとか起きて、集合住宅の理事会1時間。
また早寝。これで4晩アルコール抜きである。何年ぶりか。
7月11日(木)
なんとか普通に4時起床。クスリは5日分あったが、熱なしノドの痛みなし、鼻水なしなので、多少の痰が残っているが、アタマの正常化を選ぶ。
終日穴蔵。
ちょっとは仕事もするのであった。
7月12日(金)
カンカン照りになった。
穴蔵の布団を干す。こんなこと滅多にやらないのだが、先日来の大量の汗、さすがに気持ち悪い。
まだ体がだるいが、出かけねばならぬ用件が溜まっている。役所、銀行など苦手なところばかり。
夜「実宅」へ行くと、ボンクラ息子その1がおかゆを食べている。喉の痛みと発熱で早退してきたという。伝染したつもりはないのだがなあ……。
テレビで「スターウォーズ/エピソード1」……これ、初めて観るのであるが、この程度の映像ではまったく興奮しなくなっている。刺激の麻痺は恐ろしい。それでも最後まで観る。相当眠い。
7月13日(土)
午前4時、激しい雷鳴で飛び起きる。近所に落雷か。駐車場の「防犯用警報器」が誤動作でけたたましく鳴る。
目が覚めてしまったのでパソコン起動。
あ、今日から明日にかけて島根・玉造温泉で日本SF大会であったのだ。例年より1月早い。猛暑といい台風といい、今年は何でも早い年だなあ。
終日穴蔵。
まだ出歩くのが面倒である。
夜、某掲示板に野尻抱介の星雲賞受賞の祝辞がアップされる。一瞬『太陽の簒奪者』かと思ったが、長編部門で『ふわふわの泉』が受賞したらしい。
これは快挙であり、SF大会に参集するSF読者の見識に改めて敬服する。
この「敬服」の理由は、書き出すと長くなるから省略するが、要するにSF大会参加者の投票がマニア好みに偏らず、優れた読書家の姿勢を感じさせるからである。
『ふわふわの泉』は昨年4月刊行だったのだ。これが「星雲賞受賞第1作」であった。
この主人公の設定は「女子高生から成人」までだった。これがさらに拡大深化されたのが長編版『太陽の簒奪者』で、うーん、今のところ連続受賞最有力だなあ。
祝杯というわけではないが、久しぶりにビールを飲む。
まずい。のどアメのしゃぶり過ぎで、味覚がおかしくなっている。
これを機会に酒をやめるか……。
7月14日(日)
あまり眠れないまま(風邪クスリをやめてビールもやめたら、当然眠くならない)午前4時になってしまった。
「自宅」へ行って冷蔵庫を開けると、昨夜あまり食べられなかったサカナが保存してある。
朝刊を読みながら、冷や奴、マグロタタキ、トマトサラダを並べてビール。こりゃうまいわ。健康回復の証拠である。トロロ汁とごはんで仕上げ。
あとは昼まで寝ることにする。
うーん、このまま夜型に移行するか。
おれの早寝早起き型生活が直らないのは、要するに晩酌をやめないからというだけのことであったのか。
……本日は山梨県で森山威男カルテットのライブ、その後ペンションで宴会?という楽しそうな企画がある。
何年か前ならSF大会から森山組へというハシゴを実行したのだろうけどなあ。
もう、とても体力がついていかない。
ジョージ・ルイスの1940年代の音源が手に入ったので、ニューオリンズ・ストンパーズ時代の若々しいクラを聴きながら、こちらもやっと体調回復した専属料理人と、晩酌にまたビールを飲むのであった。
生活やっと元通りか。
7月15日(月)
新聞休刊である。
新聞を買いにコンビニへ。ついでに気になる記事があったので週刊現代も買ってきた。
「『田中康夫』という王様」という記事、持ち上げているのかけなしているのかわからん。ただし、はっきりと書いてないが、おれが「弱点」と見ている部分に触れてはいる。「有識者」と称する「検討委員会」に「選任」された、おれにいわせれば「ドサ回り組」である。代表格がチンカス三百代言・五十嵐敬喜。こりゃどうしようもないわ。……まあ、悪しき啓蒙主義とでもいうか文化的進駐軍気どりというか。地元に歓迎もされない欲ボケ連中がドヤドヤとやって来て委員会を仕切りだしたら、まあ、県議も怒るわなあ。……繰り返すが、ここでの「欲ボケ」は金銭欲ではない。人間の欲は色々あるからなあ。
まともな県民諸君、どちらかを選べといわれてもなあ……。
終日穴蔵。
出かけねばならぬ用事もあるが、台風接近で風雨強まりそうとかいうから、外出を見合わせていたが、結局雨は降らず。中国地方も岐阜も東海も大雨というのに、大阪だけなぜ降らんのよ。
14時から田中康夫の会見中継を30分ほど見るが、まあ予想通り。
しかし、県議会側が対抗馬を用意していなかったとは呆れたものだ。喧嘩が下手なんだなあ。ただ、この辺から「逆判官びいき」ムードが出てきたら面白い展開になりそうだ。
よその国の喧嘩は面白いなあ。
夜中……大阪、雨も降らず風も吹かず。
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