HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』26

●マッドサイエンティスト日記(1997年6月後半)

主な事件
 ・永井豪さんデビュー30周年
 ・台風の直撃2連発
 ・昼の宴会2連発

1997年

6月16日(月)
 静岡から清水市へ。午後、東京へ移動。
 夕方、アトソンに寄る。ホームページの改装についてちょっと打ち合わせ。近日、15年間考えてきたことを、いよいよホームページで始めることにしたのである。
 昨日の今日である。さすがに疲労感があり、早めにホテルにチェックイン。近くの台湾屋台でビールを飲んで早寝しようと思っていたが、雑誌をみたら、近所のライブハウスに花岡詠二が出ているのを発見。  花岡詠二(cl)光井章夫(tp)根市タカオ(b)小林祥(p)八城邦義(ds)という、なかなかの実力プレイヤー。が、月曜日という日が悪いのか、気の毒なほど入りが悪い。客の方が少ないので申し訳ない気分になる。
 それにしても、日本のクラリネット奏者は、なぜ「ji」で終わる名の名手ばかりなのか。鈴木章治、北村英治、藤家虹二、花岡詠二、谷口英治、鈴木孝二……昨日は森剣治を聴いたばかりだし。
 花岡詠二はぼくと同年だから、まだとうぶんライブには困らない。あと、谷口英治のライブの予定さえわかればいいのだが……。
 とうとつだが、光井章夫は野口悠紀雄に似ている、と思う。  休憩時間にちらちらと漏れ聞こえるのに、石川順三さんがライブをやりたがっているとか。ずっと前のデキシーキングスのクラの方だろ? お元気なんだなあ。少し前には、兄が、銀座でレンモンド・コンデさんを聴いたといってたし。

6月17日(火)
 内房線・五井へ。千葉よりも向こうへ行くのははじめてである。
 臨海の石油工場。……出入りの車のマフラーが発火防止の不格好なスタイルなのが目立つ。構内を10分ほど歩いて事務所へ。車庫に消防車が5,6台待機しているのが凄い。写真撮影禁止のため記憶に焼き付け。
 深夜、大阪に帰着。

6月20日(金)
 新大阪6時半のひかりで上京、東京で雑用を片づけ、上野から特急あさまで高崎方面へ向かう。昼過ぎ、風雨が強くなり、学生の姿が目立ちはじめる。午後休校らしい。
 高崎近くの某化学会社へ。
 「風雨が強くなりましたね」「台風がこちらへ来ているのです」「ええっ、紀伊半島上陸かと聞いて早い新幹線に乗ったのに」「静岡付近に上陸、もうすぐこの上に来ますよ」
 あたふたと打ち合わせを済ませて退散、高崎へ戻ると午後4時。台風は午後4時、前橋付近を通過とかいう。雨はさほどではないが強風。……それにしては、新幹線、普通に動いているではないか。眼の中というのでもなさそうだし。
 風雲急を告げるなか、東京へ。
 新宿のヒルトン・インターナショナルへ18時到着。
 「永井豪デビュー30周年記念パーティ」
 最初に師匠・石ノ森章太郎氏が挨拶。
 つぎに、小松左京氏が、「先輩・森ミノル」として、豪さん作品のキャラクター名をズラズラっと並べて「乾杯」。
 途中、永井豪さんが挨拶。長いマンガ家生活を振り返って「SFと知り合えたのは幸せだった」と述べられた。

offoff


 その他、会ったひと、ランダムに。飯野文彦、石井紀男、井上雅彦、大原まり子、高斎正、幸森軍也、小松左京、菅浩江、高橋良平、巽孝之、田中光二、谷甲州、豊田有恒、星敬、南山宏、山田正紀、森岡浩之、森下一仁、山下定、……らの各氏。
 とても書ききれないので、マンガ家を代表して2氏との記念写真をお許しをえてアップ。萩尾望都氏と、とり・みき氏。望都さまにとりついている人面瘡みたいな女性が、まるでとり・みきが描く「遠くへいきたい」の一場面みたいで不気味だ。

offoff

 散会後、数人と新宿で茶飲み話。
 井上雅彦氏の「1001秒の恐怖映画」は、手間暇をかけたいい本だと思う。売れているのかと訊ねると、映画会とか映画コーナーに置いてくれているそうな。ロングセラーになるといいなあと思う。安請け合いはできないが、芦屋小雁さんに紹介したいと思う。
 山田正紀氏は異論があったようだが、作品集を「勘違いして」映画コーナーに並べてくれるのは、店頭に置かれる期間が小説よりも遥かに長いのではないかと思う。自分の例で情けないが、新書はあっというまに消える。(売り切れるのではなく。) 山田さんくらいでも例外ではない。力作(なんだと思う)「妖鳥」を読もうと、本屋で見かけて2週間後、もうどこにもなかったぜ。これは「売り切れ」の可能性が高いが……。

6月28日(土)
 曇空だが風強く、台風接近中。
 ひかりで家内と名古屋へ。
 姪の結婚披露パーティ。万博の年に生まれたから……ええっ、ぼくのデビュー作が載った年? 彼女の年齢がぼくの「作家年齢」と同じなのか? まあ、作家齢は実働時間ではかるべきものだから、ぼくはまだまだ「未成年」である。
 新郎・大作くん、昭和44年、中津川生まれという。「中津川ジャンボリーを知っているか?」といったら、かれの親父が「ボランティアで空き缶拾いに行った」という。ぼくのたった一歳年上というのである。
 昼間からワイン。
 午後5時頃の岡山行きひかりに乗ったら、台風接近で、新大阪以西は運転を見合わせているとアナウンス。おまけに岐阜羽島で運転中止という。姫路から杖をついて出てきた老母を案内しつつ、つぎのこだまに乗り換え、新大阪着18時30分。
 在来線に乗り換えるか、大阪に引き留めるか迷う。が、老母は「ひとりで待っている」猫が気になるので、どうしても帰るという。まもなく運転再開のアナウンスを信じて、下りこだまに乗せて、あとは妹に託す。
 帰宅19時。ニュースでは「台風8号は午後7時、姫路付近」というではないか。
 これで2週つづけて、台風の「狙い撃ち」にあった。
 気が気でなく、播州龍野の実家にFAX。無事帰宅すれば連絡するように。
 連絡を待っていたら、臨時ニュースで須磨の生首犯人、容疑者中学3年生逮捕。
 ほとんど同時に、無事帰宅、強風の中、猫はやっぱり門扉の近くで母の帰宅を待っていたという。
 門扉のそばに猫の首が転がっていたらどうなるのかと、嫌な想像をしてしまう。

6月29日(日)
 昼、京都へ。京都駅近くのビアホールで「草上仁デビュー15周年パーティ」。ファン主催の会で、50人ほど。
 草上夫人……というのはおかしいのか。○○(←本名)氏夫人とは初対面。じつに若々しく美しい人である。本当に若い。写真は載せないが、中学生のお嬢さんと並んだ写真は、姉妹にしか見えないのである。
 結婚披露みたいにご夫妻用の席が用意してある。
 20分ほど遅れてきた谷甲州、
 「関西に来るときは必ず北陸線の遅れで遅刻することになっている。雪も台風もない今日も例外ではなかった。しかし、結婚式に遅刻したカップルはみんな幸福な状態にある。今日は結婚式ではなかったか……」(結婚式に見えないことありません)

offoff


 ちなみに、草上ご夫妻の後ろに立っているのが、西神戸地区を生活圏とし、かつインターネット関係であり、ホラーにも無縁でないことから、昨夜まで「酒鬼薔薇」と思われていた阪本雅哉である。疑惑が晴れてよかったね。わしゃ、マスコミからコメントを求められたらどうしようかと悩んでいた。
 他に、高井信、北野勇作、森岡浩之ら。
 北野「年は三つほどしか違わないのに、こりゃどんな男だと思った。長編連載でもないのにSFマガジンに毎号作品が載っている……」
 途中、草上仁の原作を天羽孔明が落語化した「江路村博士の夢のスーパーダイエット食品」を海苔子? 典奴? 春乃? なんだっけ、ようするに旧姓高橋典子さんが演じた。なかなかの熱演、トチリ皆無の実力である。決して「女性しか弟子にしないことで有名な落語作家」の門などたたかないように。
 この日使った手ぬぐいは、かんべむさし「笑い宇宙の旅芸人」完結記念のものという。
 夕方まで、ビール。あと少しワイン。昼の宴会の連続はさすがにこたえる。二次会は失礼して大阪へ。


『マッドサイエンティストの手帳』メニューヘ [次回へ] [前回へ]

HomePage