HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』193

●マッドサイエンティスト日記(2001年4月前半)


主な事件
 ・花粉の日々
 ・静岡で満開の桜を見る(4日)
 ・淺田稔教授のロボット研究室を訪ねる(5日)
 ・「自動人形師ムットーニ展」を見る(10日)

2001年

4月1日(日)
 天気晴朗にして花粉の飛来多く終日書斎仕事せず。嗚呼……

4月2日(月)
 本町界隈に新入社員諸君がうろうろしているのだった。
 どれもこれもがボンクラ顔に見えるのだった。
 風と桶屋の関係ではないが、東京生命の破綻が3クッションほどおいてわが身に影響してくるのであった。
 どんな玉突き連鎖であるかは、昔、某金融機関に勤務の経験を持つ悪役ランプこと中野晴行さんなら、だいたい見当はつくであろう。
 運命というのはわからぬものである。
 詳しくは来年より本ページに連載予定の長篇『人魚の溺死』(どこか買ってくれないかなあ……)を刮目して待たれよ。

4月3日(火)
 朝5時、久しぶりにルン吉くんが定位置にいる。暖かくなり、花粉も檜に変わったようで、峠は過ぎたみたいである。
 昼、かんべ氏の事務所で1時間ほど雑談。例によって不景気な話ばかりなのであった。

4月4日(水)
 早朝のひかりで静岡へ行く。駅から徒歩10分ちょっとの市立静岡病院。城趾公園の横にあって桜が満開なのであった。
 off
 夕方まで待合室にいたり、桜を見に行ったり。
 谷島屋書店で買ってきた宍戸錠「シシド」を読む。凄いのであった。病院で読むのにふさわしい本ではないのだが……。
 近くのキャッスル・ホテル泊。あまり眠れない。

4月5日(木)
 昼頃まで静岡病院にいて、「まあ安心」ということなので、午後のひかりで帰阪したのであった。
 そのまま吹田、阪大工学部・応用機械系の浅田稔教授の研究室へ。ロビーで眉村卓さんと合流。5月連休にある70周年イベントの某企画打ち合わせ。
 夕方であり、肝心のロボットを見学させていただく時間がなくなってしまった。改めてお願いすることにする。
 眉村さんと歩いて北千里まで。『日課・一日三枚以上』のことなど、電車の中で久しぶりに雑談しながら淡路まで。……以前なら梅田で一杯というところだが、眉村さんは奥様が待たれており、わしゃボンクラ息子その2と晩飯ということで、淡路で別れる。
 ボンクラ息子その2が肉と野菜を炒め、わしがサラダ豆腐総菜系を担当して、結構豪華な夕食になった。

4月6日(金)
 掃除洗濯をし鉢植えに水をやったのであった。
 昨夜のメニューの「肉」が「煮魚」に代わったメニューで晩飯の最中に専属料理人から電話。静岡駅で今からひかりに乗るという。喉が痛く、風邪を病人に感染させては困ると「追い返された」らしい。まあしかたあるまい。金曜夜のくだり新幹線は満席であろうが。

4月7日(土)
 終日書斎、雑読仕事せず。
 潮匡人「田中知事の『真実』」(小学館文庫)を買うが……文献のみでの批判で迫力なし。しかも細部を取り上げて紋切り型の道学者めいた難癖の繰り返し。これでは田中康夫のレトリックに手玉にとられてしまうだろう。谷沢永ちゃんの「解説」まで紋切り型で退屈。……潮匡人という人は初めて知ったが「匡」の中が表紙・扉・奥付で「王」と「玉」とバラバラ表記、どっちが正しいのだ。

4月8日(日)
 終日書斎、雑読仕事せず。
 今頃であるが、先日の衛星放送の録画で「羊たちの沈黙」を観た。特別の感想はない。なぜか惹きつけられるところがない。わが体質であろう。

4月9日(月)
 いろんなことがあった日である。
 詳しくは来年より本ページに連載予定長篇『人魚の溺死』を刮目して待たれよ。

4月10日(火)
 いろんなことの続きがあった日である。
 詳しくは来年より本ページに連載予定長篇『人魚の溺死』を刮目して待たれよ。
 昼、心斎橋大丸へ。
 「自動人形師ムットーニ展」最終日を見る。迫間ゆみこさん(平谷美樹さんの学友である)からチケットをいただいたもの。……ムットーニさんの本名は武藤政彦氏。数十点の自動人形が展示してあり、音楽にあわせて動き、照明が変化する。「パフォーマンス」ということで、ムットーニ氏がそれぞれの人形の背景にある「物語」を語り、トランペットを吹いたりギターを弾いたり……。まったく予備知識なしで見たからたいへん新鮮。造形と音楽と物語性が一体になった不思議な作品群であった。特に、ハリー・ジェームスなどジャズが多く使われているのが面白い。……残念ながら、撮影とスケッチは禁止されているので、デジカメ使用は自粛した。

4月11日(水)
 汗ばむ陽気である。花粉は相変わらずひどいのであった。

4月12日(木)
 小雨であるが、花粉は相変わらずひどいのであった。

4月13日(金)
 播州龍野の実家へ行く。別荘を3軒も所有していると固定資産税がたいへんである。
 参考までに、わが3軒の別荘を公開しておこう。
 3軒と思っていたら、正確には2軒。L型につながった2軒は1軒として登記してあることが判明。評価額は1軒が175,400円、もう1軒(実質2軒)が86,100円。これにかかる固定資産税と都市計画税が合計で4,445円。「SF界の別荘王」の名を維持するのもたいへんである。ぶっ壊すとなるとさらに金がかかるしなあ……。
 田舎へ行くと花粉か凄まじい。実家泊。シャワー、目薬。しかし目がかゆく本が読めない。消灯、目をつぶってじーーっとしていて、そのまま断続的睡眠。

4月14日(土)
 別荘で終日タイムマシンの組立て。孤独なマッド・サイエンティストというのも楽しいものである。10時間ほど。まだ起動しない。
 この日も実家泊。目がかゆいので、20時就眠である。

4月15日(日)
 わ、早寝したら2時過ぎに目が覚めてしまった。2:30からテレビでイーストウッドの「ガントレット」を観る。娼婦の証人を移送する話だが、トップの陰謀がちと無茶。ラストのバスを囲んで警官が撃ちまくる場面も無茶である。反対側に弾丸が飛ぶし、流れ弾や跳弾で負傷者続出のはずではないか。
 朝刊を読んでからタイムマシンの組立て続行。……停止用の目覚まし時計取り付け用ブラケットに寸法間違い発見。困ったことだ。午後帰阪。
 明日から専属料理人が静岡行きなので、生ハムサラダ、白身魚のグリル、茄子の何とかなどでワイン。最後の晩餐である。


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