HORI AKIRA JALINET

『私家版SF年代記』1981

1981年2月

主な事件
 世間は平穏であるが、受賞後の雑件が多いところへ、文庫化に関してとんでもない事態が生じた。
 会社の仕事は相変わらず、開発業務と工場での作業が重なり、疲労が抜けない。
 家族関係までがおかしくなりはじめた。

SF
・日本SF大賞授賞式

日録
810201日 午後、かんべむさし氏のご自宅訪問。共著の構成打ち合わせ。タイトルがいまひとつ決め手なし。光子夫人はふだん「海外SF」の話ができないので、ホーガンの評価などが面白いらしい。夕方から、うどんすきでビール4,5本、シーバス半分ご馳走になる。気がつけば22時。帰宅23時。
810202月 池田の職場。
810203火 早朝のこだまで家内と長男を静岡へ。米原で在来線に乗り換え、ユニチカ垂井工場で工事続行。中日新聞にも写真入りの記事が載ったので、工場の人たち、パートのおばちゃんまで祝い、工場長までが声をかけてくれる。仕事は相変わらず、機台に潜り込んでの肉体労働、夕方まで。帰路、車内で社内報用に自分の「受賞記事」を書き、同僚に預ける。夜、電話多し。
810204水 本日より3日、休みをとる。授賞式のための準備など雑用。文庫の校正。
810205木 新大阪10:54ひかりで、かんべといっしょに上京。徳間書店で打ち合わせ。グランドパレスにチェックイン後、館内でSF作家クラブ総会。18時〜20時、SF大賞授賞式とパーティ。その後「眉」11時まで。「まり花」12時まで。四谷の「ホワイト」へ移動、山下洋輔、坂田明、中村誠一、小山彰太氏らが合流、気がつけば、タモリと西田敏行氏による「太陽風交点」が目の前で演じられている。これは現実か。午前4時。
810206金 8時、父母と朝食。家内に靖国神社を案内させている間、エッセイ少し。昼前、「夕刊フジ」小泉次長インタビュー、午後、伊藤典夫、鏡明氏と鼎談(SFアドベンチャー)、続けて、時事通信社文化部・藤田部長インタビュー。夕方、聖富荘でかんべむさしと対談(奇想天外)。18:30、かんべと日本橋室町の居酒屋へ。会社の同期連中主催の祝賀会。かんべと20:12最終ひかりで帰阪。帰宅23:40。
810207土 「酒中日記」(小説現代)7枚、梅田から航空便で。夕方、星群同人3氏来宅、祝いにブランデー頂く。
810208日 急に疲労感。ややこしい電話2件。相手はたぶん親切心からなのだが。
810209月 池田の職場。
810210火 早朝のこだま。ユニチカ関ヶ原工場で工事。夜中帰宅。疲労抜けない。
810111水 建国記念日。SFAの鼎談に手入れ、発送。SF作家クラブ会報に手記6枚。ややこしい電話2件。1件は親切心から。夜中のはよくわからない。
810212木 早朝出発、こだまで相生から赤穂市へ。ユニチカ坂越工場で機械取付工事、夕方まで。帰宅21時。早川文庫「梅田地下オデッセイ」見本5冊届く。やっと、である。
810213金 池田の職場。夜〜「ドリーム・コンタクト」(SFA)
810214土 書斎。
810205日 書斎。
810216月 朝、「ドリーム・コンタクト」最後の分、航空便で発送。「奇想天外」対談直し、航空便発送。池田の職場。夜、かんべ氏、関テレ・杉山アナと会う。
810217火 泉南・大機紡で工事。家内、昼間から発熱で寝込んでいる。夕方帰宅後、食事の世話、子供の世話、洗い物などの修羅場に20時過ぎ、今岡清から電話「今月中に早川から『太陽風交点』の文庫を出すことになった」という。???。久保寺氏連絡とれず。
810218水 池田の職場。家内、寝たまま。夕方、食材買って帰宅、調理、子供の世話。スタジオ・イワオから電話でのインタビュー30分。久保寺氏から電話。早川へ内容証明を送っておくことにする。文面下書き。
810219木 池田の職場。帰途、文具店で内容証明用紙とカーボン紙購入、梅田の喫茶店で清書、大阪中央郵便局から今岡清宛に発送。夜中、小松さんから電話、相当な立腹ぶり。
810220金 池田の職場。夜、ハチで山下洋輔トリオ、ライブ。2ステージ目のみ聴く。干天の慈雨。
810221土 書斎。原稿少し。夕方からハチ、山下洋輔トリオ(2日目)今度は全部聴けた。夜中までビール。
810222日 書斎。終日原稿。
810223月 朝「コンピュータが小説を書く日」(小説新潮スペシャル)航空便で発送。池田の職場。夜、集英社・山田裕樹氏来宅、横田順彌「ふぁんた爺さんほら吹き夜話」文庫解説。
81024火 アサヒ芸能「ポートピア」コメント、郵送。ユニチカ関ヶ原工場。夕方まで工事。帰宅21時。疲労が抜けない。
810225水 池田の職場。自宅へ今岡から内容証明。木で鼻をくくった文面である。読売新聞経済部・吉沢記者インタビュー「サラリーマン・ライフ」。その後夜中まで電話錯綜。深夜、再度、内容証明を書く。
810226木 早朝、大阪中央郵便局から内容証明発送後、池田へ出勤。帰宅19:30。早川から文庫版「太陽風交点」の出版通知届く。宛先表記に間違いがあり、返送になったものを、再度送付したきたもののようである。久保寺氏その他と電話。今岡が「堀を告訴する」と伝えてきたという。いったいどのような立場で発言しているのだろう。また夜中まで電話錯綜。早川書房宛の内容証明を書く。
810227金 大阪中央郵便局から内容証明発送。寒波。池田の職場は朝、零下3度でボイラーが凍結したため、暖房が入らない。昼、久保寺氏と電話。午後、早川の弁護士と会うという。夕方、友人が祝いで一席設けてくれるが、場所を移動するたびに自宅に居所を連絡しなければならない。22時、「ひげ」というバーに小松さんから電話。夕方、今岡と早川の桜井専務が小松事務所に来たという。文庫の出版は延期?
810228土 午前中会社、午後、大学の同級生が一席設けてくれる。21時まで。

作品その他
 「ドリーム・コンタクト」(SFアドベンチャー8104)
 「受賞の言葉」(SFアドベンチャー8104)
 「受賞座談会……伊藤典夫、鏡明氏と」(SFアドベンチャー8104)
 「ポートピア81」(週刊アサヒ芸能 81/03/12)
 「酒中日記」(小説現代8104)
 「ハードとソフトの関西風交点」(奇想天外8104)


『私家版SF年代記』メニューヘ [1981年表へ] [前年へ] [翌年へ] [前月へ] [翌月へ]

HomePage  「太陽風交点」事件記録  宇宙法廷ノート