『マッドサイエンティストの手帳』220
●マッドサイエンティスト日記(2001年12月前半)
主な事件
・滝川雅弘VS坂井原正光 2clセッションふたたび(4日)
・木田浩恵さんのライブ(5日)
・滝川さんがやってきた(7日)
2001年
12月1日(土)
久しぶりに……中学生の時以来だから40年ぶりくらいか……ビデオで『現金に体を張れ』を観る。ラストの空港まで行くのが、仲間を裏切ってだと思っていたが、これは記憶違いであった。この方がやはりいい。
などと見終わってビデオからテレビに変えると、内親王誕生の臨時ニュース。女子とは「意外」であった。
夕食時、ボンクラ息子その2が不機嫌である。聞けばNHKと民放が全部「内親王誕生」の特番にしてしまったかららしい。テレビ大阪のグルメ番組を見ておる。べつにテレビを見なくてもいいじゃないかとも思うが。……特番を見てないから何ともいえないが「皇位継承」を話題にした局はあったのだろうか。
12月2日(日)
終日「穴蔵」で過ごす。
12月3日(月)
朝から自転車で市内を移動。
梅田センタービルの前の定位置、ルン吉くん、銀杏の葉が散る下で物思いに耽っている。
11月10日以来である。
しばらくウチの方には帰ってきてくれないが、なぜなんだろう。
You'd be so nice to come home to ……などと歌いつつ横を通過する。
上町台地の頂点あたりまで走ってくる。ああしんど。
肉体労働5時間、デスクワーク8時間。肉体労働が入ると体調はいいようである。
12月4日(火)
わ、雨である。
が、早朝の電車で実家方面へ移動。姫路に着く前に雨はやんでしまった。
タイムマシン格納庫の工事確認。わが実家の書庫を担当してくれた腕のいい職人の仕事だけに、「犬小屋」が、ともかく内部だけは新築かと見紛うばかりの出来映えである。
その他、雑件多い。帰阪は夜になる。
いったん帰宅ののち、21時頃に自転車でロイヤルホースへ。
滝川雅弘vs坂井原正光の2クラ・ライブの日である。前が11月19日であったから、意外に短いインターバルで「2clライブふたたび!」である。2ステージ目に間に合う。滝川雅弘(cl),坂井原正光(cl)木畑晴哉(p),中村尚美(b),岡野正典(ds)
ピアノは26歳の新鋭。
坂井原くん、それぞれのフィーチャー曲で吹いた時の「This Autum」が力の抜け方と叙情性で光っていて、この方向がいちばん資質にあっているように聴ける。
滝川さんの「East of Sun」はさすがである。
が……踊りたい「某出演者の知人グループ」が忘年会の雰囲気で来ていて、「サボイでストンプ」でご自由にダンスを……と、本当に何組かがジルバを踊り出したのは、ちといただけない。花岡詠二さんのライブでは時々あるが、これは明らかにダンス向きに演奏している。滝川さんのアドリブでは、本来、踊れるというのがおかしいのである。
12月5日(水)
早朝、いつものごとくひとりで朝食。……と珍しく専属料理人が起きてきて、パソコンが「Re:なんたら」ウィルスに感染したらしいという。友達からのメールがそうらしく、開封しないようにと深夜の電話があったのだという。これだからOEはいかんのだよ。ワクチンを引き落とすが、どうも自信がない。ボンクラ息子その1と共用で使ってるのはWindows Me で、少し勝手がちがうからなあ。
午後……アフガンはどうかとテレビをつけると、なんとサッチー野村沙知代を脱税で逮捕の「現場中継」の最中である。自宅前、球団事務所、阪神本社などから中継。大ニュース扱いであるが……。むろん、面白いのだが、こんなゲテモノを重用してきたマスコミ(特にテレビ局)に責任はないのかねえ。まあ高い「講演料」払った愚民も多いわけだけど。それでも、やっぱり面白くて、夕方までテレビのニュース・サーフィン。NHKでも2番目の扱いである。
夕方から、商社勤務の友人と会って軽くビール。中央アジア方面のことを聞くのだが、最近の情勢はよく知らないという。ただ、タシュケントは親日的な都市で、市内にいる限り特に心配はないようである。
21時過ぎに「Mr.Kelly's」へ。
木田浩恵さんが久しぶりに歌うというので2ステージ目から聴く。昨夜につづいて、この日も2ステージからである。
木田浩恵(vo)、高橋俊男(p)、中山良一(b)、上場正俊(ds)
木田さんはアサヒネットのパソコン通信時代にジャズの部屋でヴォーカルの主役だった「ヒロエさん」である。前に聴いたのは、今はなきホテル阪神のバーで、6、7年前。阪神大震災の前であった。カウンターで並んで聴いていたヒロエさんの「ご学友」はこの時に「胎教」を受けていて、その子が今や小学生というから恐ろしい。年齢のことはいいか。
ピアノは同じ高橋俊男さんである。
……飲んでたので、いい気分で聴いたが、ナンバーはうろ覚え。
Portrait of Jennie
April in Paris
One Note Sanba
Born to be Blue
How high the Moon
アンコールで
You'd be so nice to Come Home to
こんなところだったかな。スタンダードだが全体に渋めの選曲だ。ずいぶんうまくなったというか、見事に大人のヴォーカルである。
客席満員……カウンターで聴いたが、ピアノの真後ろで、鍵盤丸見え、これはなかなかいい場所であった。
明日が早いので、自転車でまっすぐ帰宅。
12月6日(木)
早朝から某くんのクルマに同乗して名神を名古屋方面へひた走る……予定であったが、京都南手前から大渋滞である。大津のトンネルで事故らしい。
結局、目的地には2時間近く遅れるのことあるよ。
ただし、用件は20分ほどで片づいてしまった。
タイムマシンを扱っていると時間感覚がおかしくなる。
帰路、国道を走って、米原付近で昼になる。米原の「忠太郎食堂」という大きな食堂に入る。ここは「番場の忠太郎」にちなんだ命名で、まあ典型的な「運的食堂」である。
番場の忠太郎というのはこのへんの出であったのか。ヤクザものは関東のイメージが強いからなあ。
12月7日(火)
朝刊で、北野勇作『かめくん』のSF大賞受賞を知る。よかったよかった。今年はじめにベストワンといったのが間違いではなかった。今年も強敵が多かったけどね。ウルトラマン対ガメラ決戦であったのだろうか。
朝早いが、冬眠している場合でもなかろうと祝FAXを送る。
こちらは「穴蔵」で冬眠。
午後、滝川雅弘さんが来た。
例によって自転車で。
「滝川雅弘応援ページ」の「100の質問」コーナーつづきのインタビューである。
Q&Aのページに30問ほど追加、生い立ちなどを聞く。
ビールを持ってきてださったので、飲みながら入力。今回は少年時代からプロのクラ吹きになるまでを中心に聞いた。
あと、パソコンを切って、ビールを飲みながら話す。……いやあ、こちらが酔ってきて文章にできない状態になると、滝川さんは俄然饒舌になって面白い話を始める。やっぱり不思議な人である。
夜、夕刊……某社の株価、ついに額面割れではないか。某谷、どないしてくれるねん。紙屑だけにはしてくれるなよな。わしゃ無理矢理買わされたの、律儀にまだ持っとるのだぜ。文句をいいたいところだが、来年の株主総会まで無理か。それまで持つのかねえ。
2月8日(土)
終日「穴蔵」である。
かんべむさしの『こちら、FM遊々です!』を読む。「ユーモア小説」と銘打ってあるが、普通の小説で、かんべ本来の「ユーモア」はこんなものではないはずだ。かんべ作品にハート・ウォーミングなんて似合わない。
2月9日(日)
このところルン吉くんがいないのが寂しい。
サンプラザという食材卸売店へ焼酎を買いに行く。それ以外はずっと「穴蔵」である。
12月10日(月)
終日「穴蔵」である。
12月11日(火)
市内をウロウロする。タシュケント行きは2月の厳寒期に決まりそうな雲行きである。
午後、所用あって北摂方面。相棒のクルマで移動。夕刻、時間があったので、以前20年近く通った伏尾の山あいにある工場跡を見に寄る。久安寺川沿いの細長い土地、両端に一件ずつ新築の住宅、間の4戸は空き地である。変わっちまったなあ……。
帰路、阪急石橋で降りて、久しぶりに「まんてんや」に寄る。開店してもう3年以上になる。ミノさん、まあ元気にやっているようで安心。
なんとホームページまで出来ているという。
「まんてんや」のホームページはここ。学生が作ってくれたのだとか。
せっかくだから、ついでに、こちらは学生時代から35年以上の馴染みとなる「一力」にも挨拶に寄る。……炉端の「にしもと」と2軒だったのが、「にしもと/一力」と1店に統合されている。なんだか銀行の合併みたいだが、別にリストラではなく、親っさんが80歳になったが、閉店は寂しがる客が多いからということらしい。……昔なら、今の「まんてんや」の客みたいに、「一力ホームページ」を作ろうかという元気があったかもしれないが、もう無理だな。当時の学生、今やリタイア組だものなあ。などといいつつ焼酎3杯。ちなみに一力の親っさんはもとジャーナリスト、日経記者であり、頭脳はいまだ明晰である。
12月12日(水)
またも雑件多発の日である。
朝、市内をウロウロののち、播州龍野の別荘。役所関係を回ってから実家に10分ほど寄る。ゆっくりしてもいいのだが、神戸のルミナリエ初日ということで、夕方以降はJR、私鉄ともに混みそうな気配。混雑は苦手なので、早めに帰阪。
夜は集合住宅の理事会。
この2日、「穴蔵」時間がほとんどないなあ。
12月13日(木)
「穴蔵」で過ごしたいが、やっぱり雑件発生、半日外出。
夜はボンクラ息子その2とふたりで晩飯。……専属料理人は友達と「心斎橋の隠れ家的フグの名店」で忘年会なんだと。嗚呼……。わしもフグが食べたい。吉朝の「ふぐ鍋」もまた聴きたい。
12月14日(金)
寒い。寒波到来、朝5時に朝刊を取りに「穴蔵」と「実家」を厚手のパジャマにフリースというだらしない格好で往復したら、下半身が凍えてしまった。またも2個あるキンタマが1個に収縮する波動関数の季節である。
ルン吉くん、どうしているのだろう。これから3月まで、ピンクの防寒服で過ごすことになるのだが……。
本日も雑用あって、市内ウロウロ。自転車はさすがに寒く、地下鉄で移動。
途中、久しぶりに散髪したら、キンタマ同様、アタマまで寒さで収縮してしまった。嗚呼……。
12月15日(土)
より寒くなった。大阪は快晴であるが。キンタマ、収縮したままである。
必要あって朝から西長堀の市立中央図書館へ行く。夕方まで、今年の「読み落とし作」をひたすら読み続ける。
閉館近くなり、数冊を借り出して帰宅。
主に「中間小説」であるが、徒労感があるなあ。
活字を読むのは好きだが、今の小説雑誌というのは、志、奈辺にありや。隆盛をいわれるホラーのレベルは意外に低いのではないか。一割ほどに面白いのがあって、まあ、これは昔からの比率か。エロ小説が減ったのが救いである。
専属料理人にリクエストして鍋。焼酎の湯割り。
また読み続け。
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