『マッドサイエンティストの手帳』735
●マッドサイエンティスト日記(2020年8月前半)
主な事件
・穴蔵の日々(外出自粛)
・播州龍野いたりきたり
・創サポ講義(8日)
8月1日(土) 穴蔵
目覚めれば8月であった。
早朝から直射光が差し込んで暑いのであった。
参考までに室内とベランダの気温を1時間ごとに記録する。
概略だけ記せば、
室温/湿度/外気は、
6時 30℃ 63% 30℃
9時 32℃ 57% 37℃
12時 32℃ 60% 35℃
15時 32℃ 60% 35℃
18時 30℃ 56% 33℃
21時 30℃ 58% 31℃
これは前の部屋の7年前より少しましであった。
この間、少しは仕事もできたのだから、この夏も(エアコンが故障しても)乗り切れそうである。
8月2日(日) 大阪←→播州龍野
朝、相棒の某くんがクルマで迎えに来てくれて、いっしょに播州龍野へ向かう。
電車が5月の連休よりも混んでいるようで(特に大阪〜姫路間は)乗る気にならない。
某くんのクルマに同乗させてもらうことになった。
新御堂を千里〜池田〜宝塚〜中国道〜山陽道で1時間40分ほど。
龍野へは4ヶ月ぶりである。
今年は、桜も木瓜も木蓮も見ることなく、もう百日紅の老木に花が咲き始めていた。
*
晩夏の気配である。秋来たりなば冬遠からず、気が滅入ってくるなあ。
実家の雑事3時間ほど。
某くんとの作業2時間ほど。
今回は宿泊の準備なしてきたが、次回は4、5日泊まり込みで来ることにする。
夕刻、再び某くんのクルマで大阪まで送り届けてもらう。
社長のような待遇で下男仕事をした一日であった。
湯上がりで軽くビール飲み、早寝するのである。
8月3日(月) 穴蔵
断続的にだが、朝6時まで寝た。肉体労働はするものだ。
反動で、本日はほとんど穴蔵。
結構雑事多し。
夕刻、所用あって自転車で梅田のハチへ。
今年はじめてかな。
椅子を減らし、半分以上にぬいぐるみを置いて「使用禁止」、ごく少人数に制限(10人くらいか)……それでも閑散状態がつづいているらしい。
*
1階がホストクラブだから、迷惑な話である。
今年の8/8の誕生日ライブは無理で、ハチママは落ち込んでいるし、名物男・大ちゃんの具合がいまひとつとか、新コロナ連動でろくな話がない。
おれも開店すぐの10分間(2ドリンク)で引き上げる。申し訳ないが本日は用件だけ。また改めて来ることに。
帰宅後、あわただしく夕食。
夜は某zoom会議。2時間以上、あれやこれや。こちらも新コロナで不確定事項が多すぎるなあ。
最後は引き続きネット飲み会に……という雰囲気になったが、これもまた改めて。
8月4日(火) 穴蔵
薄い雲がかかるが、一応晴天、盛夏である。
終日穴蔵。
また外出自粛モードに戻る。
頭ボケ状態、特に生産的なこともできぬまま、たちまち夕刻となる。
一杯飲んで早寝。
明日からの新コロナ感染者数が楽しみ心配である。
8月5日(水) 穴蔵
世間は猛暑であるらしい。
確かに6時に直射光が入る。夏至から4週間、5時半に射し込んできた朝日が30分遅くなった。
秋が近いなと実感する。
2時間ほどエアコン稼働、あとはどうってことなし。
終日穴蔵にて机に向かう。
もっとも書いているのは、人に見せられない文書。ポルノを書いているようなものである。
外出は午後のジュンクドー往復のみ。
途中、某家(町内では残り少ない庭木のある屋敷)の百日紅が花を咲かせている。
この花を見ると夏休みの終わりを思い出す。やはり晩夏のイメージだな。(ウチのはこちら)。
サルスベリは樹齢100年ほどの、幹のツルツルした樹でなければ。
* *
たとえば(↑右の)公園のなんて、猿が飛びつけば折れてしまいそうではないか。花にも品がない。
8月6日(木) 穴蔵
夏も終わろうとしているのに暑いことである。
終日穴蔵。
本日0時からミナミの「御堂筋と堺筋、千日前通と長堀通に囲まれた区域」に(20日までの2週間)休業・営業制限要請。
焼け石に水であろう……というより、ターゲットは宗右衛門町のホストクラブ、風俗店なんだろうけど、名指ししないから、北はマホガニーホール(飲食店ではないけど)から南は法善寺横丁までエリアに入ってしまった。
2週間後が楽しみ心配である。
午後、NHK「上方落語の会」で桂米朝「本能寺」を見る。干天の慈雨とでもいうか。
あれから2週間である。
あれとは、7月23日……4連休の初日である。いちばん警戒しなきゃいかん時期、前日に政府が「GO TO キャンペーン」のラッパを吹いたから、感染大拡大。それが出てくるのが本日と予想していたのである。
大阪は255人(過去最多)で、わが予想の半分以下であった。もっともこれは検査数の限界によるような。指数関数的増加はないが、これは判明しないだけのことではないか。
まだ2週間は増加傾向が続くことになろう。
8月7日(金) 穴蔵
秋立ちぬ。残暑甚し。
終日穴蔵にて明日の講義の準備を行う。
思うところあって、この10年のSFの傾向を考える。
高山羽根子さんの「うどん キツネつきの」から「首里の馬」に至る10年と重なる。
色々再読しだしたら、全然進まなくなった。
ま、明日の夕方まで時間はある。
塩屋の異人館「旧グッゲンハイム邸」は、実はジェイコブ・ライオンス邸らしいというニュース。
登記簿調べたらそうらしい。6年前に行っただけで、塩屋にはその後降りてないな。
他にも行ってみたい場所が出てきたので、新コロナ収束が待ち遠しい。
が、新コロナ感染者は、大阪255人(過去最多)、兵庫49人、東京462人……順調に伸びておるなあ。
2週間は変わるまい。何もしとらんのだもの。あ、GO TO で煽っとるのだ。
すべては昭恵のせいだろう。
8月8日(土) 創サポ講義
残暑甚し。先日から薄曇りが続くが、これはPM2.5のせいらしい。
終日穴蔵。必要あって、このところ、最近10年の短編を再読している。
「うどん キツネつきの」から「首里の馬」まで10年なのであった。
夕刻、地下鉄で天満橋へ。
おや、ラバー・ダックが八軒家浜に出現している。
*
18時からエルおおさかで創作サポートセンターの講義。
出席者は8名、zoom参加が10名ほど。
*
本日は提出作品を題材にしての議論ではなく、「SFの書き方」についての(一方的な)講義。
この「講義」方式は5年以上やっていない。一般論を話してもあまり役に立たないと判断してだが、たまには「おさらい」の意味でやってもらった方かいいという要請である。
そこで、過去には2時間ほどかけた「アイデア、プロット、キャラクター……」といった作法は30分程度にして、最近10年の作品分析に1時間以上かける方式に切り替えた。
約10作品を取り上げて、その「非日常性」がどう違うか、設定の違いを「分析」しようという試みだが、ひとつの傾向を抽出できるまでには至らず。
ひとついえるのは「センス・オブ・ワンダー」はもう死語ではないかと思う。
たとえばバーチャル体験で少々驚かされても、世界観を一変させられることはない。宇宙SFもダークエネルギー以降はなあ……。
こちらが高齢化して感性が鈍ったせいだけではないと思う。
SFが詰まらなくなったわけではなく、うまい用語が見つからないのである。
8月9日(日) 穴蔵
残暑甚し。終日穴蔵。他人に見せられない文書(ポルノみたいなもの)をぼちぼち書く。
昼過ぎ、ジャズ関係の内輪の集まりに行こうと出るが、急に気分が悪くなり、700歩くらいのところから引き返す。
熱中症ではなく、ちょっと不吉な予兆を覚えてである。
帰館後、欠席の電話を入れる。
午後は寝て過ごす。
盆明けまでは外出自粛生活がいいようである。
8月10日(月) 穴蔵
残暑甚し。終日穴蔵。エアコン稼働、机に向かうが、断続的に睡魔が襲ってくる。
またも睡眠が不規則になってくる。
そんなところに某社から「睡眠検査キット」というのが送られてきた。
*
睡眠中に取り付けて無呼吸症候群の可能性を調べる装置である。
データ取って返送すればいいらしいが、睡眠が不規則で、まとまった睡眠時間がとれそうにない。
夜、一杯飲んで早寝を試みるが、どうもいかん。
明日こそ、昼間の居眠りを我慢して(最近は寝転がって本を読み出すと眠くなる)、少なくとも5、6時間は眠れるよう調整しよう。
睡眠もたいへんである。
8月11日(火) 穴蔵
残暑甚し。終日穴蔵。
睡魔との闘いである。
一応机に向かって過ごす。
本を読み出すと目が疲れるし、テレビも眠くなる。『ハドソン川の奇跡』をやってるが我慢。
散歩は自己規制(暑いからではないけど)。
先日からとりかかっていたポルノ(まがい)を夕方に仕上げる。
専属料理人にいろいろ並べてもらって軽くビール。
BSの街歩き番組で「ニューオリンズ」をやっている。カメラ視点の吹き替えが桂文珍とはいただけないが、カトリーナ以降のニューオリンズの映像がなかなかいい。
パスポートは失効しているし、もう行くことはない。ちょっと寂しいね。
ということで、「睡眠検査キット」を装着して早寝するのである。
8月12日(水) 穴蔵
午前4時まで6時間半眠れた。検査キットを取り外す。
午前8時にヤマト運輸まで歩き、キットを返送する。結果は3週間ほど後か。
残暑甚し。
外出自粛中(新コロナ/暑さにはあらず)につき、本日も終日穴蔵。
午後はYouTubeで新東宝の映画を見て過ごす。
本日は『肉体女優殺し 五人の犯罪者』と『女体桟橋1958』。
石井輝男の量産時代……『肉体女優』のラストが「第三の男」を意識しているのが面白い。
このあたりの作品、いつ削除されるかわからんからなあ。
どなたか『女軍医と偽狂人』をアップしてくださることを切望する。
8月13日(木) 穴蔵
残暑甚し。
本日も外出自粛で終日穴蔵。
・youtubeで『黄線地帯』(石井輝男)を見る。これはペケ。ラストの吉田輝雄と天知茂の対決が決定的につまらない。天知茂の凄みは『地獄』『東海道四谷怪談』まで待たねばならなかったのだなあ。
・寝転がって田中啓文『竹林の七探偵』(光文社)を読む。これは面白い。「黒後家蜘蛛」の中国版で、中国思想の蘊蓄とダジャレがうまくかみ合って、これは楽しみなシリーズと思ったら、これ1冊で終わり? 田中さんのシリーズもの、1冊で終わるのがずいぶんあるような気がする。
・「梅田墓」跡で人骨1500体発掘というニュース。
昨秋あたりから西梅田の踏切北側でゴソゴソやってるのは察していたが、1500体ねえ。一般公開せず埋め戻し?
うめきた2期地区の西南角だから、ビルは建てずに緑の区画にするのかなあ。楽しみなことである。
梅田墓についてはここがいちばん詳しいと思う。続報を期待。
うちの近所「南浜墓地」は大阪七墓で現存する貴重なひとつになった。
8月14日(金) 穴蔵
残暑甚し。
本日も外出自粛で終日穴蔵。
あと2日はこれが続きそうな。
youtubeで『女王蜂と大学の竜』(石井輝男)を見る。いただけんなあ。
生産的なこと何もせぬまま夕刻となる。
粗食に近い健康食で一杯。
と、テレビにテロップ……渡哲也の訃報が流れる。
渡哲也のデビューは日活のスターとしては遅い方だった(和田浩治や高橋英樹より後)。
おれは大学時代に見たから、全部を見た記憶がないが、最高傑作は初期の『東京流れ者』だった。
その後の印象は薄いなあ。『仁義の墓場』もそのうち見ようと思いながら、まだ見ていない。
1966年「作曲者不詳」の歌が同時ヒットした。
・渡哲也「東京流れ者」
・竹越ひろ子「東京流れ者」
・克美しげる「ああせつなき我が心」
・クレージー・キャッツ「悲しきわがこころ」
すべて同じ曲で、5年ほど前に、
・和田浩治が『くたばれ愚連隊』で歌っていた。これは高校時代に見ている。
まあ、色々と歌われた曲だが、個人的には、克美しげるのがいちばん胸に響く。
あの娘しのんで飲む酒が/恋のなげきを晴らすなら
ひとり酒場のかたすみで/なんで男が泣くものか
ああせつなき我が心
なかなかいいねえ。
勉強になりました〜
8月15日(土) 穴蔵
残暑甚し。本日も穴蔵にこもる。
新コロナのおかげでいいことがひとつある。
エレベーターなどで人に会っても天気の話をされないことである。
おれはこの時期「暑いですね」と言われるのが苦手である。このことは7年前に書いている。
今年はマスク着用で、誰も時候の挨拶はしない。これだけは快適である。
新コロナ後も「新しい生活様式」として、この美風は取り入れてほしいものだ。
午後、久ぷりに外出。
近所の食品スーパーSAVOYが閉店したので、佐伯祐三生家近くのスーパーまで液体系(ミネラルとか野菜ジュースとか焼酎など)を買いに行く。
梅田貨物線の地下化がだいぶ進んできた。
線路沿いを「1500体の人骨発掘現場」まで歩きたくなるが……ま、来週にしよう。
*
新駅への開通は2023年3月だが、これは地下線路と新駅の完成で、↑この右側の高架取り壊し、平坦化工事などはさらに延々と続くのであろう。
生きてる期間はずっと工事中である。
散歩コースがますます狭められる。嗚呼。
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