『マッドサイエンティストの手帳』719

●マッドサイエンティスト日記(2019年12月後半)


主な事件
 ・神戸新聞文化センター(20日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・某年会(26日)
 ・株主総会的忘年会(28日)


12月16日(月) 穴蔵
 晴。終日穴蔵にあり。
 夜、集合住宅の修繕委員会。
 これからの2年間を思うと暗澹たる気分に陥る。
 理事長職は来春までで、その時点でご勘弁願う予定だが。
 遅い時間の晩酌。終えたら、もう就眠の時刻である。

12月17日(火) 穴蔵/ウロウロ
 陰。のちに小雨。
 朝、近所の某医院にて定期検診、ごく正常であった。
 机に向かい、昨夜の議事録、併せて各方面への連絡文書を作成。
 引き続きタイムマシン業務の仮決算。
 ついでに来年度の諸表を作成する。
 頭を使わない仕事はずいぶんはかどる。
 午後、処理事項あり、小雨の中を梅田へ。ATMうろうろ。
 茶屋町あたり、無数のサンタが雨の中に吊されている。
  *
 縛り首のサンタもざんないが、おれは葉を落とし針金を巻きつけられた、冬の並木が不憫でならない。
 御堂筋もそうだけど、冬の間、落葉樹は休ませてやれよ。
 年末は出歩かないに限るなあ。

12月18日(水) 穴蔵
 絵に描いたような冬の曇天……気が滅入ってくる。
 終日穴蔵。
 資料を読んで過ごす。
 一杯飲んで早寝するのである。

12月19日(木) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時起床、暁闇の空が鮮やかに染まり、晴天と思ったら8時頃には曇り、陰鬱な曇天となった。
 穴蔵にてくすぶって過ごす……つもりであったが、区役所へ出向く用事ができたので、ついでに散歩。
 中崎町を歩き、扇町公園を抜けて、区役所。あと天神橋筋商店街をうろうろ。
 しばらく歩かないうちに、天五〜天六のいちばん狭い通りにヘンな店がオープン。スシローとへんな名の「高級寿司店」風とか。
 この商店街にはそぐわないと思うが、これも時代か。
 某カクウチ店でビール一杯。
 あといぶきうどんできつね……と思ったら、仰天。
 客あしらいがひどい状態になっている。詳しくは書かないが、店員個人の態度ではなく、客を誘導するシステムが変わったとしか思えない。
 立ち食いうどんでは、絶対にあってはならないことである。
 さらば、いぶきうどん。
 天六の交差点をわたり、天六うどんへ。
  *
 半世紀の愛好店。やはりここはいい。
 ただ、ケツネがちと大きすぎると感じ始めた。次からはきざみだな。
 眉村さんが、80歳を過ぎてから、姫路の駅そばを全部食べる自信がないと書かれていた。以前は2杯食べられたのに。
 おれも70代で、似た境地なのかもしれぬ(もっともカクウチでビールの後なんだけどね)。
 ぶらぶら歩いて帰館。
 9,145歩。

12月20日(金) 神戸新聞文化センター
 予報に反して、晴れて暖かい日である。
 昼、神戸・三宮へ。
 神戸新聞文化センターの講座である。
 提出作品を中心にあれやこれや。
 この講座は昨年春、眉村さんから引き継いで担当している。本日は、エッセイに眉村さん追悼の文章が多い。
 文章のテクニックといった話より、眉村さんの知られざる一面に関する話題が色々出る。
 映画に関する好みなど、ほとんど知らなかったなあ。
 12月なので、夕刻から忘年会。
 三宮のガード下というか駅なかというか、そんなビアホールで一杯。
 「飲み放題」コースだが、アルコール飲むのは、おれ入れて2名だけ。店は大喜びであろう。
 ごく健全な雰囲気で飲んで早めの解散となった。

12月21日(土) 穴蔵
 薄曇り、だんだん雲が厚くなる陰気な日である。
 少し本を読むが、気合いの入らぬ日である。
 午後、散歩に出る。
 年末の土日、梅田は人出がひどいであろうから、淀川堤へ。
 水管橋の撤去工事、クレーンやケーブルが入り乱れて大がかりな。
 おおっ、セブリ小屋が解体されいてるではないか。10日前はこんな状態であった。
  *
 セブリの残骸、遺留品が散らばっているが、また戻ってくるのだろうか。
 自転車は1台もない。猫もいない。上流側に建て替えられた気配もない。
 いずこへ?
 年末に再確認に来ることにしよう。

12月22日(日) 穴蔵
 薄曇り、だんだん雲が厚くなり、夕刻に雨となる。
 冬至。陰鬱な日である。
 事情あって年末の肉体労働(下男仕事)と独酌の日。
 夜は食材を持ってきて穴蔵にてテレビ見つつ独酌。
 久しぶりに楽しく気分が晴れてくるが……テレビのM-1グランプリというのが全然面白くない。
 2組ほど見たが、漫才の出来映えではなく、審査とか間の駄弁が長すぎてイライラしてしまう。
 寄席番組なんだから、芸だけを見せてくれないものか。
 テレビはやめて、デフランコ師匠を聴く。やっと気分がよくなった。
 早寝。

12月23日(月) 穴蔵
 晴れた空。そよがない風……無風か。
 ドタマはさっぱり働かず。
 ゴミ出しなど、下男仕事のあと、穴蔵にてボケーーーーーッと過ごす。
 事情あって本日も楽しき独酌。
 ……のはずであったが、コンビニで買ってきた冷凍パスタ、まずくて半分も食べられない。
 豊崎西公園南側の中本酒店推奨格安馬鹿旨ワインでチーズクラッカー。
 早寝するのである。

12月24日(火) 大阪←→播州龍野
 定刻4時起床、早朝の電車で播州龍野へ向かう。
 冬至を過ぎて、日の出はさらに遅く、明石あたりで明るくなってきた。
 播州龍野にて年度末の処理事項色々。
 タイムマシン格納庫にて相棒の某くんと棚卸作業も行う。
 この事業は本日をもって実質的には「仕事納め」である。
 夕刻帰阪。
 今夜も楽しき独酌。
 某食品スーパーへ行って食材を買ってくる。
 帰路、某所を通るに、書斎棟でA先生、お仕事中である。
  *
 おれもダラダラ独酌ではいかんのだなあ。
 少し反省したものの、やっぱり「チャーチャン型湯豆腐」などで一杯飲んでしまう。
 早寝するのである。
 明日から生活態度を改める……つもり。

12月25日(水) 穴蔵
 雲ひとつない快晴。
 張り切って洗濯をするのであった。
 つづけて掃除や資源ゴミの片づけなど下男仕事をしていたら、ひと仕事した気分になり、あとはボケーーーーッと過ごす。
 生活態度に反省の色なし。
 夜は楽しき独酌。
 早寝するのである……あ、本日はクリスマスであった。関係ないか。

12月26日(木) 某年会
 いよいよ年末の最終コーナーである。
 非SF系の雑事色々。
 夕刻より、年末恒例、特に明かさないが、某所で某少人数での持ち寄り忘年会を開催する。
 極めて「政治的な」グループなので、メンバーも議題も秘密である。
 持ち寄りのビール、発砲ワイン、中本酒店推奨ワインなど飲みつつ、本年度の総括と来年の秘密計画について謀議を凝らす。
 これをやると、また1年生きようという元気が出てくるなあ。
  *
 どれも旨いが、某さん持参の大吟醸うすにごりが抜群にうまい。スグキに合うねえ。
 延々深夜まで。
 最後は、これまた某さん持ち込みの「世界一高価」という、コピ・ルアク(ジャコウ猫の排泄物から採取されるコーヒー)を淹れる
 ふだんコーヒーを飲まないので、よくわからん。

12月27日(金) 穴蔵
 晴。北風が強いような。雲の流れが急である。
 終日穴蔵で雲の動きを眺める……つもりであったが、昼、電話あり。
 保険会社の担当が変わったので「お伺いしたい」というが、面倒なので、梅田までこちらから出向くことにする。
 わが「不幸」に張られている「賭け金」について今さらながらの説明を20分ほど聞く。
 ついでめかして(こちらが本当の狙いらしいが)「相続対策はいかがなさってますか」と、色々なプランを提示されるが、そんな財産あるかいな。
 本屋をまわって帰館。
 夕刻、久しぶりに「入浴」。気分よくなった。
 ということで、本日も楽しき独酌。
 さすがに本日はごく軽くである。

12月28日(土) 株主総会的忘年会
 晴。下男(おとこし)仕事に勤しむ。洗濯したりビール買ってきたり。
 夕刻に近い午後に這い出て阪急石橋(今は石橋阪大前というのか)へ。
 おなじみの海鮮居酒屋にて、年末恒例、タイムマシン業の取締役会、引き続き株主総会、引き続き忘年会を開催する。
 議事は10分。実質的な事業は終了が近いのだが、3名とも高齢者であり、異議もなくシャンシャンで終わる。
 あとは活ふぐコースとなる。
 これが最終回かもしれんなあ。
 いずれにせよ、今年の忘年会はこれで終わりである。ああ楽しかった。

12月29日(日) 穴蔵
 晴。穴蔵にて非SF系の雑事あれこれ。
 午後、雲が厚くなり、陰鬱な空になった。
 気分も天気に連動してくる。
 近所の食品スーパーへ買い物に行く。外出は往復700歩ほど。
 夜は本日も楽しき独酌。
 DVDで『危いことなら銭になる』を見る。66年ぶりか。
 都筑道夫(原作)池田一朗(脚本)中平康(監督)のトリオというのに、今ひとつ冴えない。登場人物を、悪党まで含めて戯画化しすぎしている。
 アクション・コメディだが「いかにも喜劇」を意識し過ぎ。中平康の演出ミス……というより、体質が喜劇に合わない人なんだろう。
 ジョーのアクションの軽快さとクルマの懐かしきスタイルを楽しむ。

12月30日(月) 穴蔵
 夜明け前だ。雨が降っている。浅田飴にはまた2時間ほど。
 本日も陰鬱な日がはじまる。
 午前、ゴミ出しなど下男仕事のあと、雨の中を梅田へ。年度末の処理を片づけ、あと買い物などして帰館。
 午後は穴蔵にこもる。
 事務処理を片づけるが、SF系の仕事ははかどらず。
 ボンクラ息子その1に電話する。
 配偶者と柴犬をクルマに載せて大晦日の深夜に(つまり足かけ2年かけて)横浜から大阪に帰ってくる予定であったが、見合わせてくれるよう連絡する。
 10日ほど前から「楽しき独酌生活」と書いているが、専属料理人がインフルで寝込んでいるのためである。
 風邪をうつされないよう実質「別居」、必要な買い物だけして様子を見ているが、治りかけたものの、今度は抗生物質によるダメージが大きく、やっぱり寝たまま。
 おれは一向にかまわんのだが、帰省客を迎え入れるのは無理である。ボンクラ息子その1、納得。
 ということで、本日も独酌。
 さあ、BSで『ブレードランナー2049』を見ることにするか。
 ――と、40分ほど見てやめる。会話が冗長、CGもインパクトなし、展開がのろいなど色々あるが、何よりもロスの風景に魅力なし。前作にもやをかけたような画面で、退屈してしまった。世評はどうだったのか。
 寝る。

12月31日(火) 大晦日
 朝起きたら、5時過ぎにテレビで米朝師匠の「けんげしゃ茶屋」をやっている。DVD持っているけど。
 しかし、これはまだ良心的な番組で、年末年始、見るに足りぬアホ番組ばかり。
 テレビはほとんど見ないが、この時期、ニュースの時間まで削られている。
 黙って机に向かうに限る……が、そうもいかず。
 ヨレヨレで起きあがってきた専属料理人が、買い物してきてほしいという。
 リスト見たら、オセチを作るつもりらしい。
 おれはいらんというが、形ばかりでもといい張る。少しは食べられるようになったとも。しかたないか。
 午後、梅田へ指定のパン屋に行くついでに、貨物線沿いに2期区域をひと回り。工事の進捗状況を確認する。
 ステーションシティ「風の広場」にも上がり、定点観測。
  *
 新駅の完成まで待てないから、来年に破壊してしまうか(作品上のこと)、などと愚考する。
 ということで、今夜も楽しき独酌。
 デフランコ師匠、トミフラ師匠、ルイス師匠を聴きつつ。
 ニュース番組がないのでゴーンの国外逃亡の詳細がわからない。
 除夜の鐘とともに去りぬ、ゴーン。
 無為に過ごした2019年が終わる。嗚呼。


[最新記事] [次回へ] [前回へ] [目次]

SF HomePage