『マッドサイエンティストの手帳』428
●マッドサイエンティスト日記(2008年5月後半)
主な事件
・創サポ講義(17日)
・御堂筋JAZZギャラリー(24日)
・天満JAZZ倶楽部(25日)
5月16日(金) 穴蔵
24時間連続睡眠は無理であるなあ。8時間が限度だ。
午前6時前に目が覚めて、あとは終日穴蔵にてボケーーっと過ごす。
出所の翌日はこんなものである。
DAICON7のプログレス・レポート。
前日の8月22日(金)のオプショナル・ツアーの案内が載っている。
午後、「水陸両用バス」で市内〜水都見学→市立科学館、一般見学(日本最初のロボット『学天則』の復元展示)、さらにオムニマックスで「かぐや」搭載のH2A打ち上げ映像鑑賞(これはおれも内輪で見せてもらったが、種子島へ行ったような臨場感がある)→付録として、おれが案内する「梅田地下オデッセイツアー」というのがあって、梅田で宴会というプラン。
梅地下ツアーが面白いんかいなという声があるかもしれないが、ま、これはビールを飲む前の散策であり、ツアー全体は「地→水→空→地下」と進行するのである。
「水陸両用バス」はおれも乗ってみたいので、全行程参加(翌日からのDAICONも)の予定である。
さあ、12時間睡眠に挑むぞ。
5月17日(土) 穴蔵/創サポ
終日穴蔵。
アタマが働かず、ボケーーーーッと過ごす。
雑誌を拾い読みしていたら、放送作家・鈴木おさむ氏の「結婚」に関するエッセイが目にとまった。
……「(妻は)ぼくのことが好きすぎて」「抱きついて『遠くへ行かないでね』と泣き出すほど」という。
それにつづいて「ただし顔は岡本太郎にそっくりですけどね」!
作者の紹介を読むと「交際期間0日で森三中の大島美幸さんと結婚」とある。
どういうことなんだ?!
「森三中」が何かわからないのでネット検索してみたら……なるほど似ているなあ。
衝撃で仕事が手につかなくなった。
夕刻、天満へ。
創作サポートセンター・専科の講義。
4編についてゼミ形式で行うが、おれには難しい作品ばかり。
・父が殺人犯となった家族(息子)の視点で犯罪の「二次被害」を描く短編。
・受験勉強に6年間明け暮れた女高生の鬱屈から起こす事件……この作品、宇宙飛行士を目指す男子同級生の描写が素晴らしい。
・神童だが妙なハンデを背負う少年を巡る学園小説。
・某遊郭をモデルに昭和史を描く構想のシリーズの1編(長編)。
おれなりに要約すればこうなる。
それぞれレベルは高く面白いのだが、わがメインの守備範囲「ハードSF」とはほとんど関わらない作品世界である。
おれなりにコメントしたが、ではこうすれば良くなるという具体的アドバイスが難しい。
ただ、他に適任者はいないらしい。
講師を困らせる作品が出てくることは、むろんいいことである。
帰館、夜遅い晩酌となる。
読みたい本が山積してきたなあ……。
5月18日(日) 穴蔵
終日穴蔵。
体調よろしくない。ほとんど寝て過ごす。眠れないが寝ているのがいちばん楽。
食事がすごく面倒に感じるから困ったものだ。
5月19日(月) 大阪→播州龍野
朦朧とした状態で、早朝、播州龍野へ移動。
午前9時に到着後、「下男」と「タイムマシン格納庫見張り」かけもち。
朝飯抜きで動いていたら、昼前になってアタマが少しスッキリしてきた。
無理して食わないことだなあ。
昼はうどん。夜は枝豆とヤッコでビール1缶。
四川省大地震で中国では「追悼の儀式」が行われているらしい。
72時間はとっくに過ぎているとはいえ、まだ「奇跡の救出」が続いてるんだろ?
阪神大震災の時に日本でこんなセレモニーあったっけ?
1年ならともかく、1週間で……その「黙祷」の瞬間にもまだ生きて救出に期待している人がいるかもしれないのによ。
わけのわからん国だ。
その国からタイムマシンの値引き要求が来たけど拒否。積極的に関わりたくはないのだ。
老母が寝たので、おれも少しは眠ることにする。
5月20日(火) 播州龍野の日常
昨夜来の台風の影響よる雨は上がり、晴れ上がる。
気分も体調も回復してきた。
朝も早よから下男仕事。
合間に『朝ミラ』を聞く。
本日のホームルームのテーマが「地下街」で、むさしくん、「梅田地下オデッセイ」もちょっと話題にしてくれた。
で、「今年のSF大会前日に『梅田地下オデッセイツアー』というのをやりまっせ」とメール送ったら、午前9時前に紹介してくれた。
梅田地下の「名所」は、やはりデーヤモンド……じゃなかった例の「五叉路」のようである。
ここは拙作には登場していない。30年前には完成するなんて思ってなかったものなあ。
ということで、今書いているのが『笑う闇』という短編。舞台は近未来の梅地下。後日譚というわけではないのだが。
下男仕事の合間にタイムマシン格納庫にて見張り番、さらに少しは原稿も書くのであった。
運動不足……というよりも脚を使わない……なので、夕刻30分ほど揖保川沿いに散歩。
昨日の雨で水量多し。放水路の噴流をしばし眺める。
これを見ていて、飛び込んで見たいと思わないやつがいるだろうか。いまい。
むろんおれはがまんするけど。
先日報道された「自殺を考えたことがある:30%」なんてアンケート結果、この程度のものであろう。
考える(思考するではなく、アタマに思い浮かべる)ことは誰にも許されている自由だからなあ。
設問者がアホなのである。
5月21日(水) 播州龍野の日常
昨日に引き続き、下男仕事とタイムマシン格納庫見張り番と原稿書きを1/3ずつ。
健康な生活というべきか。
朝刊に今日泊亜蘭氏の訃報。
60年代はじめに「宇宙塵」に連載されていた『刈得ざる種』(後に『光の塔』と改題される)を読んでから、もう半世紀近くになるのか……。
その特異な言語感覚に驚いたものである。
『光の塔』を取り出して眺める。
今見てもあか抜けたデザインだ。カバー折り返しには、北杜夫氏と星新一氏の推薦文。
「宇宙塵」経由で買ったからサイン入りである。
しかも……誤植数ヶ所が万年筆で訂正してある。サイン以上に貴重である。
確か70年代の後半に横田順彌氏が何かを教えて貰うために今日泊氏を訪ねている。
その時、SF全般の話になり、ヨコジュンのハチャハチャSFについて、
「作品の出来不出来は別にして、ありゃ本当のSFじゃありません。滑稽譚に分類されるものです」
「では本当のSFはどんな作品なんですか」
「今なら堀晃さんが書いているようなのがそうです」
これをヨコジュンから聞いて、おれは素直に感激した。
結局お目にかかる機会はないままになったが……
5月22日(木) 播州龍野の日常
本日も下男仕事とタイムマシン格納庫見張り番と原稿書きを1/3ずつ。
堅実な生活というべきか。
どうにか出口が見えてきた。
夜。老母就眠後にシャワーを浴びて、ちょっとニュースを見ていたら、「カーボン・ナノチューブで中皮腫」……うーん、軌道エレベーターに暗雲か。
おや、ホームページへのFTP接続ができない。トラブルなりや。
5月23日(金) 播州龍野→大阪
早朝から下男仕事。少しは仕事もするのであった。
午後「出所」、電車で大阪へ移動する。
久しぶりに帰宅するも、専属料理人はこれまたおれと似たような事情で実家行き、不在である。
夜はヤッコでビールを飲んでいたら、ボンクラ息子その2が、餃子、冷しゃぶ、サラダを作ってくれた。
読みたい本が溜まっているが、今しばし仕事が残っている。嗚呼。
おや、本日もホームページへのFTP接続ができない。JALI-NETはどうもプロバイダーの「お荷物」化している気配あり、引越を申し出るべきか悩むところだ。
5月24日(土) 穴蔵/御堂筋ジャズギャラリー
定刻4時に目が覚める。
少しは仕事もするのであった。
朝食なんぞ用意すらしたくない。食事なしで仕事するのがこんなに快適だとは……。
午後、肥後橋の住友クラブへ。
17年130回続いた「御堂筋ジャズギャラリー」の最終回で、本日はスイング(鈴木直樹+高岡正人カルテット)とデキシー(ニューオリンズ・ラスカルズ)の2会場方式。
おれは『ジョージ・ルイス』の販売もあってラスカルズの方へ。
ラスカルズは久しぶりにフルメンバーである。
50周年まであと3年。盛大なことになるぞ。
2ステージ終了後、会場を整理して、ビュッフェ・スタイルのフィナーレ・パーティとなる。
阿波踊りの「なにわ連」+鈴木直樹+高岡正人カルテットの「DANCE AWA」(鈴木直樹さんが阿波踊りをジャズ編曲したノリのいい曲)で賑やかに始まった。
末廣光夫さんの発声で乾杯。
なんとトロンボーンの宗清洋さんがパーティのみゲスト参加で、鈴木直樹さんとの2ホーン・セッション。
こんなのが聴けるとは……。
最後はキャンディ浅田の「パーティが終わって」でパーティは終わる。
17年間プロデュースしてこられた西川聖子さんに拍手である。
まっすぐ帰館。
夜はサントリー5ではラスカルズが引き続き演奏しているはずだが、雨強くなり、ちと田舎疲れもある。
本日も専属料理人不在につき、近くの“かんさいだき”「常夜灯」でビール、湯割りとする。
定刻22時そろそろ就眠……の前にパソコン、おっ、やっと復帰、FTP接続が可能となった。
でアップしたのがこの記事。
5月25日(日) 穴蔵/ワイルドバンチ/梅田地下街
定刻4時に目が覚める。
少しは仕事もするのであった。
昨日と同じなのであった。
午後、自転車でワイルドバンチへ。
DAICON7関係のスタッフ数氏来ていてちょっと打ち合わせ。
前日のオプション・ツアーやけったいな企画のことなど。
DAICON7には、おれは前日から全面的に参加である。
あとはバンチで夕刻まで天満JAZZ倶楽部の例会。
本日のメインテーマは「Duo」で、ナビケーターのakiraさんが最初にかけたのがチック・コリアと上原ひろみの東京ブルーノートでのライブ盤。
「これ、DVDで見られた方いますか?」に、
「ぼくはブルーノートで実物を見ました」とDAICONスタッフのK崎くん。SFファンはあなどれんぞ。
10人未満でちょっと寂しいが、ジャズヴォーカリストの中谷泰子さんも来られていて、色々と楽しい雑談会になった。
あと、夕刻、K崎くんと、DAICON前日のオプション・ツアー(その最後の方に「梅田地下オデッセイツアー」がある)の下見を兼ねて、梅田地下街をウロウロ。
最古の一角の雰囲気濃厚な「ぶらり横丁」で、どて焼き・串カツ・ホルモン・メザシ・ヤッコなど並べてビールを飲む、また楽しからずや。
「梅田地下オデッセイツアー」もこんな雰囲気になるはずである。笹本裕一さんも来る予定。面白ろなりまっせ。
5月26日(月) 穴蔵/ハチ
定刻4時に目が覚めたが二度寝して6時過ぎに起床。
少しは仕事もするのであった。
昼前にメール送稿、とりあえず懸案の事項はひと区切りついた。
午後、銀行関係その他雑事の処理があって梅田ウロウロ。
久しぶりにハチに寄って「ヒーコ飲んでよ、ズージャ聴いてよ」(←なんてフレーズ、半世紀前の牧伸司のフレーズであることを覚えている人も少ないだろうなあ)。
ハチの帰路、ミムラにも寄る。北村英治さんの1960年のLP復刻を見る……魅力的だが、もうレコードはなあ。
夕刊のトップ記事が「三浦雄一郎さんのエベレスト登頂」ニュース。
ただ……「世界最高齢登頂記録は地元ネパールの男性に譲った」とある。
ふーん。
それなら「世界最高齢登頂記録」を達成した「地元ネパールの男性」について大きく報道すべきではないかい? スポンサーがいたのか、どれくらい金がかかったのかも含めてさ。
年間数百人がゾロゾロ登っているらしいから、日本の高齢者が登ったといっても、おれはたいしたニュースじゃないと思うけど。ここは「世界最高齢登頂記録」を称えるべきじゃないか。
いや、エベレストより、火星探査機フェニックスが火星の北極近くに着陸した方が重大ニュースなんだけどね。
夕刻、専属料理人が帰館。
久しぶりに夕食を作ってもらう。
清水産鰺のひらき、黒はんぺん、しらすおろし、わさび漬けなど静岡メニューに、肉じゃが風煮込み、その他並べてビール、ワイン。
そろそろ早寝。
明日からまたど田舎で下男生活だからなあ……。
5月27日(火) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動。
しばらく下男モード入りである。
タイムマシン格納庫の裏側、鉄路に面しているのだが、その間には雑木雑草生い茂っている。これを伐採整地すると地権者から連絡あり、境界線の確認に立ち会う。
20歩ほどで鉄路に出られるようになった。
グラグラする汽車に乗って遠くへ……ってのがダラー・ブランドの曲にあったっけ。
いい演奏だったと思う。
引き込み線のある風景を見ていると、ちょっとセンチメンテルな気分になる……のだが、そこへ韓国から電話。
タイムマシン関係でもう30年以上の付き合いになるS社長の訃報。
お元気だと思っていたのだが……80歳前後かな……物凄く優秀な人で、おれは「タイムマシン業界」でずっと尊敬していた方である。
おれの韓国好き・韓国料理好きも、最初にこの方と仕事をして信頼関係が築けたこと(それは「論理」で色々とやり合った結果だけど)が大きい。
30年以上勤務していた会社を辞めたあと、最初に挨拶兼ねて会いに行ったのもこの方であった。2001年7月で、冷麺を御馳走になったが……あ、この時がお目にかかった最後か。
もう7年になるのだ。
葬儀は先週終わったらしい。
機会があれば、弔問に行きたい気分である。
ということで、下男仕事のあと、静かにビール飲み、早寝。
5月28日(水) 播州龍野の日常
朝も早よから粛々と下男仕事。
その合間は書斎にてボケーーーーッと過ごす。
庭に何か動くものが……。
野良猫かと思ったら、イタチだなこれは。S字型変形生物をやっつけてくれるのならいいのだが。
夕刻のニュース、本日の目玉は「船場吉兆の廃業」……食べ残しの発覚が5月2日で、おれは1週間以内に閉店と予想したのだが、よく持ったものだと妙に感心してしまう。少数の妙な客がいたのか女将の執念か。消えたまえ。あと、どんな業種が入るか。地味な通りだからなあ。リサイクルショップが名乗りをあげればいいと思うが。
などと愚考しつつビール、焼酎。
本日のおれが作ったメニューは枝豆、おぼろ豆腐、イカの一夜干し、ミニオムレツ、トマト・カイワレドバドバの盛岡冷麺。船場吉兆より豪華ではないか。
早寝するのである。
5月29日(木) 播州龍野の日常
朝も早よから粛々と下男仕事。
合間にタイムマシン関係の業務。某国とメールやりとり色々、こういう事案があるからspam防止をあまり強くもできない。困ったことである。
「コカ・コーラの立体商標認める」というニュース。
判決を出したのは知財高裁の飯村敏明裁判長。
飯村判事はこの事件の一審(東京地裁)で右陪席だった方である。
牧野利秋先生と同じく、知財関係の著名判例でよくお見かけする。
四半世紀前、ともかく優秀な判事に当たったものだと思う。
と、一方、kikulogで常温核融合の公開実験のニュースを知る。
荒田吉明先生といえば、おれの在学中に新進気鋭の教授(学部が違うから講義を受けたことはないけど、溶接には友人がいた)であり、その後、文化勲章まで受けた大学者である。
「先生、何やってんすか!」ってのは、こういう場合に使う台詞ではなかろうか。
ということで老母の夕食に合わせて晩酌。
書斎に戻るとまだ外は明るい。
梅雨入りが近いらしいが、夕空がなかなかの風情である。
早寝。
5月30日(金) 播州龍野の日常
わ、早寝したら午前2時過ぎに目が覚めてしまった。
まあよくあることだけど。
朝まで雑読。午前4時過ぎに朝刊の届く音。ノソノソととりに行く。たいしたニュースはないのだが。
と、午前5時過ぎに老母の起きる気配。
下男モードに入らねば……と思ったら、庭の草取りを始めた。
おれはS字型出現が嫌で、いかに下男に身をやつそうとも、庭仕事・畑仕事は絶対にやらんけんね。
ということで、それ以外の下男仕事していたら、たちまち夕刻となる。
ビール飲んで早寝。
5月31日(土) 播州龍野の日常
朝も早よから下男仕事。
田舎ストレス限界なり。
明日は出所できる予定。
早寝。
面白いことなんてカケラもなし。
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