HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』245

●マッドサイエンティスト日記(2002年7月後半)


主な事件
 ・滝川雅弘4月例ライブ(16日)
 ・実家にリスニングルーム完成?(18日)
 ・突発的移動(24日)
 ・「歌さんのかわりに、天神祭の花火を見てやろうやない会」(25日)
 ・「森」と「山」に囲まれて静に眠るルン吉くん(26日)

2002年

7月16日(火)
 台風一過……というより、ほとんど関係なく通過していった模様。
 前夜から大げさな警告が出ていたのが、朝5時半にやっと雨が降り出し、10時にはカンカン照りである。
 ごく普通に市内ウロウロ。珍しくも梅田から妹が電話してきたので自転車で駆けつける。実家方面の相談色々。その後、かんべむさし氏の事務所にも。
 夜、久しぶりにライブに出向く。
 7月前半はほとんど「寝て過ごす」感じであったからなあ。
 谷九・SUBでの滝川雅弘4月例ライブ。客席もほとんどおなじみメンバーである。
 off
 ドラムに若手のゲスト・弦牧くんが来ていて、2曲叩く。なかなか活きのいい太鼓でこれからが楽しみな感じ。ブラッシ1曲では物足りないからと、激しいやつで「NOW THE TIME」をお願いして演ってもらった。
 あと、HYUNちゃんのヴォーカルも一曲。
 なんだか仲間内で楽しんだ感じの日であった。

7月17日(水)
 朝、猛烈な雨。台風が過ぎてらかというのもヘンなものだ。少しは涼しくなるか。
 全然涼しくならない。
 午後、自転車で某パソコンショップへ出かけてノートパソコンを購入、そのま持ち帰る。
 昨日の妹との相談の結果、実家での仕事時間を増やした方がいいと結論を出したからである。
 価格と使い勝手は絶対にデスクトップがいいのだが、「病院でも使うかもしれない」とノートにする。20万弱。
 夜中まで色々とセットアップしたり設定を変えたり……が、XPは使いにくいなあ。98で慣れているから、なんだかバカにされているような気分になるのである。あ、これはMS-DOS機からWindowsに変えた時もそうだったなあ。config.sysなんてほとんど忘れてしまったものなあ。

7月18日(木)
 ノートパソコン持って、早朝の電車で播州龍野方面に移動。
 実家で行われていた二階のフローリング工事など確認。
 ここは一頃、勉強部屋に使用していたこともあるのだが、タタミがボロボロ、ガラクタが増えたので、老母が「きれいに片づけたい」と言い出したのである。
 おお、すっきりしている。
 off
 大阪では大きな音響は無理なので持ち帰っていたオーディオ装置を置く。たいしたセットではないけど、LPは全部こちらに保管しているから、リスニング・ルームにしてしまう。冬は寒くてとても聴いてられないだろうけど。
 ジョージ・ルイスの40年代録音、アメリカン・ミュージック2枚。
 コルトレーン「アフリカ・ブラス」
 グラッペリ「アフタヌーン・イン・パリ」
 森山威男「イースト・プランツ」
 を聴く。かなりの音量にするが、ボリューム、それでも10時くらいの位置である。
 古畳がフローリングになって、響きがいい。
 耳の悪い老母までが2階に上がってくる。家全体に響くのかなあ。母さん、前に骨折した脚に負担がかかるから、あまり階段昇降はしないように。
 実家泊。

7月19日(金)
 タイムマシン格納庫で雑用。
 午後、帰阪。
 22時から教育テレビの「ジャズ」番組、ニューオリンズ篇を見るが、あまりにも啓蒙的。写真その他も特別目新しいものはない。次回がサッチモという予告。この密度だとジョージ・ルイスが取り上げられることはなさそうだ。

7月20日(土)
 朝7時から室温32℃である。が、クーラーはつけずに、パンツとランニングで仕事をするのであった。
 昼のニュースで梅雨明け宣言。「…した模様」と発表するところがいじましい。そんな中途半端な「宣言」なら、やめとけ、気象庁の小役人風情!
 午後、自転車でジュンクドー。母のリクエスト本購入、宅配便で送る。
 高峰秀子のエッセイであるが、「教育は受けていないのに文体は素晴らしい」という老母の評価である。わしゃ興味なし。
 ……書物はもはや老人マーケット商品であろうか。
 熱中症寸前、帰宅して「健康飲料」500ml飲み干す。ビールではない。

7月21日(日)
 調べ事が生じて、市立中央図書館へ。さすがに炎天下、自転車は無理。地下鉄で往復。
 前から気になっていて読んでなかった内田晃一『日本のジャズ史』を借りてくる。白木秀雄クインテットの解散事情がやっと判明。その他「森山威男研究会」にとっても新情報も。新聞記者からジャズメンへという異色の経歴によってのみ可能なジャズ史だと感嘆。

7月22日(月)
 終日穴蔵なれど、ややこしい連絡事項のみ多い一日であった。
 毎日こうだと、こりゃ泣けてくる。悲嘆の涙である。

7月23日(火)
 暦では「大暑」だそうで、こういう場合、暦の上では○○なのにこの○○さ」というのが天気予報の常套句、「立春」「寒さ」を当てはめればわかりますわなあ。……これが、本年、暦通り。
 カンカン照りである。
 昨日からの続きで、雑件処理のため自転車で出かける。梅田→天満→谷四、上町台地の「頂点」まで走る。
 用件は1時間で終わる。
 他にも回るところって、昼過ぎに帰宅。
 脱水気味である。シャワー、クーラーガンガンで「健康飲料」500ml、これで足りずに「午後の紅茶」500mlの半分ほど。
 午後も電話の多い日である。
 が、アタマ働かず、ほとんど上の空の応答。「飛○のボケ!」とは言ったかな、これは寝言でいっても「真実」という発言である。
 「飛○」のところが、五十嵐敬喜でも今岡清でも同じだが。

7月24日(水)
 朝刊読んでしばらく、朝6時に母から電話。6年ほど前に骨折した脚が動かないという。
 5分で準備(ノートパソコンを用意して)、新大阪6:35発のこだまで、8時過ぎに実家に着いた。通勤時間だな。
 ごちゃごちゃあって、結局3日間、検査入院となる。
 ノートの導入を発作的に決めたおれの予見力、たいしたものではないか。
 午後、妹も帰宅。付き添いは女の方がいいようである。
 入院騒ぎのために、楽しみにしていた田中真紀子質疑の中継は見られなかった。
 夕刻、母の痛みは引いて「退院したい」と言い出したらしい。しかし、検査は必要であろう。色々聞けば、先日から改装した2階への昇降を含めて脚を「酷使」しすぎらしい。
 夜間付き添う必要もなく、リスニング・ルームで谷口英治、グラッペリ、ニューオリンズ・ラスカルズなどのLPを聴いて過ごすことなり。

7月25日(木)
 母の「病状」、ふつうに戻っているので、朝、病院へ行ったあと、帰阪することにする。
 ちょっとした原稿、実家から送れるようになったので、昼前まで仕事。
 昼頃に姫路まで出て、駅前の本屋を覗いたら、なんと藤田久生氏とばったり。……昔のTP(タイムパトロール)メンバーである。先日から、30年来のSF関係者に会うことが多い。喫茶店で1時間ほど雑談、親とか家族のことになると、似たような話が多いなあ。
 帰阪後、夕刻、北浜の「アイル・モレ・コタ」へ。
 ここは2年前の天神祭の日に、桂歌之助さんが百噺を達成した会場である。
 その日、天ちゃん関係で花火が自粛された。深夜にはフランスでコンコルドが墜ちた。
 そんなことがあったので、本日、歌コファンが集まって、「歌さんのかわりに、天神祭の花火を見てやろうやない会」というパーティである。
 歌コの会でしか会わないおなじみのメンバー多数……というよりほとんど。
 60人を想定していたところに80人。
 追善公演も含めて「歌は死んでからの方が客を集める」のだそうである。
 米朝一門から、左端り小米師匠、ジーやん(米二)、ポンちゃん(米輔)……左端の歌々志くんまで10人ほど、賑やかに盛り上げてくれた。あ、むろん歌夫人・維久子さんも。
 off off
 歌やんが「触媒」みたいな役目を果たしたSFファングループ茜倶楽部の女性3人も。
 「茜」といっても、女性ファンに限っておらず、むしろ名古屋方面の野郎どもに落語ファンが多いのだが。
 これを機会にリンクも設定。できれば歌ヤン関係のページも作ってほしいという話になる。
 肝心の花火……大川北側に建設中の巨大マンションが影となってほとんど見えない。
 この高層マンション、歌やんの呪いがかかるぞ、と予言しておく。
 ビールからワインをおいしくいただいて、21時頃に失礼する。

7月26日(金)
 またもカンカン照りである。
 朝から室温33℃。東向きで直射光だからいたしかたなし。珍しく朝からクーラー。
 昼、所用あって自転車で梅田。堂山町の交差点南、泉の広場から上がって阪急東通への出口、タイルが斜めに貼られた日陰で、なんとルン吉くんが昼寝しているではないか。36℃のなか、相変わらずの防寒服姿。
 off
 6月12日以来、1月ぶり。
 ズボンは(自動的に)短パンになっているけど、赤い防寒服は2年半前のまま。これで2冬2夏を越すことになる。元気だなあ……というべきか。子供が都会へ行った親の心境。豊崎へ帰っておいで。ここよりは涼しい……かな。
 帰路、東急ハンズのWAVEで森山威男の新譜「森」と「山」を入手。
 これはネットでF LAVELに申し込んだ方が確実なようである。
 ガゾーンが入った久々の2管。曲想の広がりが大きい。「森」がゴールドディスク選定というが、これは2枚1組と考えるべきだろうなあ。「森」がスロー、「山」がアップテンポだが、前の「虹の彼方に」と「マナ」ほど極端な区分けではない。「森」の「THE HOUSE OF RISING SUN」なんて相当過激だし、「山」では「HEY,OPEN UP!」のユーモア感覚が面白い。
 何よりも、これは森山さんがご尊父に捧げられたCDのようで、ライナーに書かれた言葉がいい。
 さすが甲斐の国の厳父。静かなること森のごとく、動かざること山のごとしである。
 off
 さっそく森山威男ディスコグラフィーに追加した。

7月27日(土)
 本日もカンカン照りである。
 クーラーガンガン、少しは仕事のつもりが、10時過ぎに水漏れ事故の電話。
 ったく、理事長なんてやるものじゃないな。
 現場のチェック、デジカメ撮影、洗濯機のホース外れで、階下2階に被害。
 保険会社に連絡すると、なんと2時間以内に鑑定人が来るという。
 ……なんやかやで、夕刻まで断続的に呼び出されて、まるで仕事にならない。さりとてゆっくりCDも聴けず本も読めず。
 実家からの、老母、別に問題なく退院したという連絡だけが救いである。
 夕食にビール、つづけてワイン。
 土曜で、ニューオリンズ・ラスカルズを聴きに行きたいが、とても自転車で移動する体力がない。
 パソコンに向かい、穴蔵のコンポで「森」と「山」を聴くのであった。

7月28日(日)
 炎天である。朝、自転車で梅田へ。中央郵便局まで。
 帰路、大阪駅の西側にあるソフマップでパケットライト・ソフトを買おうとレジに並ぶが、店員の態度悪く、イラチな俺には我慢の限界を超えているので、商品を棚に戻してヨドバシへ。と、こちらの方が(定価1万くらいのソフトだが)1000円近く安く、レジの対応もスムース。……こりゃソフマップの閉店は近いな。
 それにしても大阪駅北側、相変わらず場外馬券売場周辺はごったがえし。バクチ好きは「最高気温」更新なんて関係ないらしい。
 穴蔵のパソコンにパケットライト・ソフトのインストール。……恐るべき性能である。
 結局、ハードディスクのMy Documents(画像以外)全部をCD-RW1枚に納めて、こちらをメイン、ハードディスクをバックアップ用にする。これで「別荘」ともCD-RW1枚持って往復すればいいわけである。

7月29日(月)
 うへ、朝7時に穴蔵の室温31℃だ。この温度は平気だが、湿度が高いからたまらない。
 飲料を取りに「自宅」へ行ったら、たちまち専属料理人が顔をしかめて「暑い、眠れない」
 ワシにいうなよ。わしゃ枝雀師匠と同じメンタリティなのだからね。暑いのはわかってるでしょ、皆暑いんよ、それで暑いから私にどうしてくれというの……。
 こんな場合、先に愚痴を言った方が勝ちなのだろうか。
 集合住宅のトラブルとタイムマシン関係の雑用が重なってややこしい日だ。
 夕刻、気晴らしに、暑い中、自転車でかんべ事務所へ。1時間ほど雑談で暑気払いである。

7月30日(火)
 早朝の電車で播州龍野の実家方面に移動。CD-RW1枚のつもりが、本など、やっぱり重くなる。
 うへ、タイムマシン格納庫、40℃を超えているではないか。
 実家……昔受験勉強をするふりをしてNULLの原稿を書いていた机にノートパソコンを置いて、さあ仕事のつもりが、暑いのなんの、風そよとも吹かず。よくこんな環境で「勉強」できたものだと思うが、やはり家が建て込んできて、平均気温も上がっているようだ。
 家の構造上、クーラーを設置しにくいのが困る。老母がぐったりするはずである。
 夕刻、西空に異形の雲。
 「吸血鬼ゴケミドロ」の冒頭を思わせる不気味な色である。
 off
 老母とふたりで夕食。おれだけビールがぶ飲みである。

7月31日(水)
 雑用色々。龍野市内を自転車でウロウロするが、短パン・ポロシャツというだらしない格好でも、どうしようもないくらい暑い。ステテコにチヂミのシャツで出歩いても、誰もなんともいわない雰囲気である。……が、どこにSFファンがいるかわからんからなあ。現にクルマでたぶん20分もかからない場所に住んでいる某さんから某賞の候補に残ったとメールがあったばかり。ステテコ姿で遭遇したのでは、なんだか縁起が悪いような気がするではないか。
 もっとも、ステテコなんてもはや持っていないのだが。
 午後、少し机に向かうが、何やる元気もでてこない。
 「リスニングルーム」に扇風機を持ち込み、床に寝そべって、高湿度熱風のなか、ロリンズ、ジム・ホール、ジョージ・ルイス、宮沢昭を聴くのであった。
 メールでは、明日、兄が龍野に来るようである。


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