『マッドサイエンティストの手帳』139
●マッドサイエンティスト日記(2000年1月後半)
主な事件
・うーん、書斎に籠もってはいるのだが……じっと動かず何もせず。
・宇宙作家クラブ大阪例会(22日)
・谷口英治+岸三晃トリオ、古閑みゆきが来阪(25日)
・「SFの書き方」講義(29日)
2000年
1月16日(日)
久しぶりに雨の休日。終日書斎でじっとしている。
1月17日(月)
早朝、自転車で出勤。市内を東西南北、自転車でウロウロ移動。銀行、区役所、法務局、取引先ついでに歯科医院。会社の仕事は逃げ込み場所みたいであるなあ。
1月18日(火)
一家四人で海外旅行していた某君、無事帰国。出発前に預かっていた「ご自宅」の鍵を返す。……まさかの時には、マンションのキーをどこそこにいる親族に渡してくれ、リビングのテーブル上に保険その他処置事項を書いて残しているからということだったのである。ああ、キーを本人に返却できてよかった。
夕刊によれば、「オウム真理教」が「アレフ」と改名。迷惑な話である。おれも昔、この名を作中に使ったことがあるし、一時、パソコン通信の名前にも使っていたことがあるからなあ。
1月19日(水)
ひかりで上京。東京でメンバー集合、上越新幹線で高崎へ。夕方、東京に戻る。旧知の某氏と会う。この人も、同じ業界での長いつきあいだが、昨年実質的リタイアである。海外事情について色々レクチャーを受ける。
夜、浅草HUBへ。
谷口英治とグラマシー・ファイブ・リバイバルズの出演日。
谷口英治(cl)、牧原正洋(tp)、出口誠(p)、高橋辰巳(b)、島田忠男(ds)、小泉泰子(vo)
飛び入りで、ドラムの山本勇?氏。……なんと珍しくも「チュニジアの夜」が聴けた。
この日「あっと驚いた」のは40年ぶりに聴く曲。……ちょうど40年前、ラジオで朝の5分間(確か7時10分〜15分)藤家虹二さんがクラリネットを吹く番組があり、ギリギリまで聴いて駅に走る時期があったのである。中学生の時だ。この中で一曲、どうしてもタイトルが思い出せない曲があった。……この日、小泉泰子さんが歌い、谷口英治のクラで曲名がわかった。「マンハッタン」という曲だったのだ!
1月20日(木)
都内ウロウロ、夜帰阪。
1月21日(金)
ボンサラ誠実に仕事。
午後、会社でフロア移転あり、午後、肉体労働。
本日は、夜、東京で森山威男グループに山下洋輔氏ゲスト参加の日である。【森山威男研究会】としては駆けつけたいところだが、明日も業務が残っているため、やむなく断念。
1月22日(土)
11時頃に会社へ。フロア移転にともなって、最近は、電話、LANの移設工事が休日にしかできないので、役職上、立ち会わねばならない。大型キャビネの移設もあって、夕方まで。まだ動作の確認ができない。
それにしても荷物が運び出された旧スペースというのも寂しいものだ。
午後5時半で中断、梅田ニュートーキョーへ。
宇宙作家クラブの大阪例会。懇親会の部に参加。「恒星間文明」というテーマであったが、例によって脱線気味の話題ばかり。……福江純、菊池誠両博士に5分ほどレクチャーを受ける。
ストローハットにゾロゾロ移動。
日帰りの谷甲州が席を立つまでつきあう。
22時前、やっぱりニューオリンズ・ラスカルズが聴きたくなって、サントリー5へ。最終ステージを聴く。
めずらしく「おおママ」野村眞子さまが来ておられる。
あいかわらずの美貌であります。……30年この雰囲気だから、最小推定年齢××歳。
1月23日(日)
午前中、机に向かってじっとしている。
午後、雨があがる。LANの工事が気になって午後また会社へ。夕方まで動作確認。
年初めに買った定期券(6ケ月の)をどうも昨夜落とした気配。むむ。中津で訊いてみると拾得されているらしい。ほっ。
1月24日(月)
ボンサラ、誠実に仕事。
昼休み、地下鉄・難波の「おとしものセンター」へ定期券を受取りに行く。まだ4万円分以上残っているのだから、なにかお礼を 難波の拾得物センターへ。定期券を受取に行く。……謝礼をと思っていたら、届けてくれた人は名乗っていないので謝礼は不要という。まあありがたいことであるが……。
帰社すると自宅から電話。某銀行から電話があって、「通帳を拾得してます」という連絡。「おとしものセンター」へ行く前、銀行に寄った時に落としたらしい。あわてて受取に行く。ボケが進行しはじめているようである。
1月25日(火)
ボンサラ、誠実に仕事。
夜、梅田、ロイヤルホースへ。
谷口英治+岸ミツアキトリオ、ボーカル・古閑みゆき。……コンコルド・ジャズ・フェスティバルの「凱旋公演」とでもいえるライブである。昨年7月30日の壮行ライブと同じメンバーであるが、たぶん今回の方がリラックスした演奏になりそうな予感。
第一ステージ。リクエストを含めたスタンダード。……岸ミツアキさんは、黙ってピアノを弾いているとハンサムなのだが、しゃべりだすと、大阪商人というか漫談家というか……リクエストが多いという「鈴懸の径」に関して、「北村英治さんにリクエストしても絶対に演ってくれませんからね」には笑った。……古閑みゆきさんのボーカルも加わって1時間以上。
満員の盛況。休憩時間にもオモテに列が出来ていて、後で聞けば、結局入場できなかった人がだいぶいたらしい。……ぼくは谷口ファンなら詰めて貰って結構だったのだが。
第2ステージがコンコルドの再演。やっはり「壮行ライブ」よりも遙かにいい。アンコールで演奏された「ルート66」も粋でげした。
「弟子」の若手、坂井原くんも来ている。休憩時間にもレクチャーを受けているのがいいなあ。
2月8日にロイヤルホースでアコーディオンとの競演という。
「Musette Jazz Quintet」ゲスト・坂井原正光(cl)!
寿司でも食べてから聴きに行こう。
1月26日(水)
ボンサラ、誠実につまらん仕事。
明日がバリウムなので晩酌なし。さりとて仕事もできず。
1月27日(木)
成人病検診で朝10時頃にバリウムを飲む。これやると終日落ち着かないのよね。市内の移動にもトイレの位置を絶えず考えながらでないと危ないのである。
が、今年の下剤は効きが悪いのか、当日は滞留したままである。
1月28日(金)
便器の奥に白い塊。
ボンサラ、誠実に仕事。
夜見ると、バリウム塊は水流で先端から崩れつつあり、流線型の白い形状が、太古に遭難した宇宙船の残骸のように見える。……デジカメで撮ろうか迷ったが専属料理人に止められる。
便所で遭難した宇宙船となると田中啓文氏の得意分野だな。
1月29日(土)
夕方まで書斎でじっとしている。
夕方、某小説講座で「SFの書き方」。見物に野尻抱介、牧野修、田中啓文の3氏。……アイデア発想法の「実演」部分で、この日の夕刊からネタを拾うというのを試みたが、なまなましいのは「9年間監禁されていた少女」の記事である。これはネタにならない。というよりも、そのままホラーとかパニックものになりそうなネタは、作家が時代を先取りして書くべきなのである。……じっさい、この事件、牧野修「スイート・リトル・ベイビー」が極めて予見的である。ちょっど作者が来ているので訊いてみた。牧野さんは新聞を読んで「やられた」と思ったそうである。(注:執筆は1年以上前)
終了後、近くの中華屋で懇親会。
野尻さんが来ていたので、ちょっと悩んでいる部分を相談。水星その他に関して貴重なレクチャーを受ける。……いつもだとビールがぶ飲みなのだが、気持ちが落ち着かず、1時間ほどで中座。野尻さんは終電が間に合わなくなってしまったらしい。申し訳ない。次回は朝までつきあいます。
1月30日(日)
終日書斎。じっとしている。ヘリがうるさいなと思ったら大阪女子マラソンで、本町あたりから梅田へんまで時々ヘリが飛ぶ。
1月31日(月)
ボンサラ誠実に仕事。会社でぎょっとする文書を見る。「迫り来る跫音」というやつである。むむむ。
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