『マッドサイエンティストの手帳』527
●マッドサイエンティスト日記(2012年5月前半)
主な事件
・大阪←→播州龍野いたりきたり
・ジャズ+ロボット(3日)
・キャロル・リー(4日)
・3clセッション(4日)
・BIG RIVER JAZZ FESTIVAL 2012(5日)
5月1日(火) 大阪←→播州龍野/ブルーシートは残った
相変わらず寝転がって、読んだり眠ったりちょっと起きたりの繰り返し。
これを58時間続けたら、さすがに飽きてきた。
飽きるということは、体が回復してきた証拠であろう。
午前7時に起きて、播州龍野へ向かう。
車中、ほとんど居眠り。だが、体を動かしていたら、しだいに「普通」に戻る感じだ。
ボンサラ時代だと、この程度のことで休むことはなかったものなあ。
安易に「大事をとる」のがいかんのだ。
播州龍野にて雑事色々。クルマは運転せず。
昼過ぎに片づく。
SFマガジン61年8〜11月号(「無頼の月」掲載の4冊)をバックに入れて、午後、帰阪することに。
本竜野駅前。
新駅舎が完成して以来続けられていた、駅正面約300メートルの道幅拡張工事がほぼ完了である。
駅前ロータリーも完成。観光案内板には「堀家住宅」も紹介されている。
*
駅の正面には、車道を挟んで、広い歩道がまっすぐに延びる。
まことに結構なのだが、駅にいちばん近いところに、ブルーシートが居座ってるのよね。
*
だから駅は見えない。
見えないだけでなく、この部分で歩道が途切れるから、車道を歩かなければ駅に行けない。
これは相当危険だ。
強制執行できるらしいのだが、(あくまでも噂ですが)県庁の役人が嫌がって代々先送りしてきたために、こうなっているらしい。
事故で死者が出るまで役人は動かんのかね。
龍野珍景の代表格になりそうである。
駅と歩道に挟まれて
静かに居座るブルーシート
あなたがエゴを貫いた
暗くて陰気なブルーシート
きっとあなたはキャタピラの重みが
キャタピラの重みが苦しくて
吐血をどっと流すでしょう
ブルーブルーブルーシート
5月2日(水) 穴蔵/某懇親会
本を読んだり少し眠ったりの繰り返しのうちに朝となる。
体調はまあ普通の状態になったので、午前4時に起床。
ふだんの生活パターンに戻らねば。
穴蔵にて雑事。
夕刻、阪急石橋へ。
連休で帰省しているタイムマシン関係のパートナーと海鮮居酒屋にて一献。
カレイの活き作りでビール。
あと、ふだんと傾向を変えて、カニコロッケなどでワインをということにする。
と、出てきた安ワインがマコンであった。
なんと懐かしい。6年ぶりである。
24年前にワイドショーで大騒ぎになったアホ事件を思い出す。
銀座に「まこん」なんて名の店を出すセンスには呆れるねえ。
キタ新地に「おこめ」という店を出すようなもの。
……などと、ひとしきりアホな話となる。
さっと切り上げ、まっすぐ帰館。
やっぱり早寝するのである。
5月3日(木) ジャズ講演/ボンクラ息子の帰還
相変わらず眠り断続的。
曇天なり。
本日、高槻ジャズストリートに行くつもりだったが、予定変更。
昼前に、中津からバスで中宮へ向かう。
本日ロボカップ ジャパンオープン2012大阪開幕。
会場は旭区の大阪工大。
併設研究会や講演会もあり、目玉は、浅田稔先生主催のJSPS(ロボット共生社会実現に向けたロボットの知能発達)研究会。
本日はそのひとつ、大塚善章氏による招待講演「関西ジャズからはじまる大阪街おこし」である。
ジャズストリートよりも「ジャズ+ロボット」の方が面白いではないか。
この講演のみ、キャンパス西端にあるOITホールで開催である。
行って納得、100人ほど入れるホールで、ステージにはピアノがセットされている!
話の合間に「Don't Be That Way」「慕情」「聖者の行進」「Basin Street Blues」の4曲が演奏された。
大塚善章さんの話術は抜群に面白く、話題も多いが、「ジャズによる街おこし」というよりも「大阪の街(演奏環境)がジャズをどう変えたか」という視点から、(カフェにはじまるはずだが)自分が体験してきた、ダンスホール、キャバレー、ジャズ喫茶、ライブハウスへの変遷と、ラジオ、テレビの影響など。それらを踏まえて「ジャズとロボットの共生」に関する提言まで……なるほど演奏者は街の変化をそんな風にとらえているのかと、感心することしきりである。
終了後、ちょっと挨拶。
ついでに前からずっと気になっていたことを質問する。
「大映の田宮二郎主演『黒の凶器』(1964)の音楽は大塚さんが担当されたのでしょ?」
「ええ、そうです」
「あれ、なぜクレジットが大塚善升になってるんですか?」
「えっ、そうなってた?!」
半世紀近く、まったく気づかなかったという。
大映の単純な表記ミスらしい。その後の「酔いどれ波止場」「あの試走車を狙え」ではちゃんと大塚善章と表記されている。
ま、一件落着。
せっかくなので、大阪工大裏側の淀川堤(わんど)を散歩する。
受験会場がここであった。
*
48年前の冬、荒涼とした冬枯れの葦原がひろがっていて、休憩時間中、飽かず眺めていたものである。
以来、毛馬堤からこのあたりまでの淀川が、大阪でいちばん好きな場所でありつづけている。
城北公園を歩き、バスで帰館。
夕刻、「本日から4連休」ということで、ボンクラ息子その1が配偶者とともに帰ってきた。
ボンクラ息子の帰還。
専属料理人が張り切って盛大に並べる。
↑これはごく一部。
「放蕩息子の帰還」に較べれば、ささやかなものである。
ビール、ワインなど飲み、早寝。
5月4日(金) キャロル・リー/3Cl Session
曇天がだ、天候不順、時々晴れたり、変わりやすいのである。
>昼前に出て、梅田〜堂島〜肥後橋〜靫公園まで歩く。
靫公園東側の「ガゼボ」にて、ランチコンサート。
Big River Jazz Festivalのために来日してキャロル・リーを中心に、河合良一カルテットのライブ。
靫公園の新緑を背景に、ランチメニューで軽くビール飲みつつ、トラッド・ジャズを楽しむ。
優雅な時間である。
キャロル・リーは13年前にニューサンで聴いているし、ラスカルズ40周年など、何度か聴いているが……まあ、お互い、歳だなあとも思うことあるよ。
何を思ったか、ベースの村橋さんに、キャロルがアドリブ?で「Love Love Love!」を連唱。
とつぜんの「求愛」に村橋さんが戸惑うというか照れるというか、その表情がなんともおかしい。
*
あとで雰囲気を再現してもらった。
15時過ぎまで。
仲間内数名で、靫公園南側の「タケウチ」へパンを買いに行く。
祭日だが営業していて(15時半まで)ギリギリ・セーフ。
「フランスあんぱん」は売り切れであったが、幾つか買って帰る。
専属料理人、大喜び。
夕刻、チーズなんとかパン1個で白のグラスワイン。
日没後また梅田へ歩く。
ロイヤルホースへ。
このところ毎年5月恒例のライブ。谷口英治の来阪(高槻ジャズストリート)にあわせてのライブである。
3 Clarinet Session
谷口英治、鈴木孝紀、滝川雅弘 (cl)
笹井真紀子(p)宮上啓仁(b) 佐藤英宜(ds)
今、日本で考えられる最強の3ジャズ・クラリネットである。
ええっと、曲名は省略。
フレディ・ハバードなどのモダンな曲がいい。
鈴木くんのクラリネットがルブラン? に変わっている。バレルがちょっと膨らんだBACKUN、ベルもBACKUN。エディ・ダニエルズが愛用しているとか。そういえば土井徳浩さんが使っていたはずだ。
しばらく聴かないうちに、進化が著しいなあ。
本日は(専属料理人がボンクラ息子の方にかまっているため)おれひとり。
*
終演後、旧知のジャズ・ファン、大椨(たぶ)さんご夫妻と、谷口英治さんを挟んで記念撮影。
相も変わらず、ジャズと落語では、おれは単純にミーハーなのである。
5月5日(土) Big River Jazz Festival/SF検討会
久しぶりの快晴、五月晴れである。
熟睡、気分良く目覚めた。
痰がすこしひっかかるが、体調はほぼ復帰である。
久しぶりに自転車で出かけることにする。
モバナビを使用。目的地をOAPに設定する。
Big River Jazz Festivalへ向かうのである。
OAPへの経路は熟知していて、眺めのいい道、安全な経路、すべてわかるが、本日は(本末転倒だが)モバイル・ナビゲーションが「最短距離」でどんな指示を出すかのチェック走行である。
ま「ロボット共生社会実現に向けたロボットの知能発達」実験のひとつである。
中崎町の路地を細かく曲がって抜ける。
一箇所、余計な「陸橋」を渡らせられた。
ということで、OAPに11時過ぎに着。
川風に吹かれつつ、新緑のなかでトラッド・ジャズのライブを楽しむ。
*
↑写真はステージ背後から撮ったもの。
本日、リバーボートも船の「甲板」での演奏で、好天なによりであった。
夕刻帰館。
連休の特別企画。
かんべむさしくんが、西宮図書館での講演(小松左京の西宮マップ)を終えて、1本ぶらさげて(←チンポではなく焼酎/今岡じゃないんだから)来穴蔵。
定員2名内容非公開のSF検討会を開催する。
ビール、焼酎の水割り飲みつつ、友好的激論、気がつけば4時間近くが経過していた。
人間の本質を見抜くにはおれは苦労が足りない(今さら苦労することもないのだが)ことはよくわかった。
……かんべさんの方が苦労しているとか、どちらが立派とかいう話ではないよ。
せっかくの「苦労」がろくでもない方向に発露している事例が多すぎで、列挙するだけでも話題にこと欠かないのであった。
寝る。
5月6日(日) 穴蔵
朝だ。雨が降っている。浅田飴がないので、味覚糖のハーブ&ミルクののど飴をなめる。
体調は回復。喉の調子だけがいまひとつ。
朝6時に「自宅」へ行って、家族揃って朝食。
こんな時間に珍しいことだが、ボンクラ息子その1とその配偶者が7時過ぎの「のぞみ」で東京に戻るので、お別れ朝食会である。
あとは終日穴蔵。
たいして仕事ははかどらず。
午後は快晴となった。
もう出歩く気分にもならず。
ほぼ終日、ボケーーーーッとして過ごす。
連休の最終日にふさわしからずや。
夜は粗食(健康食とも申せましょう)で軽くビール。
早寝するのである。
5月7日(月) 穴蔵/ちょっと一杯
世間の連休は終わった。
おれも、この間、けっこうジャズ浸りだったから、世間並みに少しは仕事もしなければならぬ。
終日穴蔵。
夕刻梅田へ。
学友のチャンタくんと会い、ヤキトリ屋で一献。
あと、ニューサントリー5へ行く。
MITCHの出演日であった。
*
永田充康(ds)くんもゲスト出演。
久しぶりに生きのいいニューオリンズ・サウンドを聴く。
結局、最終ステージまで。
飲み過ぎである。
深夜の帰館。
5月8日(火) 穴蔵
二日酔いか。
ともかくしんどい。
食欲もなし。
終日穴蔵にてほとんど寝て過ごす。
5月9日(水) 穴蔵
体調はなんとか回復。
朝、近所のY医院へ定期検診に行く。
血圧は正常である。肩凝りがひどいが、血圧のせいではないらしい。
本日も穴蔵にて、雑用を少しずつ片づける。
ほとんど歩かず。
播州龍野にてややこしきことなど発生。
明日は西に向かわねばならぬ。
早寝。
5月10日(木) 大阪←→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
雑事色々。
主な用件はタイムマシン格納庫のそばにある「別荘」の解体工事立ち会い。
13年前に、別荘を複数入手したなどと豪語したが、ずっと前から老朽化、ほとんど廃屋で、倒壊とか火災で周囲に迷惑をかける危険性まで出てきたのである。
解体する他ない。
昨日から工事が始まった。
*
派手にやってくれるぜ。
2、3日で片づくようである。
あと登記の抹消とか、ややこしい手続きを色々やらねばならぬらしい。
また来ることにして、他の用件を片づけ、夕刻の電車で帰阪。
しかしまあ、体を動かすと、元気が戻ってきた。
粗食(健康食とも申せましょう)にて軽くビール。
早寝するのである。
5月11日(金) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に起床。
体調は戻ったようである。
粛々と雑事の処理。
昼、専属料理人と梅田に出る。
金融機関など回った後、マルビル地下の(専属料理人が贔屓という)「八かく庵」なる店でランチ。
豆腐が売り物の店。「豆腐づくし」というが、こりゃ精進料理である。
おれは(米朝師匠、米二師匠と並ぶ…と自負するほどの)豆腐好きだが、シンプルな湯豆腐が好きなのであって、豆腐を食材とする料理がすべて好きなわけではない。こう色々なバリエーションを並べられてもなあ。
チャーちゃんなら「そら、おまはんのいうとおりや」といってくださるであろう。
「八かく庵」には二度といかない。
ということで、昼食後、専属料理人と別れ、ヨドバシ、書店など回って帰館。
4月上旬並の気温とかで、風が冷たい。
冬型気圧配置で、JR大阪駅北口から見上げると、まさに冬の空である。
ということで、夜は(さすがに湯豆腐で熱燗とはいかず)初夏パスタというか、ボンゴレとサラダなどで白ワイン。
早寝するのである。
5月12日(土) 穴蔵/ウロウロ
定刻4時に起床。
粛々と雑事の処理。
ちょっと調べたいことが複数件たまったので、10時過ぎに出て西長堀の市立中央図書館へ行く。
が、目的の6冊、全部ない!
小説誌のバックナンバー(最新号以外は借り出せる)が歯抜けなのが嘆かわしい。小説に限らず、雑誌は借りてまで読むものかよ。雑誌は鮮度だろうが。
よくわからんのが岩波の荷風全集。
書架にある全30巻のうち、断腸亭日乗の2冊だけが見あたらないのである。
近くのテーブルで読んでいる人はいない。
端末の表示とも一致しない。端末では「書庫資料」となっていて、貸出中ではなく予約もない。書架のは端末表示と別なのか?
カウンターで訊いてみようかと思ったが、時間がなく、見送り。謎のままである。
(ちなみに、おれの手元の断腸亭は岩波文庫の磯田光一によるダイジェスト版。それだからいかんのか)
しかしどうも、中央図書館も本来の図書館機能は果たさなくなっているなあ。荒本の府立図書館へ行くのは交通費がバカ高だしさ。橋下くん、なんとかしてくれたまえ。
昼過ぎに図書館前でかんべむさし氏と待ち合わせ、阿弥陀が池の某事務所にて某打合せ。
心斎橋まで歩いて地下鉄で帰館。
6,015歩。
歩行状態も3日連続で5千歩超え。
やっと復調か。
5月13日(日) 穴蔵/ウロウロ
定刻4時に起床。
粛々と雑事の処理。
日本橋へ部品を探しに行く用件が発生。
天気がいいので、久しぶりに自転車で行くことにする。
雑踏とメインストリートは避けて、路地裏経由で北浜まで行くが、堺筋は危険だし、案外人出が多い。
御堂筋で何かイベントをやっているらしい。
北浜に自転車を置いて、地下鉄で恵比須町往復。
帰路、中之島のバラ園を抜ける。
*
庶民が鑑賞してはるのであった。むろん、善良なる貧民のおれは自転車は押して、隅の方を歩く。
大阪市は、中之島公園を天王寺公園みたいに有料化しないように。
さらに帰路、丸善&ジュンク堂によって、荷風全集をチェックする。
市立中央図書館とちがって、全巻揃っている。先にこちら来ればよかったのだ。
※調べたかったのは、竹中労が地下鉄(上野〜田原町と推測できる)で荷風に席をゆずったという年月日である(再読した『ルポライター事始』の記述)。この時期(昭和27年5月)の断腸亭記述は簡潔(1日1行)になっているが、それでも、竹中労の記述に疑問が残る。「夜銀座」「夜浅草」とはあるが、昼間出歩いた形跡がないのである……と、そんなこと調べてどうすんのよといわれそうだが、気になることは気になるのである。
丸善&ジュンク堂に申し訳ないので新書2冊購入。
午後は寝転がって、本を読んで過ごす。
5月14日(月) 穴蔵/ウロウロ
定刻4時に起床。
粛々と雑事の処理。
最近こればっかり。マジメに生活しているのである。
昼前に自転車で出て、西天満の米朝事務所へ行く。
7、8年ぶりかな。『桂歌之助』出版の頃に本を運びこんだりして以来。
本日は小松左京追悼イベントのプログラム(作成中なのである)用の資料を借りるため。
ついでに、前から欠番になっている米朝師匠のDVDを購入。ここはamazon(中古も含めて)より安いのである。嘘だと思ったら調べてみられよ。
ということで、帰館後、夕刻、一席を楽しむ。
夜は、粗食(健康食とも申せましょう)にて軽くビール、酎ハイ。
ちなみに、粗食メニューは、枝豆、ヤッコ、青梗菜の炒めたの、ブリ照焼。
これから米朝師匠をもう一席楽しんで寝るのである。
5月15日(火) 穴蔵/ウロウロ
定刻4時に起床。粛々と雑事の処理。こればっかり。
曇天、小雨が断続的に降る。
こんな日は穴蔵でマジメに仕事するに限るのだが、ヤボ用が生じて、2時間ほど外出、スカイビル北側の中央郵便局まで。
帰路は地下道〜ヨドバシ〜紀伊国屋〜久しぶりに昼はインディアン・カレー。
昼過ぎに帰館。
5,168歩になった。
午後もマジメに仕事。
お、夜は珍しく専属料理人が韓国系を作った。
もやしナムルどっさり、豆腐チゲ、チヂミで、ビール、酎ハイたくさん。
あと、DVDで米朝師匠の「馬の田楽」を見る。
マクラに「お初天神にあった『かんさいだき』……なんやったかいな……あ、常夜灯や」とあってびっくり。
「まだあるんかいな」(20年ほど前の収録)というてはるが、師匠、常夜灯の「本家」はウチから徒歩5分のところ(豊崎4丁目)にあって、安藤忠雄センセもよう来はりまっせ。
あと「たちぎれ線香」を見てから寝るのである。
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