『マッドサイエンティストの手帳』797

●マッドサイエンティスト日記(2023年1月後半)


主な事件
 ・某年会(16日)
 ・KLL例会(20日)


1月16日(月) 穴蔵/某年会
 曇天。寒いのであった。終日穴蔵。
 夕刻に近い午後、近所の唐揚げ屋往復、皮センベイを買ってくる。唯一の外出である。
 夕刻、穴蔵に来客あり。
 ごく内輪のSFメンバー。
 なんとなく続けてきた忘年会が、わたくしの白内障手術で流れたものだから、本日「月遅れの忘年会」というか「新年会」というか「快気祝い」というか、そんな名目の飲み会開催。
 いわゆる「持ち寄り散財」だから、メニューはヤキトリ唐揚げローストビーフ枝豆チーズ野菜サラダなど多彩、飲料もビール・シャンパン・冷酒・湯割りなど、何でもあり。
 深夜までしゃべっていたら、ほとんど片づいたよう……に記憶している。
 わたくしにとっては「日本SFの最先端」に触れることができる、年に1度の貴重な会である。
 気がつけば眠っていた……ような。

1月17日(火) 穴蔵
 目覚めれば6時を過ぎていた。
 毎年この日、5時46分には起きているのだが、本日は寝過ごしてしまった。
 まあ時代であろう。起きてビクビクしているよりは、眠っている方が楽だし、もし地震がきても、まあしかたないという心境である。
 むろん、若い人は生きてほしいし、「語り継ぐ」のも立派なことだと思うが。
 穴蔵にてボケーーーーと過ごす。二日酔いとも申せましょう。

1月18日(水) 穴蔵
 朝、近所の某院へ。定期健診。3分間。数値はごく正常であった。
 あとは終日穴蔵。
 テレビのニュース、報道番組を断続的・断片的に見ていたら、たちまち夕刻である。
 朝、なぜか酉島伝法さんの近所の河岸に流れ着いていたマッコウクジラの曳航が始まる。
 昼、此花区のどこかの埠頭に着いているらしい。三菱倉庫の文字から、どうやら桜島の埠頭(天保山の対岸)。ここは渡船で渡ったことあり、見覚えがある。
 午後、クジラの死体をクレーンで持ち上げたり、降ろしたり、作業員が乗りこんだり。クジラの爆発防止のガス抜きとか学術調査とか。
 明日、紀伊水道沖に投棄(海没)となるらしい。
 コマギレで見ているから全容がさっぱりわからんままである。
 一杯飲んで早寝。

1月19日(木) 穴蔵
 寒いのであった。
 午前3時にゴミ出し、ついでにネコにエサ場を見る。基本的に戦況に変化なし。
 エサ場はフェンス内に移り、嫌猫派はこの区画には手を出さなくなった気配である。
 だが(今は作業車の通路から入れるが)近いうちに通路も閉ざされるはずで、その後がどうなるか、気になるところだ。
 停戦/撤退には至っていないのである。
 終日穴蔵。
 少しは仕事もするのであった。
 午後、クジラは紀伊水道沖に沈められた。youtubeのライブ配信で見る。
 たちまち夕刻。
 夜、和風ハンバーグなどでビールを飲んでたら、芥川賞と直木賞のニュース。
 小川哲さん『地図と拳』が直木賞受賞、なによりであった。おめでとうございます。
 こちらはワインを開けることにする。

1月20日(金) KLL例会
 晴。寒い日である。
 昼前に出て越境、兵庫県の三宮へ。
 文化センターで神戸文芸ラボ(KLL)の例会。12月は白内障の手術があったので欠席したので2月ぶり。
 作品についてしゃべる前に手術についていろいろ訊かれる。
 わたくしも自分の身体にメスを入れられる場合、手術の道具や装置、手順、身体の経過など、ともかく詳しくメモしておくことにしている。むろん、いつか作品にできるかもという下心からである。
 ただ、今回の場合、いちばん興味のある「機器」については、ほとんどわからなかった。目を手術するのだから、手術中に装置を見るのが不可能だったのである。
 担当医は東大で「光学」を専攻し、エンジニア経験後、阪大医学部に入って眼科医になったという、人工水晶体について訊くには願ってもない経歴の専門家である。
 なんとか時間をとって話を訊けないかと思うのだが、副病院長という立場だからなあ……などといった話をする。
 メンバー内に2名、身内が近日に白内障手術を控えていることだった。案外多いのだな。
 エッセイ5篇、短篇2篇の合評形式。
 Iさん提出のメタバースSFは注目に値する力作である。
 デジタルアートで構成される美術館世界。客はアバターとなって自由に美術を鑑賞できる。語り手はその世界のフリーの「問題解決人」、困りごとがあれば引き受けますという稼業である。ある日、ある青年から奇妙な依頼を受ける。ある作品に描かれた少女が絵の中から「助けを求めている」ので助けてやってほしいという。その絵はフェルメールの「新創画」……フェルメールの絵画をもとに新たに創作された美術画というのである。男はその作品の背景を探ろうとするが、裏には何か陰謀のにおいがする……と、ここで、まだ全体の1/5程度。
 語り手はネット上の「私立探偵」であり、典型的なハードボイルド展開である。フェルメールという選択も面白いし、青年がつよい恋愛感情を抱いている設定もいい。
 ただ、いかんせん、後半がやや息切れ……というより時間切れか。本日の例会に間に合わせるよう、無理矢理終わらせた感がある。
 この例会では、完成作品でなくてもいいはずだから、「連載」の形で、時間をかけて完成させるのも手ではないかと思う。
 かくいうわたくしは、まだ創作は提出していないのだが。

1月21日(土) 穴蔵/ウロウロ
 定刻より少し早く、3時過ぎに目覚める。
 ラジオ深夜便をつけるとジャズ音が流れる。神戸でのライブで、小曽根真と小曽根啓(ひろし)の共演であった。弟がサックス奏者とは知らなかった。悪くない。日野兄弟とかマルサリス兄弟みたいに成長するのだろうか……などと思ったが、もう真さんも60歳なんだ。わたくしなんか実さんを生で聴いた世代だからなあ。
 しかし、これから楽しみに聴かせていただくことにする。
 寒い日である。
 昼前、久しぶりに自転車で出かけることにする。
 梅田貨物線の地下化工事現場に沿って中津、そこから北へ、十三大橋を渡る。
 久しぶりに淀川を眺める。
  *
 河面と冬の空が鮮やかであるなあ。人工水晶体のおかげである。ひょっとしたらメタバースなのかもしれんけど。
 十三商店街の丹波で「きさらぎ漬」を買って帰館。
 昼は、専属料理人に掻き揚げなど揚げてもらい、蕎麦を茹でてもらう。
  *
 きさらぎ漬も並べて、これで呉春特吟を一献。
 たまらんなあ。一応、術後1ヶ月の「快気祝い」である。
 しばらく昼寝。
 あと数年、こんな生活がつづけられますように。

1月22日(日) 穴蔵
 晴。寒そうな日である。
 しかし明後日あたりから、今日どころではない「強烈寒波」(他にも色々な形容句あり)の襲来らしい。
 野良猫(さくら耳猫)たちはどうするのか……気になって昼過ぎに周辺の観察に出る。
 一昨日(1月20日)に工事があって、隣接する市営住宅がフェンスで完全に閉ざされた。住居棟の入口もフェンスで封鎖された。
 工事車両の通路は門扉かと思ってたら、通路も全部フェンスで封鎖。
 つまり当分、解体工事はないということだろう。
 廃墟好きのわたくしとしては、野々村竜太郎の生家を含むこのエリアが、万博の終る頃までここままであってほしい。
  *  *
 気になるのは耳をカットされた野良たちの今後である。
 廃墟区域は野良の楽園にはなるだろうが……フェンス内にエサやりオバサンは入れなくなった。フェンス外は嫌猫派が未明に撤去する。エサ場はどうなるのか。
 14時頃、さくら耳の野良の1匹がフェンス内に座っていた。
 深夜の攻防がどうなるのか気になる。
 明日がゴミの日だ。目覚めれば未明に見物に来よう。

1月23日(月) 穴蔵
 深夜だ。0時40分に目が覚めたので、ゴミ出し。エサ場を見たら、オバサン、通常通りにプラ容器にどっさりのキャッツフードを公園前の路上に置いていた。少し食べられた形跡あり、たぶん待っていたトラが食べたのだろう。
 大晦日にも元旦にも間違いなく置かれていた。たいしたものだ。
 この容器が何時まで置かれているのか。これが確認できない。
 午前4時には残っており、6時には片づけられている。
 誰(たぶん嫌猫派 YMCA?)が処分しているのか、これがまだ目撃できないままだ。
 ゴミ出し時間を4時半〜5時半に狭めてはいるのだが。
 まるで「世界」が見えてこない。
 寒そうな日である。1時半頃に雨が降り出した。午前2時からまた朝寝。
 終日穴蔵。たちまち夕刻。
  *
 夜はグラタン、揚げ、レンコンの炒めたん、などでビール、安ワインすこしばかり。お楽しみはこれだけだ。
 早寝させていただく。

1月24日(火) 穴蔵
 定刻4時に目覚め、4時30分にプラゴミ出し、エサ場を見る。
 夜中に出されたプラ容器にエサは半分以上残っており、横をトラ(親猫/耳はカットされてない)が悠々と歩いていく。
  *
 またもハラボテのように見えるが、違うだろうか(専属料理人のいうには腹の肉がダブついているだけでしょ、というが)。
 一応満腹しているのであろう。
 終日穴蔵。
 予報では夕方から急速に冷え、10年に1度の寒波という。
 テレビは日本海側の大雪ばかり。
 コタツに潜りこんで、画面の雪と北梅田の晴れた空を見較べつつ、本を読んで過ごす。
・14時、ベランダ8℃、アメダス7.5℃。風強し。
・16時、ベランダ6℃、アメダス4.9℃。
・17時、ベランダ5℃、アメダス2.7℃。
・19時、ベランダ3℃、アメダス0.2℃。
・21時、ベランダ2℃、アメダス-0.6℃。
・22時、ベランダ2℃、アメダス-0.7℃。北梅田の空は晴れている。
 急速に冷えているのは確かだが(播州龍野に較べれば)たいしたことなし。
 野良はどうしているのか。明日に行くことにして就眠させていただく。

1月25日(水) 穴蔵
 定刻4時に目覚める。ベランダは0℃(アメダス-1.6℃)で、予報ほどの寒さではなし。
 ウチのあたりは零下にならないらしい。
 ニュースでは、昨夜からJRが京都あたりで立ち往生、新名神もクルマが動かなくなってるらしい。
 JR大阪駅は、環状線以外ほとんど運転見合わせである。線路のポイントが切り替わらなくなったせいらしい。
 大坂市内(北梅田)は晴。大阪市内だけは何の警報も注意報も出ていない。
 世間の混乱を眺めつつ、じっとしているのがいいようだ。
 終日穴蔵。
 雲の流れを眺めながら、コタツでうたた寝。
 夕方、やっとJR動き出したような。新名神は動かず。
・目黒孝二(北上次郎)氏の訃報。19日、肺がんで。76歳。寂しいことである。
 夜。ビーフシチューなどが並んだ。
  *
 豊崎西公園南側・仲本酒店推奨・貼札破損格安激旨ワインで献杯。
 早寝させていただく。早朝に野良を見に行くのだ。

(つづく)


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