『マッドサイエンティストの手帳』799
●マッドサイエンティスト日記(2023年2月後半)
主な事件
・KLL例会(17日)
・滝川雅弘@OverSeas(24日)
2月16日(木) 穴蔵
曇。午後は次第に晴れてくる。外は寒いらしい。
終日穴蔵。
このところ不調である。
2月17日(金) KLL例会
午前に出て兵庫県へ越境する。三宮へ。
久しぶりに東遊園地の南側あたりまで散歩する。(神戸を歩くとなると、北野から湊川あたりまで1日あっても足りないのだが、ついでの散歩だと1時間くらいしかとれないので、致し方なし)
こども本の森 神戸はここにあったのか。
*
神戸に来るのは月1回だが、これからは少し増やすことにしよう。
午後は中央区文化センターで神戸文芸ラボ(KLL)の例会。
エッセイ、短編の合評会形式だが、秀作が多く、面白い議論になった。
個別に取り上げての論評は(それこそ例会でやるわけだから)ここでは控えさせていただくが、1例を。
「夫の浮気を妻が疑う/妻が夫の浮気を疑う」設定の作品は、筆者が男か女かで、ずいぶん違ってしまう。つまり「4象限」できてしまう。
作者名はわかっていて、その予断で読むから、うまく書けてない(現実はそんなものじゃない)と批判もしやすいわけだが、AI創作となると、この判定規準はどうなるのだろう……など、論点はずいぶん色々出てくる。
わたくしは「配偶者の浮気を疑う」話など、とても書けないし、書きたいとも思わないが、議論は刺激的だ。別ジャンルに応用できるかもしれないし。
こんな話があれやこれやと出てくるから面白いのである。
2月18日(土) 穴蔵
陰。寒そうな。出ないからわからんけど。
終日穴蔵。
コタツに潜り込んで雑読。
たちまち夕刻。
夜は鴨鍋でビール、蕎麦をぶち込んで上燗一献。
早寝させていただく。
2月19日(日) 穴蔵
未明は曇、6時頃から雨が降り出す。
終日穴蔵にあり。
確定申告の書類作成。半日ほどかかった。
e-Taxにしようかと思ったが、面倒でいけない。30年ほど続けてきたEXCELの転記とどちらが楽かといえば、3時間ほどかかっても書類作成・諸表添付の方が楽である。
要は源泉徴収された分をいかに取り戻すかだけのことだから。
しかも……来年からは零細文筆業者は、インボイス制度とかがあって、さらにややこしくなる予定。e-Taxも(たぶん)変わるはず。
この歳になると、いちいち覚えられるか。
ま、そんな訳で、明日、書類で提出することに。
午後はコタツで本を読んだりテレビを見たり。
「日本の話芸」に桂塩鯛師匠が登場、『二番煎じ』……都丸時代からよく聴いてきたが、風格が出てきたなあ。
肝硬変以来、細くなった感じだが。
なんといっても、酒を飲めなくなったとたんに酒呑みの噺がうまくなる。これ先代・歌やんがそうであった。
夜は(鍋は昨夜食べたので)厚揚げと大根のタイタンの妖女など色々並べてビール、二番煎じで熱燗一献。
申し訳ない気分だが、塩鯛師匠の名演を見れば、飲みたくもなりまっせ。
2月20日(月) 穴蔵
晴れたり曇ったり小雨が降ったり、落ち着かない日である。
9時に近所の某内科医で定期健診、数字に異常なし。
薬局に寄り、あと大淀税務署へ行って確定申告の書類提出。先客ふたり待っていただけで、10分で終った。
10時過ぎに帰館。
わが住居前の植込みの梅が開花していた。
*
春は近い……のであろうか。
あとは終日穴蔵。
コタツに潜って雑読。断続的にテレビ。
・強襲揚陸艦が大阪港に入ったニュース。映像からは場所がよくわからん。
・夕刻、バイデンが突然キーウ訪問。よく秘密行動がとれたものよ。
世界は動いているのだなあ。
2月21日(火) 穴蔵
晴。暖かそうな日……と思ってたが、そうでもなかった。
大阪市の某老人優待カードの期限が近く(5年で更新)、写真を撮り直して書面を郵便局(!)へ提出せねばならぬ。
専属料理人に老顔を撮ってもらい、パスポート写真サイズにプリントする。今年から「メガネ不要」になったから、顔写真入りの証明書は変更していかねばならぬ。
書類を持って豊崎郵便局まで。
あと、近所を散歩しようかと思ったが、風が強く、気温も低いので断念、穴蔵に戻る。春は遠い。
穴蔵でコタツに潜り込む。
昨日大阪港に入った強襲揚陸艦「アメリカ」について、YouTubeに色々な映像が上がっている。
googleマップと照合したら、南港南(大和川河口の北側)の住吉冷蔵前の埠頭らしい。
見物に行ってみたいが、ニュートラムの南港東(片道50円で行ける!)からかもめ大橋を渡って1時間近く歩かねばならぬような。
寒いし、今回は見合わせるか。
……つぎの機会なんてもうないのだろうけど。
2月22日(水) 穴蔵
雲があったが、10時頃には快晴となる。
散歩しようかと思ったが、外は寒いらしい。
面倒になり、結局、終日穴蔵。
ほとんど痴呆状態で過ごす。
・ちょっと面白いニュースを見る。
NHK札幌勤務の船岡久嗣(47)というアナウンサーが2月17日深夜、東京・中野の「20代の女性アナ」のマンションに侵入して、部屋にいた女性アナの「知人男性」ともみ合いになり、逃走しようとベランダ(3階)から飛び降り、路上で伸びて入院、20日に逮捕されたという。派手なことやってくれるなあ。
スポーツ中継でわりと知られたアナらしいが、わたくしは知らない。ただ、47歳でストーカーになれる情熱がうらやましいね。
3者がどんな関係だったのか、興味は尽きない。
来週の文春・新潮待ちか。
2月23日(木) 穴蔵
曇天……昼頃から急速に晴れ、快晴となった。
散歩によさそうな日だが、本日は休日(天皇誕生日)で、人出が多いことであろう。ジュンクドーに行きたいが、明日にするか。
終日穴蔵。
ネットで昨日の「船岡久嗣ストーカー事件」について調べる。
だいたいの事情はわかったが……興味は尽きない。
テレビは強盗事件の報道ばかりで、昨日の続報はなし。
たちまち夕刻。
夜は数皿並べてもらって晩酌。
メインは、某方面からいただいた「イカの一夜干し」を炙ったので、某方面からいただいた「千年の眠り」の湯割りを一献。うまっ。
*
「百年の孤独」がSF大会(の飲み会)で話題になったのは40年前くらいだったかな。「千年の眠り」はなんと40度である。用心して飲まねばならぬ。
21時から、ふだん見たこともないNHK「ニュースウォッチ9」を見る。
どんなニュースをやってるのかは、まるでアタマに入らず。報道内容に興味がないからである。困ったものだ。
2月24日(金) 穴蔵/滝川雅弘@OverSeas
雨。寒く、陰湿な日である。
終日穴蔵。
アタマの中も厚い雲で覆われたようで、コタツでボーーーーーーッと過ごす。
夜、気分転換に出かける。
地下鉄で堺筋本町のOverSeasへ。
久しぶりに滝川雅弘さんが出演。
*
寺井尚之(p) 東ともみ(b) 滝川雅弘(cl)
コロナで聴けなかったし、本格的にバップを吹くのも久しぶり、寺井さんとのここでの共演は11年ぶりではないか。
おなじみスタンダード中心……といっても「インディアナからドナ・リー」とか「Billie's Bounce」などパーカーの曲中心。コロナ禍中に練習用にアレンジしたという「チェロキー」のコードが半音ずつ上がっていくという、なんともややこしい演奏も。
やっぱり滝川さんはバップを吹く時がいちばん溌剌としている。それに……寺井さん、10年ぶりに聴くが、だんだん(ええっ、その、雰囲気が)トミフラ師匠に似てきたなあ。
滝川さん、数曲クラを持ち替えるが、なんとデフランコの遺品を譲り受けたものという。
*
50年代から使用していたYAMAHAである。そういえば昔、デフランコ、北村英治、ジョン・デンマンの名手3人が揃ったコンサートがあって、3人揃ってYAMAHAであったなあ。ちなみに滝川さんがふだん使用しているのもYAMAHAのEiji-Model。
そのうち河合良一さんの「ジョージ・ルイスの遺品」との共演が聴きたいものだ。
最後は「Anthoropology」……泣かせるねえ。
こちらも元気が出てきた。
まだ老衰してはいかんのである。
2月25日(土) 穴蔵
晴。寒。
ふつうの土曜日で、人出多そうであり、終日穴蔵とする。
たいして生産的な仕事はできず。いかんなあ。
ま、コタツでボケーーッとしているように見えて、一応考えごとはしているのである。誰も見とらん? その通り。
夜は豚しゃぶで一杯。
明日こそホリは羽ばたく……つもり。
2月26日(日) 穴蔵
晴れたり曇ったり、落ち着かぬ空模様である。ともかく寒い。
昨日、週刊朝日(3月3日号)が届いた。
書評欄のコラム、「マガジンの虎」で拙作に触れてあるからと、編集部からお送りいただいたもの。
週刊朝日は時々読んでいて、特に亀和田武さんの雑誌批評「マガジンの虎」は面白く、注目していた。
今号で取り上げられているのはシニア誌「サライ」3月号で、特集が「日本の地下街を歩く」。これに関連して拙作「梅田地下オデッセイ」を紹介してくださっている。ありがたいというか名誉というか。
で、本日10時頃にジュンクドーへ行って、サライを買ってくる(付録のトレイがビール呑むのになかなかよさそうな)。
地下街特集、5都市の地下街が紹介してあるが、大きく扱われているのは東京「八重洲」と大阪「梅田地下」。
きちんと村野藤吾の「換気塔」が紹介してあったり、歴史的な記述もいいが、飲み屋の記事もいい。
*
梅田ではホワイティ梅田の「鳥の巣」「福すし」「直福」などが取り上げられていて、妥当だが、わたくしの好みからいえば立ち飲み「大御所」の湯豆腐も入れてほしかったところだ(わが梅地下の3大名店は、立ち飲み「大御所」 串カツ「七福神」 うどん「たかはた」)。
ということで、たちまち夕刻。
本日はちょっと特別な日でもあったのだ。上記の記事とは偶然ではないような気がする。
「梅田地下オデッセイ」は1978年の作品である。
78年2月26日も日曜日であった。この日が特別で、「梅地下」は翌日2月27日に書きはじめ、3月5日夕刻に書き終え、航空便で発送した。
あれからちょうど45年になる。
もうあの時の体力はないな……などと思いつつ、夜はケイジャン風料理など数皿並べてもらってビール、ワインをいただく。
まあ、いい日であるのだろう。
2月27日(月) 穴蔵
快晴である。
朝、近所の某眼科へ。白内障の術後2ヶ月を過ぎて、目薬が少なくなったので、経過観察。
異常はないが、点眼は術後3ヶ月まで続け、その時点で最終的な判断となる。老眼鏡を作るのもその後である。ま、100均のメガネで不自由はしてないのだが。
あとは穴蔵にて雑事。
意外に連絡事項など多く、メールしたりクリックポストの発送があったり電話があったり集合住宅の検査業務に立ち会ったりネコのエサ場を見に行ったり(猫の斬殺報道があるから、いたしかたなし)で、たちまち夕刻となる。
一杯飲んで早寝させていただく。
2月28日(火) 穴蔵
「今日は快晴である。私は梅田まで散歩することにした。しかし、銀行に着くと月末であったため、長い列ができていた。私は用事を諦めて家に戻ることにした。以上のように、永井荷風が書いた断腸亭日乗風の文章は、上記の情景を端的かつ美しい日本語で表現しています。」
……と、上記の文章は、本日のわが日記の「翻訳」である。
「快晴。梅田まで歩くが、月末で、銀行には長い列ができている。用事はあきらめて帰る。」
と書き、これに「以上を永井荷風の断腸亭日乗風に書けばどうなるか」と追記して、ChatGPTに入力したら、こう出てきたのである。
こりゃ話にならん。全然「断腸亭」風ではない。そもそも荷風が「私は」なんて書くか。「余」か「わたくし」だろうが。せめて……
「快晴。梅田まで歩くも、月末ゆえ銀行の自動金銭支払機に列あり、所用断念、穴蔵に帰る。」
……くらいならまだしも。
などと書くのは、マイクロソフトの「Bing」がややこしい文章を出してきたというニュースを見たからである。
先日(2週間ほど前)、ChatGPTを使ってみた感想を某エッセイに書いたばかりなのに、もう状況が変わっている。
AIによる文書作成ソフトの開発競争が激化しているのである。
・Open AIの「ChatGPT」
・MicrosoftがAI搭載の検索エンジン「Bing」(OpenAIのLLM「GPT-3」の次世代モデルを採用)
・GoogleがAIチャットボット「Bard」を発表
・Meta(Facebook)が大規模言語モデル「LLaMA」を公開
こんなのが本日だけで出てくるのだから戸惑うよなあ。
まあ、日本語ヴァージョンが出てから、ぼちぼち検証することにするか。
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