『マッドサイエンティストの手帳』104
●マッドサイエンティスト日記(1999年5月前半)
主な事件
・「別荘」にて「タコ部屋」生活
・長銀元副頭取首吊り
・堀晃一さんのホームページ
1999年
5月1日(土)
雲ひとつない快晴。終日タコ部屋で肉体労働。
ニューヨークにいるぶるさん(森山研メンバー)から、スイートヘイジルで山下洋輔ニューヨークトリオがガンガンやっているというメールが入る。こちらは「別荘」に「仮設トイレ」を設置して、下水につなぐ工事中と返信。えらい違いだなあ。
5月2日(日)
雲ひとつない快晴。終日、タコ部屋で肉体労働。
夕方で一区切りつけて夜、帰阪。
「別荘」を3軒入手したと書いたら、どんな別荘なのかと何人かのかたから質問を受けた。とてもお見せできるようなものではないのだが、「汲み取り式」の「前住人」のが残っているらしき3軒(1年以上空き家であった)のうち、いちばんましなのが下の写真。
あとの2軒、ひとつは雨漏りで根太が腐り、もう一軒は犬と老人が長年住んでいたため、犬小屋の臭気が抜けそうにない。……玄関と窓枠を取り替えて、1軒だけがなんとか「隠れ家」として使用できる程度。まさにヤクザ映画でいう「別荘」に近い。
5月3日(月)
貧乏性で、雑件片づけに自転車で出社。決算で経理の諸君が連休中もがんばっておる。慣れない肉体労働をしたために体の節々が痛む。昼までで帰る。
帰路、旭屋で文庫5冊。牛島信「株主総会」、竹中労「ルポライター事始」、ちくまの枝雀師匠の2冊、末井昭「素敵なダイヤモンドスキャンダル」。3冊は一度読んでいるのだが、枝雀師匠のは「自称ドクター・中松義郎の犯罪的盗作行為の検証」のため。竹中労のは元気を出すための再読。中松、死ね、といいたくなる。犯罪行為の自覚がないところ、わしは許さん。世間のアホは愛嬌者と評価するかもしれんがな。唐沢俊一氏もできれば面白がるよりは中松死亡を念じてほしい。竹中労が生きていたら中松なんての相手にしなかっただろうけど。つまらない人物を知ってしまうというのは困ったことだ。中松とか渡辺昇一とか、一生知らないままでいたかった。こんなのが多い。……「株主総会」は人物描写が弱い。小説としてはつまらない。
5月4日(火)
終日雨。寝転がって読書。原稿は書けない。気分、昨日の続きでなぜかイライラ。
5月5日(水)
あ、連休ももう終わりである。
ホームページ更新。連休明けに控えているマンション定期総会のために議事録整理していたら、連休は終わってしまった。
5月6日(木)
一週間、降圧剤を飲まずに血圧を測ったら、164-80。むむ。塩分が結構多かったからなあ。薬、続行である。なるべくなら飲みたくないのだが……。
長銀の元副頭取・上原隆くん59歳が杉並のホテルで首吊り自殺したという。
夕刊の記事、テレビニュースなど総合すると、阿佐ヶ谷ジャズストリートの時に宿泊、その後も便利なので利用しているホテルである。むむ、18日に宿泊を予約してたところだ。夕刊では「7階の一室」、ニューススーションではちらっと部屋の番号まで映った。あの部屋に案内されたらどうしよう。
上原くん、もっと色々と喋ってから死ね。わしゃ、死者を鞭打つのが好きということもあるけど、長銀の親玉諸君が、「全部上原がやりました」というに決まっているのだからね。まあ、犬死にですわ。
さて、そのニュースステーション「最後の晩餐」に筒井康隆氏が登場。久米宏が筒井作品をまるで読んでないことを露呈。(「敵」はコシマキしか読んでない。登場人物の名前の話題になって、「雪国」の芸者の名前は知っていたのかもしれないが、これもカンニング臭い。久米が「アルファルファ作戦」を読んでいたら、話の広がり方がまるでちがうにに……などと愚考する)……久米はテレビ人間なのだから本など読む必要はないのだが、読書人・教養人ぶりたがるのだなあ。同い年だからその気持ちはわかるが、読んだ振りして読んでないのは、読んでいる人間から見るとすぐわかる。恥でっせ久米ちゃん。
5月7日(金)
雑用が多い。
5月8日(土)
高槻ジャズ・ストリートという催しが昨日から行われていることを知る。昼から夜まで高槻のあちこちでライブが行われている。岸三晃トリオが出ているらしい。行こうかと迷うが、夕方には帰らざるを得ず、岸トリオが夕方だと辛いので断念。
自転車で会社へ。雑用の残りを片づけて、かんべむさし氏の事務所へ。2時間ほど雑談。どうしても枝雀師匠のことになる。
夕方から近所の会館でマンションの定期総会。やっとお役ご免……の予定だったのだが、新理事長の「私設秘書」として、規約や文書関係は補佐してほしいということになってしまう。……原稿料なしの文書ほど熱中してしまう悪い癖がまた1年続く。
「蘇える金狼」見ながらやっとビール。……筒井さん演じる田島総長、来週惨殺されるようである。
5月9日(日)
朝から播州龍野の実家「書斎」へ。駅に着いたら従兄弟とばったり。「母の日だから帰館か?」といわれて初めて「母の日」であることを知る。あわてて駅前でケーキを買って帰ったら、ほとんど同時に大阪から「専属料理人」が発送したらしいケーキが宅急便で届く。ややこしいことである。
夕方帰阪。
5月10日(月)
午前6時半出社して午後8時まで一歩も外出せずに雑用。さすがに息苦しくなる。
5月11日(火)
午前7時出社して午後7時まで一歩も外出せずに雑用。さすがに息苦しくなる。
適当な肉体労働を混入できぬものか。連休のタコ部屋が懐かしい。
しかし、こんな弱音を吐いて、書斎生活が実現した場合、SFが書けるのだろうか。想像力が枯渇していく気がしてならない。……静かな個室が確保できれば精神状態はまた別だとも聞くのだが。
夜、「堀晃一」さんとい方からのメールが転送されてきた。どきんとする。
一字違いの縁で拙作を読んで下さっていたらしい。
「MAGNIFICO TEMPO」というホームページ主宰、なかなか面白いページです。
5月12月(水)
雑用継続。
5月13日(木)
夕方、恵比須町でデジカメ CANON POWER SHOT A5 80万画素を3万円で衝動買い。
いままで使っていたのがカシオのQV−10。これはよく出来ていると思う。ホームページ用にはこれで十分なのだが、フラッシュのないのだけが不満だった。花鳥風月よりは人物。ジャズやSFや落語の人たちの記録となると、夜の方が多い。ストロボさえあれば、迷惑な200万画素などよろしいわ、で、まあ80万画素ありゃ十分と思って買ったきたけど、電源キットとか、まだ1万円ほどかかりそうだなあ。
5月14日(金)
ボンクラ・サラリーマン、ウロウロの日。
屋外というのは、やっぱりいいなあ。
午後9時に帰宅。阪神−中日戦のクライマックス、大豊のサヨナラホームランを目撃。やるもんだなあ。
で、パソコンを起動したら、友人から日野元彦死亡を伝えるメール。ほんまかいな。1週間前に闘病ライブで叩いていたはずなのに。
ネットのニュースを見ると間違いない。
「流氷」を聴く。このCD、ネットでも色々話題になったけど、思い入れのあるファンがものすごく多いはずだ。
5月15日(土)
世間休日なれど自転車で本町の会社へ。雑用色々。
午後5時、天満へ。大阪シナリオ学校の「エンターテインメント講座」の出番の日である。SFの2篇について「実技指導」ということになっている。
提出作品2篇。黒川くんの「動物園の夜明け」と諸橋さんの「逢魔が刻」。ともに面白く、前者が思いテーマの時間SF、後者が女高生を主人公とする伝奇的ファンタジー。ともに熱気の感じられる作品。こういう場合、「講師」がテーマにまで踏み込むのはどうなのだろうか。……ぼくの場合、「わしならこう書く」という意見が表に出過ぎると自覚している。もっとドライにテクニック面に徹するべきか。わしゃ本質的にファン・ライターだから、SFとして面白くなるならいいというところがあり、技術を学びたいという人にどこまで役に立てるかどうか、迷うところだ。
「講義」を「裁判方式」でやったため、2時間の予定が1時間半延長、午後8時半までになった。
急いで帰宅。ナイター延びていて、午後9時半からテレビで「蘇る金狼」。筒井さん演じる田島総長、胸に銃弾4発をくらって憤死。めでたしめでたし。でもないか。