『マッドサイエンティストの手帳』644

●マッドサイエンティスト日記(2016年12月後半)


主な事件
 ・年末恒例行事(17日)
 ・忘年会的SF検討会(20日)
 ・しばらく独居モード
 ・株主総会的忘年会(26日)


12月16日(金) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に起き、しばらく机に向かい、7時に朝食という正常パーン。
 所用あり、運動不足でもあり、うろうろすることに。
 10時過ぎに出て、歩いて梅田へ。郵便局と金融機関に寄る。
 阪急で池田へ。
 北摂、さすがに寒い。昔の勤務先(伏尾/1970年代半ばから20年間ほど)あたりに行ってみるか迷うが、バス停が寒く耐えられぬ。
 勤務当時、伏尾台が造成中だった。今では空き家が増えているという。バスの渋滞は当時と変わらず、下界より2℃ほど寒いはず。駅近くのマンションに移りたくなるはずだ。
 久案寺の紅葉も終わっているであろう。
 駅周辺、栄町から五月山麓、*枝はんの「空き家」付近を散策し、駅前の「にいみ某店」で「正月用品」を購入して梅田に戻ることにする。
 寒い土地は苦手だ。まして寒い国から遅刻して飛来する元工作員なんて奴は……
 10,277歩。

12月17日(土) 年末恒例行事
 晴れて風冷たし。
 昼前に、ぶらぶら歩いて天五中崎商店街の東端あたりまで。
 京都から来たYさん……山本孝一さんと会う。
 毎年、青空書房で会うのが年末の恒例行事である(たとえば一昨年はこうであった)。
 寂しいことだが、今回から坂本健一さんはいない。
 旧・青空書房の向かい側の「信州そば」で、天ざる+ビールのサービスセットをはさんで、年末恒例の物々交換会を執り行う。
 おなじみ「すぐき」その他をいただく。
 年の瀬を実感するなあ。
 いったん帰宅。
 夕刻、某所へすぐきを少しばかりお届けする。いと少なしを。
 世の中にはすぐきに目がない人がいて、高齢で歯が悪く(というより、ほとんどない)ても、刻んだのをしゃぶるだけで嬉しいらしいのである。
 帰路、久しぶりに暗くなった梅田を歩く。
  *
 お初天神から阪急東あたり、たいへんな人出。忘年会のピークであろうか。
 一種の寂寥を覚える。「ジングルベルの憂愁」と名付けている感覚である。
 おれは孤独癖が強く、人混みも喧噪も苦手だが、クリスマスの季節だけは、妙な疎外感を覚える。おれだけが透明人間になったのか、あるいは別世界にいるのか……アホ連中といっしょに騒ぎたくはないのだが、完全に無視されるのも妙な気分だ。
 出歩かないことである。
 ということで、帰館、夜はすぐきと特製千枚漬けで熱燗一献。
 呉春の特吟があるのだけれど、これは正月用である。

12月18日(日) 穴蔵
 小春日和……というのは不適切か、冬至近く、晴れて無風、比較的暖かい日である。
 終日穴蔵にて本を読んで過ごす。
 運動不足である。夕刻に近い午後、徒歩7分の茶屋町方面へ歩くが、梅田芸術劇場の裏は「出待ち柳」でいっぱい、ケーセン前、ロフト前はごった返し、NU茶屋町の方はえげつない人出である。ヨドハシ、グラフロはさらに過密であろう。ちょっと買い物もあるのだが、明日にする。
 ジュンクドー内を30分ほどうろうろして、新御堂沿いに引き返す。
 夜は専属料理人に、キンメ煮付、筑前煮、ほうれん草、山芋の海苔巻きなど、和系を並べてもらって一献。
  *
 父の形見(年が明ければ死後30年/父の享年に近づいているのである)の備前焼でぬる燗、すぐきを刻んだのでチビチビやる。
 中身は菊正宗の安いの。
 呉春の特吟があるのだが、正月用である……と昨日も書いたか。

12月19日(月) 穴蔵
 晴れて穏やかな日である。
 終日穴蔵。
 ボケーーーッと過ごす。
 昼、専属料理人不在につき、近所の「河春」で500円の幕の内を買ってくる。
 ほか弁、かまど屋、コンビニ、他に店頭で弁当売ってる店が徒歩2分の圏内に5、6軒あるが、ここだけは10人近い行列ができる。
 昼ビール(ロング缶)一杯。
 2時間ほど午睡。
 昼間の独居生活はいいなあ。

12月20日(火) 忘年会的SF検討会
 曇天なり。
 終日穴蔵。ボケーーーッと過ごすつもりが、タイムマシン関係でややこしい連絡あり、穴蔵引っ越し時に古い貿易関係のドキュメントを処分したのが必要になったり、ややこしいことである。HDD内検索、幸い乙仲へ送ったPDFが残っていた。
 某国のやること、ええかげんだからなあ。
 夕刻、中津の「とりあん」で唐揚げを買ってくる。
 かんべむさし氏が球磨焼酎ぶら下げて来穴蔵、定員2名内容非公開の忘年会的SF検討会を開催する。
 おれはボケ状態、むさしくんは先日までえげつない風邪で食欲なしとか。
 ぼそぼそと近況報告をやってたが、唐揚げで湯割り飲んでたら、だんだん元気が出てきて、結局3時間ほど激論、来年はちょっと気合いを入れようという気分になる。

12月21日(水) 穴蔵
 冬至である。晴れて暖。終日穴蔵。まったく外出せず。たぶん外は暖かいのであろう。
 タイムマシン関係、某国からの貨物の件で、まだゴタゴタ。
 まだ某国の倉庫にあるのだが、ドキュメントに不備があって、このままだと多額の税金がかかるかもしれないというのである。メンテナンスのための搬送だが、再輸入扱いになるかもしれんとか。
 船積みはストップしてもらう。年越しになるかもしれんが、急ぐことでもなし。
 たちまち夕刻。
 専属料理人がゆず湯を入れるかどうかいってきたが、面倒なので、おれはシャワーでよろしい。
 去年どうだったかと調べたら、入浴していた。一昨年は入らず。隔年のようである。
 ただ、冬至前後、忘年会的検討会、スグキで呉春、ニューサンでライスルズの聴き納めというパターンはここ数年変わらず。
 毎年、無為に過ごしたまま年の瀬を迎えているのである。
 いかんなあ。

12月22日(木) 穴蔵
 この数日、睡眠時間が前にずれて、午後9時前に眠り午前2時頃に目覚め、朝まで読書、昼間は眠く2時間ほど午睡というパターンに陥っている。
 誰に迷惑かけるわけではないものの、こういうパターンはボケが進行しやすいらしい。
 運動不足がいかん。
 ということで、11時頃に雑件処理も兼ねて出かける……が、2分ほど歩いたところで雨が降り始めた。午後3時頃からの予報だったのによ。
 中津郵便局と近くのATMに寄っただけで引き返す。
 本降りになった。天候に「歩くな」といわれている気分である。
 午後は糸魚川の火災ニュースを断続的に見物しつつ、結局ほぼ終日穴蔵。
 たちまち夕刻。
 夜は専属料理人に翁豆腐、ハンバーグ、サラダなど並べてもらってビール。
  *
 野菜スープがうまい。下に牡蠣がどっさり。ノロウィルス警戒して加熱料理にしたという。
 フランスパンを浸してワインを少しばかり。
 早寝するのである。

12月23日(金) 穴蔵/ウロウロ
 やはり早起き、午前3時前に目覚める。
 粛々と雑事。某国の案件はたぶん来年送り、タイムマシン業は本日実質的に仕事納めとして、期末の仮決算業務を行う。
 立場上「社長」になって16年、本年も黒字で終われることになった。
 ボンサラ時代の歴代社長、おれの爪のあか煎じて飲め……といいたくなるではないか。
 すべてはゼンジー北京師匠の教えどおり。タネもシカケもちょとある経営がポイントなのである。
 晴れ間が出てきたので、午後、散歩に出る。
 梅田貨物線沿いに西へ。スカイビル北の北郵便局から郵パック発送、あとスカイビルから西回りコースでグラフロ一周、ジュンクドーに寄って帰館。
 6,268歩となった。
 たちまち夕刻。
 夜は、専属料理人が、ココット、時鮭のホイル焼き、トマトサラダなど並べたのでビール。
  *
 あと、〆のラーメン的に、スグキの葉っぱを刻んだ和風パスタ。年末恒例メニューだが、今年はちりめん山椒をトッピング。これがばかうま。冷やした安物の白ワインが合うねえ。
 ということで、適度に運動もしたので、本を読みながら寝るつもり。
 明日からは通常パターンの生活に戻れるであろう。

12月24日(土) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に目覚めた。
 普通の生活パターンに戻る。
 単にボケーーーーッとタドコロ状態で過ごすだけだけど。
 夕刻に近い午後、茶屋町のジュンクドーまで歩く。
 3連休の中日で人出が多いが、ロフト西側のゲーセン前に時ならぬ人だかり。
 ハゲあたまのおっさんが引攣った笑顔で踊っているのであった。
  *
 見物人の会話から「ダンレボおじさん」と呼ばれる名物男らしい。テレビで紹介されたこともあるような。……しかし、実生活は孤独な独居者の印象を受ける。ちがうかな。
 ちょっとざんない。
 たちまち夕刻。
 本日はラスカルズの本年ラストライブだが、クリスマスイブであり、おそらくニューサンは超満員であろう。
 今年は聴き納めは断念する。
 夜は専属料理人が2時間近くかけたというローストチキンで、専属料理人の実家方面から届いた高級ワインをいただく。
  *
 全体の写真はちょっと残酷なので見合わせる。
 おれは鶏まるごと料理なら参鶏湯の方が好きなんだけどね。

12月25日(日) 未明徘徊/穴蔵/独居モード入り
 また午前3時に目が覚めてしまった。
 そう寒くはない。久しぶりに未明の梅田をウロウロしてみたくなり、4時過ぎに自転車で出かける。
 新御堂を南下、阪急東通商店街を抜けるが、案外静かである。客引きも少ない。イブの夜から飲み明かしたアホがあちこちに倒れてるのを期待して来たのに、がっかりである。ポリ袋やダンボールなど、ゴミがやたら多い。
 扇町公園はしんとしている。
 JR天満駅〜天満市場周辺〜天五中崎商店街の店もあまり開いてない。
 昔ながらのは「竹乃膳」だけだけだが、ここは「業界」の人が多くてパス。
 結局、天六の「十八番」で午前5時に定番の朝定を食す。
  *
 早朝のわが定番メニュー(味噌汁は丼鉢サイズである/近年はミニもあり)。
 しかし、おれにはごはんが多く、ちとヘヴィになった。次回からは80円安いミニ版にしよう。
 5時半に帰館。
 2時間ほど朝寝する。
 あとは穴蔵にてボケ・モード入り(タドコロ状態ともいう。他にQモードとかアラセるともいう。昔の職場でしか通用しない表現だけど)。
 と、夕刻に近い午後、とつぜん専属料理人が実家に帰るという。
 愛想尽かしされたわけではなく、家庭の事情。たいへんであろうが、おれは(露骨にいってはいかんのだが)大歓迎である。
 ということで、夜は主に作り置きメニューで独酌。
 昨夜の残りを混ぜ込んだチキン・サラダ、カレイの煮付け、湯豆腐など並べてビール、同じく昨夜残したケーキとイチゴなどでワインを少しばかり。久しぶりにトミフラ師匠など聴きつつ。
 楽しきかな独酌。
 年末年始もこの調子で楽しき独居生活が続くか。
 運動不足だけに気をつけて過ごさねばならぬ。

12月26日(月) 穴蔵/株主総会的忘年会
 朝、近所の医院にて定期検診、正常であった。
 体調はよく、アタマだけボケていくのであろう。
 ボケ進行中のアタマを酷使して、穴蔵にてタイムマシン事業の決算を行う。社長だものなあ。
 夕刻に這い出て阪急石橋へ。
 改札にて待ち合わせ、某海鮮居酒屋へ。
 駅前に「目利きの銀次」という24時間営業の海鮮居酒屋がオープンしていて、この店名にはそそられるが、フグがないのでパス。一度、午前5時頃に来てみたいと思うが。
 30年近いなじみの某店で活フグのコース。
 料理が並ぶまでの10分間で、取締役会と株主総会を兼ねた決算報告会を執り行う。
 今年も黒字でシャンシャン。
 あとは忘年会。
 なんとかこんなことを16年続けてきたのであるなあ。
 ヨレヨレでも20年まではやろうかと、もういいかという気分、相半ばである。
 雑炊たいらげ、二次会は失礼して帰宅。
  *
 茶屋町あたりの夜景。
 御堂筋の銀杏もそうだけど、葉を落とした欅は、冬は休ませてやれよという気分になる。

12月27日(火) 穴蔵/SMAP最後の番組
 未明から早朝にかけて激しい吹き降り。今年いちばんではないか。
 8時過ぎにやみ、あとは曇天。
 終日穴蔵にて独居生活。一応机に向かうのであった。
 しばらくカロリー過多気味であったので、本日は粗食。
 朝はトースト、昼はうどん、夜はコンビニメニューでビール。
 断続的にニュースを見るが、昨夜がSMAP最後の出演という報道を複数目にする。
 おれはタレントが歌ったり踊ったり並んでガヤガヤやるテレビ番組は見ないが、それでもSMAPは知っている。
 それぞれの出演作を1篇ずつ見ている。
 中居正広……「ナニワ金融道」の灰原役を何度か見たが、ぎこちない演技であった。
 木村拓哉……「華麗なる一族」を見たが、映画版の加山雄三とは較べるべくもなし。学生気分が抜けぬボンボンが鉄鋼メーカーの社長席に座っているという変な印象で、ひとり浮いていた。
 稲垣吾郎……「十三人の刺客」のバカ殿役がなかなかの名演であった。地で演ってるとしか思えなかったものなあ。これで助演男優賞を獲ったはず。
 草なぎ剛……「日本沈没」、ヘタではないが、脚本が決定的に悪くて、日本の危機というのに間抜けなフリーターみたいな役柄になったのは気の毒であった。カジシンに申し訳ないが「黄泉がえり」は見てない。しかし役者としては立派にやっていけるであろう。
 香取慎吾……「蘇る金狼」を筒井康隆演じるヤクザの親分が死ぬ回まで見た。松田勇作と較べるのは酷であるなあ。
 ということで、おれとしては稲垣吾郎の今後の活躍を祈る。

12月28日(水) 穴蔵/ウロウロ
 今季いちばんの冷え込みという予報だったが、午前5時、ベランダは5℃、室温15℃で、それほどでもなし。
 昼前に出て梅田うろうろ。主に金融機関。
 播州龍野関係の処理案件があり、地下鉄で淀屋橋まで行く。
 全国規模(三宅島とか種子島にも支店がある)の大銀行だが、なぜか大阪市内には淀屋橋にしかATMがないのである。
 せっかくなので、ボンサラ時代の勤務先(備後町)あたりまで歩く。
 まだ1軒だけ残っている「顔なじみ」の店でランチ。
 「あらセンセ(←なぜかこう呼ばれる)久しぶり。こないだ○○さんが来はりましたで」と、今や婆さんの女将がいう。某社の相談役だった90歳の某氏が、今も地下鉄で時々飲みにくるのだとか。あやかりたいものである。
 多くの会社は本日が仕事納めらしく、空いているので、定食のごはんは少量にしてもらい、昼ビール。
 わが社も仕事納として、熱燗と小鉢を追加。蛸酢や高野豆腐を出してくれた。

12月29日(木) 穴蔵/ウロウロ
 昼前に新大阪のホームセンターへ行ってウェットシートなど掃除用品を数点買ってくる。
 新穴蔵はフローリングで、床に本は積まないことにしたから、ホコリが目立つ。自宅から掃除機を持ってくるよりも「拭き掃除」の方が簡単なのである。
 ということで、一応年末の大掃除。
 すっきりしたので、夜は穴蔵にて、コンビニメニュー並べて独酌。
 DVDで『ポイント・ブランク』を観る。クルマ衝突シーン、クラブの舞台裏での格闘、マンション潜入と全裸男の落下シーン、放水路での狙撃など、セリフは最小限で映像は面白く、寡黙なリー・マービンのアクションも必要最小限に抑えられていて、緊迫感が途切れることがない。やはりマービンの最高傑作であるなあ。
 と、見終わって、テレビ画面に戻したら……
 どこかの社長が辞任会見でもやってるのか……と、よく見たら清原和博のインタビューであった。
 クスリ(抜き)は人をここまで変えるのか。

12月30日(金) 穴蔵
 朝、専属料理人からメールがあり、朝食をともにする。
 昨夜、深夜近くに帰ってきたのである。下り新幹線は帰省ラッシュのピークで、遅い時間の席がなんとか取れたのだとか。
 ということで、楽しき独居生活は丸4日間で終わった。嗚呼。
 終日穴蔵。
 正月用の料理も最小限にするとかで、買い物ポーター役も免除された。
 本を読んで過ごす。

12月31日(土) 穴蔵/ウロウロ
 おや、もう大晦日である。
 午前、天八のスーパーへ自転車で行く。やはりビールと食材のポーター役は務めねばならぬのであった。
 昼は長野方面からいただいた蕎麦(ざる)、山芋のタンザク、黒半などで呉春(普通の「池田酒」の方)のぬる澗一献。晦日であるなあ。
 今夜は国民的学芸会とか格闘技とかガキの使いでテレビが延々と騒がしい日である。
 チャンバラが見たくなり、夕刻、梅田のツタヤへ行くが、見たかった東映の古いの(『十一人の侍』とか近衛の十兵衛ものなど)は見あたらず。レンタル開始の記事は見たのだがなあ。
 ということで、夜は湯豆腐や筑前煮で一杯の後、手持ちのDVDで『十三人の刺客』(工藤栄一版)を見る。
 ちと風邪気味。喉の調子が悪い。
 宮内悠介『カブールの園』を読みつつ、早寝するのである。
 無為に過ごした2016年が終わる。嗚呼。


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