『私家版SF年代記』1981
1981年1月
主な事件
貴ノ花が引退し、中村正軌氏が「元首の謀叛」で企業の現役部長として直木賞を受賞された月、とつぜん日本SF大賞授賞が決まった。
が、この本の文庫化に関して、下旬から、きな臭い煙が立ちはじめた。
SF
・日本SF大賞に堀晃「太陽風交点」(早川書房)
・小松左京氏五〇歳を祝う会
日録
810101木 自宅で正月、午後家族で播州龍野市の実家へ。
810102金 龍野市の実家。
810103土 播州龍野にて小学校同窓会。姫路の中学に通ったのはぼくひとりであったため、小学校の同級生と会うのは23年ぶりである。夜、帰阪。
810104日 阪急のアニメショーに柴野拓美氏がゲスト出演。新聞で知って見に行く。珍しいことである。挨拶のみ。
810105月 会社初出。池田。昼まで。夕方、小松左京事務所の新年会。かんべ氏と。ブラザホテルの事務所〜夕方、翠月で中華料理。MY、23時まで。 810106火 池田の職場。
810107水 池田の職場。
810108木 市内商社、年始回り。
810109金 昼間、名古屋から東洋紡塩浜工場へ。試験機メンテナンス。夜、梅田で眉村卓氏、三崎新一郎氏(集英社)と会う。文庫出版の話(のちの「恐怖省」)出る。
810110土 池田の職場。夕方、家族で堀川戎。
810111日 クラーク「楽園の泉」読む。本当にラスト作品なのか? 午後、かんべ氏来宅。
810112月 池田の職場。朝零下1度。
810113火 池田の職場。
810114水 池田の職場。19:30、電話で第1回日本SF大賞は「太陽風交点」に決定との知らせ。選考委員各氏よりお祝いが一言ずつ。かんべに電話。夜中まで電話数件。
810115木 成人の日。「受賞の言葉」電話送稿。電話数件。かんべ夫妻、祝いに来宅。
810116金 6:38こだまで豊橋へ出張。家族はそのまま静岡へ。遅めの正月帰省である。しばらく単身。帰宅20時。夜中まで電話多し。ついでに豊橋の機械のトラブル連絡まで。
810117土 休日。朝日に受賞の記事が載り、友人知人からの電話多し。夕方、小松さんから電話。かんべとプラザホテルへ。花桐で食事。改めて祝いをいわれる。
810118日 日曜。友人、編集関係から祝いの電話多し。ひとりでいると対応に慌ただしい。夕方、梅田へ食事に出ると旭屋で海外SF研メンバーに遭遇、中華料理。
810119月 池田の職場。会社に「太陽風交点」の文庫化について徳間・久保寺進氏から打診。最終返事は保留。20時、今岡清氏から電話。受賞の祝い。当方も感謝の意を表明する。今岡とのまともな会話はこれが生涯最後である。
810120火 豊橋出張。ユニチカ豊橋工場で機械の修理。工場泊。
810121水 新幹線が午前中メンテナンスで運休の日である。午後、静岡からの家族帰阪に合流のはずが、工事終わらず、帰宅深夜。
810122木 朝、細井氏への連絡を家内に依頼。夜、朝日新聞学芸部・大上朝美記者の取材を受ける。「太陽風交点」が本屋にないので図書館でSFマガジンをコピーして読んだという。(大上記者はのちに筒井康隆氏の「朝のガスパール」連載の担当者である。)インタビュー中、早川書房・細井恵津子氏から電話。
810123金 こだまで関ヶ原へ。ユニチカ関ヶ原工場、機械取付調整工事。関ヶ原大雪。積雪2メーター以上で、工場が倒壊しないか不安。帰宅21時。23時、早川・細井恵津子氏から電話。切口上でケンモホロロの挨拶。好意で情報を流したつもりが裏目か。電話色々。
810124土 池田の職場。14時帰宅。15時、神戸新聞・石井記者、インタビュー。18:30、時事通信社・川崎記者、インタビュー。両氏ともに受賞作がないので見せてくれという。徳間書店から契約書案届く。初めて出版契約書を見る。電話多し。
810125日 静かな日曜になるが、仕事らしきこと手がつかない。
810126月 こだまで米原から垂井。ユニチカ垂井工場へ。機械取付工事。夕方まで。20時帰宅。兄・堀龍之、出張ついでに来宅。夜中までビール。22時過ぎ、早川・細井氏から電話。公衆電話かららしい。
810127火 新大阪始発のこだまでユニチカ垂井工場、始業時間に到着。工事の続行。21時頃まで。工場横の空き社宅泊。焼き肉、ビール。
810128水 朝6時から工事続行。15時終了。帰宅17:20。18時、プラザホテルへ。「小松左京氏五〇歳を祝う会」。東京からの来客も多い。かんべむさし作詞の「親分を讃える歌」をあわただしくリハーサル。歌ったのは井口健二、伊藤典夫、鏡明、川又千秋、かんべむさし、高千穂遥、堀晃、山田正紀、横田順彌の合唱団。「MY」から「倫子の部屋」へと流れて、気がつけば午前4時。
810129木 朝、伊藤氏から電話。「朝日の一面に出てるぞ」。先日のインタビュー記事「人」欄に出ている。大阪泊組の伊藤、横田、山田氏、それにかんべ氏来宅。昼前まで雑談。東京組を送り、午後、池田の職場。
810130金 7時前の快速に乗り、京都回りで綾部市へ。工場で機械取付工事。トラブルなく夕方完了、夜帰宅。妹と甥の敦君来宅。ワイン。
810131土 航空便で徳間文庫「太陽風交点」の初校届く。受賞とはこんなことなのか。早川の文庫が半年以上停滞しているのが不思議になる。ハチママから電話。祝いやから出といで。はいはい。22時まで。
作品その他
インタビュー記事「人」(朝日新聞1/29)
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