『マッドサイエンティストの手帳』591

●マッドサイエンティスト日記(2014年11月前半)


主な事件
 ・生きた建築ミュージアム(1日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・日波現代芸術祭(4日)
 ・小山彰太vs横沢道治@ワイルドバンチ(8日)
 ・NHK文化センター(15日)


11月1日(土) 生きた建築ミュージアム
 今日、明日の2日間、生きた建築ミュージアムで、市内40ヶ所ほどの近代建築が公開されている。
 降水確率の高い予報だったが、幸い降雨の気配はなし。
 昼前に出かける。
 地下鉄で肥後橋へ。
 江戸堀コダマビル(旧児玉竹次郎邸)を見る。
  *
 ここは色々な「教室」として使われているようである。
 少し西へ歩く。
 コタニビルがある。
  *
 これは「生きた建築ミュージアム」の対象外、普通のビルだが、おれには懐かしい建物である。
 オーナーがもと船乗りで、船を模したかたちと聞いたことがある。
 この2階には、昔、神戸新聞とデイリースポーツの大阪支社が入っていて、半世紀ほど前の一夏、デイリーでアルバイトしたことがある。いちばん面白いバイトであった。
 さらに西へ行く。
 日本基督教団大阪教会
  *  *
 ここは正統派ニューオリンズスタイル(といってはいかんか)、ヴァリーズ建築で、レンガがフランス積み。ジョージ・ルイスの「Jazz At Vespers」の教会はおそらくこんな雰囲気だったはずである。
 ラスカルズに演奏してほしい教会のひとつだ。
 ぶらぶらと西へ歩き、中之島西端から端建蔵橋を南へ渡って川口居留地跡へ。
 日本聖公会川口基督教会
  *  *
 こちらはイギリス積み。こちらも内部を見るのは初めてである。
 モンティ・サンシャシンに演奏してほしかった。
 ロイヤルホテルまで歩いてバスで大阪駅へ。
 グラフロを抜けて帰館。
 他に見たかったのは「御堂筋共同溝」だが、これは抽選外れ。誰か見学会を企画してくれないものか。
 「泉布観」も見たいが、これは時々公開されるから、また機会もあるだろう。
 よく歩いた。12,229歩。

11月2日(日) 穴蔵
 曇天なり。
 世間は3連休の中日。
 こういう日は出歩くことなし。終日穴蔵のつもりであったが……
 昼過ぎ、専属料理人と梅田へ行くことになる。
 阪神地下でワインのフェアをやってるが、重くて持ち帰れないからという。要するにポーター役。
 ユニクロ、相変わらずの行列。ほとんど日本人のようだが、わからんぞ。中国にエボラ感染者という(かなり信憑性の高い)話があり、日本に持ち込まれるとしたら、戎橋か梅田になるのではないか。
 紀伊国屋方面に迂回して阪神デパ地下へ。
 ここも大賑わい。虎の「ご声援感謝セール」とは別らしいが。
 激安6本入りの1箱(推定6s弱)を下げて、ひとり地下鉄で帰館。
 ということで、夜は普通の(秋の食材が入ってない)パスタなどで安ワイン。
 安ワインには手抜きメニューということか。
  *
 うま〜〜〜っ!
 阪神タイガースに栄光あれ。

11月3日(月) 穴蔵
 世間は連休の最終日。
 終日穴蔵。
 ややこしい事情が発生して、朝、専属料理人が実家方面に去る。
 しばらくは気楽な日々となる……とはいうものの、たちまち食事が面倒になる。
 昼はかっぱ横丁まで行って、つるまるでうどん。
 梅田の人出はピークを過ぎたような。
 午後は懸案の集合住宅資料を3時間で片づける。
 集中すれば早いのである。
 夜は、やっぱり調理が面倒になり、コンビニメニュー。
 詳述するほどのものでなし。
 明日から播州龍野行きとする。

11月4日(火) 大阪→播州龍野/日波現代芸術祭
 ラッシュより少し前の電車で播州龍野へ移動する。
 相棒の某くんの事情により、今週はおれがタイムマシン格納庫の見張り番を務める。
 昼は「よこた」で穴子寿司の定食。
 午後、1時間ほど、龍野アートプロジェクト2014を見に行く。
 「日波現代芸術祭」……日(日本)と波(ポーランド)の交流イベントである。
 連休明けで静かなもの。
 ヒガシマルの醤油資料館裏に工場跡が残されていて、醤油蔵群を展示場にしている。
 何よりも会場の雰囲気がいい。
  *  *
 絵画、巨大な切り絵、写真など色々あるが、メインは「映像作品」と現代音楽とのコラボである。
 色々面白い映像作品(立体状のスクリーンに投影したり、色々)で、特に『東海道』(アレクサンテル・ヤニツキ)が面白い。京都から東京までの色々な風景をコマ落としやスローを混在させて15分ほどで見せるが、映画「ソラリス」の東京ロケに通じる面白さを感じた。
 11月16日まで(15,16日は堀家住宅の公開もあり)。
 ということで、またタイムマシン格納庫。
 午後5時を過ぎると急速に暗くなる。
 MaxValuで食材を買って、17時40分に実家に帰ると、あたりは真っ暗。
 もう冬の気配である。
・アッカー・ビルクの訃報。
 まだ生きてたのかという感もあり。モンティ・サンシャシンにはどうしても及ばなかったなあ。とはいうものの嫌いではなし。こちら(龍野)にはクラをMP3で集めたCD-Rがあり、中に10曲ほどあった。
 サー・ビルクを聴きつつキムチ鍋で独酌。
 龍野の夜は更けゆく……といっても20時前。

11月5日(水) 播州龍野
 寒さで目が覚める。室温13℃で、大阪だと真冬の室温である。
 朝、居間と書斎を冬仕様に変更する。
 扇風機を片づけ、ストーブを出してくる。
 居間にはコタツ、書斎の机下には(キンタマ温め用の)ハロゲンヒーターをセットする。
 午前9時からタイムマシン格納庫で見張り番。
 こちらでも1時間ほどエアコンを稼働させる。
 雑事色々。
 昼……ごく普通の昼飯が食べたくなって、相生まで行く。
 IHI播磨病院の少し南にある食堂「はりま」へ。
 母が入院していた4年前に、時々来た店である。
  *
 こんな店(家族経営の食べ物屋)は龍野に見当たらなくなった。大阪でもだけど。
 煮魚や野菜の煮物、大根と揚げどっさりの味噌汁など、普通のメニューがよろしいなあ。
 午後はまたタイムマシン格納庫。
 17時、またMaxValuで最小限の食材を買って帰館。
 昨日と同じようなメニューでビール、龍力の熱燗を少しばかり。
 龍野の夜は更けゆく……といっても21時頃に本を読みつつ寝るのである。

11月6日(木) 播州龍野→大阪
 朝だ。小雨が降っているが、昨日ほど寒くはない。
 タイムマシン格納庫にて見張り番。
 雑事片づき、特別のこともなさそうなので、昼過ぎで撤収することにする。
 午後の姫新線で姫路へ。
 遅めの昼食か早めの晩酌か迷うが、「赤心」(トンカツ/豚汁)「薩摩庵」(親子丼)「新生軒」(ラーメン)いずれも休みである。
 久しぶりに十二所前通の「勝三寿司」へ行く。
  *  *
 握りをつまんだ後、鉄火巻き。ここのはヅケを巻いたようなので、包丁は入れず、丸かじり。
 ちと寒いので灘菊もいただく。
 しかし、大将も店のおばちゃんも高齢化したなあ。午後ということもあるが、閑散としている。
 新快速で夕刻に近い午後に穴蔵に帰る。
 専属料理人は不在。
 晩飯を兼ねて兎我野町の「殺人未遂現場」を見に行きたいが、さすがに疲れて、出歩く元気なし。
 久しぶりに「入浴」する(調べて見ると3月23日以来である。7ヶ月以上風呂に入ってなかったのか)。
 湯上がり、コンビニメニューでビール。
 早寝するのである。

11月7日(金) 穴蔵/殺人未遂現場
 午前6時に起きる。2時間の寝坊。気分はよろしい。
 張り切って洗濯など。専属洗濯婦がいないから、いたした方なし。
 穴蔵にて少しは仕事もするのであった。
 昼前に出かける。
 快晴の下、歩いて兎我野町へ。
 他でもない、「殺人未遂現場」見物である。
 舞鶴の女子殺害事件で逮捕・起訴され無罪が確定した中勝美が、兎我野町の雑居ビルで女性の顔や胸、背中など約10ヶ所を刺して、殺人未遂で逮捕。
 龍野でテレビニュースを見て、見たことがある一角が映ったから、野次馬としてはじっとしてられんよ。
 荷風のおっさんにならって、さっそく見物に行く。
 やっぱりホテカン(ホテル関西)の北側である。
 ホテカンは70年代初めにハチでマンスリーライブやってた山下洋輔トリオの定宿であった。
 ハチへの往復にちょっと東側の通りは歩くが、10年以上この前は通っていない。
  *
 真っ昼間から無料案内所にニイちゃんが立っていて、見物しにくいなあ。
 2階の青い部屋が現場らしい。シャンブロウかと思ったらCHAMBRE。Chamberのフランス語標記? どんな目的に使用される「部屋」かしらんけど、こんな場所で中勝美が働いてたのか。
 連れ込み密集地帯。その中にあって、営業形態のわからんビルである。「案内所」に訊かなければ普通の人間は入らないだろうなあ。
 営業の実態、中勝美の仕事の内容など、ぜひとも知りたいところだ。アサ芸、がっばってくれ。
 それにしても「(女性に)殴りかかられたから正当防衛で」刃物で10ヶ所刺したとは無理な話だ。
 東に歩き、扇町公園東側、田舎家食堂でごく普通の昼飯。
 公園を抜け、タカセ市場で黒糖焼酎を買って、14時前に帰館。
 夕刻まで雑事。
 夜、やはり出歩くのが面倒で、コンビニメニューでビール、湯割り。
 飽きてきたなあ。

11月8日(土) 穴蔵/小山彰太vs横沢道治@ワイルドバンチ
 本の返却とちょっと調べたいことがあって、西長堀の中央図書館へ行く。
 帰路、地下街関係で確認したいことがあって、西梅田で降りる。
 さらについでに確認したいことがあって、堂島地下センターへ。
 パキスタン料理店を表から見物。
 かんべさんがここの11月「笑ってはいかんのかもしらんけど」に書いてはる店はやはりここであったか。
  *
 「アルコール始めました」と掲示してある(正確には「再開しました」らしいが)。
 しかし「詳しくはスタッフまで…」と但し書きしてあるから、裏メニューなのだろうか。
 昼直前(11:50)だが客ゼロ。隣の蕎麦屋はそこそこの入りだけどね。
 歌やんなら「笑ろてしまいますな」というところだな。
 ついでながら、ブティックみたいなレイアウトになっていた旭屋書店はゴルフ用品店に変わっている。
 客の嗜好が読めない店は淘汰されていくなあ。
 おれは「たかはた」できつねうどん。この店はつぶれる心配はない。
 午後は穴蔵にて雑事。
 夕刻這い出て天六のワイルドバンチへ。
 「小山彰太(ds)と横沢道治(per)デュオ」
  *
 打楽器のみだが、互いに多彩なパターンを繰り出して流れを作り出していくのはさすがだ。
 「隅の老人」席で聴くが、真後ろに奇矯な叫び声を発するおっさんがいて(しかもアタマが痛くなるような甲高い声)興ざめである。困ったものだ。
 21時まで。
 歩いて帰館。
 本日は10,846歩となった。

11月9日(日) 穴蔵
 終日小雨が降りつづく。
 不調である。
 気分は梅雨空である。小春日和という言葉があるのだから、この季節の鬱陶しい小雨は何というのか。
 秋雨は春雨の対義語だし、秋霖は初秋のはず。小梅雨空なんていわんのかなあ。
 気分が滅入って、出歩く気分にならず。
 さりとて、これといった仕事も出来ず。
 本を読んだりCDを聴いて過ごす。
 本日の食事。
 朝、トースト、ハム、サラダ、ティ、リンゴ
 昼、キンレイの鍋焼きうどん
 夜、コンビニで買ってきたおでんでビール、同じくコンビニのグラタンで安ワイン
 専属料理人不在だと、野菜不足が明かで、体も欲しているのだが、面倒だからなあ。
 寝る。

11月10日(月) 穴蔵/ウロウロ
 快晴になった。
 洗濯をする。
 ついでに穴蔵の掃除もして、冬モードに切り替える。
 料理だけは面倒である。
 昼、歩いて天六へ。
 「玉一」にてこういうものをいただく。
  *
 野菜を摂らなければなあ。水分の補給も怠りなし。
 穴蔵に戻り、午後は少しは仕事もするのであった。
 独居の場合、昼をメインにして朝夕粗食というパターンが案外いいのかも。

11月11日(火) 穴蔵/ウロウロ
 朝、通勤ラッシュが終わったころに出て、地下鉄で西長堀の中央図書館へ。
 あれやこれや。
 先日来の調べものは一区切りとする。
 昼、地下鉄で大国町、木津市場へ。
 昼飯メインの方針にしたがって、川上商店にて「特上まむし」をいただく。
 この店、久しぶりであるなあ。早朝グルメをやってた時代の1軒。昼間に来るのは初めてである。
 店内に「写真撮影禁止」の掲示があって、これもひとつの見識であろう。
 したがっておれも写真は撮らず。
 難波までぶらぶら歩いて帰館。
 夜はコロッケ・キャベツをトーストに載せたオープンサンド風でチリワインを少しばかり。
 粗食とも申せましょう。

11月12日(水) 穴蔵
 早朝小雨、あとは曇天。
 終日穴蔵。
 新聞ほぼ全紙がトップで「年内解散、総選挙」とやって、アホテレビが追従、終日こればっかり。
 このHPでは「政治・宗教・血液型」については発言しない方針なので、おれの見解は申し述べないが、なんじゃいな…やな。
 ちょっと机に向かい仕事、長く寝転がって本を読む、の繰り返しで夕刻となる。
 本日は3食とも粗食。
 本日は0歩。
 寝る。

11月13日(木) 穴蔵/ウロウロ
 午前3時頃に目が覚める。
 午前4時に散歩に出る。
 久しぶりに未明の大阪駅周辺をうろうろ。
 新梅田食道街横の歩道でチンピラがホームレス氏を蹴り殺して以来、諸氏の塒が変わったようだが、実態はもう少し歩いてみないとわからない。
  *
 これからは午前4時半からの地下人口が増える季節である。
 グラフロを抜けて帰館。早朝のうめきたは面白みなしである。
 穴蔵に戻り、2時間ほど朝寝。
 9時過ぎに近所の内科医院へ定期検診に行く。
 数値は正常であった。
 が、帰宅したとたんに、やたらくしゃみ鼻水が出はじめた。
 医院の待合室にマスクもせず、やたら咳き込んでいるオバハンがいて、慌てて離れたのだが、心配になってくる。
 医者へ行くのも考えものだ。
 また布団に潜り込んで本を読んで過ごす。

11月14日(金) 穴蔵
 終日穴蔵。
 くしゃみ鼻水はましになり、机に向かって過ごす。
 明日、行事が重なっているので、終日準備作業。
 今季、初めてエアコンで暖房3時間ほど。
 今度は(終日喋らぬままなのに)喉が痛くなった。

11月15日(土) 高層の昼とどん底の夜
 定刻午前4時に起きる。
 4:30から「日本の話芸」で三遊亭円丈「八五郎出世」を見る。古典もそれなりにうまく、このへんが文枝はんとの違いだな。
 雑事色々。
 昼過ぎに出て、阪急オフィスタワーにあるNHK文化センターへ。
 講座というのか高座というのか、「梅地下の謎 うめきたの夢」のタイトルで大阪駅周辺の変遷を体験をメインに話す。
 特にSF限定ではなく、関西の年輩の方が中心の印象だが、わざわざ静岡から来たという青年、恐ろしく詳しく、おれが「TP」誌に書いた(1966年)非SF短編まで知っていて驚く。
 前半はダンジョン化する地下街、後半はうめきた開発の近未来像だが、最後の質疑の時に、今検討されているコンペ作品よりも遙かに面白い案を出された方がいて感心する。これは今からでも本格的に検討できないものか。
 このビル、最上階(41階)に外部の人間でも入れるコーナーがあることを知るが、土日は上れないようである。
 夕刻帰館。
 夜は集合住宅に導入を検討しているあるシステムの住民説明会。
 ややこしい雰囲気になるのではないかと心配していたら、案の定。
 気分が悪くなってきた。
 次回理事会で、あっさり見送りを提案しようと決意する。
 集合住宅関係の資料作りに時間をかけるなど愚の骨頂と思い知る。
 アホ相手にしんどい目をしてわずかな改善をするよりも、そのための時間と手間を自分の仕事に振り向けた方が遙かに生産的である。
 いずれにしてもあと半年。
 この間、のらりくらりと適当に過ごせば、あとは一生こんな役職に就くこともない。
 世の中、あまりマジメに考えてもしかたないことが多い。
 遅い時間にコンビニメニューで晩酌。
 嫌な酔い方をする。


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