『マッドサイエンティストの手帳』785
●マッドサイエンティスト日記(2022年8月前半)
主な事件
・老いぼれに外出自粛要請中
・創サポ講義(6日)
・ハチ・ライブ(7日)
・JAZZ@放出(14日)
8月1日(月) 穴蔵
午前3時に目覚めた。
普通ゴミを出しに出て、ついでに近所を散歩。「未明の散歩」は、工事現場以外はまるで面白くない。細かい変化が暗くて見えないからである。あまりキョロキョロするのもコソ泥と勘違いされそうだし。
3丁目あたりを歩いて3000歩ほどで帰館。
と、駐車場の横に黒猫がいた。
*
先月からの「猫の戦場」拡大の元凶はこのクロである。
・このクロがトラ雌と交尾して4匹の仔猫を生ませた。
・仔猫が近所(主に市営住宅周辺)をうろちょろし始めた。
・見かねた愛猫家?が公園の隅に夜(たぶん22時頃)にキャットフードを出し始めた。
・これを嫌う嫌猫派が朝(たぶん8時頃)にゴミとして片づける。
・夜間、仔猫が食べているのかいないのか。母トラも夜明けにうろうろ。クロは飽食の気配、よく太っている。
・明け方に公園のハト数十羽が参入して、飲み込めないもののツツキまわすから、キャットフーズが周囲に飛び散る。
・ともかく、早朝に「完食」の日もあれば残っている日もある。
・あと、昼間はこの公園の隅は路上喫煙者のたまり場となる。
・こんな日が3週間ほど続いているのである。
……と、以上「猫の戦場」の現況である。
「愛猫派」と「嫌猫派」は複数に拡大している気配あり。さらには「嫌ハト派」(鳥が病的に嫌いなのは確かにいる)まで参入の様相である。どう決着するのか。
わたくしはどちらに与するものでもない。
近所の公園の片隅から「世界」が見えてくる……ような気がするのである。
終日穴蔵。
ベランダは37℃(大手前は34℃)、暑い日であった。
8月2日(火) 穴蔵
午前3時に目覚める。これが定刻になりそうな。
プラスチック・ゴミを出しに出て、ついでに「猫の戦場」を見る。
電柱の陰でトラ猫が休憩していた。仔猫はいない。
*
トレイ(というかフードパックというのか、食品のプラスチック容器)にエサがかなりの量残っており、トラは一応満腹状態なのであろう。
本日の「未明散歩」は面倒になり中止。
終日穴蔵。
世間は「生命に関わる危険な暑さ」らしいが、エアコン3時間あとは扇風機で快適である。
仕事はからきし。ドタマはボケ状態である。
座右の「はやぶさ2」を眺めて過ごす。
*
わが「近未来年表」……2031年の記載がラストで、「はやぶさ2 1998KY26到着」と「なにわ筋線開通」である。
生きてれば86歳。どう考えてもこのへんが限界である。
はやぶさ2(のガチャポン)は、唯一の生きる希望である。がんばって見届けなければ。
8月3日(水) 穴蔵
3時に目覚める。
未明、運動不足なので、少し動くことにする。
まず「猫の戦場」を見物。猫はおらず、エサは3/4くらいが残っている。猫戦線異状なし。
久しぶりに未明の梅田を自転車で散歩することにする。
新御堂を南へ。堂山町〜阪急東あたり、客引きちらほら。派手に合唱している店もあり。ただし3年ほど前(コロナ以来こんな時間には通ってない)に較べれば閑散としている。
午前3時半の扇町街公園。暗い。
*
広場の真ん中で花火している若いのが3人ほどいた。
天神橋筋〜中崎町商店街を経由。「ひろや」は開いてるが客3人、「竹乃膳」は休業。
開いてるのはコンビニばかり……の印象。
3時40分に帰館。あまり面白くなかった。未明の自転車散歩はもう終わりだな。
終日穴蔵。
本日も猛暑日だが、どうってことなし。
専属料理人が梅干し数十個を干している。天日干しの工程とか。
*
2種類作って、漬け方が違うらしい。食すのはまだ先という。
ま、わたくしは焼酎の湯割りにぶち込めればいいので、湯割りの季節といえば晩秋、冬が近いと思うと気が重くなる。
猛暑日がつづいてほしいものである。
8月4日(木) 穴蔵/兵庫五国酒肴弁当
眠り浅く、目覚めれば5時であった。かなりの朝寝坊である。
5時半頃にゴミ出しのついでに「猫の戦場」を視察。本日は「完食」のようである。
野良と愛猫派の勝利、嫌猫派は敗退、ハトは番外。わたくしはどちらに与するものでもありません。
終日穴蔵。
昼前、専属料理人に、買い物ついでに某駅弁コーナーをチェックしてもらう。
おお、まねき食品の「兵庫五国酒肴弁当」があったという。
「WEST EXPRESS 銀河」の運行記念で発売された駅弁で、昨春の播州龍野行きの時に姫路で買って感激した逸品。ともかく一杯飲みながら「隅から隅まで完食」した唯一の弁当なのである。
期間限定と思ってたら、まだあったのだ。
……ということで、昼はこれで一献。
*
兵庫五国とは摂津・播磨・但馬・丹波・淡路のこと。
ここの特産品を(少しずつだが)酒肴に仕立てて、9コーナーに並べてある。左上から……
青唐・焼玉葱(淡路) 海老・蓮根唐揚(?) 穴子寿司・生姜(播磨)
串カツ(?) 但馬牛・稲荷(但馬) 海老・胡瓜・なます(播磨)
蛸寿司・酢蓮根(播磨) 姫路おでん(播磨) 黒豆・玉子焼(丹波)
これらをつまみながら、ビール、あと灘菊の冷酒。たまらんなあ。
駅弁とえきそばの「まねき食品」に栄光あれ!
昼間からこんなことやっていていいのだろうか。いいのである。
吉村は老いぼれに外出自粛を命じている。出歩けぬ老人の楽しみはこれだけではないか。
あとは昼寝。
8月5日(金) 穴蔵
ほとんど眠れず(というか、お上の要請で出歩けないものだから、昼間のうたた寝が24時間つづいて)午前3時に起きる。
資源ゴミ出すついでに「猫の戦場」を見物。ネコのエサは半分ほど残っている。日の出まで2時間あるから、戦況はなんともいえない。
あとは終日穴蔵。
晴れたり曇ったり時に雨、昼前に大阪市に大雨警報が出たり、ややこしい天気である。
資料を読んで過ごす。
たちまち夕刻。一杯飲んで、またうたた寝のつづき。
明日は少し動くつもり。
8月6日(土) 創サポ講義
晴。終日穴蔵にあり。
たちまち夕刻。
大阪は「老いぼれ外出禁止」だが、禁を破って、地下鉄で天満橋へ出かける。
一応「不要不急ではない」用事(前から決まっていた)なので、捕まっても死刑にはなるまい。某国とはちがうからな。
谷町2丁目のCANVAS谷町(創作サポートセンター事務局)の会議室へ。
久しぶりに創サポ講義。参加者数名、他はzoomでの参加。
提出作品4篇。
・大気圏への着陸用の巨大な翼をもつ宇宙船が「見えざる手」で捕獲される……模範的ショートショート。
・彗星と並んで飛行する宇宙船内で連続して起こる惨劇。これにパンスペルミア説がからむ。心の傷から侵入してくる異星の生命体という設定が恐ろしい。
・日本のある地方につたわる、あまり知られていない民話をベースに、大人の小説に仕上げた短篇。民話にはない細部の書き込み(風景や機織りの描写など)がよく、人物像?がとても子供に読み聞かせられないものに変形してある(恋愛の駆け引きなど)のも面白い。
・最新の金星探査の成果をベースに、数億年過去の金星と近未来の地球をつなぐ、スケールの大きい設定。短篇だから詰め込み過ぎの感なきにしもあらずだが、これからの大きな鉱脈ではないか。天才少女学者の造形も見事。
いずれも短い短篇だが、それぞれ面白く、また論点も多くあって、こちらも色々刺激を受ける。
特に宇宙SFに接すると、やはり興奮するなあ。
8月7日(日) ハチ/恒例ライブ
目覚めれば立秋であった。
終日穴蔵。
外は残暑厳しいようだが、扇風機の風に吹かれておれば快適である。
夕刻、必要不可欠の外出。
人通りの少ない中崎町〜野崎町の路地を歩いて、西天満(梅ヶ枝町)のハチへ。
大阪は老いぼれに外出自粛要請中だが、本日だけは前から決まっていた(というより、半世紀前から不変の)恒例行事であり、お上の要請を無視する。ただし他人に迷惑かけてはならぬ。
半世紀前からつづくハチママ・バースディライブであり、本日は早めの早めの3回忌でもある。
人数制限しての開催。決定即刻予約したので、ピアノの前2メートルの席を確保できた。
*
まず山下洋輔さんのソロ。
山下さんソロ。「Communication」「Thought of Beatrice」「Round About Midnight」「Bolero」
つづいて、昨年に引き続き福森進也さん(ds)が加わりデュオとなる(実は昨年は「ごく内輪のイベント」という制約で公表してなかった)。
福森さんの曲で「For 2 Akis」「Birth」「You Don't Know What Love Is」、そしてこの曲なしでは終れない「Hachi」。
アンコールは……(あ、曲名失念)「ハチママが自分に捧げてくれたと思い込んでいた曲」で終了。
久しぶりにビールを飲みたい気分だが、そして懐かしい顔ぶれもいたのだが、やはり迷惑かけることがあってはいかんので、ちょっと挨拶して失礼することに。また人気のない道を歩いて帰る。
毎年、ハチライブが終ると本格的な秋である。
8月8日(月) 穴蔵
午前3時に目覚め、3時半にゴミ出し、ついでに「猫の戦場」を視察する。
トレイ2個、エサは半分ほどなくなっており、傍の公園入口にトラ(母親)猫が座っている。
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先週は電柱横にいたが、仔猫が心配で見張っているようである。
朝(嫌猫派が掃除に来る)まで緊張状態がつづくのであろう。
晴。
終日穴蔵。
これといったことはできぬまま夕刻となる。
夜は1時間ほどzoom会議。
水面下で某企画が進行中、来月あたりには紹介できる……かもしれない。
8月9日(火) 穴蔵
午前4時に目覚め、プラスチック・ゴミ出し、ついでに「猫の戦場」を視察する。
トレイ1個、ひっくり返され、エサは半分が路面に散らばっている。猫はおらず。
5時頃にハトが来るのか嫌猫派が来るのか……見届けるのは面倒なので、明日の楽しみに。
猫戦線異状なし、というところか。
終日穴蔵。
お上(吉村)の命令に従い、外出は控えるが、体調おかしくなってくる。
昼間のうたた寝時間が多く、たいした仕事はできず。
一杯飲んで早寝させていただく。
8月10日(水) 穴蔵
晴。正午自宅食卓。夜自宅食卓。
……と、晩年の荷風のおっさん風に書けば、こんな1日。
扇風機の風に吹かれて、寝そべって雑多な本を読みつつ、初秋の1日を過ごす。
散歩に出たいが、お上(吉村)の要請あり、怖くて出歩けず。
健康維持のための散歩は許されるらしいのだが、世間のアホに「散歩」と「不要不急の外出」をどう見分けろというのか。
「爺ぃ、勝手に出歩くな! 府知事がいうとるやろが」とアホ青年に殴られても、文句はいえないのである。
こんな理不尽、大阪だけのはず。
まだ当分ビクビクして生活しなければならぬ。嗚呼。
8月11日(木) zoomランチ
晴。世間は「山の日」とかで休日。盆休みで人出多いらしい。
終日穴蔵。山は動かんぞ……つうより、大阪の老いぼれは吉村の要請により、動いてはいかんのである。
かわりに横浜のボンクラ息子その1ファミリーがオンライン帰省してきた。
昼はzoomランチ。
*
犬も勘定に入れ……ようと思ったら、暑さでグロッキー気味である。
軽食並べてビール飲みつつ、犬とか野良猫とか渋滞状況とか、ごく日常的な雑談を1時間少し。
あとは昼寝。
たちまち夕刻。たちまち晩酌。
BSで 『柳生一族の陰謀』をやってるので久しぶりに見るが……意外につまらん作品であった。
面白いのは記憶どおり成田三樹夫だけで、「ほほう、マロを斬ろうというのか」場面だけが抜群であった。
8月12日(金) 穴蔵
曇時々晴。終日穴蔵にあり、扇風機の風に吹かれて。
雑事色々。ジャズ関係のこと、実家関係のややこしい連絡の処理など。
野良猫を巡る戦況についても色々わかってきたが、まだ確認できぬことあり、後日に。
たちまち夕刻。
一杯やって早寝させていただく。
8月13日(土) 穴蔵
台風8号の影響で曇天の予報だったのが、大阪は炎天。
終日穴蔵。
盆の帰省その他で世間の人出はピークのような。
こちらはテレビで新幹線・空路・高速の混乱を眺めつつ、天ぷらや蕎麦て昼ビール。
*
お楽しみはこれだけだ。
夕刻、身内から連絡。昨日、墓参で実家へ行ったら、雑草(何というのか、やたら樹木に巻きついて伸びるやつ)の繁殖が凄まじいらしい。
倉庫周辺も気になるところだが……困ったものである。
8月14日(日) 荒本/放出
「曇時々晴」の予報が本日も外れて「晴時々曇」。
午前、お上の要請を無視して荒本の府立図書館へ出かけることにする。
明日(月曜)は休館だから、一応「急を要する」仕事にはなるだろう。
地下鉄も図書館内もがらがら。ありがたいことである。
3時間ばかりいて、午後は、地下鉄高井田で途中下車。
新しく出来た「高井田中央」でおおさか東線に乗り換える。
*
ホームからの眺め。初めて来る駅だが、工場と集合住宅以外、なーーーんもない場所である。
もともと城東貨物線だから、沿線、こんなものだろう。「駅前」なんてない場所にとつぜん「駅」が出現したのだからなあ。
1駅先の放出で下車。ここは片町線との交差駅。駅前のディア・ロードへ。
大阪JAZZ同好会の例会に顔を出す。
・特集はTさんによる「チャーリー・クリスチャン」。
1939年の初録音(グッドマン楽団に参加した「Flying Home」の放送録音)から1941年の私的録音「Rhythm-A-Ning」まで14曲。
短い生涯であったのだなあ。
・Fさんの新譜紹介。
青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」が英語では「Bourbon Street Blues」になることを初めて知った。
「The Shadow of Love」(1993)に収録されている。
それをキャロル山アが20年ぶりに「Carol sings YOKOHAMA with 山下洋輔」でカバー。
この2枚の聴き比べというのも不思議なものである。
・持ち寄りは「カウント・ベイシー」。
皆さんは珍しいアルバム持参だ、おれは「April in Paris」。なぜこんな定番曲をといわれそうだが、「ブレージング・サドル」での荒野での演奏シーンが忘れられないからである。
夕刻帰館。
8月15日(月) 穴蔵
早寝したら2時に目覚める。
ゴミ出し、ついでに「猫の戦場」を見る。
猫はおらず、支援物資散乱、戦いは未明までつづくようである。
あとは終日穴蔵。
世間は動き出しているのか盆休のつづきなのか、よくわからん。
メールと電話が数件。播州龍野行きは先に送れそうな。
たちまち夕刻。
カツオのタタキで一杯やって、早寝させていただく。
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