『マッドサイエンティストの手帳』124
●阿佐ヶ谷ジャズストリート99を歩く
昨年に引き続き今年も阿佐ヶ谷ジュズストリートで色々なジャズを聴けた。焼き鳥も食べたしワインも飲んだ。最後は焼酎も。
10月22日(金)
阿佐ヶ谷のメインストリートは通いなれたる首懸けの経……じゃなかった欅のきれいな並木道である。
昨年の阿佐ヶ谷ジャズストリートから1年。今年もこの通りを中心に繰り広げられるジャズストリートに来ることができた。
2日間のジャズ祭だが、残念ながら1日目のみ。
まず、午後6時、昨年に引き続き阿佐ヶ谷神社・神明宮での「薪ジャズ」。
やはり一番人気である。「山下洋輔+竹内直」デュオ。……竹内直さんは名古屋のラブリーでの飛び入りを1曲聴いただけだが、谷口英治参加のクララリネット・アンサンブルを組織されるなど、幅広い活動をされているマルチ・プレイヤー……らしい。この日はフルートも。エモーションとクール、怒りとユーモア、詩情とメッセージが混在するようなものすごくユニークな音色である。
45分の第一ステージ終了。今年はどこも「原則入れ替え制」で、これは、ストリートをブラブラするのにはいい方式だと思う。
阿佐ヶ谷駅前にもどって、元気いっぱいのカンザスシティバンドを聴く。ここは駅のコンコース南側で、通勤帰りの人たちいっぱい。スイング・ダンスも華麗だし「札束」乱舞のパフォーマンスも最高。ぼくも一枚揃いました。
ブラブラ南下して、産業商工会館のホールでYUKA & NY.GENTLMANを数曲、エリントンの曲がいい。
ビールが飲みたくなり、駅近くの鳥正に向かう。と、途中の「文化食堂・ぼんどーる」に清水万紀夫トリオのポスター。トラディショナル・ジャズりクラでは高名なプレイヤー、不思議なことに今まで聴く機会がなかったのである。
ビストロ風の店。白ワインを飲みながらマイクなしの演奏を堪能。清水万紀夫(cl)、阿部寛(g)、木村パンダ(b)。ギターの阿部さん、語り口が談志に似ていて抜群に面白い。清水万紀夫のクラリネットは端正にして典雅、いぶし銀のごとき渋さに聞き惚れてしまった。このトリオ、いちばん新しい曲でできるのが「アラウンド・ザ・ワールト」というから嬉しくなる。清水さんの雰囲気は極めて知性的な紳士、素晴らしいなあ……と、感銘を受けたのだが、後で別の場所で複数から聞いたところでは、「シミチョロ」さんの愛称で慕われている人だが、喧嘩の強さではジャズ界で群を抜いているという。人は見かけによらないものだなあ。
駅近くのヤキトリ屋「鳥正」へ久しぶりに行く。ちょっと休憩。太洋ホエールズというか横浜なんとかというかのファンの拠点。おなじみ「ヒゲの似合う男たち」諸氏と挨拶、昨年のことを覚えていてくださったのに感激する。ヤキトリ、モツ煮込み、白菜漬でビール数杯。ネットののらさんと会う。
ちなみに、この店の会は「粋鯨会」。わしゃ一年間、「酔鯨会」と勘違いしていた。高知に「酔鯨」という酒があり、大阪のかっぱ横町に「酔鯨亭」という土佐料理の居酒屋があるからである。「粋」も酔っぱらったらいっしょじゃないですか。
その粋鯨会のシンボルともいうべき山下さんが演奏を終えて到着、これから大宴会かな……とも思うが、他もあり、ご挨拶して中座。
午後10時、谷口英治スインギン・サミットのラストステージへ。
谷口英治(cl)、右近茂(ts)、「名手」岩見淳三(g)、小西忠哲(b)、高橋徹(ds)の強力なスイングセッション。
谷口〜右近の相性は例によって素晴らしいが、一曲、岩見さんのソロ「My one & only love」は泣かせましたねえ。
ジャズストリートのスタッフで記録係の若いおふたりと仲良くなる。覚えていたら、撮ってくれた写真、送ってね。
谷口グループの演奏終了後、ちょっと一杯とお誘いあり、JR駅に近い「RUM」へ、谷口さん、右近さん、岩見さんと。わしゃ、ぼんどーる、鳥正と飲んでいるのだが、ここは焼酎ーが売り物の店らしい。……谷口さんは九州出身だけに焼酎が好きなんだなあ……などと思いつつ思考も記憶も混濁。覚えているのは、やっぱり皆さんジャズメンなんだなあ、揃ってダジャレ好きで、揃って筒井康隆ファンであることだった。
深夜、岩見さんと、通いなれたる首懸けの経を歩いてアミスタまで。……名手・岩見淳三さんはタモリの「ハナモゲラ楽団」に関わっておられたらしいが、酔っぱらって、詳しい話を聞き忘れてしまった。ひょっとしたら新宿あたりですれ違っていた可能性があるものなあ。
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