『マッドサイエンティストの手帳』721

●マッドサイエンティスト日記(2020年1月前半)


主な事件
 ・風呂本佳苗リサイタル(3日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・堀川戎(10日)


1月1日(水) 穴蔵
 目覚めれば2020年であった。
 今年はオセチなしのつもりだったが、専属料理人が半フラフラ状態で作ったので、いたしかたなく朝祝い。
 午前7時にちょっと一杯。
  *
 アテはごく簡素なもの。切って並べたのがほとんど。
 呉春を買いに行くのが面倒だったので、今年は吉乃川。
 朝酒はやっぱりいかんなあ。
 おれはまた朝寝、専属料理人は疲労抜けず朝寝。
 終日ボケーーーーーッと過ごす。
 明日からは生活パターンを普通に戻す……つもり。

1月2日(木) 穴蔵
 今年もあと364日を残すのみとなった……と思ったら、今年は閏年で、あと365日あるのだった。
 全部使い切れるか心配になってくる。
 専属料理人は近所まで買い物に行ける程度に回復、こちらは下男仕事から解放された。
 終日穴蔵にこもる。
 天気がいいので、午後1時間ほど散歩。
 淀川堤を歩く。
 上淀川橋梁。
  *
 対岸のキーエンスのビルが目立つ。この会社に複雑な思いをいだく人は(SF関係でも)色々いるようだ。社内の競争が激しいからであろう。
 豊崎神社に寄る。2日となると閑散としている。
  *
 僅かな賽銭相応に願い事は……家内安全とか商売繁盛はどうでもいい……ひとつだけ。ボケませんように。手遅れか。

1月3日(金) 風呂本佳苗リサイタル
 定刻4時に目覚める。
 普通の生活パターンに戻ってきた。
 仕事がはかどるかどうかは別だけど。
 昼過ぎに出て、西宮の兵庫県芸術文化センターへ。
 小ホールで正月恒例「風呂本佳苗ピアノリサイタル」。今年は「北への旅」がテーマで、北欧の作曲家の曲を中心に。
 いい曲ばかりだが、ベルワイドの「2つのスゥエーデン民謡の旋律による幻想曲」がうれしいね。「懐かしのストックホルム」の旋律がマイルスから藤家虹二まで、十数曲の名演を思い出させる。
 ロビーで(なぜか毎年出現する)芦辺拓さんに挨拶。
 今年はクラシック・ピアノでの音はじめとなった。

1月4日(土) 穴蔵
 晴れて穏やかな日である。
 専属料理人の体調も含めて、ほぼ普通の日常生活に戻った。
 終日穴蔵。
 仕事はさっぱり。ドタマだけは正常に戻らず。嗚呼。

1月5日(日) 穴蔵
 晴。午後は少し雲が増える。
 世間は正月休みの最終日。ウチも普通の日常に戻った。
 終日穴蔵。
 終日机に向かって過ごす。アタマもほぼ正常にもどった。

1月6日(月) 穴蔵
 晴。午後曇。
 終日穴蔵。
 机に向かって過ごす。
 今年からオロモルフ博士を見習って生活することにしたのである。

1月7日(火) 穴蔵
 陰。昼前から雨が断続的に降る。
 こんな日は穴蔵にこもるに限る。
 外出は夕刻にクリックポスト投函に公園南側のポストまで往復しただけ。
 夜は専属料理人の並べた数皿(牡蠣フライ・キャベツ、山かけ、昆布かま、松前漬など和洋ごちゃごちゃメニュー)でビール、吉乃川。
 うまっ。
 早寝するのである。
 本日は482歩。

1月8日(水) 穴蔵
 未明に起床、強い風雨。浅田飴の気分にはならず。
 昼前から晴れたり曇ったり。風は強そうで、大きな雲が南東方向に流れていく。
 空の変化を眺めつつ、終日穴蔵にあり。
 SF系のことはあまり進捗せず。嗚呼。
 たちまち夕刻。
 夜は専属料理人の並べた数皿(レンコン饅頭のあんかけ鰻つき、野菜炒め、イカ煮、サラダなどごちゃごちゃメニュー)でビール、れんと湯割り。
 ゴーン会見まで1時間半ほど。
 起きてられそうにない。明日夜に見ることにする。
 またもロザーナさんが入院? 弱気にならず、がんばってほしい。旧「西成郡」の色街事情については、まだまだ教えてほしいこのが多いのである。

1月9日(木) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 今年はじめての移動。
 正月休みは何もなかろうと思ってたら、タイムマシン格納庫にも実家にも、ややこしいこと数件。
 市内うろうろ。
 途中、久しぶりに龍野橋東端の「ガレリア」でヒーコ。
  *
 冬の揖保川を眺める。
 クルマにガソリン補給。ほぼ1年ぶりであった。270キロ走って25リットル。今年はさらに短くなりそうな。
 午後に帰阪。
 姫路から新快速で東加古川を通過する。
  *
 チャールズ・エリック・メイン。
 おれも晩年は「初心」に帰るべきか。

1月10日(金) 堀川戎
 晴れて暖。
 昼前に出て、梅田で所用片づけた後、お初天神から東へ歩く。
 「ハチ」(夜はライブをやってるが昼間は閉店)のそばを通過して、屋台が並ぶ参道を堀川戎へ。
 午前中だが、結構長い列。ガーやんが高圧的に方向を指示している。
  *
 もうタイムマシン業の商売繁昌をお願いする必要もなくなったので、昨年と同じく、横側の賽銭箱に小銭を投げ込み、列の後ろの方から「SFの繁栄」をお願いして終わりとする。
 東へ歩き、天神橋筋に出て「ストークマンション扇町」にも参拝。1985年に豊田商事の永野一男が惨殺された現場である。もう35年になるのか。
 天神橋筋商店街を北上。カクウチで一杯という気分にもならず、天五中崎町商店街へ。
 青空書店のあった向かい側の「信州そば」で天そば定食を食す。坂本さんがお元気な時にご馳走になったメニューである。
 商店街を抜けて、旧極真会館あたりへ。
 許永中の邸宅と旧極真会館はマンションになり、その南側にあった「ひがし茶屋町西向不動尊」もなくなり、4年前にはご本尊?が道の西側(民団の南側、浄方寺の北側)に移されていたが、それも撤去されて、先日工事中だったが、3階建の住居が完成している。
  *
 表札はまだない。許永中の痕跡はすべて消えた。
 中崎町を抜け、「豊崎長屋」を見物のあと、西へ歩いて、A先生の「研究所」にも参拝。「年始の挨拶、お断りします」と貼り紙がしてある。黙礼して通過。
 20年以上前からのわが徘徊コース(東南方向)……馴染みだったところは、ほとんど消滅状態となったなあ。嗚呼。

1月11日(土) 穴蔵
 好天。
 世間は本日より3連休らしい。こんなに休んでばかりでいいのか……といいたくなる。
 人出が多そうなので、終日穴蔵にこもる。
 こたつに潜り込んで、映画の日とする。
 DVDで『独立愚連隊』を見る。
 午後は『誇り高き挑戦』を見る。
 引き続き『野獣の青春』を見る。
 それぞれ監督の「初心」が噴出していて、何度見てもいいなあ。
 たちまち夕刻。
 晩酌後、BSで『マンハッタン無宿』を30分ほど見るが、途中でやめる。
 前にも見たはずだが、アリゾナの田舎者(その割にもてる)とマンハッタンという舞台がいかにもで、見え見え。ダーティ・ハリーの2年前か。
 ドン・シーゲルは不思議な監督だ。初期に『突撃隊』という異色作あり、最高傑作は晩年の『突破口』(本人は『白い肌の異常な夜』というが)……いいたいことは色々あるのだが。
 口直しにDVDで『突破口』を見ようか迷うが、本日はもう寝ることにする。

1月12日(日) 穴蔵
 曇天。陰鬱な空である。
 不調である。いや、ちょっと(詳しくは書かないが)怪しげな徴候あり、医者に行きたいが、あと2日間、休みがつづく。
 穴蔵でじっとしていることにする。
 本日も映画の日とする。
 午前は『独立愚連隊西へ』を見る。
 午後は『地平線がぎらぎらっ』を見る。赤城山麓に行ってみたくなるが、当時の雰囲気は残ってないだろうな。
 夜は『肉体の門』(鈴木清順版)を見る。冒頭の「星の流れに」がドドンパなのがおかしい。
 明日は動けるか……

1月13日(月) 穴蔵
 晴。暖。
 本日も世間は休日である。長いなあ。
 買って間もないプリンターが早くもインク切れ。
 調べたらインクのカートリッジに「セットアップ用」と表記してある。ケチなことをやるぜ。
 昼、サプライ品買いにヨドバシ往復するが、ひどく疲れる。
 午後は穴蔵て資料を読んで過ごす。

1月14日(火) 穴蔵
 やっと連休が終わった。
 朝8時50分に近所の某医院へ行ったら、(いつもなら1番か2番のはずが)10人ほどがドアの前に屯している。
 出直しである。
 11時頃に行ったら、なんと待合室が満員で、座る場所もなし。こんなの(20年ほどの間)初めてである。
 連休明けに加えて、インフル患者がいるような。
 いちばん感染しやすい、危険な場所でもあるのだ。
 本日の受診は断念する。
 幸いややこしい徴候は治まり、普通にしておれば、まあ普通であろう。
 午後は穴蔵にて過ごす。

1月15日(水) 穴蔵/ウロウロ
 定刻4時に目覚める。昨夜からの出雲市・上田コールドの「立てこもり」、14時間経っても継続中である。小便をどうしているのかが気になる。8時半頃に「説得に応じて」女性を解放したらしい。18時間。人騒がせな男だ。
 8時50分に近所の某医院へ行ったら、待機者ゼロ。9時に1番で看てもらえた。5分で終わる。
 心配するようなことではなかった。
 ということで穴蔵にこもるが、急に元気が出てきて落ち着かなくなる。
 この数日、運動不足である。昼前に出て、梅田うろうろ。
 紀伊国屋〜ATM〜久しぶりに新喜楽(新梅田食道街店)で鴨鍋定食〜ジュンクドー〜中崎町うろうろ〜源光寺の前を通って帰館。
 善光寺の改修工事……屋根の葺き替え程度と思ってたら、全面的な改築のようである。
  *  *
 ここは由緒ある古刹であり、天保7年(1837)の名所旧跡絵図(西成郡)には、「野田城」や「逆櫨の松」や色々な墓地とともに(右端に)イラスト入りで出ている。それぞれの「跡地」に碑があり、現存するのはここだけではないか。
 住職のFくん(といっても50は超えているか)、地域の活動にも熱心で、がんばっているのだ。
 影ながら応援する。ご近所のA先生も同感と思うが。
 わが関心は、近代史からさらに遡り、天保に向かいそうな。


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