『マッドサイエンティストの手帳』434
●マッドサイエンティスト日記(2008年8月後半)
主な事件
・不審な侵入者(17日)
・DAICON7 Optional Tour(22日)
・DAICON7(22〜23日)
8月16日(土) 大阪→播州龍野/ペタシ
お、定刻午前4時に気分よく目が覚めた。睡眠はとるものである。
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
乗車したのは6時過ぎの阪神電車・特急姫路行きである。
暑い時だから、おかしなのが出てきても不思議ではない。
通路隔てた席に「裸足でシミーズ姿」の女がペタペタ歩いてきたのでギョ。
シミーズの色はグリーン……たぶんこの衣装、何とかいう名称はあるのだろうが……それ以外身につけていないから、風呂場から出てきたような印象だ。
これが(いわゆるロマンスシートに)寝そべって、両脚を窓にあげて眠りだした。
よく見たら、踵の高い……ほとんど直角三角形のサンダルを床に置いている。靴擦れではないから、爪が痛いからか。塩之谷センセに看てもらえ。
夜明けまでのお仕事ご苦労様でした……という気にもなれず。
某駅で下車、サンダルぶらさげてペタペタと歩いていきはったが、どこかで見たような。
そうか、谷岡ヤスジの作品に出てくる「ペタシ」というのか「スケスケおじさん」というのか、(主に)浜辺にとつぜん現れて優れて哲学的言動を披露するあのキャラクターにそっくりでなのである。
このネエちゃん、哲学的とは思えんけどね。
朝からおかしなものを見てしまった。
播州龍野にて下男モード入り。
落雷で故障したモデムの交換品が届いていて、ネット環境は正常化。で、書いたのがこの記事。
8月17日(日) 播州龍野→大阪/夜の侵入者
うへっ、やっぱり龍野の陋屋2階、夜中も32℃で眠れぬまま。
未明、朝刊が届く。
読むところなし。8割がスポーツ記事だものなあ。
下男仕事のあと、午後の電車で帰阪。
明日から2日ばかり穴蔵にこもることにする。
ということで、夜、専属料理人に水とお茶などライフライン用品を運んでもらうことにしたら、携帯電話。廊下で不審な男から「水をくれ」「部屋に入れてくれ」と迫られて逃げ帰ったという。
オートロック化したというのに、ややこしいのが侵入したらしい。
慌てて武器を用意……といっても、何もなし。カメラの三脚を1メートルほどに伸ばしてバット代わりとする。
廊下へ出たら、おかしなおっさんが隣室のインターフォンを押してなにやらがなっている。
「おい、どっから入った」というと「表から」などという。
以下、ややこしい問答あるが、隣室のY氏にも出てきてもらって、おれが拳で肩口をゴツンとやりつつ、エレベーダーで1階まで連れて行って追い出す。
三脚で殴りはしなかったが、専属料理人に対する威嚇行為があったものだから、背中を数回どついて叩き出した。
本来暴力的な行動はとらないおれがここまでやるのは、よくよくのことである。
部屋の番号を覚えられてたら、報復があるやもしれず、明日にでも木刀を買うことにしよう。
おかしなのが色々出てくるなあ。
ペタシの方がよほどましだぜ。
8月18日(月) 穴蔵/玉一/ロイヤルホース
炎天なり。
エアコン効かせた穴蔵で粛々と雑事を片づけるのであった。
広島のSFファン・H氏からメール。
DAICON7のプレイベント、大阪市内のオプショナル・ツアーに参加するという連絡である。
この人は4年前の2月に出張で大阪に来た時、キタのB級グルメ店をハシゴして、おれの1週間ぶんくらいの量を1日で平らげて行った人である。
(今回のツアーはグルメツアーじゃないけど)
これを思い出して、昼、外出のついでに、天五の玉一・イサク店で焼肉ランチ定食、生1杯300円付き。
スタミナつけなきゃなあ。ランチとはいえ本格的炭火焼きである。
ということで、午後は張り切ってツアーの資料作り。
SF大会まで1週間を切って、急に慌ただしくなってきた。ツアーを含めて4企画に協力することになっていて、各担当者ともにギリギリになって動くタイプが多いみたい。むろんおれもそうだけど。
夜9時頃に、ロイヤルホースへ。
滝川雅弘・鈴木孝紀の2clセッション。バタバタしていたので2ndステージのみ聴く。
大野綾子(p)松本敬志(b)三夜陽一郎(ds)
鈴木孝紀さんの進境著しく、モダンな感覚の2clとしては今や大阪でしか聴けないレベルに達している。
が、客席はちと寂しい。
盆休明けの月曜とあっては無理もないか。
8月19日(火) 穴蔵/ウロウロ
炎天なり……といってもエアコンがあるから播州龍野ほどの暑さはなし。
DAICON7、オプショナル・ツアーの準備を進める。
「梅地下クイズ」というのをやるので、問題を色々作って10問に絞り込む。
後日公開するかも。
ボツにした例題。
Q:雨の日にJR大阪駅からニューサントリー5へ濡れずに行く経路はあるか?(※)
答えはYESである。
が、経路を示せといえば、ファイブの常連でも半数は脱落ではないか。ややこしい経路で某ビルの裏口から出なければならないからなあ。
ちょっと現地確認したいこともできて、昼過ぎに自転車で梅田へ行く。
記憶に間違いなかった。
ついでに駅前ビルのN剣道具本舗で不審者侵入防御のための道具を購入する。
赤樫@2,100円である。この際だから、播州龍野用のも購入。
チーハに寄ってヒーコ。
大ちゃんが来ていて、わが「道具」を見て異様に興味を示す。
大ちゃんは10年以上前に集合住宅に侵入した異常者を一撃で倒したことがあるという。元プロボクサーとしては過剰防衛になるのではといったら、交番へ連行、きわめて正当な行為であることが判明したのだという。わしには真似できん。
ややこしい道具は使わずにすむのがいいのである。まして自己防衛という理由でも拳銃は持つべきではない。
ニュース雑感。
「若ノ鵬」という舶来取的が大麻不法所持で逮捕、北の湖理事長がお詫びしている。
うーん。悪いことは悪い。ただ、大鵬や柏戸が拳銃を不法所持していて書類送検、べつに引退もせず、のうのうと相撲をとってたよなあ。大麻は本人だけ、拳銃の方が物騒だわなあ。こんな前例があるから、たいした処分はくだせんのよね、たぶん。
この時に逮捕されたのは引退していた若羽黒。これは面白い取的だった。特に足の短さがたまらなかった。明武谷と対照的というか。わしゃ大ファンだったね。大鵬を「押しの一手」で倒した一番は今も鮮明に覚えている。若羽黒の魅力は、石井代蔵『押しの一手』に活写されている。龍野の書庫にあるはずだが。石井氏以降、相撲小説の書き手もいなくなったなあ。
若ノ鵬くん、反省して、魅力的なヒールになることを期待しているよ。
本日、論旨メロメロ。
※これは設問に不備がありました。梅田花月のところからアーケードを南下すれば簡単に行けます。正解としたかったのは日興ビルから東側に抜ける近道で、正解に近いのはこちらにあります。要するに、お初天神商店街と地下鉄東梅田をつなぐ通路はふたつあり(ひとつはファイブの向かい側、もうひとつはOSホテルのあたり)、ともにわかりにくい。特にファイブ前のは、駐車場の入り口で表示なし、横が今は「無料案内所」だから、知らない人は通らないはず。
8月20日(水) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
下男モード入り。
書斎は昼間31℃と快適になった。32℃ではぐったりだから、ここに分水嶺があるのだ。
下男仕事の合間にDAICON7の準備も少しする。
夕方のニュース。
早朝(5時半頃)、伊良部が梅田のバーで暴行を働き逮捕、夕刻釈放されるところが放映された。
そうか、実家に戻っていたのか。
おれが早朝梅田へ歩いていた時刻に、ビール20杯飲んで大暴れしていたらしい。
早朝の梅田ならおれと遭遇する可能性なきにしもあらずだが、伊良部は「Bar Butterfly」(←これ、どこにある店か判別できず。たぶん堂山町あたりと思うが)、おれは新梅田食道街だから、バッタリ会う可能性はないか。
それにしても愛嬌のない男だなあ。
アタマ掻きながら「どうもスイマセン」とやりゃ人気がでるだろうに。
……で、月亭可朝はどうなっているのだ。マスコミ、怠慢だぞ。
8月21日(木) 播州龍野→大阪
播州龍野にて午前5時に目覚める。涼しい朝なり。室温28℃。これはキンタマが波動関数の収縮を起こす季節の到来を予告している気温である。嗚呼、また長く寒い冬が来る。
鬱陶しい気分で下男仕事。
午後の電車で帰阪。
DAICON7の準備を色々。
明日は「オプショナル・ツアー」で、水陸両用車による市内ウロウロ〜市立科学館〜梅地下〜盛大にビール。
23日は大会1日目、古いファングループ「TP」昼食会のあと、企画2つ、夜は懇親会。
24日は「わが師」のひとり「クラーク卿」企画。
ともかく、久しぶりに3日間、SFに入り浸りとなる予定。
ということで、夜は景気づけに盛大にビール。
専属料理人が並べてくれた本日のメニュー。
枝豆、冷奴、トロ・アボガドの小鉢、ローストビーフ+温野菜(ブロッコリ、人参など)、トマト・キャベツなどのサラダ。パン少し。
これで、ビール、ワイン。
色々本を読みつつ寝るのである。
8月22日(金) DAICON7 Optional Tour
午後、堺筋本町へ。
DAICON7プレ企画のツアーに参加。
22時頃に三番街付近で解散となった。
8月23日(土) DAICON7 1日目
昼前に岸和田へ。
DAICON7 1日目に参加。
21時過ぎの電車に乗るつもりで駅へ向かったのだが、間に合いそうになくなり、せっかくなので駅前にあるジャズ喫茶「岸和田ピットイン」に寄る。
30分のつもりが、ヒゲ面マスターとしゃべっていたらたちまち1時間経過。
明日も企画があるので深夜前に帰館。
8月24日(日) DAICON7 2日目
昼前に岸和田へ。
DAICON7 2日目に参加。
少し早めに帰る。
帰路、胃袋回復、昼飯抜きであったので、新今宮で降りて「戎そば」できつね。立ち食い好きには評判の高い店。南海〜環状線の乗り換え通路にあって、南海側だから今まで機会がなかった店である。感想はこちらに追加。
で、ホームに戻るとナンバ行きの特急が来て、八代嘉美さんと編集のSさんが降りてきた。環状線に乗り換え、新大阪へのルートらしい。「なぜこんなところに」という顔をされる。立ち食いの暖簾から出たところで顔を合わすよりましか。いや、別に悪いことしてるわけじゃないけど。
ということで、本日は「閉会式」が重なる日。
明日からは静かになり、キンタマ収縮の季節を迎えるのである。
8月25日(月) 穴蔵
いかん。不調である。
SF大会疲れではなく、昨夜、涼しいのに扇風機を回したまま寝てしまったため、風邪らしい。
鼻水が出で喉が痛い。肩や首筋の凝りがひどい。
終日穴蔵……のつもりだったが、某所から某書類を送るととい連絡、留守中に書留が届いても困るので受け取りに出向く。梅田往復がつらい。先日は地下街最南端まで歩いたというのに。
ということで、午後は1時間机、1時間仮眠の繰り返し。
早寝するのである。
8月26日(火) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動。
楽しきSF大会のあとには下男仕事が待ち受けているのであった。
朝、風邪薬を飲んだから、朦朧とた気分で、ほとんど眠ったまま移動。
龍野では、クスリの影響でクルマの運転はやばい。
終日出歩かず。
食材は専属料理人が作ったのを運んできたから、それを並べるだけで、炊事もほとんど必要なし。
夕方まで寝て過ごす。
現金なもので体調がもどってきた。
雑多な用事は明日からである。
軽くビールを飲んで早寝。
8月27日(水) 播州龍野の日常
体調回復、張り切って下男仕事にいそしむのであった。
老母のために昼食を作り、下男の立場で余ったのを慎ましく頂戴しつつ、老母がいつも見る国営テレビのニュースを横から見る。
と、東京のマンションで毒S字型変形動物を51匹飼育してた男が逮捕……いやなもの流してくれるなよ。
咬まれて重体だったとかいうが、自業自得だろう。その場で死んで、本人も飼育されてるのも干からびた状態で発見されるべきだったのだ。
アタマの部分だけ聞いて居間から逃亡、5分して戻り、食欲喪失、残りは全部始末して昼寝。
国営放送、ややこしいニュースを昼食時に流してくれるなよ。
ということで、本日(と明朝)はテレビをいっさい見ないことにして、老母の夕食も全国ニュースが終わるまで15分遅らせる。
おれは老母が寝てから、CDでデフランコを聴きつつ、枝豆、ヤッコ、イカ刺身、筑前煮でビール、キムチ・ハム・トマト・カイワレどばどばの冷麺で「神の河」ロック。
21時過ぎに早寝するのである。
悪夢にS字型が出てきませんように。柏手。
8月28日(木) 播州龍野の日常/星野仙一という傀儡
今日も元気に下男仕事。
タイムマシン関係で某国とメールやりとり。
そこそこ忙しいのであった。
午後、図書館へ行ってごちゃごちゃ。
週刊朝日を見たら、えげつない星野批判。面白いので、帰路、週刊文春を買う。
ともにトップ記事が星野仙一批判。
おれは職業野球もオリンピックもまったく見てないから、記事だけを読んでの判断だが……。
週刊朝日(▼ストップ安 星野はもう辞めろ!)も週刊文春(「ヘボ監督」の正体見たり!)も……キャプションに間違いはないが……星野の采配について細かく批判しているが、本質は突いていない。
ユニホームを着る野球人としての星野は島野育夫氏の死去によって終わっているのである。「現場」の星野仙一の実体は島野だった。これはファンもマスコミも、何よりも星野自身が知っていたことではなかったのか? 島野のいない星野は、牧野のいない川上、森のいない広岡、島左近のいない石田三成、長谷邦夫のいない赤塚不二夫……だから、星野がユニホームを着ること自体が摩訶不思議なことであったのだ。星野は解説者から政界へ進むものと思っていたのに、何を血迷ったのか。
島野氏の訃報は昨年12月16日だった。星野の五輪監督就任がそれより前で、就任時点で島野氏の参加が想定されていたのなら、星野の判断ミスは半減される。が、星野ジャパン発表時点で、島野氏の参加は無理とわかってたんだろ? 島野に代わる誰かがいたのか? いるはずないよなあ。星野は晩節を汚したとまではいえないにしろ、「ストップ安」「ヘボ監督」はその通りである。賢い男と思ってたのだがなあ。
8月29日(金) 播州龍野の日常
朝8時過ぎ、久しぶりにテレビで朝のワイドショーなるものを見る。
番組表に「月亭可朝“開き直り”謝罪会見」と出ていたからである。
カンカン帽で登場、心境を「嘆きのボイン」の替え歌で披露するが、そんなの要求する芸能記者っつうのもなあ……。もっと事実関係について訊くべきことがあるだろうが。むろん反省の色なし。ニュースというよりショーだな。ワイドショーだからニュースではないか。可朝らしいといえばそれまでだけど、刑事事件としてどうなっているのかさっぱりわからない。唯一の情報は、可朝に「嫁はん」がまだいたという1点であった。意外といえば意外。
天候不順。
朝からの断続的な雨が、昼頃には雷を伴う。
落雷の被害に懲りているので、3回、パソコンを切り電源コードを抜く。
仕事にならず。
寝転がって、坪田一男『理系のための人生設計ガイド』(ブルーバックス)を読む。タイトルが不適切。「理系研究者のための」とすべき。技術系サラリーマンには何の役にも立たない。要するに、理系の研究者といえども「文系的」な営業力・政治力が必要ということだが、企業のサラリーマンなら分かり切っていることだし、公開されているノウハウもあまりにも単純。
いっちゃ悪いが、大学で学ぶ「文系」の知識なんて、その気になれば2週間で習得できる。
営業力・政治力は知識としては得られず、これは文系理系関係なし、本人の資質によるものだ。
……などと愚考しつつ、タイムマシンの密貿易を工作しつつ対抗勢力側にも売り込みを謀るのであった(などと、本気にしないように→エシュロンくん)。
8月30日(土) 播州龍野→大阪/創サポ/ラスカルズ
朝のニュース。民主からの脱退騒ぎで「ぶってぶって姫が出戻り」とか、ややこしいことである。
こんな尻軽代議士でも「1議席」だから政局のキーマンコになりかねない、そういうカオテックな状況こそが危機的なんだろうな。
「ぶってぶって姫」同等の恥知らずといえば今岡清であるが、あの下郎のチンポ1本がSFの状況を変えた事件を思い出すと、政局混乱があって不思議でない気分になる。恥知らずが日本を騒がす、また恐ろしからずや。
下男仕事をあれこれ片づけた後、午後の電車で大阪へ移動。
夕方から天満・エル大阪で創作サポートセンターの講義。
提出作品4編。
・少年期のトラウマが実体化したかのような不思議な生き物と青年の共生……に見えて実は……というファンタジー。
・ガソリン高騰・電気自動車への移行から始まるホラ噺系SF。
・役に立つのか立たないのか不明のけったいな能力を持つ生徒が毎回1名登場する学園ファンタジーの連作。
・将軍「替え玉」作戦を描く伝奇的な時代小説中編。
それぞれに面白いのだが、おれの場合どうしても古い作品を引き合いにコメントする癖が抜けず、毎度反省するところだ。古いといっても「悪魔の世界」「模型の時代」「エロ将軍と21人の愛妾」など、せいぜい30年なんだけどね。
帰路、ひさしぷりにニューサントリー5に寄る。
ニューオリンズ・ラスカルズの出演日。
ラスカルズのメンバーは本日4人で、トラでピンカラ(cr)石野さん(p)室さん(ds)……あ、ピンカラさん。敬称抜きはいかんなあ。そのピンカラさん、右手が包帯グルグル巻き、指3本だけを出して吹いている。小指骨折? 音はふだんと変わらないからたいしたものだ。
2ndステージから最後まで聴き、深夜前に帰館。明日はまた龍野だから、早寝しなきゃいかんのになあ。
8月31日(日) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動。
前線が去ったらしくカンカン照りになった。
またも酷暑か……が、下男仕事に疲れた夕刻、庭先で空を見上げれば秋の雲。
センチメンタルになるぜ。
……明日は出所できそうである。
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