HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』42

●マッドサイエンティスト日記(1997年10月前半)

主な事件
 ・堀家の危機
 ・謎の美少女、キシワダの千加ちゃん、結婚!
 ・国際繊維機械ショー

1997年

10月1日(水)
 姫路方面出張のついでに、夕方、龍野市の実家に寄る。
 「堀家住宅」が危機という。この「住宅」はぼくの実家ではない。ウチはアバラ屋。これは本家筋の邸宅で、兵庫県龍野市のランドマークといっていい建物。
 姫路市が発行している雑誌「BanCul」97年春号の「建築探訪」という特集第1回に取り上げられている。「存続が危ぶまれている」のが理由。
 国の重要文化財候補にもなったのだが、維持費の点で見送られた。地方都市に買い上げる資力はない。当主・堀謙二さんは、財産への執着はない方なのだが……。
 結局は国に召し上げられ、そのうち解体となるのだろうか。なんとか残してほしいと思う。
 龍野市を流れる揖保川の西側から見ると、巨大な楠と白壁の土蔵が目立つ。
 龍野市の夕暮れは下の写真のごとし。
 「文豪」が住む似合う眺めだが、SF作家にはどうも照れますね。

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10月2日(木)
 大阪本町にてサラリーマン生活。

10月3日(金)
 大阪本町にてサラリーマン生活。
 わがボンクラ息子どもの母親を兼任している「女中」が実家へ帰省につきクレイマー生活。義母の体重が30s台で、ちょっとした風邪でも寝込んでしまうのだという。

10月4日(土)
 世間休日なれど大阪本町にてサラリーマン生活。
 夕方帰宅、炊事洗濯。

10月5日(日)
 休日なれど炊事洗濯掃除。昔は1時間あればできた作業が、ガキふたりとなるとそうはいかない。「女中」20時帰宅。

10月6日(月)
 大阪本町にてサラリーマン生活。
 中間決算の発表あり……ノーコメント。

10月7日(火)
 「リストラ」なるものの現場に立ち会う。
 胃が痛くなる。

10月9日(木)
 早朝のひかりで上京、東京から特急「わかしお」で九十九浜方面へ。某大手化学会社。
 房総半島は初めてである。
 同行の某氏、ついでに、大網で降り、タクシーで九十九浜の「向島」という海の店へ案内してくれる。「今はもう秋、誰もいない海」を絵に描いたような眺め。焼き蛤がやたらうまい。某総会屋の「海の家」も、こんな立地なら本当に利用されていた可能性があるなあ。
 八重洲ブックセンターで「裁判の秘密」を求める。著作権関係の裁判で勝っても一銭の得にもならず、判決のありがたみを享受したのは「流行作家」でしかないという皮肉な現実を再確認する。最終にちかいひかりで帰る。3連休前で下りの新幹線は殺人的混み方、名古屋まで立っている客多い。帰宅深夜。

10月10日(金)
 午後、「軌道の天才」という1枚400字のショートショートを書く。「謎の美少女」千加ちゃんへの祝辞がわり。ギリギリで完成。
 17時から梅田・ペンギンバーで「本藤昭彦・高橋千加さんの結婚記念マッドティーパーテイ」(千加ちゃんのハンドルがアリスであることからの命名らしい)、大迫夫妻はじめSFファン50人くらい。ほとんどおなじみの顔ぶれである。
 千加ちゃんはダイナコンEXの頃から、時々ぼくの周辺に出没する「謎の美少女」である。ソリトンのオフにもとつぜん……キツネか熊さんかの帽子を被って……現れたことがある。泉州は岸和田の生まれ、ダンジリのなんとか方の家系である。……ダンナの本藤昭彦(葉月)さんとは、コンベンションで会ったことはあるらしいが、 ぼくはほとんど初対面。「本当は私が替わりたかった」(某落合夫人)という噂どおり、聞きしにまさるいい男である。下の写真をご覧ください。
 千加ちゃんは長野へいっちっち、リンゴ畑のお月さんこんばんは……。なんやらわからんようになってきた。2年後に(地球が無事なら)長野で1999年7の月にSF大会がある。案外「家族連れ」で参加かもしれないなあ。
 なお、「軌道の天才」というショートショートは、会場にいた「時刊新聞」スタッフに巻き上げられた。忘れられてなければ2年後のSF大会で時刊新聞に掲載される予定である。


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10月11日(土)
 朝から南港・インテックス大阪で開催中の「国際繊維機械ショー」(略称OTEMAS6)……これは日本では4年に1回(あとはヨーロッパかアメリカ)で開催の見本市で、もう25年以上関わってきた、わが本業である。が、今回、人出は多いが、商談は少ないようである。関連会社の小間で半日。あと会場内うろうろ。
 ヨーロッパからの出品が少ない。
 日本の市場が小さくなったからしかたがないことでもある。日本開催はこれが最後だろうという噂も信憑性を帯びてくる。次からはシンガポールではないか。
 台湾、韓国、インド、インドネシアの知人に会う。ヨーロッパはいないなあ。イスタンブールの某氏(デニケンをアララットへ案内したことがあるといっていた)も今回は来ていない。ちょっと寂しい。

10月12日〜15日
 サラリーマン生活多忙。


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