HORI AKIRA JALINET

『私家版SF年代記』1981

1981年3月

主な事件
 神戸でポートピア81が開幕し、大阪でノーパン喫茶(イタリヤこんまおという店ができた!)が流行しはじめた。
 世間は平穏なれど、文庫の問題で鬱陶しい日々がつづく。

SF
・たいした事件も作品もなし。

日録
810301日 旧友T君の夫人、子連れで来宅。離婚経過説明。落ち込む。家内「無理もないわねえ」
810302月 ユニチカ関ヶ原工場。取付工事。夕方帰宅、小松事務所へ。早川、本当に文庫を作っているという。出版延期とロイヤリティの話が出ているという。著者校正の無視はどうなるのか。
810303火 池田の職場。
810304水 ユニチカ垂井工場。機械取付工事。駅と工場近くの公衆電話から3時間毎に自宅に電話。所在の確認。しんどいことである。
810305木 池田の職場。会社に久保寺氏から電話。徳間・早川間の交渉、条件面でまた後退という。今岡が約束したことと違うらしい。訴訟に備えて準備をしておいた方がいいらしい。委任状を送って貰うことにする。
810306金 池田の職場。
810307土 区役所で印鑑証明準備。委任状発送。原稿書く気分にならない。 810308日 子供連れて梅田散策。かんべ氏と会い2時間雑談。
810309月 池田の職場、午後市内客先。
810310火 池田の職場。午後、確定申告。税務署の窓口相談担当者、SFファンでよく読んでいるという。親切に指導してくれるのはありがたいが……。
810311水 ユニチカ貝塚工場。機械メンテナンス。駅から自宅に電話すると、今岡が「今日中に印鑑を小松さんに預けなければ告訴する」と通告してきたという。夕方、小松事務所へ。小松さん、明日、徳間、早川の話し合いに同席するという。心苦しい限り。裁定に異議はとなえないと約束するが、印鑑を預けるわけにはいかない。嫌なことだが、電話器用マイクを買って録音可とする。夜、今岡から電話。気持ちの悪い声である。「会社にいわれたものだから……」
810312木 ユニチカ垂井工場。工事続行。夜帰宅。久保寺氏から電話。早川から校正なしの文庫が4月に出る。ロイヤリティについては代理人(弁護士)間で話し合うということになったという。徳間も不満らしい。校正なしはいやだがしかたないか……。
810313金 雷鳥1号で富山県、カネボウ高岡工場。機械取付工事。深夜帰宅。
810314土 昼、NHK大阪の取材。松川アナ。自宅〜梅田地下街。16時まで。夕方、久しぶりに家族で食事に出るが、少し飲んだだけで眠くなり帰宅。
810315日 家族で梅田。あとゴロ寝。
810316月 池田の職場。
810317火 池田の職場、午後市内商社。
810318水 池田の職場。
810319木 池田の職場。
810320金 池田の職場、午後、ユニチカ貝塚。
810321土 春分の日。午後、新潮社・佐々木信雄氏来阪。かんべといっしょに会う。夕方、小松さんから電話、かんべとプラザホテルへ。協定案について聞く。
810322日 家族で服部緑地。夜、久保寺氏、菅原氏から電話。「しかし、また何かいちゃもんがあるかもしれませんね」……この予感は当たることになる。
810323月 本社試験室で実験。昼前、久保寺氏から電話。早川は「経過をSFマガジンに発表する。それが受け入れられないなら午後記者発表を行い、訴訟に踏み切る」と伝えてきたという。協定書に押印しなかった判断にほっとするとともに、やり口に慄然とする。家族を脅してまで印鑑を手に入れようとした狙いはこれか……。徳間社長と小松さんが話し合うという。夜、海外赴任する学友の送別会。毎日新聞から電話。ややこしいことである。二次会の席に久保寺氏から電話。今夜、徳間社長が最終決断を下すという。23時帰宅。
810324火 市内商社からユニチカ貝塚工場へ。1時間ごとに自宅に電話で所在確認。もう疲れてきた。夜、久保寺氏から電話。早川への最終提案の確認。
810325水 毎日新聞社会面に「文庫出版で“二重契約”」という記事。池田の職場へ時事通信社・藤田氏から電話。夜、久保寺氏から電話。早川が毎日に抗議する? 小松さんを訴える?とか。調停を依頼してきたのは早川ではないのか? 23時、大阪新聞・家中(かちゅう)記者から電話。30分。
810326木 市内代理店、午後池田。夕方、大阪新聞一面に「SF戦争で沈没しそう」という記事。小松さんが困っていることがメインだが、山口組の抗争並の扱いである。19時帰宅。2時間以内に激励含む電話が6件。21:30、ハチへ。山下洋輔トリオ、最終曲にギリギリ間に合う。メンバー諸氏と夜中まで飲む。
810327金 泉南、大機紡の工場で機械取付工事。作業服で作業している間がいちばん精神状態がいい。夜、激励その他電話2件。
810328土 池田の職場。
810329日 新潮社・佐々木氏来宅。わざわざ激励に来られた気配。「こんな時こそ作品を書かなければ」
810330月 池田の職場。
810331火 ユニチカ貝塚、工事。午後、池田の職場。

  作品その他
 ●「太陽風交点」早川文庫(幻の文庫)


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