『マッドサイエンティストの手帳』685

●マッドサイエンティスト日記(2018年8月前半)


主な事件
 ・播州龍野いたりきたり
 ・山下洋輔ソロ@ハチ(4日)
 ・大阪JAZZ同好会@ディア・ロード(12日)
 ・暑気払い@石橋(14日)


8月1日(水) 穴蔵
 目覚めれば葉月であった。
 晴。暑殊に甚し……と荷風散人なら書くところだが、たいしたことなし。
 午前、エアコン2時間稼働、あとは扇風機で快適に過ごす。
 相変わらずドタマは作用せず、ボケーーーーッとしているだけ。
 運動不足なので、午後、ジュンクドー往復。
 日影を歩く限り、35℃らしい風が爽やかに感じられる。。
  *
 夏空……秋が近いことを感じさせるなあ。
 秋来たりなば冬遠からじ。ちょっと憂鬱になる。

8月2日(木) 大阪←→播州龍野
 朝とつぜん専属料理人が実家へ帰る。
 おれは播州龍野行き。
 朝のラッシュの終わりかけ時刻に、西東に生き別れである。
 播州龍野の実家書斎は33℃(11時)で、じっとしておればいいのだが、そうもしておれず。
 午後、タイムマシン格納庫へ。
 こちらの内部は45℃(14時)である。
  *
 格納庫前に広い土地があり、さらに北側に駐車場があり、かなりややこしく入り組んでいる。
 これを何とかしようというプロジェクトが浮上。専門家らも入れての打ち合わせ。
 炎天下で現場確認。たいへんである。水分補給しつつだが、さすがにつらい。
 土木建築関係や被災地のボランティア諸氏はこんなものではないはず。ただ敬服。
 夕刻までかかってしまった。
 姫路に出る。
  *
 午後7時の姫路駅前。センチメンタルになるぜ。
 しばらく独居なので、本日は英洋軒で一杯飲む。
 人気の立ち飲みだが意外に空いていた。
 オムレツ、餃子、山盛りサラダで生中2杯。うまーーっ。1360円。
 新快速で帰阪。
 直ちにシャワー。ああしんど。体がほてったようなで何もできない。

8月3日(金) 穴蔵
 夏である。晴れて暑。午前中3時間エアコン稼働。あとは扇風機。
 昨日の疲れが残っているような。
 ドタマ働かず、終日穴蔵にてボケーーーーッと過ごす。
 まさにヨレヨレのおっさん(独居老人)状態である。
 文芸家協会報に添付の「本の未来研究会リボート」。
 このシリーズはまことに興味深い(かつ深刻である)が、今回のテーマがマンガの著作権継承について。
 米澤伸弥氏(谷口ジローの著作権管理)と千葉洋嗣氏(ちばてつやの著作権管理)の対談で、話題はマンガ全般に及ぶ。
 いちばんの興味を引くのが、マンガ原稿は「版下」か「美術品」かという問題。
 手塚治虫の原画に3500万の値がついた例もあれば、本宮ひろ志は無料でファンにあげてしまうという。この間に事例色々。谷口ジローは晩年(死亡する2、3年前)急に売れたため、その「相続」に税務署からとんでもない金額を要求されたという。
 小説とちがって大変なんだなあ。

8月4日(土) 穴蔵/淀川花火
 晴れて暑殊に甚し。
 終日穴蔵。ボケーーーッと過ごす。ドタマ働かず……これは暑さと無関係である。
 ニュース。
「大塚家具 身売りへ」
 ……「貸し会議室大手」が経営権を握るとか、取引銀行がヨドバシカメラの子会社化を提案とか。
 ヨドバシが「高級家具」売る(売れる)わけなかろう。IKEAやニトリより安物ならともかく。
 親子喧嘩でブランドイメージは低下したし、商品は「中級」に下げたし、再起は無理だろうな。
 たちまち夕刻。
 近所、淀川方面へ向かう人出多し。
 19時40分から轟音が響きわたる。淀川花火大会である。タワーマンションが増えたせいか、今年はやたら大きく響く。
 20時にデジ一眼持って淀川堤(至近の新御堂西側)へ行ってみる。人いっぱい。
  *
 三脚立てる場所もなく、手ぶれして、ろくな写真は撮れない。
 20時35分(終了5分前)に堤を降り、20時45分に帰館。
 シャワー後、枝豆茹で、楽しき独酌。
 専属料理人は帰れないようである。

8月5日(日) 山下洋輔ソロ@ハチ
 炎暑甚し。
 終日穴蔵にあり。
 夕刻、久しぶりに梅田、阪急東の雑踏を歩き、旧梅ヶ枝町のハチへ。
 ハチママ誕生日(8/8)にちなんでの山下洋輔ソロ・ライブ。
 専属料理人からは「1日だけ帰るわけにもいかないので」とメールがきた。
 今年で何回目になるのか……初代トリオ時代を含めると49年になる。むろんおれは皆勤。
 若村さんも去年から来られなくなり、当時からの顔ぶれは4、5人か。
 超満員。ハチママも(ここ数年、この日だけ!)元気に出現した。日頃の状態を仄聞しているだけに、奇蹟としか思えない。
 18時、演奏開始。
 初期の曲から、
・クレイ
・ミナのセカンドテーマ
 前者は森山さんのドラム、後者は誠一さんのテナーが特徴的な曲で、ヒアノソロになると雰囲気がまるで異なる。
・ハチママ登場※ 「ここにハチあり」〜ハッピー・バースディ。
 今年も新曲披露である。
 先代マスター幸田さんが好んで演奏した
・You Don't Know What Love Is
 再び初期の曲から、
・寿限無
 そして山下さんのバラード、
・Only Look At You
 最後は
・ボレロ
 今年も最前列で聴けた。
 会場のテーブルなど入れ替えて二次会もあり。
 ハチママ、今年は途中まで残っていた。
  *
 おなじみ、大ちゃんの「サマータイム」(ピアノは山下さん!)が終わったあたりで失礼する。
 今年もいいバースディ・ライブだったが……
※毎年来られていたフラワーデザイナーの丸本池鶴さんが亡くなられたという(ハチママが語る)。
 毎年、ライブ演奏後に花束を渡されていた人である。生け花とピアノというステージで山下さんとの競演歴あり、ガウディへの讃花の作者である。おれより若いはず。寂しいことである。

8月6日(月) 穴蔵
 本日も「命に関わる危険な暑さ」である。
 昼間の外気はほぼ37℃。室温30℃の穴蔵にて扇風機で過ごす。
 ただただボケーーーーーーーッと過ごす。
 書くこと何もなし……書くことがないということを書くということは、まだ少しはドタマが働いているの、本当にボケてるのか、もはや判定のしようがない。
 たちまち夕刻。色々並べて独酌。
 あっ、昨夜の話を思い出した。9月24日の某イベント(東京)の雲行き怪しいという。出典は明記しないが、確かに「人生は過ち 臨界局面」とは何なのか、さっぱりわからない。

8月7日(火) 穴蔵/昭和のドン
 立秋である。昼間の外気はだいたい36℃だが、昨日より1℃低く、涼しく感じるから不思議だ。冬遠からじ。
 終日穴蔵。ドタマの働きは相変わらず。
 ニュース。
・森嘉朗が2020年にサマータイムの導入を言い出したという。
 とんでもないことである。東京での運動会になぜ全国民が巻き添えくらわにゃならんのよ。
 オリンピックに浮かれてるのは国民の10%程度と思うのだが、ちがうか?
 おれはオリンピック期間中は部屋で本を読んで過ごすつもりだけど、働いてる人にとっては迷惑きわまりないはず。
 サマータイムの弊害は書き出すときりがないが、マラソンのスタートを午前5時にすれば済む話ではないか。バカもの。
 今からでも遅くない、「返上」できんのか。
・日本ボクシング連盟の臨時理事会が大阪であるという。会場はどこだ。
 梅田なら見物に行ってみようかとテレビみると、新大阪の大阪ガーデンパレスホテルである。
 山根明も来たようだ。報道陣でごった返しであろう。地下鉄で行くほどではないな。
 ということで、
 夜は、枝豆・ヤッコの定番+コンビニメニューで独酌。
 20時に見たネット(サンスポ)ニュースでは、山根明は「あす正午に私の気持ちを言います」とか。
 明日まで、色々と理屈を考えて辞任表明するということか。往生際の悪いことよ。
 それにしても……
 森嘉朗、山根明、栄和人、内田正人、田中英寿……どいつもこいつも揃って昭和のドン面。
 おれのいちばん苦手としてきたタイプだ。
 ボンサラ時代の勤務先にも何人かいた。10数年前には一掃されたはずだが、政界・スポーツ界・極道界・学会(日大は学会とはいえんか)にはまだ残っとるのだなあ。
 早寝するのである。

8月9日(木) 穴蔵
 午前、薄い雲がかかっていて、ずいぶん涼しい。
 終日穴蔵。
 この数日、さすがに運動不足である。
 午後散歩に出る。といってもジュンクドー往復だけど。
 お、久しぶりに公園にヨレヨレのおっさんが来てはる。
  *
 毎日来てはって、おれが久しぶりに出てきたのか。
 見習わねばいかんなあ。
 近所の食品スーパーで買い物して帰館。
 夜は久しぶりに色々と調理を行う。切って並べるだけだけど。
 枝豆を茹で、ヤッコにカイワレと明太子、マグロ納豆の小鉢でビール、チューハイ。ぶっかけ素麺にトマト。
 最近はごく小食である。

8月10日(金) 穴蔵
 午前、曇天で涼しい。
 午後は晴れ間もあり、外は33℃だが、直射光ないから涼しい。
 終日穴蔵。
 ドタマだけが作動せず。机には向かっているのだが。嗚呼。
 夜は独酌。昨日の食材が残っているから、昨夜とほとんど似たようなメニューとなる。
 明日から世間は盆休なので、おれもこんな生活パターンは変えるつもり。

8月11日(土) 穴蔵/専属料理人の帰還
 山の日だそうである。盆休初日。
 晴れているが薄い雲かかり、「命に関わる危険な暑さ」には至らず。
 相変わらずの穴蔵生活。
 少しは仕事もする……つもりが、たいして進捗せず。嗚呼。
 夕刻、専属料理人が帰館。盆休のようである。
 夜は久しぶりに数皿並ぶ。
  *
 適当なメニューだが、黒半にわさび漬で酎ハイはいけますなあ。
 ということで、楽しき独居生活(ヨレヨレのおっさん生活とも申せましょう)は終わる。

8月12日(日) 大阪JAZZ同好会@ディア・ロード
 晴れて、昼の外気は36℃だが「命に関わる危険な暑さ」とは思えず。体が慣れてきたのが恐ろしい。
 こんな時が危ないので、小型魔法瓶を携行、出かける。
 北新地から片町線で放出へ。
 ディア・ロードで大阪JAZZ同好会の例会。
 ドタマがボケ寸前なので、こういう会は気分転換にありがたい。
・寺本さんの企画。「スイング時代の3大セッション」
 ハンプトンのビクター吹き込み、テディ・ウィルソンのブランズウィック、ミルドレッド・ベイリーのブランズウィック〜コロンビア吹き込み、これらがやっとコンプリート化されたという(テディのビリー・ホリディは抜けがあり、これは寺本さんが独自に蒐集)。これらの聴き較べ。グッドマンやレスター・ヤングが参加しているかしてないとか、ヴォーカル比率とか、その多面的分析にはただ恐れ入る。
・古川さんによる新譜紹介。スコット・ハミルトンは「もういいかなと思いつつ……」麻薬みたいなものか。
・持ち寄り企画は「わが隠れ名盤」……これは誰しも(一般には知られてないが、おれだけは評価し、愛聴しているという)1枚はあるはず。おれの場合でも7、8枚出てくる。ということでクセのある名盤続出。おれが持参したのは清水万紀夫さんの「たぶん唯一のリーダーアルバム」。本当はピアノトリオをバックにワンホーンで吹いてほしかったと思うが。
 ああ、やっとアタマが普通に働きだした気分。
 夕刻帰館。シャワー。晩酌。
 おや、久しぶりに豪華な。
 専属料理人に、枝豆、翁のヤッコ、しらす小鉢、ミニステーキ、サラダなど並べてもらってビール、ワイン。
  *  *
 イワシの煮たのがなかなか。
 早寝するのである。
 明日こそホリは羽ばたく。

8月13日(月) 穴蔵
 定刻午前4時に目覚める。晴。終日穴蔵にて過ごす。
 12時間部屋にいると、さすがに息苦しくなる。
 夕刻近所を散歩。
 地下鉄の豊崎の地下進入口(U字隧道)、前から津波・浸水対策工事が行われている。
 両側の防水壁をかさ上げするのだと思ってたが……
  *  *
  ↑梅田側 と ↑淀川側。
 歩道橋から見るに、ひょっとして天井(屋根?)でふさいでしまうのか?!
 近くにいるガーやんに訊いたら「知りまへんねん」
 南側ではJR支線(旧貨物線)の地下化工事が進んでいて、ここの地下への入口は路面と同じで、その差4メートル。JRも防水壁を作るのかなあ。ま、5年先の話だけど。
 「侵入経路」のひとつとして考えてたけど、むつかしいかなあ。
 つうか、こんなこと気にしてたら、いつまでたっても書けんなあ。

8月14日(火) 暑気払い@石橋
 晴、雲もあり、普通の夏である。
 穴蔵にて痴呆状態で過ごす。
 14時頃に暗雲、雷鳴。積乱雲が近づいてるらしい。
 14時20分にちょっと強い雨。ゲリラ豪雨には至らず。15時頃にあがる。
 打ち水程度である。
 夕刻這い出て阪急石橋に向かう。
 タイムマシン事業の3名集合、海鮮居酒屋「ごん兵衛」にて暑気払い。
  *
 この店、池田勤務時代の1990年頃に開店して、その頃から、年2、3回使ってるかな。
 今やこの界隈では老舗である。「阪大生歓迎」と表に書いてあるから、いかに安いかわかろうというもの。
 居酒屋メニューで飲みつつ、話題は「事業の終活」ばかり。去年もそんな話をしているが、今回はより具体的になってきた。
 メンバーの平均年齢が70近いから、いたしかたなし。
 充実した日々であったなあと気分良く飲む。

8月15日(水) 穴蔵
 台風15号が九州縦断中で、大阪は曇天。まあまあ涼しい。
 午前、事務処理事項あり、梅田うろうろ。
 本町あたりは静かだろうが、梅田はふだんと変わらず。ちょっと小雨あり、さっさと帰館。
 昼は天ぷら蕎麦で一杯。
  *
 黒半の天ぷらにわさび漬。うまーっ。
 蕎麦はいただきものの「魚沼手繰りそば」(へぎそば/つなぎにフノリを使用)。うまーーっ。
 昨日池田のにいみ酒店で買ってきた呉春の特吟。うまーーーーーっ。やはり日本でいちばん旨いな。
 昼間からこんなことやってていいのか。いいわけないよな。
 悪いことと知りつつやるから、これがまたたまらんのである。


[最新記事] [次回へ] [前回へ] [目次]

SF HomePage