『マッドサイエンティストの手帳』486

●マッドサイエンティスト日記(2010年9月前半)


主な事件
 ・謎の犬(3日)
 ・Sunday at Jazz Club(12日)


9月1日(水) 穴蔵/ちょっとウロウロ
 わ、9月である。
 毎年、9月になると「セプテンバー・ソング」から人生の最終コーナーを思い出してしんみりするはずが、おれはもうすでに「たそがれの国」月に入っているわけで、なんの感慨もわいてこない。
 それどころか、相変わらずの炎天ではないか。
 終日穴蔵……といきたいところなれど、昨日の続きで雑事あり、10時頃から炎天下を自転車でウロウロする。
 昼頃に天六の某行に寄り、一区切り。
 スタミナつけねばならぬので、昼は玉一本店で焼肉定食。
 水分補給も怠りなし。ははは。
 
 玉一の座布団は、配色がよろしいなあ。
 まっすぐ帰館。
 帰路の豊崎東公園。公園には誰もいない。結城昌治。こればっかりだな。
 
 これが9月の空か。
 午後は穴蔵にて雑事の処理。
 菅と小沢の所信表明が中継されたらしいが、どうでもいいよ。
 願わくば共倒れ。
 しかし、自民復活はいかんぞ。
 ともかく若返らなければ。
 おれの「近未来」の定義は「当事者の余命」である。30代のころは「50年先まで」と思っていた。今は「20年先」までである。
 「子供の世代のために」とか「100年後」なんて美辞麗句。未来を論じるなら、自分で責任を負える範囲にすべきである。
 どの政党に限らず、最低、余命30年(できれば50年)のまともな政治家に任せなくては。
 夜は専属料理人にあっさり系メニューを並べてもらってビール、冷酒。
 早寝するのである。

9月2日(木) 穴蔵/ちょっとウロウロ
 昨夜から眠れぬまま、2時過ぎまで本をむ。
 某書評で興味をもって、市川真人『芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか』(幻冬舎新書)を読んだが……あまりにも冗長。着眼点(近代文学におけるアメリカ(父性)の影響)は面白いが、50枚くらいでまとめられる内容で、徒に長いプログの記事を読まされているような。ともかく文章がくどい。最終章は投げ出したくなった。
 3時間ほど寝る。
 本日も炎天なり。
 東向きの穴蔵、午前中(7〜9時)は直射光が射し込んでエアコンをフル稼働だが、その後はさほどでもなし。
 昼頃から雲が覆って、普通の夏となる。
 荷物発送のついでに、15時過ぎに穴蔵を這い出て、自転車でウロウロ。
 ミムラでCD2枚。ケンペプとデーブ・ベネツト。
 ミュージックマンへ行ってCD2枚。ともに初めて知るヨーロッパのクラ奏者。
 ミュージックマンはんは、10月に神山町に引っ越しはるらしい。
 扇町公園を抜けて、天六へ。
 ワイルドバンチへ行ってビール1杯。
 夕刻、淀川堤を走って帰る。
 
 風は涼しく、秋は近い。
 天気予報ではまだ1週間以上猛暑が続くとかいってるが、おれは多分平気である。
 ということで、夜は専属料理人に、枝豆、和風ハンバーグ、イカの煮たの、ごちゃごちゃサラダなど並べてもらってビール、ワイン少し。
 CDを聴きながら早寝するのである。

9月3日(金) 謎の犬/穴蔵/ちょっとウロウロ
 午前5時に朝刊をチェック。
 昨日の「謎の全面広告」の「解答」を探すが、何もなし。
 他でもない、昨日の朝刊、見開きで掲載された「宝島社」の全面広告である。
 
 ↑「日本の犬と、アメリカの犬は、会話できるのか。」
 何のことか? さっぱりわからない。
 おれは昔、ジレットがヒゲ面のバースを使って「明日のおれを見てくれ」とやった全面広告を思い出して、この意味ありげな広告の解答が今日の新聞に出るものと思っていたのである。
 宝島社の広告は何もない。
 ただし、「解答」はあった。
 小沢と菅の共同会見である。
 
 しかし、昨日の広告のコピーは間違っている。
 「中国の犬と、アメリカの犬は、会話できるのか。」が正しいのである。
 本日も炎天なり。
 終日穴蔵……というわけにもいかず、午後、梅田の某社へ行ったついでに、旭屋〜ヨドバシ。
 ヨドバシでは、パソコン・パーツ〜デジカメ〜オーディオ〜サプライ品の売り場を1時間ほどウロウロ。
 衝動買いしたくなるもの色々、危うく30万円くらいになりそうなところ……理性が働き、サプライ品400円のみ買って帰館。
 夜は、専属料理人に、餃子、麻婆豆腐、青梗菜炒など並べてもらって、盛大にビール。
 早寝するのである。

9月4日(土) 穴蔵
 定刻午前4時に起床。
 4時半から「日本の話芸」で川柳川柳「ガーコン」を見るが、早朝から見るものではないな。10分ほどでやめる。夜、一杯飲みながらなら見るんだけど。
 本日も炎天なり。
 終日穴蔵。
 日本橋の部品屋へ行きたい用事もあったのだが、動くのが面倒になってしまった。
 本日は仕事も雑事もいっさいせず、本を読みCDを聴いてすごす。
 感想を書くべき本が20冊ほど(読んだのはその数倍)あるのだが、ともかく面倒な気分。やはり夏バテか。
 夜は専属料理人が、枝豆、おくらとメカブの小鉢、白身刺身少しを並べ、あとは串カツとキャベツ・ザクザク。
  
 「2度づけ禁止! 串かつソース」というのがあるのを初めて知った。ビンごとテーブルの真ん中に置いておくのである。
 小さく「2度使用禁止」とも書いてある。
 便利ではあるけど、ちょっともったいないのでは……というと、専属料理人は、ウスターと出し汁で作れそうだから、次回からは自家製を試みるという。研究熱心は結構だが……。
 料理について、おれはなんでもかんでも家庭に持ち込むのは反対で、「高級料亭の味をご家庭で」というのは戦後民主主義の悪弊と思っているのだが、ガード下とか屋台の味までも。
 とはいえ、串カツは食べたかったところだし、出歩くのは面倒だったから、これはこれでありがたく、盛大にビールを飲む。
 22時〜NHK教育テレビ「サイエンスZERO」で「宇宙の未来を決める 暗黒エネルギー」を見る。
 「暗黒物質」まではSFにしたが、「暗黒エネルギー」はどう作品化していいかわからない。
 『虚無回廊』の結末はこれに結びつく(つけるべき)かなと前から想像しているのだが。

9月5日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 運動不足はわかっているのだが、散歩にでる気にもならない。
 いかんなあ。
 少しは体を動かさねばと、書斎の整理を行う。
 といっても、積み上げた本を書架に詰め込み、CDを整理して、デスクの上と周辺の床面積を少し広げただけだけど。
 夕食時に「自宅」へ行ったら、インコ(6月8日に家族の一員となったインコ、ちょっと大きくなった)が床を歩いていた。
 飼育マニュアルを調べて、羽根を切ったのだとか。
 
 クローゼットの鏡が気に入ったらしく、しきりに自問自答している。

9月6日(月) 穴蔵
 本日も炎天なり。
 終日穴蔵。
 最小限の外出(「自宅」での食事)以外、部屋を出ることなし。
 さりとて生産的な仕事をしたわけでもなし。
 人これをヒキコモリといふ。

9月7日(火) 穴蔵/日本橋
 本日も炎……おっ、台風9号の影響で午後には雲が空を覆った。
 久しぶりに地下鉄で恵美須町へ行く。
 タイムマシンの部品の調達である。
 ぎょ、シリコンハウスが閉店か?!……と驚いた。
 
 北200メートルに移転しているのであった。
 以前パソコンショップだった店(店名はもう忘れてしまった)。広くきれいになっていて、ホッ。
 あと、ナニワネジにも寄る。
 今や細かい部品の入手は、ナニワネジとシリコンハウスだけになってしまった。
 このどちらかが閉店したら、わがタイムマシン業もひとつの決断を迫られるだろうな。
 菅の無策のおかげで、色々たいへんなのである。
 7年間酷使してきたインクジェット・プリンターが不調である。
 買い換えようかと探し歩いたが、CANONもEPSONも、9月がモデルチェンジ期らしく、テクノランドにもソフマップにも、目当ての機種は見事にない。
 半年ほど待つか、通販で旧型を買うか、迷うところだ。
 型落ちの投げ売りというのは、もう日本橋では期待できなくなったのであろう。
 ということで2時間ほどウロウロ、いい運動になった。

9月8日(水) 穴蔵/玉一/ハチ
 朝だ。雨が降っている。浅田飴、いと少なしが。
 エアコンなしで寝て快適な朝というのは久しぶりである。
 風はほとんどなく、台風の雰囲気はなし。
 9時には蒸し暑い曇天になってしまった。
 粛々と雑事に励むのであった。
 天六の銀行へ行く用事があり、ランチは13時前に玉一本店へ。スタミナつけなきゃなあ。
 豆腐鍋定食+「(琥珀色の)水分補給」。
 
 隣のテーブルで7名様が大声で議論してはる。
 「水分補給」しながら耳に入ってくる会話を聞くに、どうやらSNSのオフ会らしい。
 ただ、テーマがさっぱりわからない。
 話題の中心人物は不参加の3人「アキラ」さん「クラシック」さん「親方」さんで、これを取り巻く人間関係の話題ばっかり。
 「コミュニティの15人連れて脱退した」とか「昨秋宗右衛門町でカラオケ大会やったあとどうなった」とか。
 SFとかジャズの関係なら作品やプレイヤーの固有名詞が出るはずが、何もなし
 ただ「男女関係(らしき)」の話題ばかりで、いやあ、おれも参加してみたいなあ。
 実物見ると気力は萎えるけど。
 平日昼間に玉一でオフというのは凄いコミュニティだなあ。
 穴蔵に戻って、午後も粛々と雑事。
 夜、久しぶりにハチへ。
 諸々も情報交換など。
 横浜から来たという青年(中年か)の客、高校時代に日比谷で「ザ・ウチアゲ」を見てハチに寄ったとか。
 嬉しくなるなあ。
 アルトを吹いてはるらしい。
 確かに当時のハチ軍団を見たら、あれならおれでもやれると思うわなあ。
 後日、ぜひともアルト持参で来店してほしいところだ。
 どんなきっかけで何が生まれるかわからないところがジャズの面白いところだものなあ。

9月9日(木) 大阪→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 秋であるなあ。
 午前5時半の梅田は薄明で風は涼しい。
 播州龍野にて下男モードに入る。
 タイムマシン格納庫(こちらは40℃/しかしカラッとして快適である)にて作業も色々。
 Windows XP搭載機が10月で出荷停止となる。
 知り合いの数社に訊ねてみるに、どことも事情は同じ。
 データ処理用にXP機をつけて出したのがだいぶある。
 今後はWindows 7で対応はできるであろうが、まだ動作確認はしておらず、メンテナンス体制も考えると、何台かは確保しておかざるを得ないだろうという。
 困ったものだ。
 当社もいたしかたなし。
 ということで、盛大にビールを飲んで寝ることにする。
 21時の室温は31℃だが、たぶん安眠できるであろう。

9月10日(金) 播州龍野の日常
 わ、肌寒くて目が覚めた。午前3時半。扇風機を回しっぱなしにしていたからなり。
 室温は27℃だが、外はもっと寒そう。
 午前4時、朝刊を読む。
 午前中は色々と下男仕事。
 午後はタイムマシン格納庫にて色々な作業。
 
 格納庫内は42℃、湿球は34℃……湿度表は40℃のまでしかないが、たぶん湿度は50%くらいである。
 2時間ほどの作業……サウナと思えば快適なものよ。
 ということで、夕刻(18時)から、老母の夕食につき合って、盛大に「水分補給」を行う。
 寝るのである。

9月11日(土) 播州龍野の日常
 相も変わらず下男仕事。
 本日はことのほか辛い。詳述はしないけど下々のことなど。嗚呼。
 土曜なので、午後は休息することに決める。
  
 昼は老母にエサを与えた後、ぶっかけうどんを作る。これに鉄火巻+「水分補給」
 風通しのいい座敷にて優雅な時間を過ごす。
 「水分補給」のあとは、座布団並べてごろ寝。
 本を読んで過ごす。
・吉村昭『白い道』(岩波書店)を読む。
 死後刊行されている単行本未収録のエッセイ集。さすがにここまでくると、他の本で読んだテーマとの重複が多いが、高山彦九郎と前野良沢に関する記述は貴重だ。
・谺雄一郎『十三人の刺客』(小学館)……これはいかにもノベライゼーション。それぞれ剣客の最期が映画(むろん工藤栄一版)と変えてあるところが趣向だが、平山九十郎の最期はいただけない。映画にあったアイロニーがダントツに良く、これだけは別の形でも生かさなければ。
 夕食後、老母を寝かしつけてから、
・島田莊司『写楽 閉じた国の幻』(新潮社)を途中まで。
 夕刻のニュース。
・谷敬氏死去。
 喜劇人としてもジャズマンとしても、好きだったなあ。
 安らかに眠ってタムレ。

9月12日(日) 播州龍野→大阪/Sunday at Jazz Club
 昨夜から日付が変わるまで、島田莊司『写楽 閉じた国の幻』(新潮社)を読了。
 写楽の正体に関する新説で、これは説得力あり。歌舞伎役者が「なぜあのように見えたか」……ネタバラしになるから書かないけど、この着想は凄い。
 ただ、小説としては、あまりに冗長(会話過多)で、構成も破綻(最初の事故についての記述が長すぎ、かつ決着がついていない)している。
 テーマに関しては「後書き」に80%くらいが書かれている。
 論文なら、こんなに時間をかけて読む必要はなかった……というのが正直な印象である。
 構想20年の大作なので、これ以上は書くまい。
 午前中の電車で帰阪。
 午後、自転車で天五近くのバンブークラブへ。
 Sunday at Jazz Clubの例会、2回欠席、久しぶりの参加である。
 本日は「関西ジャズ」の特集。おれは「古谷充とザ・フレッシュメン」の『城ヶ島の雨』を持参、ちょうど半世紀前にピアノの大塚善章氏が見事なブルーノート・アレンジをやっていた名盤である。
 
 後半は珍しい映像など。
 アニタ・オディがニューハードをバックに歌う63年の映像など、いいねえ。
 この会で色々なジャズを聴いていると、日頃のストレスが解消される。
 ということで、夕刻帰館。
 夜は専属料理人の作ってくれた「夏おでん」などでビール。
 
 ビールのあと、某氏から送っていただいた交野市の銘酒利休梅を一献。
 たまらんなあ。
 21時30分からテレビで「エチカの鏡」という番組を初めて見る。
 全国を歩いて旅するカップルの紹介。
 わが友人ぶんきちくんが函館で知り合った、全国を「乳母車」を押しながら旅する「歩き人ふみさん」……この後「同行者」ができた。
 
 OLを辞めて同行することになった女性である。
 歩き人の同行者が「あゆみ」さんというのも似合ってるなあ。
 日本では珍しいボヘミアンということになるのだろうか。
 ちょっと憧れ、しかし、とうてい真似はできないなあ。

9月13日(月) 穴蔵/ウロウロ
 雑事の多い日である。
 9時に近所のY内科医院へ行って定期検診。普通であった。ほっ。
 穴蔵にて粛々と雑事の処理。
 午後、ちょっと出かける。
 先日から検討していたタイムマシン業用の「Windows XP」機について、○台を確保しておくことにし、某LL社に中津のATMから代金振込み。場合によってはリカバリーして、Windows 7に変更できるらしい。まあ、なんとか有効に利用できるか。
 ついでに梅田周辺、2時間ほどウロウロ。
 紀伊国屋が休業中で、16日のリニューアル・オープンまで休みである。
 ロフト周辺も工事中で変化が激しい。
 来年あたり、大阪駅・阪急・茶屋町がいっせいに完成大騒ぎになるのかなあ。
 野次馬としては楽しみである。
 消費者としては何も買わないつもりだけど。
 
 ということで、夜は専属料理人に、枝豆、(昨夜の残り)夏おでん、アサリと鱈?などのブイヤベース風、サラダなど並べてもらってビール、あとパンと白ワイン。
 明日からまた田舎行き。最後の晩餐なのである。

9月14日(火) 大阪→播州龍野/やんぬるかな
 早朝の電車で播州龍野へ移動。
 下男モードに入る。
 午後、民主党の代表選。まったく支持してない政党の「コップの中の嵐」である。
 政治のことはあまり書きたくないが……そして共倒れを期待してたのだが……菅が勝つ。
 正確には、菅ではなく「官」が勝ったということであろう。
 官、恐るべし。検察・最高裁を含めて。追従してきたマスコミしかり。
 さて、小沢(とその子分ども)はどう出るか。
 イッちゃんの内心は「やんぬるかな」かな。
 またしばらく雲隠れであろう。

9月15日(水) 播州龍野の日常
 秋である。
 終日、下男(おとこし)仕事。
 合間に本を読んで過ごす。
 18時には暗くなる。秋分に近いのだものなあ。
 ビール飲んで寝る。


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