『マッドサイエンティストの手帳』712
●マッドサイエンティスト日記(2019年9月前半)
主な事件
・播州龍野いたりきたり
・堀晃遺作展@下関(11日)
・創サポ講座(14日)
9月1日(日) 穴蔵
目覚めれば9月であった。
机に向かうのであった。
昼前に一区切りついたのであった。
昼、スマートレター投函に郵便ポスト往復するのであった。
専属料理人の作ったちらし寿司で吉乃川ちょっと一杯。
出所祝いというか。
軽く昼寝するのであった。
たちまち夕刻。
またも和風メニューで一献。CD聴きつつ。
テレビでは阪神読売戦をやっとるようだが、消音にしてもらう。
9月1日の習慣で、浅田飴はやめて、シアリング「9月の雨」である。
早寝するつもり。
明日は少し体を動かす……つもり。
ともかく、おれは更生したのである。
9月2日(月) 播州龍野いたりきたり
早朝の電車で播州龍野へ向かう。
9時前に着。タイムマシン格納庫となりのIT会社、引越の最中である。
この数年で急拡大、仕事場も駐車場も限界になり、1キロほど南に広い建物を借りて移転するという。
衰退・消滅していく「わが社」と対照的である。
何年か先にはこちらに戻ってきたいというから、うちの格納庫を解体、新社屋を建てるには絶好のタイミングとなるか。
播州龍野でも新陳代謝が進んでいるのである。
雑事片づけ。
午後、姫路に出る。
いつも利用するチケットショップの近くに「瓦割り」という店があるのに気づく。
*
奥に瓦が積み上げてあり、1枚500円、10枚3900円、「ストレス解消」「インスタ映え」とある。
アホらし。駅前通りの脇でこんなことやるアホがおるのか? いないらしい。
どうやら1年ほど前に開店したらしいが、今まで気づかなかった。
500円なら、えきそば食べておつりがくるではないか。
姫路市民は健全なのであった。
灘菊で遅めのランチ。ちょっと一杯。カワラ3枚分である。
新快速で帰阪。
9月3日(火) 穴蔵/ウロウロ
晴れているが、もう暑くはなし。朝から直射光が入るがエアコンは不要である。
加納一朗氏の訃報。91歳。光瀬龍氏と同年であったか。
一度だけお目にかかったことがある。70年代のはじめで、どんな場だったか思い出せない。柴野さんに紹介してもらって、激励を受けたのは覚えている。
『白い残像』はむろんだが、おれはその前年だったと思う、宝石に載った「脚光の伝説」という中篇が好きだった。
ただ、ミステリーがメインで、SFとは距離を置かれている感じだった。
午前中、事務連絡多し。
午後、歩いて梅田へ。
来週の予定を決めて、駅前ビルのチケットショップに寄り、大阪駅で指定席の予約。また台風が来るかもしれんが。
久しぶりにステーションシティ「風の広場」に上がってみる。
*
新駅工事、遅々として進まず。イベントスペース(サーカスとかバーベキュー)はなくなって、作業用の建物だけになった。あと2年ほど(2021年暮頃まで)こんな感じだろう。
ヨドバシ、ジュンクドー経由で帰館。
7,579歩になった。
夜のビールがうまい。やはり歩かなければいかんなあ。
9月4日(水) 穴蔵
天候不安定。午前は晴、エアコン不要で、快適に机に向かう。
業務連絡が色々あり、どちらかといえば「明るい」系が多く、SF系はさっぱりだが、気分は良好なり。
夕刻に近い午後、散歩に出ようかと思ったら、暗雲たちこめ、夕刻には激しい雷雨30分ほど。本日0歩。
夜、一杯飲んで早寝……のつもり。
9月5日(木) 穴蔵
本日も天候不安定。
早朝は晴れていたが、雲が増え、昼過ぎに暗雲、午後には雷雨あり、夕刻には晴れてきた。
移り変わりゆく空模様を眺めつつ、終日穴蔵。
資料を読んで過ごす。
夜、一杯飲んで早寝、のつもり。
ところで……
「鎌倉の男」というのがいるらしい。「華麗なる一族」に登場して有名になった政界の黒幕ではなく、ネット上に現れるややこしい存在らしい。
また、土石流に似た名の、ややこしい存在もいるらしい。某中学生集団の名を勝手に名乗っているらしい。
これが同一人物らしい。
こいつが時に災厄をもたらすらしい。
関わりたくなし、ネットから消えてほしいものである。
それはともかく、雫石鉄也さんがごろりんブロクを開設。楽しみなことである。
前のブログには、書評、ショートショート、演芸評など、数多くの貴重な記録が残されている。特に「前立腺風雲録」は男のロマン?を描いたノンフィクションの傑作である。
手間はかかるかもしれないが、何らかのかたちで残してほしいと願っている。
9月6日(金) 穴蔵
晴れているが、雲の動きは急である。
終日穴蔵にあり、空の変化を眺めつつ、ボケーーーーッと過ごす。
*
ホントは資料を読み、疲れたら空を見る程度なのだが。
うーん。迷いが生じて、さっぱり進まない。
わが人生で遭遇した最大の事件について書こうとしているのだが、切り口が5通りほど考えられて、決めかねるのである。
大きくは日本の近現代を背景としたドラマ、アホらしくは芸能ジャーナリズムの愚かさ、面白くは○○不履行裁判、身につまされるはボンサラどもの愚行……。
やっぱり野次馬視点がいちばんか。
発表媒体は非公開。
しばらくは楽しく迷いつつ過ごすことにする。
たちまち夕刻。
一杯やりながらNHK関西熱視線「大水害が都市を襲う〜台風の猛威にどう備えるか〜」を見るが、浅いなあ。
ハザードマップの「淀川氾濫」「南海トラフ地震による津波」「内水氾濫」の違いにまったく触れずに、「去年の台風21号の教訓」をもとに「水害の脅威」を説いても意味ないだろう。
9月7日(土) 穴蔵/ウロウロ
晴、時に曇。真夏日で35℃の予報だが(そしてベランダは34℃になったが)室温は30℃を超えず。
エアコン不要、下着ステテコでおれば、扇風機で快適なり。
終日穴蔵。考えごとをして過ごす。
この数日、さすがに運動不足である。午後、1時間ほど散歩。
淀川堤。新御堂筋の西側。
本庄水管橋の撤去工事は「9月末まで」の表示が出ていたが、先月で終わったのかな?
*
堤の南側は左岸線の工事が始まっており、淀川側はトーラス4個が撤去され、煉瓦造りの橋脚が残っている。
で、淀川堤を貫くトーラス3個と水管はそのまま(その上流のセブリ小屋もそのまま)。
なんとも中途半端なままである。
この本庄水管橋は明治末期に作られて、堤はその後にできた。だからトーラスが堤を4メートル下まで切り裂く感じで貫いている。
淀川氾濫を予防するなら、この部分こそ「撤去」すべきではないかい、などと愚考する。
もっとも、上流のJR上淀川橋梁の方が危ないのだが。
9月8日(日) 穴蔵
晴。真夏日で35℃の予報だが……昨日と同じ。
ステテコ+扇風機で、終日穴蔵にて過ごす。
本日もボケーーーーーッ。Q状態というかタドコロ状態というか。嗚呼。
関東は台風15号接近で慌ただしい様子である。
去年あたりから、JRはさっさと運休を決めてしまうなあ。働き方改革とかと連動しているのか。
大阪は穏やかなもの。たちまち夕刻。
専属料理人の並べた枝豆、翁豆腐のヤッコ、サラダなどでビール。
*
あとナンとキーマカレーで安ワインを少しばかり。
いい気分で早寝する。
明日こそホリは羽ばたく……つもり。
9月9日(月) 穴蔵
あまり眠れず。3時過ぎに起きる。
関東は台風15号で夜中から早朝まで大騒ぎのようだが、大阪は静かなもの。
晴。炎天である。
久しぶりにエアコン稼働、終日穴蔵にて机に向かう。ちょっと昼寝もしたけど。
おれは更生したのである。
9月10日(火) 穴蔵
本日も晴。炎天である。
終日穴蔵にあり、机に向かうものの、さほど進捗せず。
神の目から見れば、タドコロとかQと区別はつくまい。
いいではないか(と眉村さん調)。
明日はちょっと動くつもり。
9月11日(水) 堀晃遺作展@下関
朝の山陽新幹線で西へ。小倉からちょっと引き返して、下関へ。
「堀晃 遺作展 −とぎれた言葉−」の初日である。
下関大丸の美術画廊に11時頃に着く。
盛況である。パステル画なども含めて近年の約40作品が展示されている。
鳥の時代、魚の時代、海の時代……近年は題材も色調も広がっていたことが実感できる。
新聞社やテレビ局の取材もあり、ヒカルさんは地元の名士だったんだなあ。
* *
こういうかたちで花を出しておくと、みんな面白がってくれる。毎日の記者からは「お知り合いだったんですか」と驚かれた。
茂美夫人にご挨拶すると、ご子息を紹介された。
昔のヒカルさんに似ている。
*
マンガ家ホリユウスケさんで、活動歴はもう15年になるという。
知らなかったなあ。今は沖縄在住。SFも好きだというから嬉しくなる。
1時間ほどで失礼。
午後は電車で下関→門司→門司港と移動して、門司のレトロな町並みを散策。
桟橋の先端から下関側を眺めていたら関門連絡船が来た。
*
連絡船が唐戸市場と往復していたのだ。これで来るべきであった。
小倉に戻り、駅周辺を歩いてみるが、こちらは変わり果ててしまった。
前に来たのはコクラノミコンの時で、20年以上前である。
何よりも構内にあった「九州一と評価していた」立ち食いうどん店(当時は210円!)が消滅している。これだけは残念。もう小倉で降りることはあるまい。
夕刻ののぞみで帰阪。途中、岡山あたりで激しい雨になる。ゲリラ雷雨で津山線がストップしているとか。新大阪に着くと雨上がりであった。
9月12日(木) 穴蔵
なんだか非創作系の雑事で忙しい日である。
ジャズ系2件、タイムマシン系1件、集合住宅系2件、播州龍野系1件、日常生活系2件……。それぞれ20分〜2時間。たちまち夕刻となる。
夜は集合住宅の某委員会。
軽く晩酌後、議事録作成、資料のPDF化やってたら、ふだんの就眠時刻を過ぎてしまった。
金にはならず、たいして人様の役に立ってるとも思えんが。
本日0歩。
9月13日(金) 穴蔵
本日も非SF系の雑事がつづく。
さすがこれではにいかん。適当に手抜き。
午後は資料を読んで過ごす。
終日穴蔵。0歩。
9月14日(土) 創サポ講座
午後、地下鉄で天満橋。谷四のボランティア協会会議室へ。
創サポの夏の創作講座「やさしい小説の書き方」の第3回。
最終回の本日は提出作品13篇について、蓮見恭子さんと行う。
前2回の講義内容にしたがって、日常側(蓮見)と非現実側(堀)から交互にコメントする方式で進める。
作風多彩(半分以上が広義のSF)で、限られた時間内だから、ちょっと駆け足気味になったが、蓮見さんの指摘が的確で、こちらも楽しませてもらった。
それはそうと、ここ数ヶ月、本のことを書いてない。
面白い作品を色々読んでるので、これからつづけて書いていくことにしよう。
急いで書くのは次の作品。
蓮見恭子『MGC マラソンサバイバル』(光文社)
いよいよ明日に迫ったMGC……マラソン・グランド・チャンピオンシップ。東京オリンピックの代表を一発勝負で決めようというマラソン大会、その女子マラソンを描く「史上初」の女子MGC小説である。
*
もっと早く紹介すべきだったなあ。初めて行われるMGC、走る小説家蓮見恭子さんが、実際にそのコースを走って(実際に車道を走るのは無理だったろうけど)、そこを走るランナーを臨場感あふれる文体で描写している。
出場するのは「現実」のランナーとは異なる。ハーフマラソンの記録保持者、日本最高記録を持つがメンタル面で不安を抱える選手、子持ちで夫がコーチを務めるランナー、アフリカ系米国人を父に持つ選手、暑さに滅法強い選手……
主に5人のランナーが描かれ、スタートから始まって、序盤の集団、中盤の先頭集団の形成、そこから抜け出す駆け引き、体調の読みあい、それぞれの「作戦」が錯綜する。
とくに面白いのが、同チームで、メンタル面で弱い選手のためにペースメーカーとして使い捨てられる(かもしれない)選手である。コーチとの関係、レースの流れ、さまざまな要素がからみあって、ともかく手に汗握る展開となる。
ともかく、レースの時間と小説内時間がほぼ同時進行する構成がいい。「小説も時間芸術である」と実感させる。
女子マラソン(に限らんだろうが)がこんなに複雑なものだと初めて知った。
明日の現実のレースも面白そうだが、面白そうと思うのはこの作品のおかげである。おれは今までマラソンにさほど興味はなかった。
これは擬似イベントSFとか理屈をいう必要はなく、現実と表裏一体のMGCを描いた、見事なスポーツ・フィクションというべき。
駅伝小説につづく、蓮見さんのマラソン小説の傑作である。
9月15日(日) 穴蔵
晴れて涼し。
ベッドで本を読んでいたら午前10時過ぎである。
あわててマラソン中継、MGCの最後の1時間ほどをチャンネル切り替え(男子/女子)て見る。
男子は大混戦、女子は独走だったような。
やはり蓮見さんの小説の方が面白い。最後の方を見ただけだからか。
しかし、こうはいえるだろう。小説は時間芸術だが、スポーツ中継は芸術ではない。ありゃ所詮スポーツなのである。
あとまた本のつづき。
終日穴蔵。
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