HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』43

●マッドサイエンティスト日記(1997年10月後半)

主な事件
 ・北緯34度30分東経135度25分堺市人工島沖を漂流中
 ・利益なき近傍がつづく

1997年
10月16日(木)
 大阪本町にてサラリーマン生活。
 午後、産経新聞・深堀記者来社。大阪の夕刊一面の「人t0人」というインタビュー記事の取材。意外な交遊のある人物ふたりを交互に取り上げるという。落語家が面白いからということで、桂歌之助師匠との組み合わせになる。
 夕方、取材とは離れて、深堀記者に北野勇作夫妻を加えたメンバーで、焼鳥屋「てころ」から「ストローハット」へ。勇作氏、途中から芝居の稽古のため抜ける。すっかり役者である。

10月19日(日)
 典型的秋日和。堺市沖の人工島で機械の組立作業。「公的仕事」5種目兼任だが、この仕事がいちばん充実した気分になる。……ということは、老後(といってももう十年に満たない近未来であるが)はジャカルタかシンガポールでこんな仕事をしていることになるのだろうか。インターネット時代で、どこに住んでいても原稿は書けるはずだから、いっそスリランカへ行くのも手だなと夢想する。

10月20日〜24日
 貿易関係の業務が増えてサラリーマン生活、利益なき繁忙を極める。
 22日(水)神奈川県平塚市往復。往路、こだま車中で、梁石日「タクシードライバー日記」読む。体験談でなくルポである点、「月はどっちに出ている」のベースとなった「狂騒日記」の迫力に及ばず。
 夕刊トップに「安室奈美恵結婚」……なんじゃこりゃ。アムラーという言葉は知っているが、その歌を一度も聞いたことのない(耳にしたことはあるかもしれない)ましてテレビで見たこともない人物のトップ記事というのは、たぶん、ぼくにとっては初めてではないか。

10月25日(土)
 堺沖人工島で作業。本日はまったくひとり。南海・羽衣からタクシーで行く。スペースコロニーにひとり残された気分で、これは夢にまで見ていた状況に近い。朝8時から夕方5時まで。昼は途中で買ってきたコンビニ弁当である。

10月26日(日)
 寒波? 急に肌寒くなる。本日も人工島で孤独な作業。昼前に相棒が到着、父君の徹夜看病でたいへんなようである。夕方まで。

10月27日〜31日
 利益なき繁忙がつづく。
 「電磁波」関係の本数冊を読む。一応「電磁気学」を可で通過した立場としては、大朏博善「電磁波白書」が説得力ありと意見表明しておく。


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