『マッドサイエンティストの手帳』317
●マッドサイエンティスト日記(2004年11月後半)
主な事件
・播州龍野の日々(〜19日)
・谷口英治スインギン・サミット in 大阪(20日)
・滝川雅弘 O-CAT LIVE(21日)
・桂米輔ドガチャカ落語会(25日)
・井上佳也ジャズアンサンブル+滝川雅弘(29日)
2004年
11月16日(火)
播州龍野の日常。
朝7時、町内放送というのか、遠くからスピーカーが何やらがなり立てるのが聞こえる。
誰かの訃報らしい。
しばらくして郵便受けに連絡メモが入る。……このへんのシステムはまあよくできている。
そう親しくはないが、老母とほぼ同年の人らしく、老母またもちょっと落ち込む気配。
夕刻、通夜に代理で出席。
こちらには礼服はむろんスーツすら置いてないので、こういう場合は困る。黒っぽいジャケットにともかく黒っぽいのを着込んで、コソコソと受付、コソコソと拝んで、コソコソと帰ってくる。香典ドロと間違えられなかったのが幸いである。
11月17日(水)
播州龍野の日常。
寒い。午前4時の室温12℃。おれにとっては真冬の気温である。
これからの越冬を思うと気が重い。
中学・高校時代、貧弱な暖房設備だけでよく受験勉強ができたものだとわれながら感心するが、一応は防寒衣料・生活のスタイルなど、システムに慣れていたからだと思う。
中越地震の被災者を想像すると、たぶんこちらよりも数万倍の過酷さであろう。長年の「越冬システム」が破壊されているからである。
……おれは、自分で確認できる範囲でしか災害支援活動はしないのだが(阪神大震災の時もそうだった)、今回の中越地震は別である。現地へは行けないが、支援らしきことはした。これは珍しくも専属料理人もほぼ同時に言いだしたのであった。
寒さというのは辛いことである。
11月18日(木)
播州龍野の日常。
雨ぞ降る。
肌寒く、出かける気分にならない。
終日「家」に籠もる。
明日帰阪するので、本日は冷蔵庫内の整理メニュー。
交代要員の妹が何かいいものを持ってきてくれるであろう。
ということで、残りの材料で工夫したが、われながら上出来。
ちなみに本日のメニュー。
朝はヨーグルト、トースト、ティ、ハム、果物の定番。
昼は豚肉コマギレとキャベツ・玉葱ぶち込みの焼きそばでビール一杯
夜は豚肉コマギレとキャベツ・玉葱ぶち込みのオムレツと豚肉コマギレとキャベツ、豆腐ぶち込みのモツ鍋風、盛大にビール。
老母にはこれらをシェアしつつ、きゅうりとワカメ・カマボコの酢の物とか、薄揚げの焼いたのに大根下ろしドバドバとか、色々工夫するのであった。
早寝……と行きたいが、後かたづけもあり。
リスニングルームに石油ストーブをつけて、ジョージ・ルイスと北村英治聴きつつ、水割りで仕上げ。
11月19日(金)
播州龍野の日常……は昼まで。
明け方に雨は止んだ。
朝から台所その他の掃除、ゴミ出し。
ついでに、某国の反日感情最悪の都市に移送するタイムマシンの搬出作業。
肉体労働をやっている限り、精神状態も健全である。
午後、帰阪。
夜は専属料理人の作った「説明のしにくい洋風料理」でワイン。
ま、鶏の煮込んだのとか、色々乗ったサラダとか、ややこしいパスタである。
おれが龍野で調理している関係で、対抗心からか、おれには真似の出来そうにない、複雑な味付けのが並ぶ。わしゃシンプルな料理でいいのだけどね。好意的に解釈すれば、食べ飽きたようなものは出さないという配慮だろうけど。
『SF Japan』……『憑依都市』、わしゃもはやついていけない構想であるが、山田正紀さんの参加、その精神の若々しさには敬服する。
11月20日(土)
久しぶりに大阪での穴蔵生活再開である。
朝、タイムマシン関係の伝票を届ける必要あって、自転車で天五まで。
梅田を抜けて扇町公園。ルン吉くんと11月12日以来、1週間ぶりの遭遇。
予想通り、扇町公園南側の「石のベンチ・2番」が定位置になっているらしい。
座って、小刻みに体を動かしている。やはり寒いのであろう。夜通しこうしている可能性がある。
2000年の年末、わが穴蔵の前の歩道(SF新人賞受賞前の井上剛さんが勤務していたビルの前)を定位置にしていた時から、酷寒の冬の夜中もそうだったのである。
公園の銀杏が色づきはじめている。
ルン吉くん、これから5回目の冬に挑むのだが……。
帰路、田舎屋食堂に寄って朝飯。
8時半、再度、扇町公園を抜けて帰ろうとしたら、なんと、スダレ頭のおっさんがパッチ姿で寝ころんでいる。
ルン吉くんじゃないだろうな。こぎれいだし。
行き倒れを囲んでいるのかと思ったら、ビデオ撮影であった。
アホの坂田かいなと思ったら、どうやら吉本の若い芸人らしい。
たぶん横の関テレの番組であろう。
まあご苦労なことである。何やらインタビューみたいなことをやっているが、あまりの中身のなさに退散。朝から見るものではないよ。
わが集合住宅、本日朝9時より4日間、エレベーター工事のため、階段昇降である。
ゴンドラの入れ替えを含む工事。
停止直前に帰館、夕方まで穴蔵に籠もる。
夕刻、専属料理人と梅田地下街を北端から堂島まで歩く。
「Mister Kelly's」へ。
「谷口英治スインギン・サミット in 大阪」 出演は、谷口英治(cl),袴塚 淳(p),畑ひろし(g),山口裕之(b),山下暢彦(ds)
2ステージを聴く。
「Bon't be that way」発売記念ツアー……であるが、メンバーはCDとは違うし、畑ひろしがゲスト参加で、東西混成のライブとなった。
客のリクエストに応えるということもあって、意外にポピュラーな曲が中心であったが、「小さな花」はCDのアレンジで、「シング・シング・シング」は「素敵なあなた」に挿入するかたちでとか、谷口流のセンス横溢。
明日から、洲本、高知、高松とツアー。これらは「コンサート」なので、追っかけたくなるが、体力がなあ……。
いい演奏だったが、この店、通路の脇で1曲中に5、6回通過、ウェイトレスが通る。隣が「同伴」前のホステスとカモみたい(専属料理人の意見)で、両方ともがチェーン・スモーカー(幸い1ステージだけで去ったが)と、最悪の環境であった。料理の押売型もライブハウスとしてはねえ……ま、席が悪かった。ということで、2ステージで帰ることに。
ライブハウスというのは難しいものだなあ。
11月21日(日)
定刻・午前4時起床。室温21℃。やっぱり大阪は暖かいなあ。
5時過ぎ、「日本の話芸」再放送で桂雀三郎『宿替え』を見る。
朝から雀さんというのも濃いが、やっぱり聞かせるなあ。釘打ち場面の語りには爆笑。ひとりで見ていても声を出して笑ってしまうからたいしたものだ。
昼間は穴蔵。
午後3時、地下鉄で難波、O-CATへ。
O-CATには初めて来る。ここにも商業施設があるのだった。
「フランス・フェア」というのをやっていて、そのイベントのひとつ、1Fマルチビジョン前特設ステージで滝川雅弘さんのライブ。(明日はシャンソンとか、色々あるらしい)
出演は、滝川雅弘(cl),橋本有津子(p),橋本裕(gt),中村尚美(bs),ハービー・トンプソン(vo)
ハービーは初めて聴く黒人ボーカル。声はジョニー・ハートマンに似た正統派クルーナーで、なかなかいい。ナット・キング・コールのナンバーが得意な感じだが、滝川さんとの掛け合いをトロンボーンを声色でやったり、最後はサッチモのモノマネで「サニーサイド」を歌うなど、かなりのエンターテイナーである。
ただし客層悪し。ミナミで無料だとなあ……。率先して手拍子打つオバハンがひとり前の方にいて、これに会場連動してしまうが、シシャンコシャンの民謡調だから、これ困るよなあ。
ハービー・トンプソンが苦笑しながら、右手のマイクをスタンドに戻して(つまり両手をあけて)アフタービートの見本を演って「修正」……これが何度も。
修正させられた方、全然その自覚ない様子。国辱ものだが、しかたないか、ミナミだから。
谷口英治、滝川雅弘、つづけて聴けたことを幸せだと思わなければなるまい。
11月22日(月)
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
11月23日(火)
終日穴蔵。
少しは仕事もする……つもりであったが、典型的な小春日和。
気分がいいので、昼前後、買い物など兼ねて梅田〜天六の書店、CDショップ巡回。
ジミー・ハミルトン『Swing Low Sweet Clarinet』がCD化されているのを発見。
地味〜なクラ吹きの旧盤もマメにチェックしてみる必要があるなあ。
扇町公園。11月20日と同じ南側の定位置「2番」。
ルン吉くん、気持ちよさそうに寝ている。
やはり夜は寒くて寝ないまま、昼間の睡眠というパターンなのであろう。
長靴は白……気になるのは、時々黒いのと変わることである。どこかに予備を保管しているのだろうか。ダンボールハスウさえ持っていないのに。
穴蔵に戻って、午後から夜にかけてFM。
本日はNHK−FM「オールディ・ジャズ・リクエスト」の日である。
「エッジの効いたジャズ」特集ということで、これは境界線上という程度の意味らしい。ロック、フュージョン系が多く、楽器では電気楽器、アルト、それになぜかバリトンサックスが多い。カツシンとか美空ひばりのヴォーカルも。
ちと疲れるね。
アルバート・アイラーがかかるとほっとするくらいである。
坂田さんの「別れの一本杉」をリクエストすればよかったかなあ。
11月24日(水)
小春日和である。
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
11月25日(木)
定刻午前4時起床。
5時半にボンクラ息子その1の携帯に電話。「起きろよ」
……早朝に起きる必要がある時に、時々「予備目覚まし時計」替わりにこういう依頼をしてくるのである。
念のため、6時半にも電話。つまり、朝の支度に1時間近く要するらしい。
おれはきちんと朝食を食べても20分はかからないがなあ。
ま、何とか頑張っておるのであろう。
またも土浦で28歳の引きこもりが両親殺害……こんな目に遭うよりは目覚まし時計役の方がはるかにましである。
ウチは親の方が終日穴蔵に引きこもり。
夕刻這い出して梅田へ。
太融寺の上には十三夜の月がかかっているのであった。
「バーモントの月」なんてのを思い出すね。
本日は『桂米輔ドガチャガ落語会』
来年の35周年に向けての月例落語会、龍野「いたりきたり」でなかなかタイミングが合わなかったのである。
本日の演目。
桂ちょうば「ろくろ首」
桂米輔「崇禅寺馬場」
林家花丸「千早振る」
桂米輔「親子茶屋」
「崇禅寺馬場」は、米輔さん本人が、珍しいだけで「面白くない」という。そして、確かに、面白くはないのだが、ある意味で「衝撃的」である。甚兵衛さんをアホが訪ねる冒頭のやりとりは「道具屋」とほぼ同じだが、まさか甚ちゃんがホンマに○○○○とは……。
あとの展開はただただ不自然。しかし、設定の「まさか」を引きずるから、どうなることかと聞き入る。「面白ろない」という米朝師匠の判断は正しい。面白ろない。が、これは異色の噺である。
花丸さんは初めて聴くが、ちょっと田中康夫に似ていてなぜかおかしい。千早の最後の部分、イタコを出すわ、サゲは変えるは、なかなか。
「親子茶屋」……これはポンちゃんの踊りのうまさもあって、安心して楽しめるのであった。
終演後、小牟田さん、深尾さん、日高さんその他、主に川柳「どぜうの会」面々中心に二十名近くで「スーパー百番」へ。
ここは何年ぶりかなあ。
上のさくら銀行はコンビニになり、周囲の店も変わって、いまや「百番」が老舗である。
例によっての百番メニューだが、おれが「ボージョレ・ヌーヴォーはないんかいな」といったところ、ホンマにあった。
派手なラベルだが、ま、なかなかのもの。
ワインは百番に限るのであった。
なんやかやで23時近くまで。
※深尾さんから「ネゾがことする」という言い方があるという話が出た。
牧村史陽『大阪ことば事典』には「ネゾ」はなく、「ネソ」ならある。
ネソ=むっつりした人物を嘲っていう。ねっそりが語源? 「ガサ」の反対語らしい。
用例として「ネソがこそする」(おとなしそうに見える人が、かえってかげでこそこそと、とんでもないことをしている)
これがさらに変形したのではないか。
「崇禅寺馬場」の甚兵衛はんはこれに相当するのであろうか。
11月26日(金)
何度も書いているが、おれは極端な早起きである。
したがって家族揃って朝食というのは滅多にない。
寒くなると「早朝グルメ」に出かけるのも面倒になる。
したがって、朝5時頃に、なるべく音をたてないように冷蔵庫をゴソゴソすることになる。
本日、冷蔵庫に「とろろの残り」があったので(先日、京都のじねんじょを貰ったばかり。粘りが強いのでのり巻きにできる。呉春に合うぞ)、これに醤油加えて、あたためたご飯にかける……で、一口。むむむっ、ドロッと甘ったるい、何かのクリームである。(あとで聞けばシュークリーム用のカスタードなのであった)
むろん、靴墨ではないのだから、栄養面からいえば、食べても害にはならんのだろうけどね。
これに似た話は筒井さんのショートショート(アサヒネットBBSの「百噺」の一編)にあり、最近では、かんべむさしさんが「フリーメモ」で類似した発想について書いたばかり。
おれも遅れ馳せながら、体験として参加できたわけである。
昼前に自転車で出かける。
読売新聞旧社屋前のご神木が色づいているのであった。
これは本間祐さんの傑作「龍の日々」冒頭に出てくる。
こうして見ると、龍の形に見えないではないなあ。むしろキングギドラか。
久しぶりに本町へ。昔の勤務先の近くで知人とランチ。
おれだけ軽くビール。毎度のことながら、ボンクラ・サラリーマン諸君を眺めながら昼ビールを飲むのはたまらない。
午後、かんべむさし氏の仕事場に寄って雑談1時間。
11月27日(土)
終日穴蔵。
島田正吾の訃報。
98歳とは……。
映画では「座頭市千両首」の国定忠治が記憶に残っているなあ。
「凶状旅」でストーリーとは無関係に忠治とちらっとすれ違う場面も印象的だった。この時は島田正吾ではなく名和宏だったはず。
座頭市は子母沢寛原作ということになっているが、基本は長谷川伸の世界、これも一種の「シェアード・ワールド」ということになるか。
11月28日(日)
定刻前、3時過ぎに目が覚めてしまった。
空腹である。
先日の「とろろ」に懲りたので、久しぶりに「早朝グルメ」にでかけることにする。
梅田ロフトの南側……4時半頃に若い女性がゾロゾロと出てくる。
ここは以前はマグロ食べ放題の店であったはずだが、ディスコ(今はクラブというのか?)に変わったのであろうか。
踊り疲れたディスコの帰り〜などと歌いつつ、堂山町を抜ける。
始発電車に乗るために歩く呆け面が多い中、堂山町は辻々に風俗の客引き。がんばっているなあ。さすがに風体を見てか、おれに声がかかることはなくなったが。
扇町公園、やっぱり11月23日と同じ「2番」指定席でルン吉くん、じっと座って寒さに耐えている。
満月が皓々と輝いている。
扇町公園の月……公園には誰もいない。
日曜の早朝で、いつも行く店「早朝グルメ店」はどこも休みである。
午前4時59分に開店する、天六「十八番」で朝飯。
本日はかす汁定食350円。
あとは終日穴蔵。
夜、テレビで北野武版『座頭市』を観る。
なんともはや……。断片的に面白い場面がないではないが、まったくドラマになっていない。タケシ映画に対する笠原和夫の批判はそっくりそのまま生きているなあ。特に、親玉がやっつけられた後で、座頭市と浪人の対決に意味があるのか? この二人がなぜ敵味方になるのか、理由がいまひとつ希薄だ。やっぱり座頭市は第一作の天知茂との対決……友情を感じつつ斬り合わねばならないという設定が際だっていて、これを超えるのはもう出てこないだろう。
11月29日(月)
終日穴蔵。
夕刻、毎日放送(TV)のニュースを見ていたら、「貼るだけで携帯の電池寿命を延ばすというシール」のいかがわしさを実証する実験と、経営者へのインタビュー。
「営業部長」というのが出てきて、「科学的ってどういうことですか! それはユーザーが決めることでしょ」とはねえ。
この会社、「販売会社」と「製造元」と2社あるのだが、出てきたのはどちらの会社なのであろう。
「販売会社」なら岡町にある明*社で、ロビーで時々ジャズライブをやるから、いい印象を持っているのだが。
「製造元」なら、わが穴蔵から50メートルのところにある小さなテナントビルの一室である。とても「メーカー」とは見えない。……こういってはなんだが、わがタイムマシン格納庫の方がよほど工場らしいよ。
このシール、タイムマシンに貼ってみるか。航続時間が大きく延ばせるかも。
夜、久しぶりにニューサントリー・ファイブへ出かける。
色々な予定を考えると、今年最後のライブになるかな。
井上佳也ジャズアンサンブルに滝川雅弘さんがゲスト出演。
井上さんは、エリントン・ナンバーを演る「フィール・ジャズ・オーケストラ」の中核メンバー。本日はそのピックアップ・メンバーかと思ったら、これはまた別のグループらしい。
2ステージ目、若い女性クラ2人を加えた4クラリネットで、ムード・インディゴなどのエリントン・ナンバーや「バーニーズ・チューン」など。
先日、ジミー・ハミルトン(エリントン楽団の名クラであった)のCDを発見したばかりだったので、これもシンクロニシティであろうか。
女性クラはまだアドリブもコピーの譜面段階みたいだけど、ジャズクラの層が広がるのは嬉しいことである。
聞けばふたりとも十代で、阪大生だという。……ニュー・ウェーブではなく、今はバンドが多いらしい。おれがいた時は「スイング・アカデミー」がグレン・ミラーなんか演っていた段階からベイシー・ナンバーへ進化する頃で、学友数人がいたからよく部室には出入りしていた。
1年の時に(中学時代にブラスバンドでクラを吹いていたから)入部したが、夏休み前で挫折した。同時期、初めてクラを手にしたというKくんが、3月で遙かにうまくなってしまったからである。SF同人誌に専念と決めたのはその時である。
やっぱり、ちょっと吹いてみたくなるなあ。
井上さんは、クラがメインだが、かなりのマルチ・プレイヤーで、この日も、テナー、ソプラノ、バスクラ、トランペット!まで並べていて、それぞれ一曲は使用した。
滝川さんのうまさはいうまでもないが、谷口英治編曲のナンバーでバトルやったり、北村英治編曲を採用したり、ジャズクラ文化の着実な広がりを期待させるライブであった。
いい気分ではあったが……カウンター内の新顔ネエちゃんがチェーン・スモーカーなのには困ったもの。客の副流煙はがまんするしかないが。
足が遠のきそうであるなあ……
ということで水割り飲みつつ23時過ぎまで。
帰路、ちょっと気になって、扇町公園を回って帰ることにする。
が、指定席「2番」にルン吉くんはまだ戻っていない。
夜中まで「巡回」なのであろう。
「2番」の石に座ってみる。
ひやりと冷たく、こりゃたちまち痔になりそうな。
ついでにルン吉くんと同じ姿勢で寝そべってみた。
これは意外に気持ちがいい。
酔っぱらっているからかなあ。
中天の月がきれいである。こんな姿勢で星空を見るのも久しぶり。
月がとっても青いから、一眠りして帰ろ……凍死者の気分はこんなものなのであろうか。
公園で凍死というのは、家族に経済的負担をかけない最良の方法であろうが、まだ少しやり残していることもあるので、今夜はルン吉くんの席を占拠することなく帰館するのであった。
11月30日(火)
終日穴蔵……ともいかず、月末の処理事項があって梅田へ行くが、ウィークディにもかかわらず、銀行のATMには長い列。
面倒になって、明日に延ばす。
花田紀凱編集の新雑誌『WiLL』創刊号を見かけたので買ってみたが、これはひどい。
「老人向け」なのか活字が大きめだがスカスカの印象、記事が負けず劣らずのスカスカぶり。一応「総合雑誌」ということになるのだろうが、時間と金をかけて取材した記事は皆無。せいぜいがインタビュー構成。スクープらしきものもなし。「オピニオン誌」とみるなら、その論考、論者がどこかに書いたもののダイジェストみたいなのばかり。
あとはネット・サーフィンで済むレベル。
ともかく創刊号というのにテンションが驚くほど低い。
30分ほど拾い読みして投げ出した。こりゃ続かんな。
夕方、ゴジラがハリウッド入りのニュースを見る。
ということで、夜はビール飲みながら、テレビ大阪「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ」を見る。
ゴジラもの、わしゃだいぶ前から、いったいゴジラが「ええもん」なのか「悪もん」なのか、途中までわからんようになってしもた。新選組みたいなものである。メカというのが出てくるならゴジはたぶんワルなのであろう。ま、モスラはええもん、キングギドラは悪もんというのはわかっているけどね。
それにしても、ゴジラ映画は、主演・ゴジラだからしょうがないものの、役者はどれもこれもがB級。第一作の芹沢博士(平田昭彦)を超える役者は結局出ないままだったなあ。芹沢博士はゴジラを本気でやっつけたのだから、怪獣映画史上最強である。
平田昭彦、よかったなあ……。天本英世、平田昭彦、渡辺文雄と並べてみると、役者にも学歴というのが意味ありそうに思えてくる。
……などと愚考しつつ、もう眠い。明日はもう師走であるなあ。
HomePage