『マッドサイエンティストの手帳』543
●マッドサイエンティスト日記(2012年12月前半)
主な事件
・ランチ・オン・ジャズ@ガゼボ(2日)
・大阪←→播州龍野いたりきたり
・第33回日本SF大賞(8日)
・青空書房(11日)
・Sunday at Jazz Club(15日)
12月1日(土) 穴蔵
定刻午前4時に起床。
寒いのであった。室温16℃で、これは真冬の室温。播州龍野なら6℃のはず。
冬型気圧配置。
終日穴蔵にこもる。
終日コタツで本を読んで過ごす。某賞の候補作である。
おれは「書く」より「読む」方が好きだが「選ぶ」のはつらいなあ。
たちまち夕刻。
夜は専属料理人がスズキのアクアパッツア、男爵をスープでなんとかしたのとか生ハムサラダなどを並べる。
ブイヤベースかと思ったらアクアパッツア。寄せ鍋と水炊きのちがいのようなものらしい。
某(S字型ならぬU字型)さんからいただいたワインを飲みつつ、デフランコ師匠、トミフラ師匠、パキート師匠を聴く。
バカップルの騒音に悩まされるライブより、この方がよほどいい。
12月は家呑みとする。
12月2日(日) 穴蔵/ランチ・オン・ジャズ@ガゼボ
定刻午前4時に起床。
ゲラの校正が1件あり、マジメに机に向かう。
あとは「SF読み」のつづき。
昼過ぎに出て、地下鉄で本町へ。
靫公園を30分ほど散歩。公園には誰もいない。
12月のバラ。センチメンタルになるぜ。
靫公園東側のガゼボへ。
「Heisuke & Junnnichi Jazz Band」のランチタイム・ライブ……これで3回目である。
一昨日のバカップルに懲りて、ライブはしばらくやめようかと思っていたが、トラッド系は気心知れた人とその同伴者が中心で、一昨日みたいな非常識なのはまずいない。
カツサンドでワイン飲みつつ、安心して聴ける。
*
1920〜30年代のヒット曲や賛美歌中心に。
加藤〜秋定〜川合、ますます充実してきた感じだ。
15時前まで。
ぶらぶら歩いて帰館。8,300歩になった。
ということで、夜は粗食にて軽く一杯。
米朝師匠のDVD『茶漬間男』『夏の医者』を見る。感涙つうより嬉し涙か。
本日は、SFを読み、ジャズを聴き、落語を見る、こんな贅沢な日があっていいものか。いいのである。
早寝するのである。
12月3日(月) 大阪→播州龍野
午前3時に目が覚めた。
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
午前9時の龍野書斎の室温は6℃である。予想どおりであった。
ストーブを出したり、居間にコタツをセットしたり、肉体労働色々。
年度末の諸々があって、金融機関関係ウロウロ。
クルマの定期点検があって某自動車へ行く。
あと、タイムマシン関係の打合せなど。
午後、1時間ほど龍野公園へ行ってみる。
聚遠亭などの紅葉はほとんど散っている。
*
所どころに数本残っているだけ。1週間前がピークだったんだな。
ということで、たちまち夕刻。
たちまち暗くなる。
久しぶりに、ひとり寂しく、播州龍野にて一杯飲んで寝る。
12月4日(火) 播州龍野→大阪
播州龍野にて午前3時に目が覚める。
寒い……と覚悟していたのに、暖かいのであった。ストーブつけたまま寝たのであった。
本日も雑事あれやこれや。
荷物の到着待ちの必要あり、待機時間が長い。
昼間は本を読みつつ断続的にテレビでニュースを見る。
鳥取の「強盗殺人」で、「元スナックホステス」上田美由紀への判決は「主文後回し」……つまりは死刑言い渡し待ちが3、4時間。こちらも待機時間が長い。
それにしても、この顔で「スナックホステス」がつとまったのは驚異だ。
夕刻の電車で帰阪。
須磨通過時に日没となる。
とつぜん48年前に思いついたアイデアを思い出す。『紀淡海峡の謎』という短編(作者はたしか高橋泰邦氏だったと思う)を読んで、潮流を利用したトリックが「宇宙気流」に拡大できると、ちょうど須磨を通過中に思いついたのであった(『漂流死体』という戦記もの……これは偽密書を持たせた軍人の死体を敵の海域に流す作戦……との組み合わせのアイデア)。メモもしてないのに、なぜ半世紀近く経って思い出したのか、ちょっと不思議である。もう書けそうにないけど。
12月5日(水) 穴蔵/ウロウロ
わ、本日も3時に目が覚める。
朝まで本を読んで過ごす。
そのまま、昼前まで。
午前11時〜午後1時、金融機関その他の用事があって梅田ウロウロ。
昼は駅前第4ビルの某韓屋で550円のスンドウフ定食を試みる。小ぶりの鉄鍋で、量的には結構な。
午後は穴蔵にこもる。
夜は粗食にてビール。
と、東京のボンクラ息子その1が出張で高槻に来ていて、新幹線の最終に間に合わないので泊まりに来るという。
がんばっておるのだ。
わしゃ早寝。
12月6日(木) 穴蔵
定刻午前4時に起きる。
午前6時前に「自宅」へ行ったら、ボンクラ息子その1が朝食中。6時半頃ののぞみで「出勤」という。
まあ、おれも30年前はこうだったなあ(35年前には、専属料理人が新大阪から始発で「出勤」したこともあるけどね)。
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
夜は専属料理人が並べてくれた鰺のムニエルその他でビール、ワインを少しばかり。
枕頭に本を積み上げて、朝まで読んだり寝たり読んだり寝たり…のつもり。
12月7日(金) 穴蔵/ウロウロ/青空書房
定刻午前4時に起きる。
マジメに机に向かう。
ちょっと調べたいことがあり、通勤ラッシュが終わる時間に、地下鉄で西長堀の市立中央図書館へ行く。
午前中2時間半の予定が1時間もかからずに終わる。
雑誌のバックナンバーをチェックしたかったのだが、不揃いのため、断念したというべきか。
雑誌の旧号を借り出す人が多いんだなあ。
(荒本の府立図書館は雑誌は貸し出し禁止だが、高い電車代を払ってまでのことではなし)
天気がいいので、西長堀の西南エリアを散歩することに。
南堀江〜千代崎〜大阪ドームまで、意外に近いのであった。
*
木津川と道頓堀側が交差する川の十字路……これは大阪で好きな場所のひとつ。
大正駅まで歩く。
「いちゃりば」でソーキそばを食べたいが、ちょっと時間が早い。
ここから大正区のディープエリアにも行ってみたいが、バスしかないので後日とする。
環状線で梅田に戻る。
かっぱ横丁の古書店のワゴンに銀背が並んでいる。
すべて1冊800円。龍野には16万円ほどあるわけか。
午後は穴蔵にこもる。
「明日」の準備色々。
19時から晩酌。
湯豆腐や白菜とチーズを蒸したなんとかとか色々でビール。
NHKの午後7時のニュースは地震関係ばかりであったが、19:30〜「かんさい熱視線」という番組が、なんと青空書房・坂本健一さんの特集である。
休日にシャッターに貼られる「ほんじつ休ませて戴きます」のポスターの絵と言葉が話題になっている。
「青空書房の青空」に詳しい。
坂本さん、89歳だが、まだ自転車に乗ってはる。点滴を受けたり、木曜も休みにしたり、たいへんなようだけど、店は元気に続けてほしい。
ま、来週行く予定だけど。
12月8日(土) 上京/第33回日本SF大賞
昼前の新幹線で上京する。
品川で降りて浜松町へ。
もう来る機会がなさそうなので増上寺を30分ほど見学する。
20年ほど前に東京タワーの下にあったイトーヨーカドーに来たことがあるなあ。
その前から構想している作品……梅田からスタートして、クライマックスは東京タワーなのだが、スカイツリーに変更すべきか。体力的に、書けそうにないけど。
徳間書店へ。
日本SF大賞の選考委員会である。
委員は、冲方丁さん、貴志祐介さん、豊田有恒さん、宮部みゆきさんとおれ。事務局から増田まもるさんと北原尚彦さん。
3年間委員を務めてきて、今回が区切り。
第33回日本SF大賞候補作は、
『機龍警察 自爆条項』月村了衛(早川書房)
『ゴースト・オブ・ユートピア』樺山三英(早川書房)
『屍者の帝国』伊藤計劃×円城塔(河出書房新社)
『シュルレアリスト精神分析―ボッシュ+ダリ+マグリット+エッシャー+初期荒巻義雄/論』藤元登四郎(中央公論事業出版)
『Delivery』八杉将司(早川書房)
『盤上の夜』宮内悠介(東京創元社)
2時間半ほどの友好的議論の末、2作同時受賞、1作を特別賞と決定。
大賞は『機龍警察 自爆条項』と『盤上の夜』
特別賞に『屍者の帝国』
わがコメントは選評に書くので、ここでは割愛。
しかし、ともかく、『機龍警察 自爆条項』『盤上の夜』2作の同時受賞、なによりであった。
夕刻から近くの中華店でちょっと一杯。
と、しばらくして月村了衛さんが到着。拍手でお迎えする。
担当編集者のIさんも。なんと『華竜の宮』の担当でもあって、2年連続である。
色々しゃべるが、月村さんは大阪出身(福島区)で、32年前におれが市立中央図書館でやったSF講座に「(受験生時代に)行ってました」という。感激するなあ。聴者は30人くらい(半分は旧知のSFファン)だつたが、平谷美樹さんも来たはったのである。
(記念撮影もしたけど3月1日の授賞式まで非公開。作品から、筋肉質で喧嘩も強そうな人かと想像してたら、繊細な感じの優男であった。)
あと、ひょっとしたら宮内悠介さんも来られるらしいのだが、時間切れ。
20時ののぞみで帰阪するので、残念ながら中座となる。
久しぶりに楽しく刺激的な会であった。
隣席の豊田有恒さんが、例によって「手癖」で小さい折り鶴を作成。
おみやげに持って帰る。
深夜近くの帰館。
12月9日(日) 穴蔵
終日穴蔵。
ボケーーーーッとして過ごす。
東京日帰りはしんどくなってきたなあ。
たちまち夕刻。
専属料理人が並べた牡蠣バター焼きなどでビール、ワイン。
リゾットで仕上げ。
早寝するのである。
12月10日(月) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に起きて机に向かう。
たいした仕事はしないけど。
通勤ラッシュ時に歩いて大阪駅を通過。
8時過ぎに桜橋の某院へ。
先日の「某装置を装着しての24時間データ収集」の結果を聞く。
むむむ。ノーコメントとする。
当面、心配せんでもいいが少しは心配もしろ、ってとこか。
待合室で旧知のTさん(昔の勤務先の先輩)とばったり。こんなところで再会とはなあ。
お互い禁酒はいわれてないので、年内に一献の約束をして別れる。
また大阪駅を通過して帰館。
*
大阪駅の北側コンコース、恐ろしく風が冷たい。
京都以東、雪でダイヤが混乱しているような。
まっすぐ帰館。
あとは終日穴蔵にこもる。
SF大賞関係で刺激を受けて、おれも少しは何かをやらねばの気分なのである。
小沢昭一の訃報。83歳というのは、若いといえば若い。
正岡容門下ではまだ「中堅」ではないか…と思うこちらが、もう老齢か。
小沢昭一といえば、ラジオやら色々あるが、やっぱり日活時代が面白かった。
アキラの『銀座旋風児』シリーズもよく見たが、なんといっても野坂の「エロ事師たち」を映画化した『人類学入門』、そして続編的な『経営学入門・ネオン太平記』(←このタイトルバックに桂米朝師匠と小松左京氏が登場する)が突出していたなあ。
12月11日(火) 穴蔵/青空書房
わ、寝坊した。午前6時に起きる。
おや、円城塔さんに「咲くやこの花賞」のニュース。
これは大阪のローカル賞で、「大阪文化の担い手として将来を期待される新人に与えられる賞」。1990年に桂吉朝さんと小佐田定雄さんがいっしょに受賞している。この時は35歳以下ということで、おれもかんべむさしも資格はなかったのであった。ちょっとうらやましかったなあ。今は40歳までになったのかな。…円城さんはすでに「咲いて」るし、「上方文化」期待というのもちょっとヘンな感じがするけど、受賞はなによりである。
咲いても咲かなくても賞を取る作家はいい作家だ。ちょっと違うか。
昼前に出て、歩いて天五の区役所へ。
12月16日に亡母の三回忌の行事を姫路で行うので、本日、期日前投票を行う。
小選挙区に支持者なく比例区に支持政党なしという困った選挙である。しかし、意思表示はしとかなきゃなあ。
区役所から徒歩5分で青空書房へ。
京都からSF友の山本孝一さんが来てはる。年末恒例「すぐき」を持ってきてくださったのである。
*
先日来、テレビで話題の坂本健一さんを挟んで記念撮影。
(こんなの公開していいかな。ま、いいでしょう)
坂本さんは89歳、米朝師匠よりも年上なのである。
店であれやこれや雑談。
あと、玉一にて山本さんと焼肉定食でビール。SFよりも上方落語関係についてあれやこれや。
楽しきかな年末の一献。
ということで、昼はヘビーな焼肉だったので、夜は湯豆腐、煮物など軽いメニューで晩酌。
いただいた「すぐき」で、近所の中本酒店推薦の「吉乃川」(辛口)をチビチビ。
たまらんなあ。
年の瀬を実感する。
12月12日(水) 穴蔵/キャンドルナイト
寒いのであった。
午前、雑事にて市内ウロウロ。
昼前に戻り、終日穴蔵にて、少しは仕事もするつもり……であったが、昼に仰天ニュース2件。
・北朝鮮がミサイル発射……しかも、人工衛星?を軌道に乗せたらしい? あなどれんぞなもし。今朝の1段目の入れ替え中とか解体って報道は何なのよ。
・角田美代子が留置場で自殺。うーん。永田洋子みたいに「死ぬのが怖い」とジタバタしまくる婆アと思ったがなあ。自分で自分の首を絞めて死ねるものか。
で、午後は報道番組を見て過ごす。さっぱりわからん。
なーんもわからんまま、たちまち夕刻。
専属料理人の並べた、肉じゃが、もやしのなんたらなどでビール。あとは寒いので、すぐきなどで「吉乃川」の熱燗。
体が温まったので、20時過ぎ、専属料理人と茶屋町界隈へ。
恒例1000000人のキャンドルナイトWinterを見に行く。
*
人出多し。
雨も降らず、なによりであった。
12月13日(木) 穴蔵
終日穴蔵。
午前中、少しは仕事もするのであった。
断続的に「北朝鮮の人工衛星」と「角田美代子の自殺」ニュースを見るが、どの新聞もどの局も、おれが昨日感じた謎は解けないまま。憶測報道ばかり。
午後、アマゾンから荷物が届いた。
ジャーン。
*
「桂吉朝全集」DVD7枚組である。
14席収録。古典的なのが収録されている。
『口入屋』『千両みかん』『地獄八景』など、ないのを挙げればきりがないけど、贅沢はいうまい。特に『くしゃみ講釈』がないのは寂しいが、『吉朝庵』の付録にCDあり。
私家版の『死人茶屋』3席はおれは持っているし、『弱法師』CDもあり。
あとは『晴姿錦宇留虎』がほしいなあ。
まず『蛸芝居』を堪能。
あとは、少しずつ、年末年始の楽しみとする。
読みたい本や見たいDVDが色々たまった。
20日くらいに仕事納めにするつもりなり。
12月14日(金) 穴蔵
終日穴蔵。
あまり仕事はせず、本を読み、落語のDVDを見ていたら、たちまち夕刻となった。
夜は中華系メニューでビール。
あと、某方面よりいただいた、本町某ホテル特製のシュトーレンでグラスワイン。
ドイツのクリスマス・ケーキ?だそうで、日持ちするから、薄くスライスしたのを少しずつ食べるらしい。
ということで、3日に1スライスくらいで、クリスマスに完結する予定とする。
12月15日(土) Sunday at Jazz Club
午前中、少しはマジメに仕事をする。
午後、天五のバンブークラブへ。
「Sunday at Jazz Club」例会……事情あって本日が最終回である。
5年近く前に、ワイルドバンチで「天満ジャズ倶楽部」として発足した気楽にジャズを聴く会、おれは2008年3月16日して以来、だいたい毎月参加してきた。
途中から場所をバンブークラブに移して、名称を「Sunday at Jazz Club」に変更。
ともかく4年半以上、色々な方と知り合い、ジャズ談義しながらの、楽しい会であった。
本日も、年末で、今年のベスト盤や珍品の持ち寄り大会。
おれのベスト盤はエヴァン・クリストファーである。
デフランコ師匠の映像にはしびれるねえ。
最終回なので、あとで一杯飲もうかという話もあったのだが……Tさんが、来春から世話人を引き継いでやるということになり、ほっ。
しばらく冬休みだが、春の再会を楽しみとする。
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