『マッドサイエンティストの手帳』600

●マッドサイエンティスト日記(2015年3月前半)


主な事件
 ・イミテーション・ゲーム(3日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・長浜/JAZZ@XIV(8日)
 ・SF飲み会@マーガレット(10日)
 ・トワイライトエクスプレス・ラストラン(13日)


3月1日(日) 穴蔵
 雨ぞ降る。
 こんな日は穴蔵に閉じこもるに限る。
 DVDで久しぶりに『突破口』を見る。やはり傑作であるなあ。
 アクションもの(に限らないけど)に大スターも大道具もいらんのよね。シナリオの出来がいちばん大きい。
 たちまち夕刻。
 昨夜が和の贅沢膳だったので、本日は洋カジュアル。
 専属料理人にイカのマリネ?とかなんとかグラタンなど並べてもらってイタリアの安ワイン。
  *
 BURDIGALAのクレッセント状のがうまい。
 関西学院大に栄光あれ。ちょっと違うか。

3月2日(月) 穴蔵/ああ米八師匠
 終日穴蔵。
 天気は悪くないのだが、出歩く気分にならず、ボケーーーッと過ごす。
 DVDで久しぶりに『ポイントブランク』を見る。やはり傑作であるなあ。
 アクションもの(に限らないけど)に大スターも大道具もいらんのよね。あ、リー・マービンは大スターか。
 今頃だが、桂米八師匠の訃報を知る。
 体調悪いと聞いていたが、1月20日に食道がんで亡くなられていたのだ。
 米八さんの曲独楽は米朝一門会でよく見たが、それ以外、珍しい場所で会うことが多かった。
 たとえばロボコンの司会とか。米八さん、工業高校出身だけに「ギヤ比が不適切ちがうか」などと、なかなか的確なコメントをしていた。
 何といっても堀川戎での「お祓い役」である。
 13年前堀川戎へタイムマシン業の商売繁盛祈願に行ったとき、導師として鎮座してはった。
 この年の業績はよかった。
 以来、毎年、なるべく米八師匠にお祓いしてもらうようお参りしたのだが、お祓い受けたのは3、4回だったかな。いずれの年も好業績であった。
 (ちなみに、最高の御利益はゼンジー北京師匠の年。横山たかし師匠の年はさっぱりであった)
 福を授けてくださった米八師匠に感謝し、ご冥福をお祈りいたします。

3月3日(火) イミテーション・ゲーム
 曇天なり。
 穴蔵にてダラダラと雑事の処理。
 午後、堂島方面の某社試写室へ。
 『イミテーション・ゲーム』の試写会である。
  *
 傑作である。
 観た映画のことを(まだ観ていない人が多いのに)ベラベラしゃべる趣味はないので(『スターウォーズ』の時に懲りたからね)、内容については触れない。
 チューリングのエグニマ解読がメインだが、ハイスクール時代、戦後などが錯綜して、伝記的作品でもある。
 チューリングを演じるカンバーバッチはじめ、すべて好演。
 ここ数年間で観た中でも屈指の傑作である。
 そして、これはSF映画としても高く評価していいと思う。チューリング・マシンの議論も出てくるし、時系列的に錯綜する構成、虚実混交など、シナリオがよく出来ていて、チューリング・テストを受けているような気分にさせられるからである。
 SF系諸氏、必見。
 夕刻帰館。
 夜は「ひなまつり」メニュー。
  *
 菜の花カラシ和え、鯛の昆布しめなどで「神の河」湯割り柚子酢たらし。五目寿司にハマグリの吸い物など。
 ニュース見ながら。
 川崎の中学生刺殺事件……容疑者A(18)B(17)C(17)の供述、特にBとCの供述は二転三転。
 初歩的「囚人のジレンマ」を見る思いだが、「イミテーション・ゲーム」を観たあとでは、あまりにも幼稚。
 興味は週刊新潮が実名報道するのかしないかだけ。もはや公知の事実なんだけどね。

3月4日(水) 穴蔵
 ちょっとややこしい1日。
 たいした事情ではないものの、買い物など家事の一部を手伝わねばならぬ。
 なるべく出歩かず、近場にいる方がいいようで、大部分の時間を穴蔵にて本を読んで過ごす。
 たちまち夕刻。
 あまり飲まず。
 早寝することに。
 おれには健康的な1日である。

3月5日(木) 穴蔵
 本日も相変わらずの不調というかややこしい日というか。おれは体調ふつうなんだけど。
 雑事あれこれ。
 出歩かず、ほとんどの時間を穴蔵にて本を読んで過ごす。
 PiPiだけが元気である。
  *
 こやつ、可愛いのか獰猛なのか、鋭いのかアホなのか、よくわからん。アップで見るとけっこう怖い顔しとるんよね。
 専属料理人は猫可愛がり(鳥に猫の比喩はおかしいか)なんだけどね。

3月6日(金) 大阪←→播州龍野
 専属料理人の体調、まあまあ普通になったようなので、朝の電車で播州龍野へ移動する。
 晴れて暖。
 タイムマシン格納庫にて見張り番を行う。
 荷物発送のため、昼過ぎに揖西町のヤマト運輸まで。
  *
 揖西町の裏山、山笑う気配である。
 2、3日滞在してもいい雰囲気だが、後の予定もあり、夕刻の電車で帰阪。
 夜は専属料理人に色々並べてもらってちょっと一杯。
  *
 鰆の幽庵焼き(徳島産の柚子酢使用)、蕪のスープなどでビール、龍力熱燗。
 肉体労働すると回り方もよろしい。
 早寝するのである。

3月7日(土) 穴蔵
 小雨が降り続くのであった。
 昨日の反動か、出歩く気分にならず、終日穴蔵にて本を読みCDを聴きDVDを見て過ごす。
※週刊新潮。川崎の18歳殺人鬼の実名報道には驚きもしないが、「中川郁子農水政務次官の不倫現場」は面白いスクープであるなあ。
 中川未亡人56歳が亡夫以外の男に恋愛感情を抱くことは何ら咎め立てされることではない。
 相手が悪かった。
 門博文という49歳の政治家(はじめて聞く名だが)と濃厚な路上キス。これがニヤけた野郎だ。
 その門博文のコメント。「(写真は)俺とはちゃうやろ」「今まで妻一筋かと言うと、そうとは言えんな」「風俗はソープランドだけや。十数回行ったかな。全国でも1,2を争う店があって、熊本のブルーシャトウな。3回行ったよ」
 これが「小学校教諭の妻」と、大学・高校・中学の娘が3人いる人間のいうセリフか。
 おれがこんな発言したら、ボンクラ息子どもは「親父、ええ歳してやりよるやんか」と賞賛してくれるだろうが、専属料理人は怒るだろうな(←こんなことやっとる訳ではありませんよ)。
 門の娘たちの反応やいかに。
 で、ニュースによれば中川未亡人は辞任して、なぜか「2週間の入院」(※)、門博文については報道なし。
 「男の貞操は連隊旗のごとく、女の貞操は便所ゲタのごとし(梶山季之)」の名言は今も生きているのだなあ。
 などと愚考するうちに、たちまち夕刻となる。
 夜は専属料理人に生ハムサラダ、肝のなんとか煮など並べてもらってビール。
  *
 あと早春パスタ(菜の花)で安ワインを少しばかり。
 早寝する。
 本日は0歩。

※中川郁子は辞任せず居直り、10日に退院して職務に復帰するという。案外厚顔であったのだ。(2015.3.10)

3月8日(日) 長浜/米原/JAZZ@XIV
 午前中の新快速で滋賀県長浜へ移動する。
 1時間40分ほど。
 駅の案内所で「長浜盆梅パスポート」1,000円を購入。他に観光施設4箇所に入館できるので割安なのである。
 一応「盆梅展」を見る。
  *
 立派なものであろうが、趣味ではない。
 向かい側の「長浜鉄道スクエア」へ。
  *
 中にはD51などあるが、日本最古の駅舎を眺めるだけで十分。
 あと、公園を抜けて、長浜城「歴史博物館」を見るが、姫路城を見慣れているから、どうってことなし。
 駅東側の北国街道に沿ってうろうろ。
 こちらは人出多し。
  *
 「安藤家」を見学、「曳山博物館」を覗くが、さほどのものではない。
 大通寺まで歩いて引き返す。
 米原まで戻り、夕刻、XIVへ。
 「第8回 ジャズ・アット・エクシブ琵琶湖」
  *
 8年前からのジャズ行事のひとつである。
 みんな高齢化してきたなあ。

3月9日(月) 米原→大阪
 朝、大浴場へ。
 「入浴」が久しぶりで「朝湯」は1年ぶりである。
 伊吹は雲の中にあった。
  *
 社長業の方で野暮用があり、昼前に帰阪する。
 大阪は雨である。
 午後は穴蔵にて雑事あれこれ。
 生活パターンを通常に戻さねばならぬ。

3月10日(火) SF飲み会@マーガレット
 終日穴蔵。
 メール便で書籍発送のため公園南のヤマト運輸往復のみ。
 3月末でメール便が廃止となる。公式的な理由は「信書云々」だが、本音は採算があわないからではないか。
 書籍とCDの発送でずいぶん利用してきたが、この値段でいいのかなと思っていたからなあ。
 多少の値上げなら不平はいわないのだが。
 4月からどうしたものか。
 夕刻、天六のマーガレットへ。
 SF関係の飲み会である。
 SF議論に飢えているから、声をかけていただけるのは嬉しい限り。
  *
 「外回り」登場。正面から見るとこうなる。
 本日はオキシタケヒコさんの『筐底のエルピス』出版祝いとお誕生会という名目であったが、主役は特別参加の某氏となった。
 
 ↑メンバー(一応)非公開で、判別できぬサイズ。中央のスポットが主賓。
 おれ自身、孫がいて不思議でない年齢だから、妙な気分になるなあ。
 差し入れの『千代むすび』など飲みつつ、話題は色々。
 SFの最前線はたいへんなことになっているのだなあ。「料理SF(グルメSFではない)」が主流であるとか。ウルトラマン以降の話題にはついていけない。特異な状況でのコリオリの力の計算が始まったが……これは結論を聞いてない。
 4時間近く飲んだところで、おれは限界、ちょっとお先に失礼する。
 それはともかく、白木くん、おめでとう。

3月11日(水) 穴蔵
 終日穴蔵。
 2階上の部屋のリフォーム工事が始まって、かなり大きな工事音が断続的に響く。
 フローリング、キッチン、トイレ、浴槽と全面的なリフォームで、月末までかかるらしい。
 場合によっては播州龍野へ避難しなければならぬか。
 昼間、専属料理人不在。ランチのため外出したが、寒く、風花が舞う。
 河春で500円の弁当を買って帰館。
 午後も騒音を我慢しつつ穴蔵にて過ごす。
 大震災311から4年、午後には神妙な気分になる。
 夜は集合住宅関係の会合。理事交代の前に整理しておかねばならぬ雑事多し。
 つまらん1日である。

3月12日(木) 穴蔵
 終日穴蔵。
 気乗りのしない雑事の続き。
 上階の工事音は少しましになった。が、昼前にやたらヘリが飛び交ってうるさいことよ。
 どうやら大阪発のトワイライトエクスプレスのラストランを撮影しているらしい。
 今から見物に行っても間に合いそうにない。
 ……だが、明日の昼に札幌発のが到着するのではないか?
 明日、天気がよければ淀川堤散歩(撮り鉄見物)としよう。

3月13日(金) トワイライトエクスプレス
 穴蔵にて雑事の継続。
 昼、専属料理人と淀川堤へ歩く。
 上淀川橋梁の東側へ。うちから徒歩10分。撮り鉄諸君の撮影スポットのひとつである。
 トワイライトエクスプレス、札幌発のラストランが到着するのである。
 おおっ「にわか撮り鉄」が押し寄せておる……と、おれは「にわか撮り鉄」ではないかのようだが、これは荷風散人の筆法なり(※)。
  *
 その数ざっと200人。(この35年間で)最大の人数である。
 12時52分にトワイライトエクスプレスが通過していく。
  *
 アングルは線路寄りの方がいいのだが、無理して割り込むこともなし。
 さして面白き事もなく、にわか撮り鉄諸君とは距離をおいて、天八のスーパーへ行き、帰路はポーターとなる。
 5,230歩。まあまあか。
 ということで、夜はアサリの酒蒸しボンゴレのパスタ抜きとか納豆オムレツとか生ハムサラダとかフランスパンなどで安ワインを少しばかり。
 早寝するのである。

※断腸亭日乗・昭和11年2月27日、つまり226事件の翌日の記述。荷風先生、さっそく皇居周辺に駆けつけ「虎の門のあたり弥次馬続々として歩行す。」夕刻は銀座末広で「晩餐」「談笑」のあと「顔なじみの街娼」に逢ったりして、あとは「さして面白き事もなく弥次馬のぞろぞろと歩めるのみ」
 ……自分は野次馬と思ってない書きっぷりがたまらなくいい。おれも見習っているのである。

3月14日(土) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に起きる。
 早朝のニュースは、北陸新幹線の開業、金沢の始発中継ばかり。
 昨年あたりから、金沢〜富山へ行きたいと思ってたが、混み合いそうで、当分は見送りだな。
 富山の工場では入社直後(69年)に半年実習、金沢へは70年代半ばに仕事でよく行った。
 ともに30年以上行ってない。
 最後に石川県へ行ったのが1996年4月で、小松の谷甲州邸訪問。この日は芦原温泉(前夜、同窓会があった)まで甲州さんがクルマで迎えに来てくれた。小松から雷鳥で帰阪したから、金沢までは行ってない。
 金沢の「レイク」(香林坊)周辺、富山の総曲輪の飲み屋「弁慶」など、ぶらっと行ってみたいが、もう無理かな。
 昨夜から降り続いた小雨が昼前にあがったので散歩に出る。
 本日は西コース。
 中津からスカイビルの里山〜福島。
 JR福島北側の踏切にて。特急がこんなとこ走っていいのかな。
  *
 北梅田駅(仮称)がうめきた地下に出来るとして、中津側はだいたいわかるが、福島側はいったいどこから地上に出て、どの辺で環状線に合流するのだろう。
 この踏切が地上のままとは思えないし。福島以西までトンネルを掘るのかなあ。
 おれが生きてるうちに完成するとは思えないから、早いとこ壊滅させるか(あくまでも虚構で)……などと考えること多し。

3月15日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 集合住宅関係の雑事を続ける。
 日曜で、上階のリフォーム工事がないのが救いである。
 曇天。夕刻に近い午後に散歩に出ようとしたら雨になる。
 本日は0歩。
 夜は粗食を少しばかり。アルコール抜きだと10分ほどで終わる。
 本を読みつつ早寝。


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