『マッドサイエンティストの手帳』489

●マッドサイエンティスト日記(2010年10月後半)


主な事件
 ・相生ミッション継続中
 ・ラスカルズ(23日)
 ・今岡清似の屑(拾い)(28日)
 ・SF検討会(29日)
 ・創サポ/ハナシをノベル/ハチ(30日)


10月16日(土) 播州龍野/相生
 ちょっと所用が生じて、午前3時前の国道2号線を相生へ走る。
 「夜霧の第二国道」なんて歌謡曲を思い出すねえ。
 昼まであれやこれや。
 合間に資料を読んだり、あちこちにメール連絡したり。
 昼に播州龍野へ帰ってちょっと仕事、3時間ほど仮眠。
 タイムマシン格納庫にて4時間ほど作業。
 夜はまた相生の隠れ家へ行く。
 「はりま」という「食堂」でビール1杯だけ。
 
 看板は「食堂」だが、ここは魚と寿司の店で、かなりのもの。
 安くてうまい。
 奥の棚には「人間国宝」含む名人の備前焼がずらりと並んでいるのである。
 後日この徳利でじっくりと飲んでから、改めて報告したい。
 さあ、またミッション継続。
 と、相生の隠れ家にて。

10月17日(日) 播州龍野/相生
 朝帰りするのであった。
 朝日が昇るころ社長さんが帰る……と歌ったのは鈴木やすしだが、おれは日が中天近くまで昇ってから相生→播州龍野の朝帰り。
 室津の女郎屋経由(半世紀前)ならともかく、眠い目をこすりつつ国道2号線経由だから、野暮の極みである。
 播州龍野の実家にて3時間ほど仮眠。
 タイムマシン格納庫へ行って秘密の組立作業。
 夕刻、食品スーパー経由、自転車で川沿いの道を帰る。
 たまらなくメランコリックな気分になる。
 色々並べて「メランコリーの妙薬」を飲みつつ、ハンク師匠トリオ「The Club New Yorker」を鴨居から降り注ぐONKYOの音で聴く。
 エディ・ゴメスがいいなあ。
 Victorのウッドコーンだとさらにいいのだが、ま、贅沢はいうまい。
 ほんの少し気分が晴れたところで、早寝するのである。
 ともかく眠い。

10月18日(月) 播州龍野/相生
 秋晴れである。
 播州龍野のタイムマシン格納庫にて粛々と組み立て作業を行う。
 視力が落ちたなあ。
 夕刻、相生へ移動する。
 隠れ家のすぐ近く、寂れた商店街の「あさひ」という中華屋で晩飯。
 あんかけ焼麺600円を頼んだら、二人前ほどのボリュームの皿が出てきた。しかもうまい。
 
 餃子もなかなか。
 生2杯の助けを借りたが、少し残してしまった。
 客層だけはお世辞にも品位があるとはいえぬ人ばかりである。おれも含めてだけど。
 相生にうまい店はないと思っていたが、灯台もと暗しであった。
 さあ、今夜も相生で長い夜を過ごさねばならぬ。
 部屋の隅のデスクにジョーシンで買ってきた小型のLEDスタンドを設置。
 
 コソコソと何かやるにはいい雰囲気である。
 ということで書いたのがこの記事。

10月19日(火) 播州龍野/相生
 相生の隠れ家にて徹夜。
 夜が長くなったなあ。
 9時過ぎに播州龍野へ朝帰り。
 ビールを飲むが、こんな場合のメニューは困るなあ。朝からキムチ鍋という気分にはならず。
 だしまき、納豆、トマトなど朝食系を並べてビール。
 就眠……のつもりだが、眠れない。
 30年以上「早寝早起き」をつづけているから、昼夜逆転型は体質に合わないのである。
 3時間ほど寝て、あとは雑読。
 19時頃に相生へ向かう。
 たぶん今夜も徹夜である。

10月20日(水) 相生→大阪
 相生の隠れ家にて朝を迎える。やっぱり徹夜。
 朝の電車で大阪へ帰る。
 通勤時間帯の少し前で、新快速で直行、午前8時半に大阪に着いた。
 これだと通勤圏だな。
 9時前に自宅に帰り、ビーフシチュー(昨夜の残りという)でビール一杯。
 3時間ほど仮眠する。
 午後は雑事を片づける。
 読みたい本が溜まったなあ。
 播州龍野へ持っていって読みたいところだが、明日は冬物衣料なども運ばねばならず、5、6冊持っていくのが限度か。
 ということで、夜は専属料理人に色々並べてもらって晩酌。
 まともな夕食は久しぶりである。
  
 昨夜のシチューの残りをソースにしたオムレツにサラダなど色々でビール。
 ひきつづきキノコ5種類入りのパスタでワイン。
 最後にジャズ友Fさんが旅先(出雲)からクール宅急便で送ってくれたKAnoZAのケーキ(なんとも上品な)で仕上げ。
 たちまち眠くなり爆眠。

10月21日(木) 大阪→播州龍野→相生
 早朝の電車で播州龍野へ移動。
 疲れが抜けないなあ。
 タイムマシン格納庫で少し作業。
 午後は書斎でボケーーーーッと過ごす。
 日が暮れてから相生の隠れ家に向かう。
 暗くなってから出ていくとは、まるで「ドのつく商売」である。
 今夜もたぶん徹夜。
 ということで、相生にて、いつもなら起床する午前4時を過ぎたが、まだ外は暗い。
 夜明けは遠いのである。

10月22日(金) 相生→播州龍野→大阪
 朝日が昇って3時間ほどしてから、播州龍野に朝帰り。
 こちらも雑事色々。
 居間と書斎を冬モードに変更するつもりだったが、その前に掃除をしなければならず、そのためには本の整理が必要で、徹夜明け状態だからたちまち面倒になった。
 衣料・寝具類をクリーニング店に運んで終わりとする。
 なべ焼きうどんを作ってビール1杯。
 仮眠しようと思うが寝つけず。
 明らかに時差ボケ状態である。
 地球貫通列車でアメリカへ隔日出張しているとこんな気分になるのであろうか。
 夕刻に身内来たりて任務交替。
 夕刻の電車で大阪へ帰る。
 束の間の「下郎の休日」をいただくのである。

10月23日(土) 穴蔵/ラスカルズ
 習慣とは恐ろしいもので、睡眠不足にもかかわらず、午前4時に目が覚めた。
 4時30分から「日本の話芸」再放送を見る。桂文我『船弁慶』……よろしいなあ。
 朝刊を読み、朝食の後、また3時間ほど寝る。
 どうにか復調。
 終日穴蔵にて雑用を片づける。
 本日は阿佐ヶ谷ジャズストリートの日で、神明宮能楽殿には山下洋輔NYトリオが出演する。
 播州龍野の事情で予定が立たないまま、兵庫芸術文化センターの山下洋輔NYトリオは早々と「完売御礼」になってるし、今から阿佐ヶ谷へも無理だし、今回のNYトリオは断念せざるを得ない。
 かわりというわけではないけど、夜、歩いてニューサントリー5へ。
 ニューオリンズ・ラスカルズを聴く。
  *
 よろしいなあ。
 深夜近くの帰宅となる。
 梅田の路上、相変わらずアホな青少年が多いが、田舎から戻ってきてこういうのを見ると、何となくほっとするのであった。

10月24日(日) 穴蔵/ウロウロ
 早朝に目覚める。
 体調、復帰してきたぜ。
 穴蔵にて精力的に雑事を片づける。
 昼前に専属料理人とヨドバシへ出かける。
 専属料理人は7階のユニクロにてスリッパとか色々。おれも本日限定のヒートテック2枚……播州龍野・相生では、身なりはかまわず、楽に過ごせるスタイルがいいのである。
 地下に降りてプリンターのコーナーへ。
 EPSON EP-803Aが27,200円・ポイント13%というので即決。
 8年使ってきたスキャナーと7年間酷使したEPSON PM-870Cがともに不調で、これを1台でカバーできるなら安いものである。
 持ち帰るには重いので配達にしてもらう。配達料は500円。明日の到着である。
 昼になった。
 菱竹で鰻丼かと迷ったが、阪急デパ地下の米八「四君子弁当」を買って帰ることにした。
 ということで、昼は自宅で弁当広げて、久しぶりに昼ビール。
 午後は、ちょっと本を読んでたらたちまち眠くなり、2時間ほど仮眠。
 たちまち夕刻となった。
 夜は、昼がヘビィだったので、専属料理人が軽めの夕食を作る。
 
 オニオングラタン(フランス語でなんとかいうらしいが覚えられない)とサラダでビール、チーズとフランスパンを追加してワインを少しばかり。
 幸せな1日であった。
 寝るのである。

10月25日(月) 穴蔵
 終日穴蔵。
 昨日買ったプリンターの到着待ち。「午前中」指定していたら、なんと11時45分に到着した。
 たいしたものだ。
 ということでEPSON EP-803Aを机(というか、おれの作業テーブルは畳一枚ほどある厚板/30年使用している)の隅に置く。
 
 午後は、プリント、コピー、スキャナー、CD/DVDプリントの機能チェック。
 CDのプリント用に専用のトレイが付いているのがありがたい。
 あれこれいじっていたら、たちまち夕刻になった。
 専属料理人は地域のなんとか委員の集会で出かけてしまう。
 おでんを作って行ったので、これでビール、「神の河」湯割りをダラダラ飲む。
 早寝するのである。

10月26日(火) 穴蔵/ウロウロ
 穴蔵にて粛々と惰眠。
 予定では相生に向かうはずだったが、諸般の事情が「好転」して、しばらく大阪でボケーーーッと過ごせることになったのである。
 下郎の休暇、延長。
 急に時間ができても、直ちに仕事モードにシフトできず、怠惰な時間を過ごすのであった。
 昼、専属料理人と中崎町のJRガード下にあるBARBARAという店へランチに行く。
  *
 パスタか石窯カレー(1000〜1300円)をチョイス、これにパンとサラダバー、にフリードリンクで、平日はハウスワインが飲み放題! なのである。
 サンマ入りのパスタとカレーをシェアする。安ワインを数グラス……ま、こんなものであろう。
 昼ワインはそう飲めるものではないな。ビールならいけるけど。
 あと「ジャズの専門店ミムラ」やツタヤ、紀伊国屋を覗いて帰館。
 夕刻まで本を読んで過ごす。
 ニュースでは関西に「木枯らし1号」が吹いたらしい。
 キンタマ収縮の季節が迫っているのである。

10月27日(水) 穴蔵
 寒くなった。
 終日穴蔵。
 室温は22℃。コタツをセットするか迷うが、そのためには本を整理して床を掃除しなければならず、面倒になり先送りとする。
 少しは仕事もするのであった。

10月28日(木) 穴蔵/今岡清似の屑(拾い)
 定刻午前4時に目覚める。
 5時過ぎに普通ゴミを出し、コンビニへ行って、戻ってきたら、集合住宅のゴミ置き場で、軽トラで来たおっさんが、おれの出した紙袋(書籍封筒など詰めたもので、おれ宛の表記もある)を破って中身を漁っている。それもカラス防止のネットをめくって。
 「こら、何しとるんや!」
 「ゴミやないか」
 「勝手に開けるな、ドアホ!」
 「捨てたるんやないか」
 「置いたるんじゃ、ボケ! ここはマンションのゴミ置き場で共有部分、私有地や。持っていけるのは市だけじゃ、ドアホ。お前のやっとることは泥棒やないか!」
 この主張が正しいかどうか、ちと自信はないが、おっさん、おれの剣幕に、ぶつぶついいながら退散していった。
 今岡清みたいなやつである。
 資源ゴミの日にアルミ缶を盗みにくるのはいるが、紙くずを漁るやつまでいるとは。
 いったん持ち帰り、再度封をして回収時間ギリギリに出す。
 こまったものだ。
 小雨になり、肌寒い日である。
 終日穴蔵。
 粛々と仕事(非SF)をしていたら、午前中に不愉快な電話が2件。
 「なんとかリード」と「株式会社トーワ」、ともにセールス電話である。
 どこで番号を知ったのか問いつめたら、前者は「マーケティング・エフェイト」から購入したリストで、後者は黙って切ってしまった。
 8月1日にかかってきたのは「ダイレクトプロモーション」という名簿業者のもので、これで2件目。職業がどうなっているのか気になるが、教えてくれなかった。
 ちなみに、SF作家クラブ、文芸家協会、推理作家協会など所属団体の名簿にもいっさい載せていない非公開番号である。
 ともにおれの氏名をいってかけてきたから不気味だ。
 個人情報がらみの不愉快なことばかりが重なる日である。
 夜は専属料理人が並べてくれたシェパード・パイ、色々のったサラダ、白身の刺身などでビール、ワインを少し。
 
 インコが部屋に慣れて、床を走り回っているが、最近は専属料理人の肩まで平気でよじ登ってくるようになった。
 おれの場合は膝あたりまで。キンタマ突かれたらたまらんものなあ。インコがチンコ。
 ということで、穴蔵に戻る。
 枕頭に本を積み上げ、眠くなったら寝るのである。

※ゴミ漁りに関して、信頼できる筋よりご意見をいただいた。
 公道でなくマンションの共有スペースに置いてあるから、紙ゴミでも勝手に持っていくと「窃盗」、漁れば「窃盗未遂」、信書帳票類があれば「個人情報保護法」に抵触する可能性あり、袋を破るのは回収業者に対する「業務妨害」になりかねないという。
 ま、おれの対応は間違ってないわけだが、それよりも不気味なのが「ゴミ漁りを趣味とする変質者」で、その趣味から得た情報や勝手な推測を本にしてコンビニで売ってる例があるとか。嗚呼。
 ゴミ出しも木刀持ってやらねばならぬか。(2010.10.29)

10月29日(金) 穴蔵/SF検討会
 定刻午前4時に起床。
 終日穴蔵にて過ごす。
 少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
 夕刻、かんべむさし氏がドブロク持参で来穴蔵。
 このドブロク……「雑巾を絞ったような」味を期待して、らしいが、市販の酒だから上品なものである。
 ドブロクは少しだけ、ビール、湯割りをメインに、久しぶりに、定員2名テーマ不確定内容非公開のSF検討会を開催。
 なぜかメインテーマは「老化」となったが、むろん体力の衰えを嘆くような方向には行かず、これから「武者修行」を実行しようかというとんでもない計画まで浮上してきた。
 気がつけば4時間以上……寝る。

10月30日(土) 穴蔵/創サポ/ハナシをノベル/ハチ
 終日穴蔵。
 少しは仕事もするのであった。いと少なしを。
 夕刻這い出る。
 地下鉄で天満、エルおおさかへ。
 本日は創作サポートセンターの入講式とシ大阪ショートショート大賞の授賞式である。
 ↑上記リンク先、芝崎さんがさぼっていて、ほとんど更新なし。募集要項と選評はアップしていただきたいものである。
 大阪ショートショート大賞、入選は川端直美さんである。
 
 おれの選評を引用。
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 川端直美「身代わり草」
 花屋に勧められて「自分の精神の嫌なところを食べてくれる」花の種を試してみる独身男……。
 これは「悪魔との契約」パターンですが、「願い事を叶えてくれる(得る)」ではなく「欠点を消去してくれる(失う)」ところがユニークです。ありふれた作品に見えて、この着想は優れています。オチも極端な「不幸」にせず、主人公にも幸か不幸か判断できないかたちにしてあるのが、かえって新鮮です。
 花屋の店主の正体は? 「悪魔」と書くと興ざめですが、なにか「ほのめかし」があれば効果的です。
 (上位5篇はほぼ横並びですが)この中では「身代わり草」が、地味ですが不思議な喪失感?を描いていて感心しました。
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 定型的な作品に見えて、ちょっと視点を変えることでユニークな作品になるのである。
 終了後、中之島公会堂まで歩く。
 地下会議室で「ハナシをノベル!」開催中である。
 1席目は遅刻、2席目の桂三幸『ふぐ鍋』、月亭八天『かたづけられない女』(森奈津子作)、どうでもええハナシを挟んで、月亭八天『つるつるつる』(魔人ハンターミツルギ作)を聴く。
 魔人ハンターミツルギはん、舞台に出てきて、あまりしゃべらなかったけど、何者なのか。
 八天さんは新作やってもなかなか端正である。
 11月23日のワッハホールでの独演会で『地獄八景』に挑む予定。
 会場で日本SF評論賞・優秀賞の高槻真樹氏と会う。
 なぜかある上方落語作品に執着して研究中という。いかなる評論が出現するか……。
 会場には我孫子武丸、北野勇作、田中啓文、田中哲弥、牧野修氏ら、賑やかなことである。
 ウチアゲは遠慮して、帰路、久しぶりにハチに寄る。
 珍しく大ちゃんが来ていた。ビールで乾杯。
 ピアノトリオを聴く。
 
 ごめん。名前失念。がんばっておるぞ。
 ハチに行かず、ニューサントリー5へいったらとべくまはん+ジャズ住職との遭遇だったような。
 残念な気もするが、ま、人間、色々なところですれ違っているのである。そういうものだ。

10月31日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 外出は豊崎西公園南東のポストと、そこから30メートル南のヤマト運輸営業所まで。
 ほとんど本を読んで過ごす。
 たそがれの国月が終わって、いよいよ夕闇の月を迎える……。


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