『マッドサイエンティストの手帳』627

●マッドサイエンティスト日記(2016年4月前半)


主な事件
 ・独居老人生活/花見の日々
 ・丹後〜若狭〜越前〜越中徘徊(5〜7日)
 ・石花楽会(9日)


4月1日(金) 穴蔵
 4月…小雨が断続的に降る。
 終日穴蔵、マジメに机に向かって過ごす。主に非SF系の社長業だけど。
 昼前に専属料理人から「大丈夫?」とメールあり、なにかと思ったら、11:39に関西で緊急地震速報が流れたらしい。
 テレビ見たら和歌山で震度4、大阪北区で震度2というが、まったく気づかなかった。
 夕刻、近くの食品スーパーへ食材を買いに行く。
 と、豊崎西公園に花見の席取りらしい男女がボケーーーーーッと立っている。
  *
 本来なら西側の桜が人気だが大阪市によって切り倒されたからなあ。
 確かに雨はやんだが、地面は湿地、風強く寒い。ほんとに花見やるのか。
 おれは明日昼間に毛馬方面のつもりだけど。
 ということで、コンビニメニューに飽きたので、夜は穴蔵にて枝豆を茹で、あと豆腐チゲを試みる。
 これでビール。まあまあ。あと、クッパで湯割り。しぱらく換気しないと。
 21時過ぎ、早寝……つうか、布団に潜り込んで本を読むことにする。

4月2日(土) 穴蔵/花見
 わ、早寝したら午前3時に目覚める。
 10年前だと未明の大阪を自転車でうろうろしたものだが、面倒になった。
 朝まで本を読む。
 快晴である。天気予報およびわが来週の予定を考えると、大阪では本日が唯一の花見日和のようである。
 昼前、散歩に出る。
 淀川堤、淀川上橋梁に撮り鉄諸君が10人ほどいる。
 訊けば、朝、「サロンカーなにわ」というのが通過したらしい。100人ほど来たらしい。へえ。
 毛馬の閘門まで行くが、桜はまだ満開に至らず(毎年見ているからわかる)。
 大川沿いを少し歩くが、こちらもいまひとつ。毛馬橋からバスで帰館。
  *
 ↑結局、ウチのすぐそばの公園の桜が満開であった。
 たちまち夕刻。
 夜はテレビ見ながら、コンビニメニューで一杯。
 土曜日はBSで映画が多いが、『ワイルドバンチ』を見はじめるとやめられなくなる。DVDも持っているが、これだけは別格、21時まで見てしまう。
 こんなのは岡本喜八の愚連隊シリーズ以外にない。
 早寝するのである。

4月3日(日) 穴蔵/花見
 薄曇りで暖。
 天気予報では曇天/雨であったが、昼前には晴れてきたではないか。
 本日が大阪は桜満開なので、久しぶりに自転車で出かけることにする。
 東回りコース。
 野々村竜太郎の生家近くを出発して、豊崎神社〜本庄公園〜淀川堤を東へ走り、毛馬閘門へ。
 明らかに昨日より花の密度は高い。
 ただし、旧水路の閉鎖工事中で、塀や重機があちこちにあり、景観はいまひとつ。
 毛馬閘門を東に渡り、ここから大川左岸を南へ。
 両岸の桜並木が花見の名所。本日は人出多く、宴会シートが延々と並ぶ。
 ここは自転車も走れるのだが、本日は危なく、半分ほどは上の車道(大阪拘置所とか連れ込みホテル街の前など)を走る。
 花ぞ雲動き出たる浪花衆
  *
 天満橋まではしんどくなり、桜宮橋で引き返すことにする。
  *
 泉布観(造幣局の「桜の通り抜け」の出口でもある) に寄る。ここは静かである。
 東天満〜天六〜中崎町。
 ヤマタツでトンカツとサラダを買って帰館。2時間ほどの花見であった。
 遅めのランチ。麦系の水分補給も怠りなし。うまっ。
 2時間ほど午睡。
 日曜なので、あと、仕事はしないことにする。
 夜は軽めのコンビニメニューで湯割り。
 あと、DVDで三隅研次『斬る』を見て、寝ることにする。

4月4日(月) 穴蔵
 雨ぞ降る。
 午前10時頃にやんだが、陰鬱なる曇天の日。
 終日穴蔵。タドコロ状態でボケーーーーーーッと過ごす。
(とはいえ、普通の人間がタドコロ(類例:ゴンザ、サカタ、その他)の真似をできるはずもなく、少しは仕事もするのであった。何もしないというのは、普通の人間にとっては苦痛なのである。)
 たちまち夕刻。
 コンビニメニューで一杯。
 早寝。明日こそホリは羽ばたく……予定。

4月5日(火) 丹波→若狭→越前
 大阪駅から朝の丹波路快速に乗る。
 播州龍野の日帰り用に使っていた青春18切符が3回分残っていて、以前から再訪したかった場所があり、3日間で消化することにした。
 福知山線は30年ぶりと思う。
 福知山で丹後鉄道に乗り換えるが、この線は青春18は使えない。嗚呼。
 宮津に10時過ぎに着く。
 ここには5、6度来ている。駅の近くのグンゼ宮津工場。ここの品質基準はきわめて厳しく、業界の規範でもあった。ここがわがタイムマシンを導入してくれたことが、後の事業展開に大きく影響している。当時の担当者はもういないが、感謝しかない。天橋立行の特急で昼に来て、夕方まで仕事、帰阪というパターンで、宮津市内を歩いたことはまったくない。
 初めて宮津散策。
 徒歩15分ほどで「旧三上家住宅」……重要文化財だが、堀家住宅ほどではないな。
  *
 宮津桟橋へ歩き、海岸から天橋立を遠望。わざわざ行くほどでもなかろう。
 公園を抜け、市役所の横にあるカトリック宮津教会を見学。
 昼前に駅前に戻る。
 今回の主目的……「大衆海鮮」富田屋(とんだや)に入る。
  *
 宮津着が昼、駅前のこの店で昼食後、13時に工場入りというパターンだったが、この店の魚が抜群で、一度この店で昼ビールを飲みたいというのが30年以上の夢だったのである。
 刺身定食でビール……うーん、うまいことはうまいが、30年間、記憶の反復が味を美化しすぎたのかも。
 しかし、店は満員。値段は申し分なしだからなあ。
 宮津〜西舞鶴〜東舞鶴と移動。由良川の鉄橋は徐行、写真撮影のためのサービスらしい。
 舞鶴へは初めて来る。
 15分ほど歩いて赤煉瓦倉庫群の一帯を散策。
  *
 海岸をちょっと先まで行くと自衛隊の艦船がずらりと停泊している。
 写真を撮るが、中国でやったらたちまち逮捕だろうな。
 寂れた商店街を抜けて駅に戻り、小浜線で敦賀へ。
 福知山線、丹後鉄道もそうだが、沿線、どこも桜が満開。特に小浜線は、ほとんどの駅に桜の古木があり、見飽きるほど。
 敦賀から北陸本線で、夕刻、福井に着く。
 この町はうろうろする気分にならない。理由は略すが、ここの出身者にいい印象がないことが影響しているのだろう。
 駅前のヤキトリ屋で一杯。
 早寝するのである。
 14,375歩。

4月6日(水) 北緯36度34分12秒東経137度12分29秒ランゲルハンス島沖を漂流中
 5時過ぎに起きて、ホテルロビーのパソコンで業務連絡などあれこれ。スマホで受信はできるが、長めの文書はキーボードでないと無理である。
 福井→金沢→富山と移動。通勤ラッシュはほとんどなし。クルマ通勤が多いのであろう。
 富山から高山線で笹津へ。
 高山線はほぼ半世紀ぶり。ちょうど47年前の4月、入社直後に、同期入社のNくんと大阪から笹津にある工場へ移動した。あの時も桜の季節であったなあ。この工場には半年いた。
 笹津から工場まで10分ほど。ここは国内で残っている数少ない工場(田舎だから広大な土地も商業施設や住宅に転用できない事情による)だが、まるで廃工場である。
 守衛もいないので、庭園にちょっと入る。
 戦後間もない頃に天皇のご巡幸のあった名庭園(工場を案内した利根川勉工場長は利根川進博士のご父君である)、植木も芝生もあまり手入れされてないような。
  *
 桜は当時のまま、見事に満開だが、その向こう、寮があった一帯には一面の太陽光パネルが並ぶ。ざんないものである。
 神通川あたりまで歩く気力なくなり、ノーベル賞街道をバスで富山市内へ戻る。
 総曲輪をうろうろするが、ここも寂れている(定休日が多いらしいが)。意外に狭い一角だったのだなあ。
 当時よく行った本屋もジャズ喫茶もない。
 総曲輪の裏通りの居酒屋も見あたらない。
 城址公園……松川の遊覧船の乗り場あたりは人出多し。しかし、桜はもう見飽きた。
 駅前まで歩いてホテルにチェックイン。
 ロビーのパソコンで業務連絡あれこれ。
 なぜ大阪を離れると仕事が増えるのだ。
 夕刻、近くの居酒屋の晩酌セットというの(ホタルイカとかなんとかの昆布〆など)でビール。まあこんなものか。
 駅の土産物店でます寿司の小パックと昆布巻きかまぼこのスライスパックを買って帰り、入浴後、立山の冷酒。
 部屋飲みが結構いいなあ。

4月7日(木) 越中→浪速
 5時に起きる。
 天気予報は雨。6時前には雨になった。
 金沢で4、5時間うろうろしようか迷っていたが、風雨強いというので、さっさと帰ることにする。(それに、金沢は昼間より夜だからなあ)
 富山→金沢、普通。2両編成の古い車両である。
 金沢→福井、普通。2両編成の古い車両である。
 福井→敦賀、普通。2両編成の普通の車両である。
 北陸本線の普通は姫新線並というか、要するにローカル線なのである。
 ともかく寒い。風強く、敦賀では小浜線の一部で運転見合わせのアナウンスあり。
 帰路は途中下車することなく、敦賀から湖西線経由の新快速、大阪に13時半に着いた。
 青春18での遠距離移動はたぶんこれで最後だな。
 体力の衰えからではない。青春18は、予定にしばられず動けるのがよかったのだが、ホテル事情や普通車減便などで、気ままに移動するのが難しくなったからである。
 14時前に帰館。
 夕方まで雑事色々。
 夜はコンビニメニューで一杯。
 早寝するのである。

4月8日(金) 穴蔵
 わ、午前2時に目が覚めてしまった。
 朝まで、枕頭に積み上げた本をあれこれ読み、午前5時に朝食、明るくなった6時頃から、ゴミ出し、久しぶりに洗濯、掃除など、家政夫仕事を行う。
 あとは終日穴蔵、ボケーーーーーッとタドコロ状態で過す。
 とはいえ、何もしないのはしんどく、少しは仕事もするのであった。
 夜は、体の欲するところにしたがって、野菜を大量にぶち込んだ鍋を作ってビール。
 外食が続くと野菜不足が明かに感じられ、これは3年ほど前からの体質の変化である。
 キュウリだけはダメだが。
 早寝。

4月9日(土) 石花楽会
 晴れて初夏を思わせる陽気。
 昼前に出て、阪急相川から歩き、神崎川の細い歩道橋を渡って吹田市、住宅街の中にある浜屋敷へ。
 石花楽会(石毛直道先生を囲んでの花見会/30年ほど前からの開催で、おれは25年ほど前からの参加)……今年は会場の都合で例年より1週間遅い開催。確かに桜は先週土曜が満開であったなあ。
 しかしまあ、桜が主目的ではなし、しかも浜屋敷にソメイヨシノはなく、枝垂れ桜が数本、結構花もあり、これはこれでよかった。
  *  *
 毎年のことながら、三輪そうめん山本と美々卯のコラボ麺。たまらんなあ。
 ということで、1年ぶりに会う人たちとあれこれ。
 しかし特設舞台での「演芸」が増えたなあ。気分はヘルスセンターというか「寝床」というか。
 この花見会は「議論の輪」があちこちに発生するのが面白いのである。
 食文化系、民博系、上方落語系(先月末で退任された米朝事務所の田中会長も)、SF系、マスコミ系、その他色々と。まことに刺激的である。
 途中、小山センセが(海外からの来客も含めて)ゲストを紹介。
 小山「私は英語が苦手なので、日本語で紹介を」と話される。
 と、お調子ものがししゃり出て「通訳」をやり出した。
 途中で小山センセが「ええかげんな翻訳をするな!」
 小山センセがICU出身ということを知らんのかいな。…「小左京は小米朝ほどの芸もなし」(むさし)30年ほど前の句。
 15時過ぎに散会。
 また相川へ歩く。
 神崎川を隔てて、吹田とヒガヨド(東淀川区)で雰囲気が、がらっと変わるのがいいなあ。

4月10日(日) 大阪JAZZ同好会
 昼前に出て梅田うろうろ、書店などのぞき、午後に北新地から放出へ。
 本日はディア・ロードにて大阪JAZZ同好会の例会。
 平均年齢かなり高いジャズファンのコレクション自慢大会とでもいうか。それぞれ持ち時間最大15分間にいかに面白い曲を詰め込むか、なかなか面白いのである。
 持ち寄り企画は「ギター」。
 チャーリー・クリスチャンからタル・ファーロウ、ジャンゴ・ラインハルト、ジョー・パス、ケニー・バレル、グランチ・グリーンなどの珍しい音源色々。
 おれは「畑ひろし」を持参。この人は大阪ではよくライブを聴けるが、東京にファンが多く、「ウチから徒歩10分のところでよくライブが聴ける」というと、ずいぶん羨ましがられたものであった。
 夕刻、おとなしく帰館。
 日曜なので、ボンクラ息子その2が、じゃがいもと豚肉と卵を煮たのとか、サラダ系、その他を作っていて、これらでダラダラと晩酌。
 寝る。

4月11日(月) 穴蔵
 平日である。
 終日穴蔵。少しは仕事もするのであった。
 廊下に出てみると、北風が強く寒い。
 買い物に出るのも面倒、こんな日は閉じこもっているに限る。
 朝はトースト、サラダ、ティ、リンゴ。
 昼はきつね。
 夜はボンクラ息子その2が作ったジャガ煮、ローストビーフ・オニオン・カンワレ・ネギ山盛り、ヤッコなどでビール、湯割り。
 専属料理人いなくても栄養バランスは結構いいのではないかと思う。
 早寝。

4月12日(火) 穴蔵/ウロウロ
 寒いのであった。
 穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。
 昼前のニュース。
 今日の未明に、扇町公園の南、天満警察の東側あたりで連続放火事件のニュース。
 天神橋筋商店街近くで、寝ているホームレスの布団に放火(殺人未遂)2件、つづけて末広町の木造住宅(無人)に放火・全焼、さらに南側でゴミ箱などに放火2件。45分間で5件の火付け。同一犯の可能性が高いという。
 興奮するなあ。
 じっとしてられず、昼飯のついでに、自転車で現場を見物に行く。
  *
 全焼家屋は扇町公園の南側(阪神高速のネキ)で、前は規制されている。
 10年前までは未明に時々通った場所である(ルン吉くんも一時期この辺に起居していた)。
 近くの田舎家食堂で「普通の昼飯」を食して帰る。
 と、14時過ぎから、テレビで火事の中継。
 ゴールデン街が盛大に燃えている。
 4棟とか5棟とかいうが、店舗数ではどうなのか。十三のションベン横町よりは小規模かな。
 ゴールデン街は35年以上行ってないし、もう行くこともないだろうな。
 夕刻、専属料理人が帰館。
 夜は久しぶりに静岡メニュー(黒半・わさび漬け、桜エビの掻き揚げ、ナマ生姜、マグロ握りなど)でビール、呉春のぬる燗。
 早寝するのである。

4月13日(水) 穴蔵
 じっとしていると肌寒いのであった。
 終日穴蔵。食事で「自宅」へ行く以外、机に向かって過ごす。
 毎日こうあるべきなんだが。
 夜は、枝豆、翁豆腐、ミニステーキ、サラダでビール、春パスタでワインを少しばかり。
 早寝するのである。
 本日0歩。

4月14日(木) 穴蔵
 終日穴蔵。
 ほとんど机に向かって過ごす。
 毎日こうあるべきなんだなあ。
 夕刻となる。
  *
 専属料理人が並べた、枝豆、菜の花のおしたし、静岡メニュー含む天ぷらなどでビール、湯割り。
 少しは運動しなければ。

4月15日(金) 穴蔵
 午前3時半に起きる。ネットで熊本の地震を知る。テレビ見たら各局、地震の特番。
 昨夜、21:26に熊本で震度7の地震、その後も未明まで何度か激しい揺れが何度かあるらしい。
 早寝したから、まったく気づかなかった。テレビは夜通し中継してたらしい。
 カジシンが心配だが、ネット見たら、直後から書庫(本棚倒壊)や食器棚(グラス、陶器類全滅?)の報告をアップしているから、無事な様子。四半世紀ほど前の台風被害ほどではあるまい。
 終日穴蔵。
 少しずつだが仕事もするのである。


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