HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』114

●マッドサイエンティスト日記(1999年7月前半)

主な事件
 ・やねこんに行く
 ・トラに変身、突発的に香港往復
 ・東芝のアフターサービスについて……支持はしないが見守る
 ・ダイナマイツふただび

1999年

7月1日(木)
 梅雨の合間からりと晴れるが、これは波乱の7の月、ささやかな休息時であったようである。

7月2日(金)
 午前2時起床、睡眠時間まだ不安定。
 血圧134ー68。SF大会前日といっても、もう興奮する年齢ではないのだろう。

7月3日(土)
やねこん1日目

7月4日(日)
やねこん2日目
 やねこんから帰宅、午後7時。
 移動中、珍しく会社関係の電話があったらしい……。

7月5日(月)
 またも午前1時起床。
 午前7時過ぎに出社したら、SF大会から帰ったボンクラサラリーマン、すぐトラに変身して香港へ飛べという秘密指令発動。
 トラとはバンドマン用語手でエキストラの略。落語でいうなら「無精の代参」。7日……あさってからの航空券、なんとかなるのだろうか。なんとかなってしまった。恐ろしいことである。
 夕方の来客予定、ドタバタの影響で「夜」にしてもらう。
 十三の居酒屋「ひで」まで出向いて、毛ガニをバリボリやりつつ午後10時まで「商談」。会議室よりずっと話が進む。

7月6日(火)
 明日から不在になるので雑用色々。夕方、やっと航空券が届く。
 夜、出張準備1時間。といっても下着数枚をバッグに詰めるだけである。

7月7日(水)
 朝7時過ぎに家を出て10時に関空を離陸、午後、香港着。トランジットはあったものの、香港で空港の外に出るのは初めてである。曇り空。エアポート・エキスプレスは快適で、着陸後1時間もかからないうちに九龍のホテル着。地下鉄で銀行と旅行社へ。夕方、現地スタッフのI木くんがホテルに来て簡単な打ち合わせ。近所で海鮮料理。明日まではウロウロも酔っぱらう訳にもいかず、ホテルで寝転がってポリャコフ博士の「地球を離れた2年間」を読む。ミールでの最長滞在記録。気分は宇宙飛行士。

7月8日(木)
 九龍南端にあるペニンシュラ・タワーの一室へ行く。香港島に面した「香港でいちばん眺めのいい場所」だそうである。これなら観光に動く必要がないわ。

 off off

 任務終了後、記念に写真を撮ってもらう。この後、急にスコール状態、視界ゼロとなる。不吉な予感が走る。が、まあ特に問題なく退散。
 雨の中をわが社の現地事務所へ。ここでミッション無事終了。
 緊張はしたものの、終わればあっけないものである。
 夕方、現地事務所のI木くんらと韓国焼き肉屋へ。途中から広州から戻ったK藤くん合流。香港3月というが、もう広州に自由に出入り。元気な男である。
 I木くんはわが社でいちばんハンサムといわれた男。10年ほど前、新しいドレスシャツのキャンペーンをやった時にポスターのモデルに使ったことがある。その美青年も頭に白いものが目立ちはじめている。かたやK籐くんはタイ、インドネシアと渡り歩き、中国に来て3月、もう現地入りして電話でカタコトの広東語をあやつって動き回っている。どこにいても「現地人」にしか見えない。
 ネイザンロード南端付近で記念撮影。

 off off

 このあたり高級ホテルが多いが、九龍城陥落以来、香港を代表する「怪しげな建物」はここにあるそうだ。ホリディ・インをはさんで古いビルがふたつ。中は魔窟とか。すぐ隣は高級ホテルなんだがなあ……。
 ハイヤットのバーで水割り2杯。午後10時に帰館して、またも入浴もせず睡眠。

7月9日(金)  ホテルの朝食がまずくて高いので近所の店でおかゆ8香港ドルの朝食。悪いので野菜の炒めものむらしいのを注文したら3人前ほどの量……やっぱりひとりではうまくいかない。
 10時前にチェックアウト。バスで空港へ。夕方、関空着。1時間で帰宅。
 あっけない香港往復である。若いときならともかく、今さら刺激を受ける街ではないなあ。自分の意志で行くことはもうないだろう。
 帰宅して光瀬龍氏の訃報を聞く。
7日の午後亡くなられたそうである。スコールで視界がゼロになった頃であろうか。

7月10日(土)
 世間休日なれど雑務山積につき出社。夕方まで。

7月11日(日)
 午前5時起床、夕方まで終日寝たり読んだり。

7月12日(月)
 帰国後の処理事項多く、ボンクラなりに努力する。まじめに仕事することもあるのである。
 「週刊朝日」が東芝の苦情処理室暴言テープ公開HPを特集している。先週の新聞報道で知って見ているが、やっぱりこのページ東芝のアフターサービスについては面白い。
 東芝の西室泰三くん、ハードSFの注目株・小林泰三くんと同名だけど、そして小林くんならヘタ打たんと思うけど、西室くん、対応間違えるととんでもないことになるぞ。成り行きを見守っているからね。わが家には東芝製品が結構多い。日本橋のなじみの店が東芝メインだから、身内にM電器がいるのに、いわゆる白ものは東芝が多い。しかし対応いかんでは、生涯買わないからね。……わしもユーザー対応では、ほとんど殴られかけた経験が何度かあるけど、あんないい方は絶対にしなかった。
 東芝は明らかに誤っている。あとどう謝るかだ。

7月13日(火)
 ボンクラなりに東奔西走。

7月14日(水)
 ボンクラ、朝から南東奔、午後東走り。ややややこし。
 上京して夕方浜松町ウロウロ。
 ものすごく蒸し暑いなか、午後7時半、表参道のスパイラルへ。
 谷口英治さんが参加しているダイナマイツのライブ。
 「CAY」という店はエスニック風創作料理のレストランバー。音響もよく、ステージ正面のテーブルに、「子供が夏休みなのでお出かけできる」という某人妻と合流。……こんなことまで明かしてしまうのがこのホームページの恐ろしいところである。
 もっともこの人は、谷口英治も好きだが、バイオリンの後藤勇一郎さんのファンでもある。力強くダイナミックなバイオリンは素晴らしいが、どんな舞台でも(大阪のいずみホールでも)大工の棟梁みたいにハチマキを締めているのがいい。

off off
 ステージの合間に記念撮影。後藤さんと某人妻。「美貌の人妻」でないのが残念。
 本日は初めて聴く曲が多かった。
 演奏終了後、ステージでライティングして本格的な撮影をしているところ、よこからスナップ。まさに盗み撮りである。

off


7月15日(木)
 不快指数がピークの東京、午前中、日本橋界隈ウロウロ、午後虎の門。
 業界の会合、午後4時まで。
 17時過ぎのひかりで帰宅すると、どういう訳か、ボンクラ息子のみ、ゲームをしている。……冷凍食品を解凍、父子で寂しきクレイマー・クレイマー生活である。
 なにか罰が当たったのか……。


『マッドサイエンティストの手帳』メニューヘ [次回へ] [前回へ]

HomePage  自己紹介
作品リスト・クロニカル  書庫の片隅
SF同人誌「SOLITON」