『マッドサイエンティストの手帳』230
●徳間文芸賞贈賞式2002
3月1日、第4回大藪春彦賞/第22回日本SF大賞/第3回日本SF新人賞の贈賞式が行われた。
3月1日午後、夕方に近い時刻、東京會舘へ。
SF作家クラブ総会である。ぼくは名誉会員という立場なので、特に出席義務はないのだが、まあちょっとした用事もあって、久しぶりに出席。若いメンバーが増えていて、改めて年齢を実感するなあ。
議題は……まあ、非公開だろうなあ。
巽さんが「これからは評伝も増えるから」と発言したのにいたく感心……3日後に再確認することになるのだが。
18時から徳間文芸賞贈賞式。
受賞作は、
第4回 大藪春彦賞 奥田英朗『邪魔』(講談社)
第22回 日本SF大賞 北野勇作『かめくん』(徳間書店)
第3回 日本SF新人賞 井上剛『マーブル騒動記』
同 佳作入選 坂本康宏『00式歩兵型戦闘車両』
受賞者、左から、奥田、北野、井上、坂本の各氏。
大藪賞については船戸与一氏が選考経過を述べる。船戸〜北方で奥田作品か石田衣良かで延々と争った挙げ句、大沢委員あずかりとなっての決定だそうである。爆笑ものの話術である。
受賞の言葉であるが、奥田氏の「賞金はアフガン難民支援に寄付」という立派な言葉の後では、ちょっとやりにくところがあるかなあと心配。が、杞憂である。
北野さんは「日本SFと上方落語を食べて育ったから、どちらかが入った賞がほしかった。『日本SF』が入った賞を貰えてうれしい。あとは『上方お笑い大賞』だが、これは不可能だろう」……どうして、虚航船団の役者として、可能性はまだ残ってまっせ。あと「賞はオマケみたいなものだが、オマケにもいいオマケとどうでもいいオマケがあって……」とお宝級オマケの解説があったが、わしゃよくわからなかった。
つづいての井上剛さん。この人も関西系(小林泰三氏のご近所である)で、サービス精神旺盛な感じ。「ポール井上と呼んでほしいのだが(写真のヘアスタイルご参照)、マッカートニが3割、ポール牧が6割(逆だったかな?)……」と、またひとり関西SFに強力なメンバーが参加の雰囲気。ちゃんと、こんな感覚で人間を描くという、今後のテーマに直結した挨拶なのであった。
坂本康宏さんは、兵器ならぬ相撲で「SF番付の末尾に載ったから、これからは一番いちばん『不惜身命』(だったな?)で取り組で行きたい。だめでもSFチャンコ屋ができるよう頑張りたい」……と、お役人・SFファン・兵器おたくというすごい混合人格で、今後が期待できる人だ。
昨年の大藪賞・五條瑛の発声で乾杯。
去年が不参加だったこともあって、今年は初対面の方を含めて、色んな人に会えて楽しかった。
いちばん驚いたのが『存在論的、郵便的』の俊才・東浩紀氏であるが、これは別項で触れる。
ともかく、ええっと、色んな人と会って喋って飲んで、やや悪のりである。
たとえば……
佐藤亜紀、小谷真理、東浩紀、筒井康隆という恐ろしい論客のテーブルでアホ面をさらしたり、右の写真のような珍しい顔ぶれを撮ったり、である。
ええっと、これは、書いていくときりがない。
石川喬司と北野勇作とか、我孫子武丸と井上剛とか(あ、これは先輩後輩か)とか、薄井ゆうじと嶋田洋一とか(なんか漫才コンビみたいな名前である)、まあ、ふつうには考えられない組み合わせがあったりして、この混沌がいいのだろうなあ。
永瀬唯氏はどういう心境の変化か「俳句」をやっていて、写真入りのカード集をくれる。夕映えの空の写真に「おまえ言うな宇宙は黙っていてもある」など、なかなかの感覚である。
嫌なことも書いておこう。ったく、ゲロが出そうになるぜ、チンカス・変態性欲者・ヒモ・歩く生殖器・要するに人間のクズの今岡清(←どうも人格円満なわしゃ罵倒言語貧困である)、こんなのが会場をウロウロしているから気分が悪くなる。もう来ないように。コレさえいなきゃ最高のパーティであった。
あと、ゾロゾロと帝国ホテル17階の2次会会場へ。
本日泊まりなので、こちらも久しぶりの参加である。
雰囲気はこちらでも同じ。あ、新車に乗った巨根がいないだけ雰囲気はさらにいい。
石田衣良氏(左写真の中央)がこんなにいい男だとは……これは会場の一致した意見であった。
わしゃ気分良くワインをいただき、五條瑛さんと記念写真。いかに悪のりしているかわかるなあ。ただし、肩に手をまわしているわけではありません。
多少は理性が働いており、明日の森山威男ライブに備えて体力温存、ちょっと早めに国際商人宿に帰館したのであった。
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