『マッドサイエンティストの手帳』771

●マッドサイエンティスト日記(2022年1月前半)


主な事件
 ・風呂本佳苗リサイタル(8日)
 ・播州龍野いたりきたり


1月1日(土) 穴蔵
 寒波襲来の予報だったが、晴れて穏やかな元旦である。
 今年は昼にzoomお屠蘇とでもいうか、ボンクラ息子その1ファミリー(犬も勘定に入れます)とオンライン宴会。
  *  *
 オセチは貰ったものと買ってきたものを詰めた最小限の、酒は静岡の「磯自慢」……これは結構な。
 昼間から2時間近く飲んでしまった。
 あとは昼寝。

1月2日(日) 穴蔵
 晴。暖。
 昼前に専属料理人と豊崎神社に初詣。
 露店が出ていて、客は10数人。閑散。
  *
 一応賽銭を投げるが、別にお願いすることもなし。
 谷本盛雄みたいなやつの巻き添えになりませんように……くらいか。

1月3日(月) 穴蔵
 晴。終日穴蔵。
 部屋に閉じこもっていると気分が落ち込んでいけない。
 午後、BSで『007は二度死ぬ』を見る。53年ぶりか。
 ボンドが日本の女をやりまくり。「穴見え」なんていったものである。
 出来損ないのSFで、当時でもあほらしくなったものだが、今見てもそうであった。
 夜、BSで『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』を見る。54年ぶりか。
 健さん、若いなあ。池部良も色気があってたまらん。主題曲、むろんたまらん。
 コネリーより健さん……ということか。

1月4日(火) 穴蔵/火事場見物
 晴。仕事始め……のはずだが、気合い入らず。
 うろうろ歩くことにする。
 昼過ぎに出て、グラフロ西を経由して桜橋へ。
 某ハウスで散髪。毛髪は少量になって、短時間で片づく。
 あと、近くにある谷本盛雄の25人放火殺人(12/17)のビル前へ。
 献花多く、テレビカメラが3台ほど待ち構えていて、献花に訪れた人を取り囲んであれこれ訊いておる。
  *
 道の西側に迂回する。こちらは単なる野次馬だからなあ。
 桜橋から駅前ビル地下を1→2→3と通過し、御堂筋を渡ってお初天神へ。
 さすがに露天神社は今日でも初詣の長い列ができている。
 こちらは単なる野次馬で、参詣はなし。昨年(11/20)の火事場見物が目的である。
 社務所の東は閉鎖されている。
  *
 東側に回って路地を見るに、火元のヤキトリ屋とその並びの10店ほどは、再開の目途立たないようである。
 建て替えしかないだろう。1年ほどはこのままか。
 瓢亭が無事なのはなによりであった。混んでいるようなので後日とする。
 夜。
 一杯飲みつつ……テレビは、BSで『ダイヤモンドは永遠に』と『昭和残侠伝 血染の唐獅子』が同時間放映。
 どちからといえば健さんだな。『ダイヤモンド』の方は(半世紀前の記憶だが)やはり出来損いSF(とまではいえんかもしれないが、大掛かりな秘密基地がでてくる)。やはり健さんが河津清三郎をぶった斬る方を選んでしまう。
 毎晩、花田秀次郎とボンドの対決が続くことになるのかしらん。

1月5日(水) 穴蔵
 晴れたり曇ったり。寒そうな日である。
 朝、久しぶりに「カムカムエヴリバディ」を見る。
 前に(岡山のジャズ喫茶が出てくると聞いて)2回ほど見たが、面白くないので見ていなかった。
 昨日ネットで「木暮洋輔というジャズ喫茶のマスターが出てくるが、これが山下洋輔さんのパロディみたい」と知ったからである。
 舞台は大阪に移り、主人公は道頓堀近くのクリーニング屋に住み込みで働いている設定。
 ジャズ喫茶のマスターは「何じゃこの下品な洋輔は!(笑犬楼)」という程度のもので、どうってことはない。
 トランペット奏者の男と恋仲になるのかな。
 それよりもクリーニング屋の向かいにある寿司屋の暖簾が気になる。
 まるせん?……千を〇で囲んだマークである。
 これは「まるじゅう」がモデルではないのか? マークがよく似ている。
 だとすれば、上方風流(かみがたぶり)の会場となった寿司屋で、御堂筋を水掛不動の方向へ入ったところにあった。
 当時の写真を2009年にあった「まるじゅう」58年間の回顧展で見ている(その後、閉店となった)。
  *(2009)
 女将さん(的場文子さん)から聞いたところでは、となりに「ジャズミー」というジャズ喫茶があり、その後、近所に「バンビ」ができたという。
 ただ、バンビでライブはやってなかった。それに、すぐ近所という設定でもない。
 するとジャズ喫茶「ナイト・アンド・ディ」のモデルはもっと東にあった「銀馬車」か……しかし、ここはジャズ喫茶といっても、(ナンバ一番みたいな)ロカビリーをやってた店のはずである。
 それに1962年なら、サッチモよりも、ジャズ・メッセンジャーズだろう。ファンキー・ブームの最中だし。
 (関西の)ジャズメンの演奏場所はキャバレーやダンスホールで、出待ちの時間にジャズ喫茶に来ていた……と、このへんは大塚善章さんあたりに証言していただきたいところだが。
 寿司屋のモデルが「まるじゅう」だと、場所的につじつまは合うし、そのうち若き日の米朝師匠(37歳)の登場も期待できるな。
 興味はあら捜しばかりになりそうだけど。
 終日穴蔵。
 たちまち夕刻。
 本日もBSはボンド『ネバーセイ・ネバーアゲイン』と花田秀次郎『昭和残侠伝 唐獅子仁義』の対決だが、もうどちらもよろしいな。
 テレビに長時間拘束されるのは疲れる。
 夜はもつ鍋で伊佐美の湯割りを飲りつつ、ハンク・モブレー師匠、ホレス・シルバー師匠、ブレーキー師匠などを聴く。
 カムカム、ちったあ見習え。

1月6日(木) 穴蔵/ウロウロ
 曇天。朝、大阪市内も雪という報道があったが、そのような気配なし。
 昨日のつづきで「カムカムエヴリバディ」……ジャズ喫茶でのコンサート、一応バップになっている。「トランペット指導 MITCH」と出たから、きちんとやってるのだ。出演者のポスターに「古谷充とザ・フレッシュメン」も並んでいるところが愛嬌。寿司屋は出てこなかった。
 毎日は無理だが、時々見ることにしよう。
 午後、晴れてきた。
 外出。自転車では寒そうなので、阪急で十三の某信用金庫の事務所へ。用事は5分で終る。
 意外に暖かいので、十三から西中島南方まで歩くことにする。
 阪急の東、十三戎(神津神社)は初詣は終わり、戎っさんの準備に大わらわのようであった。
 木川から能勢街道(十三側)を歩いて、淀川右岸の堤へ。
 ここから西中島まで歩く。
  *
 十三野草地区・西中島地区には自然のエリアが広く残されていて、気分がいい。
 40年以上前、ボンクラ息子その1を連れてよく歩いた場所である。
 左岸堤は当分歩けないからなあ。
 西中島から新御堂の側道を歩いて帰館。
 8,000歩を超えた。

1月7日(金) 穴蔵
 晴れたり曇ったり。外は寒いらしい。
 終日穴蔵。
 ボケーーーッと過ごす……つもりが(主に播州龍野関係で)ややこしい案件多し。
 龍野へ行くか迷うが、世間は明日から3連休。1日で片づきそうになく、いずれにしても来週に持ち越さざるを得ない。
 ど田舎はメールも振込も出来ず(請求書が郵便受けに投入されて、現金を持参する方式)、困ったものである。
 まだ「限界集落」にはなってないと思うが。
 たちまち夕刻。
 チーズフォンジュでワイン一献。イライラは少し治まる。
 早寝させていただく。

1月8日(土) 風呂本さんリサイタル
 晴れて、さほど寒くもなさそうな。
 昼過ぎに出て、阪急で西宮北口へ。
 兵庫県立芸術文化センター小ホールで、新春恒例風呂本佳苗ピアノリサイタルである(去年は来られなかったので2年ぶり)。
  *
 今年のテーマは〜時を紡ぐ〜で、昼〜夕刻〜夜〜朝までの時間の経過を14曲(アンコール含む)で表現するもの。
 ドビュッシー「牧神の午後」に始まって……「ゆうべの調べ」……ショパンのノクターン……「真夜中の潮汐」、ラヴェル「道化師の朝の歌」まで。まったく知らなかった曲も色々あり、十数時間の経過がイメージ豊かにピアノから流れ出る。
 コロナの潮が引いて、早く気分のいい朝を迎えたいものである。
 ロビーで芦辺拓さんと挨拶。毎回聴きにこられているのである。
 短い時間だがSFの話ができるのがうれしい。
 夕刻帰館。
 風呂本さんの願いを裏切るように、コロナ感染者急拡大。
・本日の感染者、大阪は891人。第6波入り。
 昨日の発表によると、大阪府のシミュレーションは、1/15に1,018人、1/21に3,014人、1/25に5,121人である(これはオミクロンの感染ペースが高いので、12/17のシミュレーションを2倍ベースで再計算したもの)。
 しかし、実態はこれを上回るのではないか。
 わたくしの予想(12/29に書いたが)は、12/28から大移動が始まり、その2週間後が1/11。この日は休日明けだから少なく、翌日1月12日に1,000人を超える……というものだった。
 しかし、この3連休中に1,000人超えは達成されそうな気配。人出の起点をクリスマス・イヴにすべきであったか。
 本日の人出は正月と変わらないようだから、今後2週間、感染者は増え続け、1月25日には10,000人を突破するのではないか。
 あくまでもど素人の予想であり、今後はこのような予想は書かないことにいたします(たぶん1/25に反省の弁だけは述べますが)。
 SF作家は近未来予想家ではなく、とんでもない仮説で世間を驚かせるのが本領なのであります。

1月9日(日) 穴蔵/快男児
 朝、ネットで気持ちいいニュースを見る。
 迷惑ユーチューバーへずまりゅうが昨夜、格闘技大会「ギガフェス」に出場、相手は元「ミスター・アウトサイダー」啓之輔。
 へずまは「啓之輔! お前は38歳、オレは30歳。体力でも負けん。悔しかったらオレをボコボコにしてみろ!」と挑発した。
 啓之輔は「格闘技をなめるな」と、突進してきたへずまをいなすと、腹に膝蹴り、よろけたところで顔面にハイキック2発、7秒でへずまを救急搬送にしたという(残念ながら、骨折はしておらず、裂傷で済んだそうだが)。
 啓之輔という格闘技家は知らなかったが、快男児という他ない。
 日曜である。
 終日穴蔵。
 外出は昼前に(役割で下男仕事)ビールを買いに自転車でタカセ市場往復のみ。
  *
 うへっ、新御堂の下、「麦と麺助」の前に長い列。5,60人は並んでいる。
 第6波どこ吹く風。
 こちらはラーメンより蕎麦がいい。
 専属料理人が蕎麦を茹で天ぷらを揚げる。
  *
 これで冷えた十右衛門を一献。うまっ!
 昼間からこんなことやってていいのであろうか。いいのである。
 あとはコタツでボケーーーーッと過ごす。

1月10日(月) 穴蔵
 3連休の最後。晴れて穏やか。
 日本はこんなに休日が多くて大丈夫なのであろうか。
 わたくしは現役引退状態だが、雑事が色々あって「平日」が待ち遠しくてたまらない。
 終日イライラして過ごす。
 午後、堀川戎へ行ってみようかと迷うが、今さら商売繁盛を願う立場でもなし(3年ほど行ってない)、人通りの少ない貨物線地下化現場に沿って1時間ほど散歩。
 掘削工事は昨年で終わり、今年は電源と軌道の工事。年末に地下軌道に切り替えられる予定。
  *  *
 某階段から(北側/淀川側の)地下への進入口を見物するが、意外に狭い印象である。
 自転車投げ込みをどう防止するのか、楽しみなことである。

1月11日(火) 大阪←→播州龍野
 やっと平日である。
 5時半に出て、阪神の始発特急で播州龍野へ向かう。
 陰鬱な冬空。高砂あたりでやっと明るくなってきた。龍野は小雨である。
 午前9時に実家。うへっ、書斎の室温は6℃である……が、驚くことではないか、昔は吐く息が白くなることがあったはず。
 面倒だから暖房は付けず、20分ほどで事務作業を済ませ、出かける。
 ワゴンで市内数ケ所を走り回る。
 市役所裏の堤からの眺め。
  *
 鶏籠山は霧にけむっているのであった。
 昼過ぎで雑事は片づく。
 姫新線で姫路へ。昼は眉村さんを思いつつ「えきそば」。新快速で帰阪。
 体が冷え切ってしまった。
 久しぶりに入浴。
 専属料理人の並べた湯豆腐、グラタン、ロースト・サラダなどでビール、ワイン少しばかり。
 早寝させていただく。

1月12日(水) 穴蔵/大東建託に災厄あれ
 晴れて風寒し……と書いたものの、風が寒いかは実感できず。雲もあり、変化急である……後で聞けば一時雪も舞ったらしい。
 昨日の反動で終日穴蔵。
 アタマまるで働かず。
 午後、BSで(幾つか好意的な映画評を目にした)『岸辺の旅』を見かけるが、3分ほどでギブアップ。こんなテンポの鈍いのに到底つき合えない。
 時間芸術(時間的な拘束を受ける娯楽というくらいの意味だが)を体質的に受け付けない年齢になったのだろうか。
 DVDで古い映画や落語を見るのはいいし、CDでJAZZも欠かせないのだが。
 テレビという媒体がいかんのか。
 ……などと考えているところに電話。大東建託と名乗る。
 番号非公開のこちらの電話にまでかけてきたか。
 一昨年から、繰り返し自宅に電話してきて、そのたびに、専属料理人が「いっさい会うつもりはないと申しております」と伝えているのに、エントランスまで来て「自宅」のチャイム鳴らすこと10回近く。もう来ないでくださいと伝えているにもかかわらず、である。
 大東建託には播州龍野時代に苦しめられてきた。たまりかねて実家の門に貼紙したほどである。
 こちら(大阪)は集合住宅だから、エントランスに個人的貼紙するわけにはいかない。
 困っていたところに、大東建託から直接電話である。
 普通のわたくしを知る人には想像できないだろうが、ともかく、これ以上ないだろうと思える剣幕で怒鳴りつけて電話を切った。
 もし今度電話してきたら警察に相談するとも伝えた。
 2時間ほど気分悪し。
 もう電話も訪問もないとは思うが、担当が変われば、平気で来るかもしれんなあ。
 新入社員のトレーニング用にウチを使っているのではないかと思うのである。

  悪徳会社 大東建託に災厄あれ

1月13日(木) 穴蔵
 晴時々曇。外を見る限り、強風、寒そうである。
 終日穴蔵。
 出歩く気分にならず。
 12日(連休明けの翌日)の大阪の感染者は1,000人超えと予想していたが、1,700とは思わなかった(東京は2,000人超え)。
 これはやばいと、出歩くことなし。穴蔵に閉じこもる。わたくしは臆病なのである。
 コタツに潜り込んで(田中啓文『空から落ちてきた相撲取り』など読みつつ)ボケーーーッとしていたら、たちまち夕刻。
 本日のコロナ感染者、大阪は2,452人(東京は3,124人)である。
 その果てを知らず。
 夜、専属料理人の並べた鯖とかキャベツ炒めなど、つまらんメニューでビール、冷酒一献。
 早寝させていただく。明日も穴蔵……のつもり。

1月14日(金) 穴蔵
 定刻4時に起床。役割で下男仕事(本日は早朝にビン缶ダンボールなど資源ゴミ出し)以外、外出することなし。
 晴。終日穴蔵。
 全国的に大雪情報、大阪にも大雪注意報。京都などの積雪の映像も流れるが、大阪市内は快晴で穏やかなもの。6時のベランダは4℃である。
・海部俊樹の訃報。91歳。
 それで思い出したが、従弟の海部宣男博士は2019年に75歳で亡くなられている。
 天文学会で挨拶した時に、「野辺山へぜひとも」と声をかけていただいた。四半世紀前であったか。
 結局行けないまま。これだけは悔いが残る。

1月15日(土) 穴蔵
 薄曇り、昼前から晴れてきた。
 土曜であり、人出が多そうだから、終日穴蔵。
 ……のつもりだったが、午後、専属料理人のお伴をして天八のスーパーまで。ポーターを勤める。
 晩酌の食材など。ビール買ってもらったからいいか。
 あとは穴蔵にて痴呆状態で過ごす。
 大学入学共通テスト会場で3人刺傷とか、11月の舞洲日立物流倉庫放火で逮捕とか、少年の犯罪が多いな。
 夕刻。
 大阪のコロナ感染者3,692人で、9月1日の3,004人をあっさり更新、過去最多。
 その果てを知らず。


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