『マッドサイエンティストの手帳』442
●マッドサイエンティスト日記(2008年12月前半)
主な事件
・播州龍野のつまらぬ生活
・ラスカルズ@ファイブ(6日)
12月1日(月) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
ややこしきこと色々あり、先日来詰めていた「身内」と2時間ほど相談する。
おれは(以前から繰り返し書いているとおり)播州龍野というど田舎の風土が大嫌いなのだが、色々と「身内」と議論しているうちに、主因はたったひとつ、近所のたった1軒にあることが判明した。
冷静に考えてみれば、その通り。
近隣はすべて代替わりしていて、田舎特有のおせっかいは皆無なのである。
ある1軒を除けば、住みやすい……別荘地と考えれば極めて快適な土地なのである。
唯一近所の某家なかりせば、の話だけど。
諸悪の根元はここにあったのだ。
おれが一族を代表して「絶交」を申し伝えに行くか迷うが、今しばし、他の「身内」の意見も聞いた上でということになる。
冬の陣。面白くなるぜ。
喧嘩もまた楽し。おれの場合、某法廷闘争終結以来、23年ぶりである。
刮目して待たれよ。
ということで、夜は老母に粗食、おれはキムチ鍋で盛大にビール、湯割り。
景気づけである。
12月2日(火) 播州龍野の日常
天気がいいので、某家に対して絶交を申し渡すといったら、老母がやめてくれという。
「ご近所」の評判を気にしてのことらしい。「被害」は自覚しているのに。
困ったことだ。
喧嘩というのは気分がいい時にやるものなのだがなあ。
ま、おれの一存で始めるものでもなし。しばらくは忍従の日々とするか。
終日下男仕事。
夜は「龍力」冷酒……酒量が増えるなあ。
12月3日(水) 播州龍野の日常
朝も早よから下男仕事。
午前、老母を定期検診でI医院へ連れて行く。恐ろしき混み具合。待合室に座る場所ないほど。コートやバッグで2人分の席を占拠する「死に損ない老人」も複数いて、老母はしばらくクルマ内に待機させる。午前9時に診察券を出していたのだが、9時40分に連れって診察は10時30分。11時前に出る時にも、待合室は忍耐強い老人でいっぱい。元気な人たちだなあと思う。もう老母の通院はやめさせようかなという気分になる。老母も嫌がってることだしなあ。こんな場所にくると、おれの血圧が高騰して倒れかねない。
イライラすることが多いなあ。
ついでに老母を龍野公園へ紅葉見学に連れて行く。
「紅葉谷」はいちばんの見頃であった。
少し血圧が下がる。
夕刻、地域の隣保長さんと「某家への宣戦布告」について相談する。
調停に立っていただげるのならありがたいのだが……「言って聞いてもらえる人ではないでしょうからねえ」……その通り。やはり直談判しかないようである。
悩みは多し。
夜は、山かけ、具沢山粕汁、カイワレ山盛りの温豆腐を並べて盛大にビール。イカの一夜干しで湯割り。酒量が増えるぜ。
開戦まであと3日、その時歴史が動いた……って気分。
12月4日(木) 播州龍野の日常
相も変わらず下男仕事。嗚呼。
喧嘩がやりたくてウズウズ気分だが、ま、しばらくは我慢。
書斎にて少しは仕事もするのであった。
夕方に近い午後、1時間ほど散歩。
本日は北東方向に歩く。
我が家の墓場方向、色づいた山を眺める。
と、墓地の少し北の方に、ジグザグの林道? 山頂に続く知らない道がある。
徒歩15分ほどのところだが、生まれて初めて来る場所である。
某コルク工場の裏手に山への「入口」があり、鹿防止のネットの向こうに、キャタピラの跡のついた道が造られている。
新宮町の森林組合の「工事中」という看板がある。
この上に何があるのか。本日は時間なし、靴も普通のなので引き返す。
日を改めてチャレンジすることにしよう。
徒歩15分に「秘境」がある、これひとつの不思議。
12月5日(金) 播州龍野の日常
午前4時30分、朝刊を読んでいたら激しく雨が降り出した。風強し。
午前9時にはやんだ。
午後4時には晴れてきた。
この間、下男仕事色々。明日は「出所」、少しは心軽くなるのであった。
夕刻、ホンダがF-1撤退のニュース。
この決断はまことに賢明である。
ホンダ・チームの買い手はつかない。F-1自体が消滅して、ゲーム社会のものになるだろう。
クルマの売れ行きが急減したのには驚くが、これは金融機関の破綻による経済恐慌とか石油問題とかエコとかではなく、本質的には「移動」ということにパラダイムシフトが起こったのだと思う。
ホンダの社長がいうとおり。クルマのあり方が変わった。たまたま経済恐慌が起きたので国民(全世界的にかな)が、高価な耐久消費財を買い控えているのではないのだろう。
不況を感じたら、差し当たり不要なのはクルマの買い替えだけど、国民はもう少し冷静に考えて、別に「移動」する必要はないと気づいたってことじゃないか。
おれ、この2、3年、なんとなく感じていたもの。
移動手段はクルマに限らず、よほどのことなければ上京しないし、ともかく動くのが面倒になってきた。歳のせいだけではないと思う。
クルマなしでは生活できないってのはあって、むろんそれは残るし、クルマ好きもいるだろうけど。
しかし自動車文明を見れば、大型車から小型車へシフトするとか、電気自動車が主流になるとかではなかろう。クルマで走ることが面白くもなく、同じ費用かけるなら、もっと面白いことがあるという時代に変わりつつある。
ビッグ3、むろん消滅の運命にある。これは間違いない。
ライフラインを維持するための移動装置だけが道路を走ればいいのである。
電車も飛行機も同じ運命ではないか。クルマほどの急減ではなかろうが。電車も飛行機も船も「運ちゃん」がいて、個人が所有しているものではないからなあ。
クルマはコンシューマリズムにのめり込み過ぎたために、かかる事態に陥ったのである。
これからの時代、物理的には動かず静かに、情報的には激しく諍いあう、そういう時代になるのであろう。
と、以上、半分は次の作品の構想。
12月6日(土) 播州龍野→大阪/姫路/ラスカルズ
わ、急激に寒くなった。
助っ人来たりて、下男仕事交替、風花が舞うなか、しばらく出所となる。
昼前に姫路へ。
姫路駅に一昨日オープンしてという商業施設「PLiE姫路」を見学。
土曜の昼だが、客はそんなに多くない。
高級ブランド店を集めても、姫路ではどうかと思うぞ。ユニクロにすべきではなかったか?
目立つのは2階全フロアがジュンクドーになっている点。
表側の駅ビル3階から移ったらしい。
ということは、表の駅ビルは廃墟同然……取り壊しが決まっているらしい。
確かに老朽化していて、世界遺産の姫路城と向き合うにはお粗末だからなあ。
垂れ幕があって、姫新線・播但線も年内に高架工事が完成するという。意外に早かったなあ。
年末から年始にかけて、姫路駅、大きく変貌を遂げる……らしい。
新幹線と在来線すべてが高架化して、静岡とか浜松型の駅になるのだろう。
大阪〜播州龍野の移動のたびに戸惑うことになりそうな。
午後帰館。
夜、ニューサントリー5へ。
ニューオリンズ・ラスカルズの出演日。
トランペットは池本さん。ベースに村橋さんが来ていた。
最終ステージ、23時まで。
Fさんが好む「新地のうどん屋」に誘われて、うどんは食べたいが、飲み過ぎて歩くのがつらく、店名だけ聞いてまっすぐ帰館。
うどんは後日確認しに行くこととする。
12月7日(日) 穴蔵
わ、目覚めれば午前8時である。8時間熟睡。珍しいことである。
疲れているのだ。
食事以外、終日穴蔵にて、雑事・雑読・仮眠の繰り返しで過ごす。
そろそろ就眠。
明日こそ少しは生産的なことをするつもりである。
12月8日(月) 穴蔵
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
本日は休肝日として、粗食、早寝。
まじめな1日である。
12月9日(火) 穴蔵/早朝ウロウロ/チーハ
わ、夕食にごはんを食べたら寝苦しく、午前2時頃に目覚めて眠れず。
運動を兼ねて自転車で深夜の散歩。
梅田から扇町公園を抜けて天五、体が冷えてきたので、久しぶりに「こまいち」で鍋焼きうどんを食す。
24時間営業で、30年変わらぬ店である。
深夜から未明にかけての時間に鍋焼きうどんを食べることだけに意味がある店である。
詳しくは明日にでも「早朝グルメ」に書くことにしよう。
午前3時に帰館。
終日穴蔵……のつもりであったが、所用あって昼過ぎに梅田へ。
ついでにチーハでヒーコ。
ハチママ、来年の夏8月8日の「ハチ50周年」について色々と考えるところがあるらしい。
50周年となると、創生期からのメンバーは年金生活者が多い。
今さら豪奢なパーティは似つかわしくないのでは、という話になる。
ひところ「千円でへべれけになれる」という企画があって、初心に戻ってその線で行こうか。
「千へべ」は30年前の話で、今なら5倍程度か。
今でも、おれはひとり千円、コンビニで好きな酒とつまみを買って公園で宴会というのは好きであるなあ。これは花見シーズンの企画だけど。
まあ、基本線は決まったので、夏まで色々考えることにする。
ハチを出たら雨になっている。
アーケイド沿いに自転車で帰館。
徒歩なら、お初天神からならほとんど濡れずに帰れるのだが、自転車の場合、500メートルは濡れ鼠いたしかたなし。
12月10日(水) 穴蔵
定刻午前4時に起床、5時頃に自宅へ行って朝刊・朝食。
晴れていて、比較的暖かい。
穴蔵に戻り、雑事色々。
外が明るくなってきたなとカーテンを開けたら、外は濃霧である。視界は2、30メートルか。隣の集合住宅がシルエットでかすかに見えるだけ。
2時間ほどの間に発生したらしい。
ほぼ終日穴蔵。
たいして生産的な仕事はできず。
12月11日(木) 穴蔵
終日穴蔵。
アタマ働かず体はだるく、何かする気力がわいてこない。
終日穴蔵。
本を読んで過ごす。
12月12日(金) 穴蔵
終日穴蔵。
昼飯に外出する以外、本を読んで過ごす。
いかんなあ。
少しは本の感想もアップしていくことにしよう。
さすがに運動不足なので、夕刻、淀川堤を散歩。
十三大橋方面へ往復1時間ほど。
3日間寝そべっていたら、脚力が急に衰えているのが実感できる。
堤防の斜面を登るだけで疲れてしまう感じだ。いかんなあ。
阪急が鉄橋を渡る向こうに夕陽が沈むのを見る。
橋のアーチ・電車・夕陽は望遠で狙えば面白いのだろうが、コンデジではたいした絵にならない。
200oを持ってくればよかった。
12月13日(土) 穴蔵/青空書房
本日も暖かい日である。
穴蔵にて雑事色々。
昼前に自転車で中崎町の青空書房へ。
京都からSFファンのYさんがスグキを届けてくださるという。
去年もそうだったけど、正月が近いなあと思う。
青空店主・坂本さんといっしょに向かいの「信州そば」で昼食。
山本一力さん絶賛の「えび天うどん」をいただく。これまた年末の恒例あるね、タネもシカケもちょとあるよ。
ということで、本日、夜は専属料理人が和風の「普通のメニュー」を並べてくれた。
ビールのグラス横から反時計回りに、鰆塩焼き・揚げと蕪焼き・イカの小芋の煮たの・蕪の葉っぱと揚げ煮・ポテトサラダ・そしてスグキ。
ビールで始めて熱燗に切り替え、スグキで一献というのがたまらんなあ。
ということで、元気回復、酔っぱらったので早寝する。
12月14日(日) 穴蔵
終日穴蔵……のつもりだったが、明日から「収監」なので、午後、歩いて梅田へ買い物に行く。
人出多し。不況どこ吹く風。
夜は立川談志と許永中という変な組み合わせ2冊を並べて読み始め。
12月15日(月) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動。
梅田(午前6時前)で皓々と照っていた月が、電車からは白銀に変わり、龍野に着けば晴れた空に溶け込んでしまう。これひとつの不思議。でもないか。
見張り役交替。
本日からタイムマシン関係の相棒・某くんが某国へ行くため、昼間は格納庫に詰める。
昼食とか買い物とか炊事とか、ちょこまかと動かねばならず、ややこしいことである。
16時30分で切り上げて、川沿いの道を帰る。
年内はこんな生活が続くことになる。
メランコリックになるぜ。
晩酌メニュー。具沢山粕汁・湯豆腐・みりん干し・イカ小芋煮など並べてビール、スグキで「龍力」熱燗。
早寝するのである。
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