『マッドサイエンティストの手帳』561
●マッドサイエンティスト日記(2013年8月後半)
主な事件
・大阪←→播州龍野いたりきたり
・連続猛暑日新記録(23日)
・イプシロン(27日)
・「通り魔」騒動(28日〜継続中)
・ラスカルズ+小林真人(31日)
8月16日(金) 大阪←→播州龍野/兜木励悟氏の訃報
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
まだ盆休が多いらしく、朝の電車はふだんの2/3くらいの混みよう。
9時前に実家に着く。
雑事色々。主に肉体労働である。
炎天下で汗を流すのは久しぶりである。
雑草の繁殖が凄まじく、周辺は放置しておくのがいいような。
別荘の維持もたいへんである。
9月半ばになれば、こちらに寝泊まりして仕事に集中しようと思う。
同じ西播圏内で、上田早夕里さんも八杉将司さんも、いま現在も執筆中なんだからなあ。
*
コスモスまで2ヶ月、白木蓮まで8ヶ月。
畑地は夏の日ざかりを浴びてしんとしている。
夕刻に大阪へ帰る。
「宇宙塵」204号(最終号)が届いている。
「宇宙塵」の歴史と柴野拓美氏の業績について、きちんと企画され、よくまとめられている印象。
これから熟読させていただくことにして……最終ページに「追悼欄」がある。
小松左京氏、嬉野泉(菅原豊次)氏に並んで、なんと……
兜木励悟氏の訃報。
今年1月1日夜に駅の階段で転倒、頭蓋骨骨折、脳内出血、2日に病院にて死亡という。
まったく知らなかった。
兜木励悟さんについては毀誉褒貶いろいろあるとは思うが、おれは悪い印象をもったことはまったくない。
かれが大学生のころからSF大会やコンベンションで会ってしゃべっているから、つき合いは30年近い。
おれのファンだといい、よく、おれに倣って「会社勤務しながらSFをやるのが理想」といっていた。
その後、大手ミシン会社の広報部門に勤務していたのだが、バブル末期に会社が妙なことになったのは気の毒だった。
おれにつき合ったわけではないだろうけど、ジャズや上方落語にも興味を持っていた。
パソコン通信時代の「かぷ」以来、かぷちゃんと呼ぶことが多かったかな。
「エヴァンゲリオン研究序説」がヒットしたのは1997年、30歳前後ではなかったか。
おれは「エヴァゲリ成金」とからかったが、大伴昌司氏の「怪獣成金」を踏まえてであって、かぷさんも媒体に恵まれれば活躍できると期待していたのである。
その後、エヴァゲリの新版や続編など何冊かの著作もあるが、体調がいまひとつであったらしい。
しかし、SF大会では会ったし、色々な情報やコメントのメールもよくくれた。
ブログのタイトルが「兜木励悟の怠慢部屋」だったのは、おれが「怠慢SF作家」を自称しているのに倣ってだったのか? 最近更新がなく気になってたのだが、酔っぱらって?階段で転倒……おれの悪いところまで真似なくてもいいのによ。
いや、おれは自分でやばいと思って、酒気帯び自転車は早々とやめたし、自転車も2年前からやめている。外で酔っぱらうこともなくなっている。少しはおれのマシなところも見ならえといいたくなる。もう遅いけど。
1月の事故を今日まで知らなかった。twitterもFaceBookもやらんから、こうした情報には疎くなるのはしかたない。
考えてみると、こうした情報をマメに伝えてくれたのがかぷさんでもあったのだ。
なんだか、SF界のある側面が急に遠ざかっていくような、複雑な気分だ。
8月17日(土) 穴蔵
今年は朝顔の開花が遅いのだろうか。
ふだん気にもしないのだが、専属料理人が「やっと一輪咲いた」という。
自宅南側ベランダの「緑のカーテン」
*
確かに、上の方に一輪。朝6時半には直射光が当たるので、鑑賞時間は短い。
終日穴蔵。
ボケーーーーッと過ごす。
ボンクラ息子その1から写メ。諏訪湖での豪雨にも懲りず、箱根のなんとか湖畔でキャンプ中とか。
アウトドアはウチの家系(両方とも)の趣味ではないはずだが。
8月18日(日) 穴蔵
終日穴蔵。
ボケーーーツと過ごす。
アタマ働かず。
扇風機の風に吹かれて昼寝ばかりみたいだが、少しは本も読んでいる。
この「盆休」だけで十数冊。
感想をきちんと書いておくべきなのだが、仕事をさぼっている証明みたいになるしなあ。
昨夜から「宇宙塵」204号(最終号)。
牧眞司氏の「柴野拓美のヒューマニズム―起源としての個人理性―」は例の「集団理性」論を丹念に検証されていて、触発されるところが多い。
柴野さんのSF評論集が計画されているらしい。楽しみなことである。
つづいて「SF宝石」(←Amazonへのリンクは「腹に据えかねる」理由により解除しました。Amazon以外でお求めを)を拾い読みしてたら、結局全部読んでしまった。
小説宝石の別冊みたいな形式の書き下ろしアンソロジー。昔の「別冊宝石」(昭和30年代に出た推理誌の別冊/書き下ろし短編や翻訳長編が多かった)みたいな雰囲気がいい。
生きのいい15人の競作で、瀬名秀明さんのロボットSFや円城塔さんのグルメ哲学?、田中啓文さんの宇宙生命の格安ツアー?など本領発揮だし、軽いタッチで小川一水さんや石持浅海さんのSFかどうか微妙な線のも面白い。樋口明雄さんも迫力があるし、両角長彦さん(唯一の宇宙SF?)は古典的パターンでありながら笑わせる。東野圭吾さんがアシモフ風SFミステリー調短編を書いているのにも驚かされる。
「雑誌」は、こんな風に作風に広がりがあってこそ面白いのである。
特筆すべきは上田早夕里さんの「上海フランス租界祁斉路三二〇号」であろう。
J・G・バラードが生まれて半年の上海(!)を舞台にした近代史伝奇的地質化学SF…といえるのかな。短編にしては密度が高すぎるというか、「魚舟・獣舟」みたいに、今後の長編化を期待すればいいのだろうか。ともかく新領域にチャレンジする意欲に敬服する。
雑誌の面白さがあると書いたが、短編が並べてあるだけでイラストが全部同じなど、編集は手抜きではないか。
旧「別冊宝石」みたいに、読物やコラム、座談会なども充実させてほしいところ。
「SF宝石」と「宇宙塵」を合体させるとSF雑誌の理想型となるか。
8月19日(月) 穴蔵
盆休みは終わった。
午前4時起床、気温は内外ともに31℃と相変わらず。
しかし、本日はマジメに過ごすのである。
終日穴蔵。
6:30〜朝食。
12:00〜昼食。
19:00〜シャワー、夕食。本日は休肝日。
食事の時間以外、約11時間、机に向かう。
少しは生産的な仕事もするのであった。いと少なしを。
寝る。
8月20日(火) 穴蔵/ああ貨物駅(2)
本日も炎天なり。見事に晴れている。
昨日に引き続き、本日もマジメに机に向かう。
おれは更生したのである。
ただし、刑務所にも運動の時間があるように、体は動かさなければならない。
3日間ほとんど歩いてないので、雑事の処理を兼ねて、白昼の外出。
書店、金融機関、ヨドバシなど、主に地下街経由で梅田をウロウロする。
大阪ステーションシティ「風の広場」にも上ってみる。
ああ8月2日に半分まで取り壊されていた貨物駅のカマボコ屋根は完全になくなっている。側面から鉄骨の解体がはじまっているような。
そのうち西側の小型の屋根もなくなるのだろう。
レールも撤去か?
「梅田アパッチ」が出現する可能性は失われてしまうではないか。
*
おれが初めて大阪駅を降りたのは1962年夏「関西SFのつどい」の日であった。
筒井さん、小松さん、眉村さんたちとと初めて会ったのがその日である。
もう半世紀を超えているのだ。
あの頃は貨物駅も当然機能していて、チッキ(なんてものがあった)や荷物の受け取りに来たこともある。
駅前は掘り返され、地下街の工事が始まっていた。
その後……小松左京事務所があったプラザは(本来ならスカイビルの向こうに見えるはずが)今はもう解体されて何も見えない。
梅田は変化しつづけているのである。
感傷的になってはいかんな。つまらん都市計画はぶっ壊してやるという気概を持たねば。
梅田は俺らの心の駅だ
書かなきゃならない人生が
あの日ここから始まった
8月21日(水) 穴蔵
早寝したら午前3時に目覚める。
マジメに机に向かう。
天気はこの3週間、相も変わらず「晴・猛暑」で、午前4時の気温は内外ともに30℃。
しかし日の出は遅くなっており、5時20分にやっと東の空が明るくなる。
秋来たりなば、冬の到来も遠くはない。気が重くなってくるなあ。
午前中、思い立って穴蔵の掃除をする。窓を開けている時間が長いから、埃の堆積も早い。床の拭き掃除も行う。
机の上にガラクタが増えすぎた(雑事で使用した資料やメモ書きを積み上げていくからである)ので整理する。
明窓浄机。ちょっと前に較べて、だいぶすっきりした。
*
デスク上にミニコンポを置いているのは、手が空いた時にMD音源(主にFMの録音など他にないもの)をCD化しているからで、今のペースだと2、3年はかかるか。CD化時に聴けば、あとは聴くこともなさそうだし、MDは思い切って断捨離すべきか。
午後はすっきりした書斎にて……集合住宅関係の報告書作成。
ある工事について、おれは「確かこうだったはず」というが、誰も記憶しておらず、資料も議事録も残ってない。
通常集会の資料などを積み上げてチェック、作業報告の一行、収支報告書の記録、質疑応答の一項、わが日記などから、阪神大震災の半年後に行われた工事の「実態」をほぼ解明する。
充実感なきにしもあらずだが、目的は「業者」報告の不備指摘(言いなり防止)ていどだからなあ。
吉村昭さんは幕末に関してこんなことをやってはったのである。
『桜田門外ノ変』『生麦事件』とわが報告書を較べると、残るはむなしさばかりなり。
夜は集合住宅の理事会。
クーラー効き過ぎで、体が冷え切ってしまった。
ああ、熱燗が飲みたい。
8月22日(木) 穴蔵/さらばAmazon
定刻午前4時に起きる。
マジメに机に向かうのであった。
・Amazonから「あなたへのおすすめ商品」というメールがくる。
「Amazon.co.jpで何かお探しですか? 次のような商品はいかがでしょうか。(万が一お手持ちの商品がございましたらあらかじめお詫び申し上げます。)」……とあって「SF宝石」を「おすすめ」してくれている。
おれは面白い本だとおすすめしたのに、その当事者におすすめするとは何事だ。
Amazonにリンク張ったから、こんなメールが来たらしい。Amazonは時々利用してきたが、迷惑メールに指定し、Amazon利用は本日をもって終わりとする。書籍はジュンクドーがあるし電気製品はヨドバシがある。CDが不便かもしれんが、Diskunionと年に1、2度山野楽器へ行けばこと足りるであろう。
・メールに関しては、人のことはいえない。イプシロン打ち上げが迫って(27日)、取材関係者は時々刻々予定の調整にたいへんなようである。メール錯綜の某MLをスマホで見ていて、うっかり画面に触れたために、余計な返信メールを送ってしまったような。お詫びメールも迷惑であろう。スマホでのメールは極力控えることにする。イプシロン打ち上げ日程にもう変更のないことを祈る。
梅田ウロウロのつもりで昼前に外に出たら、恐るべき熱気。
アスファルトの路面上、体感では40℃以上ありそうな(ちなみにベランダは36℃で、昨日と変わらない)。
ジュンクドーに寄って引き返す。
昼、信州蕎麦でざるを食べていたら、NHKニュースが藤圭子の飛び降り自殺を伝える。
ほほう。五木寛之のところにアホマスコミのコメント依頼殺到だろうな。ノーコメントに決まってるのに。
「怨歌」なら、おれは三上寛の方が好きだった。
七に二を足しゃ九になるが
苦になりゃまだまだいい方で
死に死を足しても苦になって
夢は夜ひらく
……LPは播州龍野保管だったかな。手元にはない。
8月23日(金) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に起きる。
マジメに机に向かうのであった。
おれは更生したのである。
が、「世間」は冷たい。マジメに働こうとするおれを鞭打つかのように、集合住宅関係の雑事2件が舞い込む。
在室していることがわかっているから、否応なく呼び出される。
工事の立ち会いはいいとして、居住者との「折衝」ごとはかなわんねえ。
気力が減退してしまう。
大阪の猛暑日は連続17日(8/7〜23)で71年ぶりの新記録だそうである(※)。
おれの場合、暑さは苦痛ではなく、午後は薄曇りになったので、気晴らしに散歩に出る。
ベルトの穴がひとつ内側に移動……というか、ジーンズその他、ほとんどのズボンはベルトなしでよかったのが、ベルトなしではずり落ちるのである。
心配になって体重チェック。先月より1キロ減だが、これは誤差の範囲。体脂肪率は15%以下、体年齢38歳と数値だけは問題なし。
筋トレやってるわけでなく、最近はあまり歩いてない。
念のため、本日の4,123歩を含めて、この猛暑17日間の歩行数を集計する。
総計48,092歩。平均2,829歩/日。ただし0歩の日が7日ある。
歩く日は(炎天下でも)5千歩近く歩いているから、そう悪い数字でもなさそうな。
うーん。自分からはいいたくないが、やはり「禁酒」と「野菜摂取」がいちばんの効果ということか。
夜は本日も粗食健康食(ヤッコ、トマトサラダ、根野菜で増量したミンチカツ、キャベツ、ブロッコリなど)でasahiのドライゼロ1缶。
猛暑日は明日で途切れるという予報どおり、21時頃に激しい雷雨があった。
あ、この時刻、大阪の某所で森山威男さんが叩きまくっているのだった。
さすが嵐を呼ぶドラマー。行きたい気はあったのだが、女店員の恐ろしい店だからなあ。
来月21日の森山ジャズナイトを楽しみに、早寝するのである。
※大阪の猛暑日(最高気温が35℃以上)が2013年8月7日〜23日の17日間連続。
大阪管区気象台によると、1920年に観測開始、これまでの最長記録が1942年7月21日〜8月5日の16日間。それを71年ぶりに記録更新した。つまり観測史上最長記録ということである。
亡母が(兵庫県だが)2歳の時に観測開始、兄が1歳の時の記録を抜いたということで、おれにとっては生まれて初めての記録ということだが、天気の歴史(たぶん数億年)からすれば、たいした記録でもない。『雨乞い源兵衛』を聴けば、どうってことない気分になるから、枝雀師匠の冷却効果おそるべし。
8月24日(土) 穴蔵/ウロウロ
午前3時に目覚める。おや、虫の音が聞こえる。
大阪の猛暑日は途切れた。
田中将大投手は連勝記録を延ばしているからたいしたものだ。
曇天。朝の気温は内外ともに29℃。東からの直射がないと涼しい。
マジメに机に向かうのであった。
土曜なので半ドンとする。
昼前、小雨が断続的に降るなか、専属料理人と出かける。
地下街経由でお初天神へ。雨で、境内に人影はなし。
* *
路地を抜ける。おれは法善寺横丁よりもこちらの方が好きだ。
某亭で蕎麦をいただく。
あとは、駅前第3ビルから地下街に潜り、CD店〜大阪駅〜ヨドバシ〜紀伊国屋〜ジュンクドー経由で帰館。
7,215歩となった。
8月25日(日) 穴蔵/激雨
わ、午前2時45分、とつぜん激しき雨音で目が覚めた。
せっかくだから、そのまま起きる。
午前中、かなり激しい雨が断続的に降りつづく。
こんな日は外出はやめ、懸案であった某編集作業を進めることにする。
3日間集中すれば何とかなるだろう。
おや、テレビの24時間なんとかで、岡本太郎がマラソンやるそうな。
長尾おさむ氏のコラムで、女房が「岡本太郎そっくり」と知ったのが5年前である。森三中の大島美幸という名は知ってたが、ふだんテレビは見ないので、拝顔の機会がないままであった。
ちょっと見たけど、化粧のせいか、「そっくり」とまではいえないような。前に見た写真の方が似ていた。
「感動のフィナーレ」は、まあどうでもよろしい。
作業に集中する。
午後は曇天、すずしく、終日扇風機のみ。
と、夕刻のニュースで、昼前の豪雨で梅田一帯、特に「かっぱ横丁」の通路までが冠水したという。
MBSはすぐ近くだから、古潭の前あたりの「洪水」を映している。
こうなると野次馬としては集合住宅の理事長としてはじっとしてられない。サンダルばきで見物に被害状況視察に行く。
が、豪雨からすでに5時間以上経過、空は晴れていて、ほとんどの店は普通に営業している。
*
ところどころに土嚢が積んであったり、マットが干してある程度。期待した心配したほどではなかった。
(むしろ日曜休業の店(「九州」とか)の方が、床がドロドロのままで、やばいんじゃないか)
夜は粗食にてドライゼロ。
早寝するのである。
8月26日(月) 穴蔵
午前3時に目覚める。どうも3時が起床の定刻になってきたような。
昨日の引き続き、机に向かう。
室内29℃、外は26℃で快適である。
食事以外、作業継続、 8時間ほどで一段階クリア。
資料関係のことで播州龍野と図書館へ行かねばならぬが、明日以降にする。
午後は寝転がって読書。
イプシロン打ち上げを控えて、宇宙作家クラブの面々が昨日今日と鹿児島入りしているらしい。「群雲、内之浦へ」の様相なり。
おれは明日午後テレビ中継で観戦だな。
豪雨と大噴火がないことを祈るばかりだ。
内之浦 打ち上げてみれば うろたえの
御岳(やま)の高嶺に 塵は降りつつ
8月27日(火) 図書館/イプシロン/宇宙気流
・朝の通勤ラッシュが終わる頃に、地下鉄で西長堀の市立中央図書館へ行く。
書庫資料を出してもらうには、空いている午前中に限る。
色々調べて、2冊借り出し。
と、カウンターで「図書館カードが期限切れです」といわれる。
3年ごとに更新が必要(閲覧はカード不要)で、時々利用しているが、借り出さないから気づかなかったのである。
おれは図書館の無料貸本屋化には反対で、よほどの事情がない限り借りない(しかも貸出禁止の場合が多い)からである。
これは立場上、出版業界延命繁栄のためのささやかな支援(3千円以上の本は、図書館に購入希望を出すことはあるけどね)。
昼過ぎに帰館。
・13:30頃から、イプシロンの打ち上げを(地上波のテレビ中継なく)ニコ動中継で見るが……ん、打ち上がらない。
夕刻のニュースでは「打ち上げ19秒前に異常検知」「コンピューターがカウントダウンを停止した」「姿勢異常が原因」らしいが、機体そのものではなく、管制システム側に問題があるらしい。
次の予定は立たないな。
一般見学者には気の毒なことだが、宇宙作家クラブのメンバーは過去の経験から「想定内」のことではあろう。
しかし、しんどい取材だなあ。
・イプシロンに倣ったわけでもなかろうが、相棒の某くんから、タイムマシンのトラブルの連絡あり。
明朝、播州龍野へ行くことにする。
・「宇宙気流」80号が届く。2013年秋号。
1962、3年の「年表」と復刻記事と(当時からのメンバーによる)新しい記事が並んでいて、違和感がないのが恐ろしい。石川良宣さんのコラム「宇宙とおトイレ」は、半世紀前に読んだことを思い出したが、おれは今も「便所SF」書いたりしているわけで、やってることは変わっとらんのだなあ。
手塚治虫さんも会員であったことを知る。
おれがこの3日集中している作業も、これに似た「書誌」的編集。
ただ、深入りは禁物だな。古い雑誌類を繰っていると、周辺に調べたいことが派生的に拡がるからである。
一生の「研究ネタ」には困らないけど、今からヨコジュンになると身の破滅だからなあ。
8月28日(水) 大阪←→播州龍野/通り魔?
午前6時過ぎに出て大阪駅に向かう。
近くの公園を斜めに抜けるが、おおなんとおぞましいことでしょう、日頃子供たちが遊び演劇学校の生徒たちが練習している公園の地面が昨夜から夥しい鮮血に染まっていたとは知るよしもなかったのです。
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
9時前に到着、タイムマシン格納庫にて某国とトラブル関連で連絡業務。
言語が通じにくいが、写真や動画のやりとりが簡単になったのは便利である。
イプシロンに較べれば簡単なもの。
と、集合住宅関係で、携帯電話がやたらかかってくる。
要するに……
昨夜(本日0時30分頃)、近所の公園で男性会社員がとつぜん見知らぬ男に刃物で刺された。
わが集合住宅付近まで逃げたが追ってきたらしい。
おれがいつも利用するコンビニあたりで助けを求め、110番通報された。
男性は命に別状ないが重傷、犯人は逃走。通り魔か。
そういえば夜中にパトカーの音を聞いたような気がするが。
わが集合住宅の防犯カメラに写っている可能性あり、その扱いについてなど、電話錯綜。
捜査関係者とも話す(以下略)。
某新聞社が見せろと管理人に要求してきたとか、ややこしい連絡が続く。
防犯カメラのデータの扱いについては管理規約とマニュアルを整備する必要がありそうだ。
ボンクラ息子その1が「大丈夫か?」と電話してきた。
東京でも報じたのか!と驚くが、大阪の地方ニュース(テレビ)で見た「学友」が「お前んとこのネキに通り魔が出たで」とわざわざ連絡(それも複数)があったとか。
MBSが徒歩5分のところだから、詳しい映像が流れたらしい。
夕刻の電車で帰阪。
公園は静かなものである。
8月29日(木) 穴蔵
秋である。晴れて涼しく、エアコンは朝の直射時間1時間のみ稼働。
終日穴蔵。
まことに快適なのだが、仕事はガタガタ。
昨日の「通り魔」余波である。
特にケーサツの聞き込み調査については、理事長として、対応に困る。
1階インターフォンでどこかの部屋に聞き込み依頼。それでドヤドヤと館内に入りこむと、あとはランダムにチャイムを鳴らして、住人のいる部屋を回っているのである。これが管理人不在の時間にも。
これでは悪質な訪販と同じではないか。
一応、個別に1階玄関のインターフォンでアポをとってほしいと要望を伝えるが、全面禁止を申し入れるかどうか迷うところだ。(個人見解はいうまでもないが、理事長という立場だからなあ)。
「今も刃物を持った男がウロウロしてまんねんで」
「そいつがケーサツやゆうて入ってきたらどないすんねん」
が代表的意見となろうか。
これらに関連してゴタゴタあり、仕事にならんよ。
8月30日(金) 穴蔵/ウロウロ
台風接近? 朝は晴れていたが、雲が増え、小雨が降り出す。
こんな日は終日穴蔵にて仕事……といきたいところだが、そうもいかず。
月末の締め日で、集合住宅関係含めて雑事色々。
さらに「通り魔」の余波がつづく。
本日も「2名」が私服で廊下をうろうろ。これが(悪口にあらず)怪しげというかなんというか、不審者にしか見えないのよね。暴力団の抗争で、間違えて刑事が撃たれる事件があるが、なるほどと思う。
テレビの刑事ドラマがいかにリアリティ希薄かよくわかる。
集合住宅の理事長としては協力せざるを得ない。
なにしろ犯人はまだ捕まってないし、質問から推察するに、この地域に住んでいる可能性が高いと見ているような。
午後は梅田ウロウロ、主に金融機関など。
帰路、「殺人未遂現場」を通る。
このブランコ(うちのボンクラ息子どももよく利用した)で、カップルで語らっていたところ、男性が背後から刺されたという。
小雨が降り、公園には誰もいない。
*
雨よふれふれ 血糊を流すまで
どうせ返り血浴びつつ 夜毎わめく身は
ああ深まりぬ 心の暗闇
よがり泣く 夜の雨よ
8月31日(土) 穴蔵/ニューサン
曇天なり。
穴蔵にて集中的に仕事……といきたいところだが、本日も「通り魔」事件の聞き込み調査続行。
大淀署から2氏、わざわざ部屋まで「仁義」切りに来はる。ずいぶん低姿勢である。
この土日は管理人不在のため、こうなる。
手伝いはできないが、本件に関しては今後も館内に立ち入ってもらっていいと伝える。
困ったものだ。「通り魔」野郎が、だけど。
夕刻、専属料理人と歩いて久しぶりにニューサントリー5へ。
アルコール解禁後はじめてである。
ラスカルズの出演日。
おお、正面、柱の前の特等席。福田さんのボントロがいちばんよく聞こえる位置である。
*
ラスカルズは諸般の事情で4人(河合さん、川合さん、福田さん、木村さん)だが、ゲスト多彩。
在阪メンバーに加えて、コルネットの飯窪さんは沖縄で撮影旅行、東京への帰路に立ち寄ったという。
なんといっても、昨日から3日間、名手小林真人さんが来阪、本日ゲスト参加である。
明日の昼間も(加藤平祐さんらが参加しての)小林さん中心のライブがあるのだが、おれは別件と重なっているため、今日聴きに来たのである。
トラッドでは珍しくも小林さんのアルコでの「古き十字架」は名演という他ない。
すぐそばで某さんがDAT録音していたらか、後で色々とお願いすることにしよう。
と、薄い水割りを舐めつつ、最終ステージ、22:30まで。
演奏中に雨が降ったらしく、濡れた路面を、「通り魔」に用心しながら帰館。
蒸し暑く鬱陶しい8月が終わる。
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