『マッドサイエンティストの手帳』587

●マッドサイエンティスト日記(2014年9月前半)


主な事件
 ・播州龍野いたりきたり
 ・創サポ講義(6日)
 ・スライドピアノ?!(6日)
 ・丸本池鶴展(7日)
 ・坂田明@ロイヤルホース(8日)
 ・飲み会@マーガレット(13日)
 ・『映画の奈落』『監督ばか』


9月1日(月) 大阪→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 9月である。
 陋屋の前にコスモス1輪。
  *
 センチメンタルになるぜ。
 が……そんな気分に浸っているわけにもいかず。
 予想もしていなかった難題発生。某会計事務所長の知恵を借りるが、解決にはたいへん手間のかかる方法しかなく、しかも3、4年以内には片づけた方がいいという。
 「故郷SF」のネタと割り切って取り組むしかないか。
 勉強させていただきます。
 午後はタイムマシン格納庫にて見張り番。
 夜は陋屋にて、久しぶりに「ひとり酒盛」の準備をはじめたところに集合住宅関係のややこしい電話。
 かんべんしてくれよといいたくなる。
 通信環境の事情から、またタイムマシン格納庫に戻り、FAXで指示書を送る。
 陋屋に帰り、ビールを飲んでると、また別件発生。
 通信環境の事情から、またタイムマシン格納庫へ。
 今度は自転車で。
 午後8時、もう真っ暗である。夜道5分だが怖いね。
 資料チェックとあちこちメール連絡。午後10時までかかってしまった。
 陋屋の周辺、もう寝静まったかのような静けさ。
 やっと深夜のひとり酒盛。冷麺、神の河の水割りは、室温26℃ではいまひとつ。
 明日はなべ焼きうどんにするか。

9月2日(火) 播州龍野
 播州龍野の陋屋にて目覚め、朝からタイムマシン格納庫へ。
 終日見張り番を務める。
 数件の連絡業務を片づけると、幸い、集合住宅関係も含めて、ややこしい電話はなし。
 開店休業とも申せましょう。
 昼、市役所の**課へ行って「難題」について「勉強させていただく」。
 レクチャーを受け、大ざっぱなシミュレーションもしてもらう。
 なかなか親切に対応してくれるが、増収につながるからであろう。
 たちまち夕刻。
 料理が面倒になり、味三昧で豪華弁当を買って陋屋に戻る。
 伊藤彰彦『映画の奈落』を読みはじめる。

9月3日(水) 播州龍野
 播州龍野にて、朝からタイムマシン格納庫で見張り番。
 本日も開店休業……とはいかず、雑事が色々と発生することあるよ。
 揖西のヤマト運輸へ行ったり、金融機関に寄ったり。
 昼は「よこた」で穴子寿司のランチ。
 午後は静かで「開店休業」となった。
 さりとて原稿書く気分にもならず(書斎と格納庫ではPC設定が違うので「文芸モード」にはならない)。
 17時、Maxvaluで最小限の食材を買って陋屋に戻る。
  *
 百日紅が咲いていて、この数年、開花時期が半月ほど遅くなった気がする。
 高校時代までは夏休みの宿題仕上げの時期と重なっていた。
 もう今さら宿題もないんだけどね。
 ということで、夜は「ひとり酒盛」。
 枝豆を茹で、パック野菜にハムを加えたサラダ、出来合いの「トンカツ半分」というのを並べてビール、キムチ・カイワレ・トマト・ハムをぶち込んだ盛岡冷麺で「神の河」水割り。
 鴨居に設置したスピーカーかに降り注ぐゲッツ&バロン「People Time」を聴きつつ。
 泣けてくるなあ。人生の播州晩秋である。

9月4日(木) 播州龍野→大阪
 タイムマシン格納庫にて見張り番。
 開店休業とも申せましょう。
 週刊文春と週刊新潮が揃って朝日叩きの大特集。ここまでやるかと思うが、前号に対してともに「訂正と謝罪」を求める「抗議書」を送ってきたというから、怒るのも無理ないか。
 コンビニで週刊新潮を買ってくる。こっちの方がネチネチしてそうだからね。
 「おごる『朝日』は久しからず」という特集、11本並ぶうち、笑ってしまったのが10本目の「わが半生を『自虐の歴史』に塗り替えられそうな『自分史出版』新商売」という記事。
 朝日朝刊に「自分史作成支援サービス」の広告があって(これね)、調べてみると色々なコースがあり、最も高額なのが「記者取材コース」で111万円。「取材力に定評のある朝日新聞の記者経験者が取材・執筆。子孫に残せる伝記を制作」してくれるという。……「識者」にコメントを求めて、「あなたの半生はいかなる『自虐の歴史』に塗り替えられるのか」と心配しているが、いやはや。
 要するに朝日の元記者が100万円でゴースト引き受けまっせというOB受け皿事業ではないか。そこまで叩いてやるなよ。
 相棒の某くんから連絡あり、ミッション無事終了という。
 夕刻の電車で帰阪。
 わ、またも集合住宅関係で嫌な要件が待ち受けていた。
 憂鬱な日が続くことになりそうな。

『映画の奈落』『監督ばか』
 1977年2月17日(木)、おれは富山の工場に日帰り出張で、行きはよかったが、帰路、大雪になった。
 午後6時頃富山始発の「雷鳥」に乗ったが、徐行運転と一時停車の繰り返しで大幅に遅延、福井を過ぎたのが午後9時頃だったと思う。
 ビールでも飲もうと食堂車へ行ったら、おれの背中合わせの席に松方弘樹がいて、その向かいに深作欣二が座っていた。他にスタッフ数名。
 聞くともなしにその会話が耳に入ってくる。会話というより議論、ほとんど松方が喋っているが、ともかく映画のことばっかり。それも細かいカットがどうとか腕の振り方がこうとか、熱っぽい議論をずっと続けていて(女の話なんてカケラも出てこない)、ああ、やっぱのこの人たちは映画人(むしろ「活動屋」か)なんだなあと思った。
 これが『北陸代理戦争』のロケ帰りであることは後日知った。
 そんな「縁」で映画も見ている。実録ものにしては「女」が過剰だなという印象だった。
 伊藤彰彦『映画の奈落』(国書刊行会)はここ数年間で最も面白い映画本である。
  *
 副題は「北陸代理戦争事件」……映画の公開の2ヶ月半後、映画のモデルとなった組長が暗殺された事件である。
 ただ、この本はヤクザの抗争を描いたノンフィクションではない。むろん事件についても書かれるが、映画製作がメインで、テーマは3つの「挑戦」である。
 第1は、モデルになった福井の組長の巨大組織(山口組)への挑戦。
 第2は、脚本家高田宏治の先輩・笠原和夫への挑戦。
 第3は、親分を暗殺された若衆たちの弔い合戦。
 この3つは微妙に絡み合うが、メインは「映画作り」(特に脚本)にある。
 笠原和夫は「仁義なき闘い」の脚本を4作まで書き、このシリーズを終わりにしようとした。東映はもう1作要求し、完結編は高田宏治が書いた。これは一般に不評だった。高田は男性中心の集団劇を変えて新たな世界を開こうとする。
 ここで福井の川田組長に取材を開始する(笠原の場合はメモで、それも目の前でメモはとらず、わすれないうちにと、トイレへ行って急いでメモを取る。相手からは「小便の近いやつやのう」といわれる。と『映画はヤクザなり』にある。高田の場合はテープを回し、数時間のカセットが残されている)。高田が注目するのは「姐さん」の存在の大きさである(これが後の「極道の妻たち」につながる)
 ロケでは天候(雪)、出演者の事故、さらに現実の事件の前兆みたいな妨害などが重なるが、ともかくギリギリで完成する。このあたりの製作過程がスリリングで面白い。
 そして、完成した映画はモデル暗殺という事件を引き起こす(直接の引き金ではないかもしれないが、映画の中での挑発的なセリフが影響している)。これが東映の「実録路線」の終わりを告げることになる。
 映画関係から組関係まで徹底した取材が行われていて、驚きのエピソード続出である。当時は組長が撮影所に平気で出入りしていたとか、モデルになるのはステータスであるとか。
 川田が自分の「伝記映画」と思いこんでいたのも面白い。(奥崎健三が『ゆきゆきて神軍』を「自分が作った映画」と思いこんでいたのと似ている。ちょっと違うか)
 こういう凄まじい世界のあとで『監督ばか』を読むとほっとする。

 内藤誠『監督ばか』(彩流社)
  *
 内藤誠氏はSFファン(筒井ファン)には『俗物図鑑』『スタア』の監督として知られているが、1959年東映入社で映画人としての経歴はずいぶん長い。『映画の奈落』の世界の人たちとも重なっていて、『誇り高き挑戦』で助監督を務めている。
 半世紀を超える映画人としての人生を、形式的には編年体でたどりつつ、話題は現在と過去を自由に往還する。
 当然ながら面白いエピソードがいっぱい。おれがいちばん驚いたのは、『乾杯! ごきげん野郎』(1961)にトニー・スコットが「特別出演」していることで、これはなんとかして観たいものである。(内藤氏はジャズにも詳しく、ジャズ関係の話もいろいろ出てくる)
 きわめて品のいい本で(映画関係の暴露的な話はまったく出てこない/そこがもの足りないともいえるが)、これは内藤誠氏がたいへんな読書家であるからだろう。不思議な人脈が予想もしない著作や記事につながっていて(出展明記)、映画史であるとともに読書史にもなっている。

9月5日(金) 穴蔵
 終日穴蔵。
 少しは仕事もするのであった。
 午後、案の定、集合住宅関係で気の重いこと1件。
 いずこも同じマナーの悪い住人に関するもので、嫌われ役を押しつけられる空気あり。
 本音をいっておく。
 誰か(直接の被害者が)刺してくれんかねえ。そういう前例ができれば、堂々と注意しやすくなるのである。
 おれ? 鉄砲玉になるのはまっぴら。

9月6日(土) バンチ/創サポ/スライドピアノ?!
 午前3時過ぎに激しい雨音で目覚める。
 朝まで本を読む。
 終日穴蔵にこもっていたいが、本日も集合住宅関係で1件……気が滅入るから書かんとこ。
 夕刻に近い午後に出て、天六のワイルドバンチに寄る。
 庄内さんと『映画の奈落』ことなど話していたら、関連で「en-taxi」誌Vol.42が「1977年日本映画」を特集しているというので貸していただく。(※)
 天六から地下鉄で天満橋へ。
 また雨になった。小雨の中を屋形船、風流だなあ。
  *
 一杯やりたい気分だが、エルおおさかで創サポ講義。
 「期末」に近く、今期最後かな。提出作品3編。
・ブローカーに若い中国人妻を紹介された中年男が財産巻き上げられ借金まで背負わされる顛末。これはリライトすれば、週刊新潮「黒い報告書」にふさわしいのではないか。
・「署内」でこっそりややこしい動画をダウンロードしていた署員がハッキングされ、NASAまで巻き込む騒動までエスカレートする。SFファンの好みのツボを押さえている。作者は別作品がデビューにつながりそうだという。
・会話だけで書かれたショートショート。江坂遊さんの好むパターンのひとつで、コント(舞台)にしたらたちまちネタバレになる。言葉だけで設定を隠しているところがミソ。
 枚数と文体のマッチ、ミスマッチが共通の話題となる。

※「en-taxi」Vol.42。
 映画関係の記事は(内藤誠氏が寄稿していたりで)面白いのだが……
 「ジャズ評論家」が書かれた「ジャズ・ピアノ、もうひとつの系譜」というコラムに「スライドピアノの巨匠ファッツ・ウォーラー」という記述が出てきて驚く。その後にもラグタイムと並べて「スライドピアノ」という表記が3箇所あるから誤植ではあるまい。
 おれは半世紀「ストライド・ピアノ」と思い違いしてたのだろうか?
 ウォーラーも藤森省二も小川理子もストライド奏法の名手であるはず。
 気になって、ネット検索したら「スライド奏法」がいっぱい出てくる。
 たとえばここなど。
 「スライド・ピアノ」とは、リズムを打ち出す左手の動きの特徴から「またぐ」という意味合いで用いられたピアノ・スタイルです。と明記してある。
 しかし「またぐ」のならstrideではないのか? 指を鍵盤上でslideさせるのであれば「グリッサンド」ではないのだろうか。
 こんなにスライド記述が多いと、おれも自信がなくなってくる。SFならともかく、楽理の教養はないからなあ。
 おれは半世紀間、恥をさらしてきたのではないかと心配になってくる。
 どなたかご存じの方がいらっしゃれば、正確なところをご教示くだされ。

※※ 上記についてさっそく複数の方からメールいただきました。ありがとうございます。
 すべて「スライドピアノ」は「ストライド・ピアノ」の誤記に違いないというもの。ほっ。
 特に最強の友人・作曲家のOさんからのメールは詳細を究め、音楽用語に「スライド」が出てくるのは「スライドコード」で「手の形を変えず鍵盤上で手をずらす、いわゆる並行和音を弾く技法」で「ドビュッシーの前奏曲集第1集『デルフィの舞姫』やラヴェルの『ソナチネ』第2楽章の中間部等に見られる」が、ジャズのストライドとは関係ない。鍵盤上でスライドさせるならグリッサンド。(個人的な見解として)「ストライド奏法は、ショパンのワルツやノクターン等に見られる、左手の伴奏のピアノ書式がルーツではないか」という。
 勉強になるなあ。源流にも当たってみようと思う。
 それにしても「ジャズ評論家」ともあろう人がなぜこんな初歩的な間違いを書くのか。
 思うに(こんな古いジャズは)聴かず、演奏者との会話で確認もせず、文献でカタカナ表記だけを見て「ストライド」を「スライド」と思いこんでしまうのではないか。
 アメリカでこんな誤記はあるのだろうか。strideをslideと読み違えることはないはず。
 ジャズに限らず、音楽はまず耳で学ぶべきものなんだなあ。耳学問とはやや蔑んだ表現だが、音楽では重要である。(2014.9.7)

9月7日(日) 丸本池鶴展
 未明に雨が降ったらしく、涼しくなった。
 昼前に専属料理人と歩いて梅田へ。
 ロイヤルホテル行きのバス、長い列ができているので、歩くことにする。
 某院の横「黒猫」がいる一角を抜け、出入橋〜堂島モール〜朝日放送〜玉江橋を渡り、ロイヤルホテルへ。
 「花と共に45年」……丸本さんは、山下洋輔さんとの「共演」やガウディ建築への讃花など、多彩な活動をしてこられたフラワーデザイナーである。
  *  *
 珍しい花(名前が覚えきれない)が色々。
  *
 花以外の造形もあってギョ。
 個展は本日のみ。花の命は短いのである。
 帰路は大阪駅までバス。
 きれいな花を見た後なので、専属料理人はランチに「もつ鍋」は反対し、まあまあ上品な某店で生ビール、オムライスを食して帰館する。
 昨日の「スライドピアノ」について複数のメールをいただく。昨日の記事に追記。

9月8日(月) 坂田明@ロイヤルホース
 朝食時にテレビで「重ね言葉」を話題にしているのが耳に入る。使用頻度ランキングは@決着がつくA違和感を感じるB従来より、だそうな(ネタ元は朝日の記事らしい)。
 へえ。おれはトップは「排気ガス」だと思うがなあ。
 涼しくなり、穴蔵にこもっていたいが、また集合住宅案件……嫌になってくるねえ。
 気分を変えて、夕刻、専属料理人と出かける。
 歩いてロイヤルホースへ。
 「藤原清登(b) 坂田明(as,cl,vo) Andrea Centazzo(per)」のトリオを聴く。
  *
 坂田さんを聴くのは5年ぶりかな。
 多彩な活動継続中、輝きわたっているような音色である。
 フリー・スタイルだが、2ステージ目が特に素晴らしく、Centazzoの大まじめな顔でとんでもないギャグを繰り出すパーカッションに、例のメチャクチャ歌謡御詠歌版みたいなのが被さったり(おれはゲラゲラ笑ってしまったが、大まじめに聴く人の方が多い)、最後は朗々たる「ロンリー・ウーマン」につながる。
 ミラノで偶発的に誕生したトリオだそうで、ジャズでは不思議なことが起こるものだ。
 アンコールは(ゴーストがらみでない)「赤とんぼ」で、播州龍野出身者としては感涙ものであった。
 坂田さんとちょっとご挨拶、雑談。久闊を叙す雰囲気。「広島大学大学院 生物圏科学研究科 客員教授」の名刺をいただく。
 近大マグロ養殖で有名な熊井英水先生が恩師だそうである。弟子はミジンコで、クジラでないところが奥ゆかしい。

9月9日(火) 穴蔵
 終日穴蔵。
 快晴でからっとしており、地下鉄とバスで市内の某区をうろうろしようと思ってたら、出かける直前に、またもややこしき一件。午前中の2時間がパー。
 出鼻をくじかれた気分で、結局、本を読んで過ごす。
 読んだ本のことを書こうかなと思いつつ、気乗りがしない。
 嫌な気分の時に読む本は減点されるのであろうか。著者には気の毒な。
 困ったものだ。
 甲子園、風蕭々。

9月10日(水) 穴蔵/ウロウロ
 集合住宅関係で、朝8時過ぎに業者……つうか職人肌の5人の集団が来て共用部分で作業をはじめる。
 立場上立会い、諸々の指示。
 ともかく作業が早い。イラチのおれがほれぼれするほど。
 9時に管理人が来たので引き継ぎ。
 10時過ぎに出かけることにする。
 細かいことでいちいち呼び出されたのではたまらんので、夕方までいないことにする。
 地下鉄で難波、湊町からIKEAのシャトルバスに乗る。
 大正区のベイエリアをうろうろしてみたいと思っていたところに、IKEAが大正区西端にあることがわかったからである。
 バス20分。
  *
 着いてみると、あたり何もなし。
 ポートアイランド方向の岸壁が見えて、悪い眺めではないけど、おれが期待する殺伐とした風景ではない。
 柴崎友香さんの書く世界を歩きたいのである。
 眼鏡橋までぶらぶらのつもりだったが、散歩感覚で歩ける距離ではないような。
 改めて市バスで来ることにして、20分後のシャトルバスに乗って難波へ引き返す。
 桜川の中華店・龍で焼きそば。水分補給も行う。
 本屋など回り、14時過ぎに帰館したら、作業は終わっていた。特に問題もなし。ほっ。
 ということで、少しは机に向かい(向かうだけ)仕事はせず。
 夜は枝豆、スペアリブ、サラダなどでビール、安ワインを少しばかり。
 早寝するのである。
 ということで早寝したら、深夜にとつぜんの雷鳴で飛び起きた。
 ニュースを見ようとテレビをつけると、なんと『孤独のグルメ』をやっている。
 やはり面白いではないか。
 と、テロップで大阪に「大雨・洪水注意報」が出る。
 落ち着かんなあ。
 で、深夜1時に書いたのがこれ。

9月11日(木) 穴蔵
 朝、近所の某内科医院へ行って定期検診。血圧等は正常である。ほっ。
 9時10分に帰館。
 あとは終日穴蔵。
 集合住宅の某工事(昨日の作業とは別)があって、本日は立ち会わねばならず、出かけられない。
 急に雨が降ったりで、シーリングは明日に延期せざるをえないという。
 やれやれ、今週はこんなことでつぶれるか。
 時々現場チェック。仕事に集中できず、本を読んだり、断続的にニュースを見たり。
 ニュースに出てくるのがアホばっかり。
・嫁はんにミニスカはかせて盗撮を「誘発」、盗撮した相手に「頭突き」して金を巻き上げたとして、嵜村一郎(31)、妻の風吹(21)、知人の田中大樹(30)が恐喝で逮捕された。新種の美人局か。梅田のヨドバシで20回くらいやっとるらしい。気をつけなきゃいかんなあ。
 6年前の痴漢冤罪事件を思い出すが、今回はバッチリ撮らせているからまだましか。あれから6年だから、やつはもう出てきてるのかな。(※懲役5年6ヶ月だから、そのへんにいそうな。更生していることを願う)
・工藤会の野村悟総裁逮捕。これはアホというより恐ろしいやつであるな。東映の実録路線が終わってからのし上がってきた連中かな。
 午後7時、豚のなんとか炒めその他色々で神の河湯割り(涼しくなったからね)を飲んでたら、19:30から吉田調書について朝日の会見があると報じる。社長辞任であろう。
・21時からのニュース。木村伊量が吉田調書について「記事の取消しとお詫び」、慰安婦報道についても「お詫び」、ヒラメの杉浦を「更迭」、自分は「改革の道筋をつけたうえで進退を明らかにする」とか。
 「改革の道筋」は後任がつけるべき仕事ではないかい。
・別のニュースでは、吉田調書に関して「アホみたいな国のアホみたいな政治家」菅が見苦しい言い訳をしている。要約すれば「吉田所長→清水社長の食い違いが、海江田に伝わり、枝野が撤退要請のことだというから、わし、撤退は認めんといっただけなんよ」という。嗚呼。
 それにしても吉田調書以前に「菅総理が東京を破滅から救った」とテレビで発言した厚顔無恥ハゲ頭の五十嵐敬喜は何の言い訳もしないのか。この世を去ってるのならそれがいちばんだけど。

9月12日(金) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に起きて、9時頃まで、マジメに机に向かう。
 たいして生産的なことはできなかったけど。
 本日も集合住宅の某工事の続き。雨で延びたシーリング作業。音はせず立ち会いの必要もなく、助かる。
 午前、某荷物(ジャズ関係の書籍)が到着。何冊かを個別にメール便で発送。あと40冊を心斎橋の某ホールへ運ぶ。
 中津から心斎橋へ20数キロのダンボール箱をキャリアに乗せて、それを引いて歩く経路は以下のようになる。
 穴蔵を出て、エレベーターで1階エントランス→徒歩4分→地下鉄中津西側のエレベーターでB1→改札→エレベーターでホーム→地下鉄御堂筋線で心斎橋→ホームからエレベーターで連絡通路→エレベーターでB2→エレベーターでB1→改札→クレスタを東へ→エレベーターで地上→2分で目的地に着く。ほぼバリアフリー。最後の階段3段は持ち上げねばならぬ。
 所要時間30分(ふだんは20分くらい)で、心斎橋のエレベーターが複雑である。車椅子になると(電車の乗り降りは助けが必要だが)このコースになるのだなあ。
 勉強させていただきました。
 肉体労働(というほどのことではないが)に対して、ありがたくももったいなくも、某ロート限定の高級ワイン1本を頂戴する。
 まっすぐ帰館、午後はまた穴蔵。
 工事は無事終了……しばらくは気楽な日々となりそうである。
・本日のアホニュース。
 白昼の大胆犯行。高田馬場駅前で2000万円ひったくり。
 高田馬場駅前の路上で、70代男性が3人組の男に「現金2000万円入りの紙袋」をひったくられた。
 銀行から紙袋持って出てきたのか? どんな事情で現金2000万を持ってはったんか知らんが、あきらめるしかないだろうな。
 これは別にアホニュースではない。6年前の2000万ひったくり事件を思い出したのである。あのアホ事件は迷宮入りのようである。
 ワイン30年分(ちょっといいのを毎日1本開けてだけど)くらいが一瞬でパーということか。
  *
 ということで、夜は専属料理人に、豚肉のなんとか、生ハムといちじくのサラダ、舞鶴ポテトにアンチョビのなんとか、トマトとモッツレアかんとか?など並べてもらって高級ワインをいただく。うま〜〜〜っ。
 「ひったくられる前に飲むべき」だな。
 これからは、これを指導原理として生きることにしよう。

9月13日(土) 穴蔵/飲み会@マーガレット
 終日穴蔵。
 涼しく、工事が終わり、静かで、電話も呼び出しもなし。
 こんな日がつづいてほしいものである。
 夕刻に出かける。
 淀川堤を毛馬閘門まで散歩。南下して、18時過ぎにマーガレットへ。
 なんとなくマーガレットでおなじみのメンバー10数人。
  *
 文学フリマ前夜祭の飲み会……かな。
 メインゲストは倉田タカシさん。(「あなたは月面に倒れている」は傑作である)
 ガヤガヤと数時間。
 代替わりが進行しているというか、話題になる作品は半分ほどしかわからない。特にマンガはお手上げである。
 「空から何かが降ってくる」SFを書こうかということになる。(むろん『オブ・ザ・ベースボール』にはじまる)
 21時頃に「お先に失礼」する。
 これでもおれとしてはずいぶん長時間飲んだ方である。弱くなったなあ。

9月14日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 連休で大衆諸君は繁華街に浮かれ出ているであろうから、本を読んで過ごすことにする。
 午後は自宅のリビングにてTom SanctonのCDを聴きつつ「お茶」(ダージリンか何か知らないけど専属料理人推奨の)を飲む。
  *
 秋の空である。室温28℃、外も28℃。こんな日がつづいてほしいものである。
 ……と、穏やかな気分で過ごしていたのだが、夕刻、郵便ボックスをチェックにエントランスまで降りたところで、大きな○○○○○を運び出すオバハンとすれちがう。
 あまりにも堂々とした態度に、荷物の運送かなと思ったら、しばらくして手ぶらで引き返してくる姿を廊下から目撃。
 まさかと思って現場を見に行ったら、白昼堂々の「不法投棄」である。
 金曜日(5日先)とくどいほど掲示を繰り返しているのに、この無法ぶり。
 立場上、何らかの処置をとらねばなるまい。
 明日はオバハン退治か。ヘタしたらこちらが殺されるかもしれず、気が重いことよのう。

9月15日(月) 穴蔵
 世間は連休最終日。しかも老人の日とあっては、穴蔵に閉じこもっているに限る。
 集合住宅の管理規約の改訂作業。
 3年ほど改訂事項の削除と書き込みをやっているから、そろそろ改訂版を作らねばならぬ。
 当面PDF版を作っておくことにする。
 幾つかの矛盾点にも気づく。
 まあ、これも集合住宅に巣くう妖怪(オバハンとも申せましょう)退治のための法整備である。
 老朽化した集合住宅を舞台に水面下での妖怪退治というのを考えるが、『童夢』を超える作品はとうてい無理だろうな。


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