『マッドサイエンティストの手帳』272
●マッドサイエンティスト日記(2003年4月前半)
主な事件
・滝川雅弘〜ピンカラ、ライブはしご(3日)
・鉄腕アトムの誕生日(7日)
・阪大フロンティア研究機構見学(10日)
・ニューオリンズ・ジャズ・カーニバル2003(13日)
・グレゴリー・ベンフォード氏来日、京都でレセプション(14日)
・滝川雅弘+Filip Demeyere(cl)(15日)
・ついでながら梅田地下街に「謎の便痕」(15日)
2003年
4月1日(火)
早朝の電車で播州龍野のタイムマシン格納庫へ移動。
タイムマシンの外装をチェック。
どうも夏頃にシリア行き濃厚である。
昨年のアフガン侵攻の時は北隣のウズベキスタン、今度はイラクの隣国。
わがタイムマシンは兵器ではないし、兵器への転用もできないのだけどねえ。
実家にも寄る。
中旬にグレゴリー・ベンフォードが京都へ来るという連絡。どうなりますやら。サインを貰うかもしれないので『夜の大海のなかで』を実家書庫で探すが、ダンボールのどれからしく、発掘できず。『悠久の銀河帝国』を持って帰ることにする。
夜帰阪。
4月2日(水)
ネクタイをしての仕事の日なのであった。
ニュースでは、法善寺横丁がまた火事? 今度は南側、てんぷら屋から出火である。
4月3日(木)
定刻4時に起床。米軍、バクダッドへ30キロ、化学兵器使用のレッドゾーン入りとテレビ。
雑件重なり、自転車で出かける。
市内ウロウロ。本町のパソコンショップが4月末で閉店するというので、ポイント消化のために立ち寄る。2000点くらいかと思っていたら6000ポイントあった。ほしいものなきにしもあらずだが、帯に短しの点数。結局、インクのカートリッジやCD−Rなど、サプライ品に換える。結構重い。
午後、かんべ事務所へ立ち寄る。途中、靱公園、花見と花見の席取りで賑わっている。本日、桜は満開。
夜、地下鉄、JR乗り継いで京橋へ。
京橋東商店街で滝川雅弘トリオ+結城三友美(vo)の無料ライブである。
結城三友美(さとみ)さんのヴォーカルは初めて聴く。なかなか艶があっていい。
ライブ情報に結城里美と書いて間違いを指摘された。
結城里美というのはグラビアアイドルらしく、結構色っぽいのであるが、わしゃ三友美の方が好みであるなあ。
京橋に来たついでに、ライブの前後、京橋駅の立ち食いうどんをチェック。
前からメールで教えてもらっていたのである。
京橋は激戦区でレベルの高い店が多いようである。
立ち食いうどんランキングを修正。
20時45分まで聴いて、梅田へ。
サントリー5にマホガニーホール・ストンパーズの出演しているのである。
和歌山に引っ越したピンカラ、久々の登場である。
最終ステージまで。
「ゲスト」のヴォーカルなど、賑やかであった。
4月4日(金)
妙な「急性肺炎」が流行っていて、姪が香港から急遽帰国するという連絡。
仕事で留まらねばならぬダンナは気の毒だが。
この流行の雰囲気、『復活の日』に似ているような気がしてならない。
こんな時に限って、上海の案件が急に進行しだしたりして。困ったものだ。こちらのルートで聞くには、香港どころか、シンガポールも米国は渡航自粛らしい。上海も。
先日、オバハンにじゃまされて延期した「QBハウス」で1000円散髪。
「こないだオバハンが先に入ったから延期したんや」
「若いコも結構来まっせ。可愛いコが来たら、どっちが刈るかで喧嘩になるんですわ」
うーん。わしらオッサンだけではないらしい。
4月5日(土)
雨である。
午後、「あるっく」というタウン誌(紙)を出している井上彰氏と東洋ホテル喫茶室で打ち合わせ。
『天満人』という別冊を出していて、その2号でハチママの聞き書きを掲載する予定。その関連取材だが、西天満界隈は縁が深いので、別に文章も書くことにする。
空港で反攻、米軍数百人死亡。バクダッド中心部の中継は変化なしで静かなもの。 アメちゃん、殺られてるのかなあ。
4月6日(日)
朝から室温22℃。快晴で花見日和である。
10時頃に散歩をかねて自転車で毛馬閘門へ。
年1度、毛馬堤だけには桜を見にくる。
旧閘門跡の人が入らないところがいい。
満開である。宴会にはまだ時間あり、シートのみ目障り。
毛馬堤から、旧城北工場、大東商店街。……変わってしまったなあ。シャッター下ろした店が多い。30年前、毎晩、居酒屋へ通った道だが、こんなに狭い通りだったのか……。「大関」だけが健在である。
4月7日(月)
血圧が気になって、手持ちの血圧計で左腕を計る、152-83。やや高い。
9時、近くの医院へ。ここで右腕計ると、144-84。
レントゲンと心電図、ともに異状なし。血中酸素は99%。肺に異状があると90くらいに落ちるという。薬2週間分を貰う。
帰って再度左腕を。152-85。
徹底減塩をやってみるか。
午後、中之島公会堂へ。
『アトム誕生祝賀記念講演会』へ行く。
懇親会に20時前まで。小松さんが帰るのといっしょに出る。
帰路、ハチに寄り、水割り。デフランコなどクラ三枚をかけてもらう。
4月8日(火)
5時。朝刊。米軍、バクダッドのフセイン宮殿のひとつを占拠。いよいよ終盤戦か。
そろそろ「火事場泥棒」が出て来るぞ。いや、民衆の商店襲撃とかではなく、国連加盟国の「米国支持」への豹変。つまり『御乱心』騒動の時の立川談志の行動ね。
朝、粗大ゴミ出す。「予約制」で指定のラベルを貼ったり、ややこしいことである。
15インチCRTのWin95機を廃棄、と、たちまちあさりに来るのが2名。「ハードディスクを壊しているから持っていっても役に立たへんで」と行っても、睨み付けて持っていく。イラクもこうなるぜ。……ったく、せっかく「予約」しても、市は無駄足になるし、パソコンはたぶん不法投棄になるのではないか。困ったものだ。
市内ウロウロの日。
4月9日(水)
早朝の電車で播州龍野のタイムマシン格納庫へ。
実家にも寄る。老母、低血圧で、昼前というのに寝ている。
果物、総菜、パンなどの買い物と簡単な料理。
ついていたいが、夜、所用あり、午後帰阪。まあ大丈夫であろう。
夜、集合住宅の理事会。一応、これが理事長としては最後の理事会である。5月連休明けの総会まで実務はつづくが。
介護関係のこともちょっと話題になる。自分の親の方が心配なのだがなあ……。
薄情な話を仄聞。鬱陶しいことである。
ちょっと寒くなり、夜は黒糖焼酎の湯割りたくさん。
4月10日(木)
早朝、朝刊もテレビも事実上「フセイン政権崩壊、バクダッド陥落」……フセインの銅像を引き倒す映像ばかりである。大量破壊兵器はどうなった。フセインの生死は不明。
珍しくも忙しい日である。
朝から原稿も書くのであった。
昼前に某紙のクルマで阪大・吹田キャンパスへ。
浅田稔先生との対談の記事に載せる写真撮影が主目的だが、先日の講演会で画像を見せてもらった石黒浩先生の「リプリーR1」も見学させてもらえそうなのである。
ロボット関係、超多忙のようである。それだけ活気があるわけだ。
石黒先生の「取材」は、昼休み利用、12〜1時、医学部の保健科学のメンバーとの意見交換会を傍聴させてもらうというかたちで、これはこれで面白かった。
リプリーR1については、写真は遠慮した。これは変に公開して妙な説明をつけると誤解を招きやすい面があると説明された。もっともなので、ここでも余計な紹介はしないことにする。テレビは一切取材拒否で、これも事情はよくわかる。
参考記事としては、2003.4.4読売新聞「IT探検隊」というのがある。これは写真入りである。
13時〜浅田先生と某紙用の写真撮影。
梅田の紀伊国屋まで送ってもらう。
午後、ついでに阪急三国へ。某機械加工会社とタイムマシンの部品について打ち合わせ。
昼飯を食べていなかったので、駅前の「三国そば」に寄る。
駅前の区画整理でどうなるかと心配していたら、新ビルの1階に移転していた。立ち食いうどんランキングの記事を修正。
穴蔵に帰館したら、某所から電話あり、今度は自転車で別の場所にタイムマシンの部品を受け取りに行く。
戻れば、もう夕食に近い時間である。
あと、少しは仕事のつづきもするのであった。
4月11日(金)
集合住宅関係の議事録とか申し送り文書など多数作製。
終日穴蔵……ともいかず、午後はネクタイ仕事も。
昨日の反動で、能率は今ひとつ。
出かけたついでに買った谷川渥『廃墟の美学』(集英社新書)を読む。モンス・デジデリオについては謎の画家程度しかしらなかったのである。巽孝之氏や永瀬唯氏、この分野でも色々と活動しているのだなと改めて感心する。
夜、黒糖焼酎湯割り。
巨人−阪神。阪神7-1でリードが「あと一球」で7-7に追いつかれる。連敗の始まりか。
わしゃ特に阪神贔屓ではないが、巨人が勝と不機嫌になる。
4月12日(土)
鷹巣力『自動販売機の文化史』(集英社新書)を読む。よく調べてある。ロボット関係でも参考になるところが多い。ぼくが仕事で関わったのは紙幣識別関係でだが、この部分についての論述が少ないのが惜しい。「無人販売」である以上、その国の通貨の信用度は大きく影響する。このあたりの事情は面白いのである。アメリカがなぜ1ドルを紙幣からコインに切り替えないのかなども。
本日、ラグピッカーズがマホガニーホールへ来るらしいが、前後の予定でギリギリまで調整つかず、結果としては行けないではなかったが、まあ「休息日」である。
夕刻、かんべむさし氏来穴蔵。
某講釈士の「除名」問題を論ず。
おれが自分のもめ事を作品にするのと同じ。結果がどうあれ、これは講談にして披露すべきだよ、コナンくん。
4月13日(日)
統一地方選挙(わが町では市会議員、府会議員選挙)で、毎回、投票所の立会人とかにかり出される専属料理人、早朝から出ていく。
結果は明白なので投票の必要もないのだけどね。しかし批判票は投じに行く。
昼過ぎに、歩いて梅田新道の「スーパードライ」へ。
春の恒例行事『ニューオリンズ・ジャズ・カーニバル2003』である。
ちなみに昨年は4月7日であった。
今年は、出演順に、
ニューオリンズ・グローリーランド・ジャズバンド
ニューオリンズ・レッドビーンズ
マホガニーホール・ストンパーズ
ニューオリンズ・ラスカルズ
ゲストバンドで 東京からのザ・ラグ・ピッカーズ
最後はジャムセッション
司会 末廣光夫
今年は1バンド30分以上あって、これは堪能できますなあ。
ランチフード+フリードリンクで、ここではクリオール・ビール(いわゆるハーフ&ハーフをここではそう称する)が人気。むろんガブ飲み。
ピンカラ登場の頃にはワインに切替えて、もうすっかりいい気分である。
藤本さんとか、向かいに東京から来られた大矢儀一夫妻など、凄いメンバーが並んでいる。大矢さんはラグタイムの研究家で、ホームページRAGTIME CAVEを開設しておられる。貴重な資料やライブの写真が素晴らしい。
隣のテーブルに末廣光夫氏。なんだか美人が多い。挨拶に行ったら、神戸ジャズ大使なのであった。こちらでも記念撮影。
16時30分、大ジャムセッションで終了。
こんな演奏を聴いたあとでは、夜の選挙開票速報、まるで緊張感なし。地方選挙はつまらんなあ。
4月14日(月)
朝から穴蔵。
夕刻に近い午後に出て、阪急で京都へ。
18時前「がんこ寿司・二条苑」へ。先週から来日しているグレゴリー・ベンフォード夫妻のレセプションである。
「がんこ寿司」の店だが、料亭の構え。庭が凄い。由緒ある旧邸であるらしい。
ベンフォード夫妻、大迫公成夫妻、岡田靖史、岡田豊、川合康雄夫妻、林譲治、福江純、堀晃の11名。月曜ということで、勤務の都合で来られない人はまことに残念であった。
座敷で豆腐中心の会席。
豆乳鍋にニガリを入れて軽くまぜると3分間で「相転移」を起こして湯豆腐になる。小宇宙の宇宙創成最初の3分間である……なんて話もした。
大迫さん、岡田さんと達者な通訳がいて助かる。
ベンフォード氏は容貌から想像したとおりのフランクな人柄で、「日本にフルタイムのハードSF作家は何人いる」「フルタイムでない場合は時間をどうやりくりしている」「売り方は?」「海外に紹介されてないのか」「どんな作品を書いているのか」「テーマは」「スト−リーは」「その話は何ワードくらいか」など、SFの実情に興味があるようだった。
ちなみに、ライフスタイルに関しては、アメリカの早朝型はホールドマンだそうで、午前3時に起床、仕事をして、あと、シャワーを浴びて、ビールを飲みながら朝刊を読むという。なんだか話が合いそうである。
SF以外に影響を受けた作家について質問する。……最初にフォークナーが出てきてやっぱりと思ったが、あとは、ヘミングウェイ、キングズリ・エイミス、それにチャンドラーなどが出てきた。もっと南部の作家中心かと思っていたのだが、アラバマ出身で、ディープ・サウスの体質ではないようであった。
福江さんとは同じ研究分野であるから、銀河中心核のジェット噴射に関する議論も。これは「超ハード」。新ネタになるかな。つまり「バビロニア・ウェーブ」の続編である。
わが「バビロニア・ウェーブ」の概要を福江さんが説明してくれたのだが、ベンフォード氏は「2001スペースオデッセイ」以降の展開にチャレンジすべきだ(宇宙と生命の進化に関するビジョンのことと思う)といってくれた。
……など、午後9時頃まで話は尽きず。
最後にみんなで記念写真。
ついでに、特にお願いして『悠久の銀河帝国』(これにサインを貰った)に掲載されている、クラークとベンフォードが並んだ写真、これと同じように撮ってほしいと、福江さんにシャッター押してもらった。
ベンフォード氏のネクタイは「物理柄」プリントで、これはいいなあ。
庭を見学してから解散。今年のトロントへ行くメンバー、増えそうだ。
帰宅後、さっそく英訳短編が英文ホームページから読めるように英文表紙を修正。
英文ページも拡大しなければなあ……。
4月15日(火)
ホールドマンより少し遅いが、定刻4時に起床するのであった。
暖かくなって助かる。
終日穴蔵に籠もるのであった。
……が、夜は、谷九のSUBへ。
滝川雅弘月例ライブ。
オランダからのクラリネット奏者、フィリップ・デマイヤー(Filip Demeyere)がゲスト参加である。
いつもより早く行ったが、ほとんど満員!
大部分は「クラリネット教室」関係らしい。ソロ部分でもほとんど拍手が沸かず、あまりジャズ慣れしていない雰囲気である。
滝川ファンになってリピーターになってほしい。
「インディアナ」「バーニーズ・チューン」「バラード・メドレー」などスタンダードから、2ステージ目はオリジナルや「ミス・ニューオーリンズ」なんて古い曲など、最後は「ローカル820」と珍しい曲で終わる。
フィリップは、本職はクラシック畑の奏者。33歳の若手で、フランダース・クラリネット四重奏団のメンバー。デキシーも吹くらしい。音色はクリアで(楽器はクランポン)、アップテンポの曲になると高音域勝負だが、雰囲気はペプロウスキーに通じるテクニシャンである。
久々に2クラを堪能の夜であった。
気分よく帰路につく。地下鉄・東梅田から御堂筋線の梅田へ向かう。
と……御堂筋線・梅田の南端改札口前の広場に「大便」それも明らかに「人糞」をなすりつけたような痕跡が続いている。切れ切れに20メートル近く。踏まないように注意して歩くが、おれの進む方向にほぼ一致。そしてピリオドを打つように、改札前の柱の下に、ティッシュが被せられた「こんもり」が!!
いったい、何があったのか!? 「どんな風」にこうなったのか?
デジカメ持っていたけど、さすがにこれは……。
終電前、いちばん人通りが多い場所である。
「脱糞過程」を目撃された方はいないだろうか。知りたい。
目撃された方、あるいは「ご本人」は堀晃までメールでよろしく。
繰り返すが、おれが目撃したのは、2003年4月15日午後11時20分頃である。
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