『マッドサイエンティストの手帳』289
●マッドサイエンティスト日記(2003年11月前半)
主な事件
・穴蔵の日々(ずっと)
・「青空書房」訪問(11日)
2003年
11月1日(土)
終日穴蔵である。
歌やんの本、校正稿相当のがプリントできる段階まで来た。
午後、維久子夫人来穴蔵、夕方まで校正と年譜の確認。
年譜はほぼ完了したが、創作落語関係でまた不明の点がいくつか。フロッピーのデータを検索して、小佐田氏が「初演日不明」としていたのを2つ割り出す。
こういうことになると、我ながら執念深いなあと思うなあ。
夕刻、だいたい作業が終わった頃に、かんべむさし氏来穴蔵。
軽くビール飲みながら雑談。
専属料理人はまだ実家から帰ってこないので、かんべに魚を焼いてもらって盛大に飲みたいところなのに、1時間ほどでそそくさと帰ってしまう。
冷たいなあ。
おれに「ひとりで魚を焼け」というのかよ。
大学のサマーキャンプで魚を焼いていた腕は、こんな場合にこそ発揮すべきではないかい。
焼き魚はあきらめて、冷蔵庫内の材料を適当に小鍋に放り込んで、ひとり寂しくビール、湯割り。
テレビで「JM」を観る。前に一度観た時はもっと面白かったはずだが、意外にも、古びるのが早い感じだ。メモリーが300ギガで大騒ぎというあたり、時代を感じさせるなあ。
11月2日(日)
きちんと4時に起きるのであった。
朝刊……ジョージ川口の死亡記事。初期ビッグ・フォーでは、小野満はまだ「こちら」にいるのだっけ。ちょっとわからん。
河内長野で大学1年生が母親殺し、女子高生も親殺しの準備中……よくわからんなあ。
終日穴蔵。
専属料理人不在につき、本日もひとりビールのつもりで、湯豆腐とイカの一夜干し、筑前煮などを並べて飲み始めようとしたところに、ボンクラ息子その2が、もやしとサーモン巻きを下げて帰ってきた。冷凍庫の肉を解凍、玉葱とピーマンを刻んでフライパンで炒め始める。なかなかの手際。できあがった野菜炒めを分けて貰って、結構豪華な食卓になった。ふたりで盛大にビール飲を飲む。
22時からセッション505で「尾田悟ヨーロピアンジャズ」。
ハリー・カンターズなど神戸ジャズストリート出演のオランダ組が共演している。
神戸ジャズストリート出演と録音は、どちらが先であったのか。神戸でとは違う雰囲気でなかなか。
セッション505は愛聴番組のひとつだが、会場で演奏終了後とかメンバー紹介のときにやたら甲高い叫び声をあげる客がひとりいて、これが耳障りでしかたがない。
どうも同一人物としか思えない。
こんなのが常連になってしまうと全国的迷惑だよなあ。
11月3日(月)
定刻4時に起きる。
明け方も小雨である。
阪神優勝パレードを見に帰るかもしれないといってたボンクラ息子その1からは何の連絡もなし。
雨、だんだんと本格的になってくる。
歌やんの創作落語に関する調査、こだわりだすとキリがないが、やっぱりやめられない。
ちょっと御堂筋の阪神優勝パレード中継を見るが、雨が激しいなあ。
終日穴蔵のつもりであったが、専属料理人からメール、本日帰宅の予定が実家事情で少し延期したいという。「喜んで」了解だな。
夕刻、小雨の中を梅田まで歩く。紀伊国屋など覗いた後、成城石井で白ワインその他を勝って帰る。
本日はFM「オールディ・ジャズリクエスト」の日で、これをずっと流しながら、本日もボンクラ息子その2と酒盛り。
で、FMでは「セッション505」の特別版ライブを放送しているが、またも「ホヒョーーーーッ」と叫び声を上げるヤツ、本日も505スタジオにいて、嫌になるなあ。声しか知んが征伐したいひとりだ。
FMをやめて、女子バレー(昔の魔女時代とちがって、いい女が多いなあ)を見ながら、ボンクラ息子その2は肉を炒め、キャベツを刻む。俺がグラタンを、まあこれは温めるだけ、さらにポテト関係を担当して、今夜も盛大にビール、白ワイン。
専属料理人不要論が浮上してくるなあ。
10月4日(火)
朝から池田市にある印刷会社セイコープロセスへ。井上社長とはもう25年以上のつき合いになる。
版下や写真の細部について打ち合わせ。
往復の電車のなかで、珍しくもスポーツ紙(サンスポ)を読む。
阪神のパレードなんぞはどうでもよろしい。
ダイエーの小久保、読売への「無償トレード」詳報を読みたいからであるが……。
なーーーーーーーーーーんもわからん。
中内(あるいはダイエー首脳)とナベツネ、いったいどんな密約を交わしたのか。
これが読売以外の球団へのトレードであったら、ナベツネは黙ってるはずないだろうが。
河内長野の親殺しもわからんが、ナベツネもわからんヤツだなあ。
……と、怒りつつ梅田に戻ると、駅で石毛直道先生とばったり。
近日、ちょっと「世間と隔離される生活」(刑務所にはあらず)に入るので、退屈しのぎのための材料を色々買いにでてきたのだとか。年末にはまた呑む約束になる。
昼前に穴蔵に戻る。
と、今度は別の資料関係の用事が発生、自転車で西天満の桂米朝事務所へ走る。
田中社長と30分ほど。歌コ本について、「協力しまっせ」と頼もしいお言葉。
……西天満界隈は40年前からウロウロしているのだが、桂米朝事務所を訪ねるのは、なんとこれが初めてである。壁に一門の噺家の顔写真がズラリと飾ってあるのが壮観である。デジカメは遠慮。
ハチでコーヒーを飲んで、夕刻帰宅。
と、専属料理人が食材抱えて帰ってきた。
夜は、湯豆腐、金目鯛の煮付、しらすおろし、黒ハンペン、わさび漬けなど並べて、ビール、湯割り。
うーん、魚関係だけはまだ専属料理人必要か。
11月5日(水)
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
午後、歌コ夫人・維久子さん来穴蔵。「歌コ本」の校正稿、大量の付箋と書き込み付きでドサッと返ってくる。
校正は初めてというが(じっさい簡単な校正記号をお教えしただけ)、なんとも凄いチェックである。……一応校正の経験あるウチの専属料理人に比べて、なんと優秀な。
歌やんの文章に対する愛着の強さであろう。
おれが最終整理した年譜、資料リストのチェックもお願いする。
夕方、また維久子さんから電話。
12月1日のトリイ寄席(トリイホール)を「桂歌之助三回忌追善落語会」にすることが決まったと小米朝さんから連絡があったという。
米朝一門、全面的にセールスプロモーションに協力してくれる気配で嬉しくなるなあ。
11月6日(木)
定刻少し前、3時半に起きて、朝まで少しは仕事もするのであった。
早朝の電車で播州龍野へ移動。
タイムマシンの格納庫点検。
実家に寄って、庭の柿を高枝ハサミで獲る……が、やっぱり柿木は登ってもぎ取る方が効率的である。
夜、果実を下げて帰阪。
11月7日(金)
ゲッ。身体の節々が痛い。「柿獲り作業」で久しぶりに木登りした結果である。
昼前に、地下鉄で難波へ。
「なんばパークス」を30分ほど見学。
9月なみの日差しである。
「屋上庭園」は面白いが、案外単純な構造でがっかりする。もっと迷路に近いのかなと期待していたのだが……
屋上のパラボラはエレベターの機械室らしい。
「麺だらけ」だけは人気があるなあ。
昼、スイスホテルのロビーで昔なじみのT氏と待ち合わせ、「泉州キワニスクラブ」のミーティングに出る。Tさんは某化学会社の経営者だが、30年ほど前、同じ職場だった仲である。実務に関してはずいぶん教えてもらったし、よく飲みにも行った。職場が変わってもつき合いは継続の仲。……そんなことで「気楽に何かしゃべってくれ」であったが。
会のメンバーを紹介されるが、わが同級生が就職している企業の経営者とか顧問とか、えらい人たちが多くて緊張するなあ。……まあ「SF都市大阪」ということで30分ほどしゃべる。
これから期待できるのは梅田のキタヤードと、西九条経由、阪神・近鉄の相互乗り入れである、とか。前者はロボシティ、後者は幻に終わった、かんべむさし『決戦・日本シリーズ』の阪神・近鉄版の実現期待である。
終わってから、千日前へ歩いて、グローリーランド・ジャズバンドのリーダー・林さんのCDショップ「ミュージクラフト」でコーヒー。
つづいて、堺筋本町の小牟田氏の会社に寄って、歌やん関係の打ち合わせ30分。明日改めて来ることにする。
夕方、本町のスタバで、今度は従弟のNくんと会って、実家方面のこと打ち合わせ。
本日、コーヒーの飲み過ぎである。
わ、全然眠れん。
午前3時まで、歌やん原稿の校正。
11月8日(土)
2時間ほど仮眠。
天気良く、また、9月かと錯覚しそうな陽気。
朝から自転車で出て、本町へ。小牟田氏「出勤」してくれている。
「歌コ原稿」を小牟田氏の事務所のレーザープリンターを借りてプリント。
再度校正する必要はあるが、まあ、「あとがき」以外は終了である。
小牟田氏とめん房「ごえ門」で昼飯。
この店には「厄よけ」として歌やんの色紙が飾ってある。
15年以上無事故で繁盛しているから、歌コパワー、なかなかのものである。
「ごえ門」は中央通りの南一筋、堺筋の東50メートルあたり。抜群に旨い店であります。ぜひともご贔屓に。
午後、穴蔵に戻る。目が疲れて、仮眠。
夜、久しぶりにラスカルズを聴きに行きたいが、眠くて無理である。
11月9日(日)
早寝したら、定刻4時に目が覚める。
6時半頃に、専属料理人、出ていく。選挙の立会人ということで、夜8時まで投票所に詰めるのだという。
小雨。……某宗教政党が圧倒的力を発揮する空模様である。
10時頃に投票に行く以外、終日穴蔵。
パソコンでアナログ音源をCD−Rに移そうと、初めて試みるが、半日やってもうまくいかない。ミニコンポのライン出力は正常なので、設定がまずいのか、パソコンがおかしいのか。いつでもできると思って、今までサウンド機能をチェックすらしたことがなかったのである。
結局徒労。
開票速報を見ながらビール。
特別の感慨もなし。
支持政党がない……というか、政党という組織そのものが嫌いだと、こういう場合、興奮しないなあ。
早寝。
11月10日(月)
朝刊の到着、いつもより2時間遅れ。
選挙結果……まあ、とうぜん誰が落ちたしか興味がない。
ヤマタクなあ……。
終日穴蔵のつもりが、西宮の妹から電話。「越前ガニ」があるから取りに来ないかという。ありがたい話である。
阪急夙川の改札越しにカニと書籍の物々交換してとんぼ返り。
夕方まで、歌コ本のあとがきを書くが、色々書き出したらたちまち10枚を越えてしまう。
スペースの関係で4枚に削る。評伝的な文章は機会を改めた方がいいようである。
夜は蒸した越前ガニで冷えたシャブリ。
カニをしゃぶりつつシャブリ……座布団とられそうな。
11月11日(火)
歌やんの本の刊行を記念して、12月22日(年末の「休みの谷間」である)にアイルモレ・コタで「歌之助を偲ぶ忘年パーティ」をやろうということになった。
会案内状の文案を作って小牟田氏にメール。
ついでに宣伝用のチラシを作りかけたら、夏に買い替えたばかりのプリンターが不調……インクのカートリッジの引っかかりである。
箱を残していたので、それに詰め、自転車で専属料理人とヨドバシまで運ぶ。
ひとりでも運べないではないが、鍵とかカバンとかが煩わしいので、昼飯をエサにして専属料理人を助手にする。
ヨドバシで修理依頼、新梅田食堂街「菱竹」で昼定食。……3年ぶりだが、やや退歩しているぞ。
あと、わしゃひとり自転車で、本庄通商店街の「青空書房」へ。
筒井さんの本でおなじみの「青空書房」……店主の坂本さんとは、ずいぶん前に京都でのエノケン上映会で会って以来。この店の前はよく通るのだが、午前4時前後なものだから、昼間に訪ねるのは初めてなのである。
要するに「歌之助」の本を置いてほしいという依頼である。
快諾していただく。
あと、座り込んで1時間以上雑談。
小説のこと、落語のこと、古い文献のことなど、しゃべりだしたらお互いとまらない。
改めてお伺いすることにして、いったん帰宅。
今度は地下鉄で本町へ。
小牟田さんの事務所へ行って「歌コ本」の年譜、あとがき、修正部分をプリントアウト。
あわただしい日である。
11月12日(水)
終日穴蔵……のつもりが、調査事項が生じて、自転車で西長堀まで。
市立中央図書館。書庫から文献(といっても40年前の「大衆小説」だが)を出してもらう。わが記憶に間違いないことを確認。
ついでにクリスマス関係のCD数枚を借りる。
昼過ぎに帰って、午後はずっと穴蔵。
11月13日(木)
朝9時に自転車で出かける。
昨日来たばかりだが、またも市立中央図書館。調査の続きと資料返却。
10時半に、すぐそば、「阿弥陀池」にある塩田基明さんの事務所へ。
「歌コ本」のカバー・デザインが出来たのでという連絡があったからである。
素晴らしい!
特に米朝師匠のお言葉と写真がたまらんなあ。
昼、穴蔵への帰路、泉の広場近傍で、久しぶりにルン吉くんと接近遭遇!
元気そうに路地に移動していく。
前がまだ暑い10月9日だったが、そろそろ涼しい季節。いよいよこれから4度目の冬に挑むわけだ。
元気でいてほしい。
明日にはわしもついていくからね。
いったん帰宅。
午後、今度は阪急・石橋のセイコープロセスへ。原稿とデザインのデータを渡す。
ともかく「入稿」終了である。
帰路、石橋で餃子の「まんてんや」へ。みのさん、元気そうで安心。軽くビール2杯。
よく動いた日であるなあ。
作曲家の大澤徹訓さんがホームページを開設したという連絡。さっそくこちらからもリンク。
ついでに、珍しくも「ポルノグラフィティ」というグループのCDを聴く。WORLDILLIAというアルバム、8曲目に谷口英治さんが1曲だけ参加しているので、ディスコグラフィに追加する。
11月14日(金)
早朝の電車で播州龍野に移動。
タイムマシン格納庫。
上海関係で年内ドタバタしそうな雲行きである。
色々なルートから聞くに、中国、特に上海あたりの電力事情はひどいものらしい。三峡ダムからの送電もどうなるやら。途中の高架線下の農村なんて……矢作俊彦『ららら科學の子』で描かれた「農村」とまったく同じ、裸電球を手で拭いてあなた明日が見えますか……の世界らしいからなあ。
と、色々情報錯綜しつつも、実家にも寄り、残った「最後の柿」を収穫。
老母のためにストーブなど「冬支度」をして帰阪。
わ、「歌コ本」の校正ミスでFAXが印刷屋から大量に届いている。
11月15日(土)
4時起床、歌コ本データの校正。
朝からで地下鉄で本町へ。
小牟田氏の事務所でプリンター借りて修正稿打ち出し。
昼前に阪急石橋のセイコープロセスへ。
「社内引っ越し」の最中である。原稿渡して、帰宅昼少し前。
午後は穴蔵に籠もる。
11日に修理に預けたエプソンのプリンター、早くも届く。エプソンは立派な会社である。
溜まった本が多い。
これから明日にかけて読み続けるのである。
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