『マッドサイエンティストの手帳』474
●マッドサイエンティスト日記(2010年3月前半)
主な事件
・鈴木孝紀ライブ(4日)
・SF検討会(5日)
・梅津和時ライブ(6日)
・JAZZ AT XIV琵琶湖(7日)
・Sunday at Jazz Club(14日)
・姫新線本竜野新駅(15日)
3月1日(月) 播州龍野の日常
3月は寒いのであった。目覚めれば室温は13℃。
しかし、この時期、10℃以上というのは、播州龍野においては信じがたい暖かさなのよね。
午前4時に朝刊をとりに門扉のところまで出たら、西の空に、満月に近い朧月がかかっている。
荷風ならどう書くのか。おっさんの場合、いい思いをした時は「月皓々」、不発の時は書いてないような。
ま、朧月はおれに似つかわしい。消えかかりだものなあ。
それはともかく下男仕事はしなければならぬ。
色々大変なのである。
午後、塀の外にある休耕畑に出てみたら、雑草に細かい花が咲いているのに気づいた。
小さい(5ミリほどの)青い花がいっぱい咲いている。
CX2のマクロで撮影。
うちの敷地で2月に開花する花は梅だけだったが、これも先月から咲いていたのであろう。
調べてみると(たぶん)オオイヌノフグリらしい。
いいなあ、この花名。
2月に開花したのは梅とイヌノフグリだけだが、春は近いのである。
初雪や猫の足跡梅の花……っうけど、猫が雪の上を歩くかなあ。
おれはリアリズムで一句。
春近し犬のキンタマ梅の花
冷蔵庫内の食材一掃メニューでビール、湯割り。
そろそろ就眠。
明日は出所の予定……明日こそホリは羽ばたく。
3月2日(火) 播州龍野→大阪
定刻午前4時に目覚める。
4時半に朝刊を取りに出たら、西の空に満月が皓々。荷風のおっさんが好む月である。
CX2で8秒間露光。このあたりが限界か。月光写真のためにデジタル1眼導入まではなあ。
助っ人来たりて仮釈放となり、午前中の電車で帰阪する。
雑事山積。
たちまち夕刻となった。
専属料理人はまだ東の方向に行ったまま。
夜はボンクラ親父の息子その2が、やまかけともつ鍋を作ってくれた。
ビールを盛大に飲み、最後にマルタイのラーメンをぶち込んで仕上げ。
枕頭に本を積み上げ、そろそろ就眠っつうか、その気になれば朝まで読み続けてもかまわん、至福の時間である。
3月3日(水) 穴蔵
終日穴蔵。
工事音なしというのは、こんなに快適なのか。
天気がよく、外に用事ないではないのだが、出かける気にならない。
粛々と雑事を処理する。
昼は徒歩3分「河春」で500円の焼き魚弁当を買ってくる。
午後も穴蔵にこもる。
18時45分「自宅」のベランダへ行って、三脚にデジカメをセット、国際宇宙ステーションの通過を待つ。
東京の真上を通過するはずである。
が、夕刻は快晴だったのが、日暮れとともに薄い雲がかかって、本日も見えず。嗚呼。
夜は、専属料理人不在……調理は面倒、梅田へ出かけるのも面倒な気分になり、徒歩30秒の居酒屋「満留満」で、湯豆腐、串カツなどでビール、湯割り。
早寝するのである。
3月4日(木) 穴蔵/京橋/鈴木孝紀ライブ
終日小雨が降り続く。
こういう日は落ち着くなあ。
穴蔵にて、少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
夕刻這い出る。
環状線で京橋へ。
鈴木孝紀さんのライブを聴くためだが、京橋に来たらまずは一杯である。
飲屋街の方に出たところで、古いSFファンというか、曲者の多い中で唯一の人格者というか、「うしろオバQ」の異名をとるK山Y男さんとばったり。
近くの串カツ屋でビールとなる。
別に目張りすることないか。
久闊を叙すといえば聞こえはいいが……話題は最近多発の「訃報」と、あとは誰それがどんな病気という話ばかり。健常者はおらんのかいな。
要するに高齢化なのである。
ということで、20時に、片町線の改札(東口)を出たところにあるBeeHiveへ。
初めて来る店だが、開店8年ほどらしい。
鈴木孝紀(cl)竹下清志(p) 坂崎拓也(b) 浜崎衛(ds)
鈴木孝紀カルテットで、スペシャル・ゲストが竹下さん、浜崎氏は店のオーナーでもある。
*
エリントン・ナンパーから「星影のステラ」「サニーサイド」「ムーングロウ」などスタンダード中心だが、アレンジが多彩である。「ベイズンストリート」をモダンな感覚で吹くのには驚いた。
先日ハチで会ったマユちゃん(トランペット)が飛び入りで「バイバイ・ブラックバード」……こういう度量の広さもいいなあ。竹下さんがきちんとバッキングやってるのに感心してしまう。
23時まで。
せっかくの京橋、京橋浪花にも寄りたかったが、遅くなったので、本日は断念。
3月5日(金) 穴蔵/SF検討会
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
本日はSF大賞贈賞式で、例年だと上京(2日いて帰路に琵琶湖湖畔のジャズ企画に寄る)なのだが、諸般の事情により今年は穴蔵にて過ごす。
本日も専属料理人不在につき、夕刻、大阪市北区豊崎4丁目3-1電話6375-1455の「菊華」へ「オードブルの盛り合わせ」と「鶏唐揚げ」を受け取りに行く。(エビ天とか豚角煮などもほしかったのがが、大将が「おふたりでしたらこれで十分でっせ」という。なんと良心的な。そして、それはまさに正解であった。安くて旨い菊華に栄光あれ!)
かんべむさし氏が来穴蔵。
今年初めての、定員2名・内容非公開のSF検討会を開催。
こちらは菊華のオードブル。
むさしくんは「数量限定」の佐賀麦焼酎『一切如意』を持参。
ビールのあと湯割り。バカウマ。
アホな話……でもないか、主にはフィクション・ノンフィクション論だが……をごちゃごちゃやってたら、なんと4時間、『一切如意』はカラである。
よく飲んだもの。こういうことは久しぶりである。
爆眠。
で、気分よく目覚めて書いたのがこれ。
3月6日(土) 穴蔵/ワイルドバンチ
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
夕刻這い出て、自転車で天六のワイルドバンチへ。
梅津和時・高岡大祐「即興DUO大阪冬の陣」というライブである。
梅津和時(as,ss,cl,bcl)高岡大祐(tuba)のデュオ。
梅津和時さんを聴くのは15年ぶりくらいかな? 泉佐野市での韓国グループとのコンサート以来と思う。
今回は珍しくもチューバとのデュオ。梅津さんが4楽器をとっかえひっかえに対して、高岡さんはチューバ1本での勝負だが、マウスピースを外したり管のエルボ?を抜いたり、よくこんな多彩な音が出せるものである。
フリーといってもギャグ・ギリギリの演奏である。
終演後、『梅津和時、演歌を吹く。木管無伴奏ソロ』というCDを求めて帰館。
寝る前に一聴……「唐獅子牡丹」から始まり全14曲……3曲で中断する。
これは一気に聴くCDじゃないわ。一杯やりながら3、4曲ずつ聴くことにする。
3月7日(日) 米原/JAZZ AT XIV琵琶湖
朝から小雨が降り続く。
午後、穴蔵を這い出て、新快速で米原に向かう。
琵琶湖マラソン開催中だが、こちらはもっと東北の湖畔リゾートホテルへ。
毎回、東京からの帰路に寄るパターンだが、今年は大阪からの参加である。
小雨降る琵琶湖の湖面は寒々としているのであった。
しかし館内はHOTである。
第3回 JAZZ AT XIV琵琶湖。
*
19時から3時間、近江牛のステーキその他パーティ料理をいただき、ビール、ワインを飲みつつのトラディショナル・ジャズ大会である。
出演は、
・ニューオリンズ・フォーティーズ
・ニューオリンズ・グローリーランド・ジャズバンド
・ニューオリンズ・レッドビーンズ
・マホガニーホール・ストンパーズ
・ニューオリンズ・ラスカルズ
・特別ゲスト ジェフ・ブル(tp)
百数十人のオーディエンス、平均年齢は70に近いか超えているか……むろんおれは「若造」の部類である。
毎年「あと何年聴けるか」が話題になるが、皆さん元気で盛大に飲み食い。
ただし毎年いっしょになるF本さんはビールにドクターストップがかかり不参加、隣席のK中さんは今回からもっぱらノンアルコール・ビールである。その分はおれががんばって飲まねば。
深夜近くになってから某フロアのアフター・パーティでまたワイン。
寝たのは、たぶん日付が変わってからである。
3月8日(月) 米原→大阪
午前7時に気分よく目覚めた。
XIV琵琶湖の和食レストランにて豪華朝食。
カツオのタタキ、湯豆腐、出し巻き、焼き魚なんてのが並んでると、これはビール1杯といきたくなるが、さすがに朝ビールはやめとく。
11時から隣接の教会でライスルズのコンサート(賛美歌中心)があって、これがいちばんの目玉なのだが、タイムマシン関係でヤボ用発生、早めに帰阪しなければならなくなったのである。
去年ちょっと気になっていた琵琶湖干拓資料館の見学も来年に送る。
11時前に帰館。
穴蔵にて連絡業務あれこれ。
たちまち夕刻となった。
昨夜、専属料理人が帰阪していて、2週間ぶりに専属料理人のメニューで晩酌。
黒ハンペン、しらすおろし、わさび漬け+生姜など、「静岡メニュー」でビール。あとワインを少し。
早寝するのである。
3月9日(火) 穴蔵
終日小雨が降り続く。寒い。
こんな日は穴蔵に閉じこもっているに限る。
午後、近くのホテルの喫茶室にて1時間ほど某紙の取材を受ける。
ま、テーマは記事になってから紹介することに。
事情があって、本日は休肝日である。
消化の良さそうなメニューの夕食は10分ほどで終わる。
早寝するのである。
といっても、飲んでないから、たぶん眠れんのよね。
本を数冊枕元に積み上げて睡眠に挑むことにする。
3月10日(水) 穴蔵
やっぱり、本を読んでいたら一睡もせぬまま朝になった。
本の感想は明日にでも。
朝食は抜き。
小雨・寒風のなか、近所の某医院へ。
本日は健康診断の日である。
徹夜で、食事・アルコール・クスリ抜き、寒いなか5分ほど待っていたのだが、血圧はまあまあの値であった。
ということで、9時20分に帰館して朝食。
あとは終日穴蔵にてボケーーーッと過ごす。
仕事に集中もできず、さりとて眠くもならず。
運動不足だが、寒いから出かける気分にもならず。
困ったもんだ。
夜、一杯飲んで早寝するのである。
3月11日(木) 穴蔵/昼を走る
定刻午前4時に目が覚めた。
元気に雑用。
昼、専属料理人は地域の福祉なんとかで出かけてしまった。
スタミナつけねばと、久しぶりに自転車で天五の玉一へ。
と、いつも行く玉一イサク店に「ランチは本店でやってます」と表示してある。
で、100メートルほど北の玉一本店へ。
1300円の焼肉定食……これが、野菜、肉ともに一段と充実! 網焼きから鉄板焼きに。
ともかく野菜が豊富なのである。
「ごはんは後でええで」と中ジョッキを2杯。
健康診断の結果はまずまずだから、たまにはよろしかろう。
たまらんなあ。
* → *
で、十分いただいたところへ、「兄ちゃん、ごはんしましょか」「半分でええわ」
と、出てきたのが右写真のごはんと味噌汁。
おれの場合、普通、ランチは右の写真程度で十分なのよね。
むろん、おいしくいただく。
14時に帰館。
うーん、食べ過ぎである。
寝転がって本を読むにも、寝転がっているだけでも苦しい。
専属料理人に、夕食は21時頃にするとメール。
21時になっても腹は減らず。
ごく軽くお茶漬けをいただく。
眠れんなあ。
3月12日(金) 穴蔵/夜を走る
朝まで2時間ほどしか眠れず。
しかし、昼間にうたた寝すると生活のサイクルが狂うので、終日、アタマを使わない雑用。
夜、第2金曜はハチの「おかんナイト」で、ハチママが元気なら出てきて歌う日である。
20時頃に行ってみるが、やはり体調は今ひとつのようで欠勤。
ごく内輪でのCD計画が進行していて、ジャケットのデザインを考えることにする。
おれの案は入口のイルミネーションを使うのもので、試作用に写真を撮って帰る。
ついでに、扇町公園を抜けて、天神橋筋に出ると、さあ、いつに変わらぬ陽気なこと。
赤い灯青い灯 天神橋の
路上にあつまる恋の灯に
なんでバンチが忘らりょか
……ということで「ワイルドバンチ」に寄ってビール。
ここは映画好きや本好き・ジャズ好きのたまり場で、モラスキーさんの『ジャズ喫茶論』にいう<文化の拠点>の雰囲気が濃厚にたちこめている。そう、70年代は「たまり場」とはいわず、ちょっと気どって「拠点」といったものであった。この雰囲気はマスター庄内さんの趣味で醸成されているのである。
主に映画の話をガヤガヤやってたら22時近い。
ほろ酔い自転車で帰館。
アナゴにワサビの茶漬けをいただいて深夜の就眠となる。
3月13日(土) 穴蔵/夕刻を走る
わ、目覚めれば8時である。
本日も曇天なり。スカッとしないなあ。
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
夕刻近くになって晴れ上がってきた。
色々と溜まった外回りの雑事を片づけることにする。
自転車で、梅田ウロウロ、ヨドバシ北の地下道を抜けて、スカイビル北側の中央郵便局へ行き某郵便物の受け取り、そこから中津〜天六線を走って「ワイルドバンチ」へ。
昨夜お借りした資料の返却、ついでにビール1杯、うまーーーーっ!
マラソンの途中でビールを飲む気分だ。
梅田の書店、CDショップを回り、来週の播州龍野用の資材など仕入れ。
ハチに寄ってCDの試作品その他の交換、19時半に帰館。
たぶん15キロほど走行。自転車だからたいした運動ではないな。
シャワーのあと、夜は春パスタなどでビール、ワイン。
3月14日(日) 穴蔵/中崎町/Sunday at Jazz Club
久しぶりに快晴。
暖かく、春の陽気である。
午後、黒崎町へ行くのに、天気がいいから、歩いていくことにする。
中崎界隈……中津〜天六線の南・東海道線の東側の一帯、表記は「中崎西」の区画を歩く。
天五中崎商店街まで、路地を抜けていくのに、おそらく数十通りの経路があるはずだ。
久しぶりに歩いてみると、自転車では入れないような路地にもカフェやアンティークショップがものすごく増えているのに驚く。
うどん屋やラーメン屋はない。ほとんどがカフェ。梅田から近いから、そぞろ歩きの人も多いような。
仕舞屋風のカフェがブームなのかな。
ブームだとして、いつまで続くか。
おれの好みではないけど、フレンチ・クォーターみたいに、中崎西が「長屋保存地区」になるのなら、おれはむろん賛成する。
14時前に黒崎町のバンブークラブへ。
Sunday at Jazz Clubの例会である。
本日の特集は「ブルーノート第2回」で、ハモンドオルガン(ジミー・スミス以降)とラテン系。
後半は持ち寄り。遠路、S藤さんが久しぶりに来て「土着ジャズ」数曲、他に「くいだおれ太郎楽団」など雑多。おれは梅津和時の「演歌」から「唐獅子牡丹」……賞賛半分、紳士揃いだから怨嗟の声はあがらなかった。
※この会は、まったく気楽な集まり(途中の入退場自由、小声の私語可、初心もマニアも関係なし)なので、SFとジャズに興味のある方は覗いてください。おれは大阪にいたら顔を出すことにしとります。
17時まで。
中崎の路地を歩いて帰館。
夜は和風の数皿でビール。
明日からしばらくは田舎暮らしとなる。
3月15日(月) 大阪→播州龍野/新駅完成
早朝の電車で播州龍野へ向かう。
8時過ぎに姫路について姫新線に乗り換え。
と、いつもより10分以上早く動き出したので驚く。
3月13日からダイヤが変わったらしい。
本竜野に到着。
新駅が完成していて、3月13日から「2階」の改札を通らなければならない。
*
周辺の整備はまだだが、一応竣工ということか。
旧駅舎(3年前の写真)の方が風情があったなあ。
新しい時刻表をもらうが、便利になったとは思えず。
姫路行きは、本竜野始発がなくなり、すべて播磨新宮始発。ホームに並んで待つ時間が増えることになる。
席取り合戦は気が重いのよね。
下男モード入り。
しばらく田舎生活となる。
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