『マッドサイエンティストの手帳』268
●マッドサイエンティスト日記(2003年3月前半)
主な事件
・森山威男 HOT JAZZ NIGHT in 地球村(1日)
・ニューオリンズ・ラスカルズ、メンバー全員揃う(8日)
・タイムマシン倉庫に兄帰省(10-12日)
・『サイン』に恐怖(14日)
2003年
3月1日(土)
曇天である。
午前中、集合住宅関係の鬱陶しいこと1件あり。
午後、昨年ウズベキスタンへ行くときに買った防寒肌着を着用。
雨の中を岐阜県多治見市・地球村に向かう。
キンタマが蒸れる感じである。
本日、宇宙作家クラブの企画で、阪大の塚本研へウェアラブル・コンピュータの見学会があるのだが、森山威男カルテットの「合宿」企画と重なってしまった。
この場合、先約優先である。
地球村で朝4時まで。
3月2日(日)
地球村から昼過ぎに帰宅。
ほとんど寝てなかったので、夕方まで昼寝。
夜はテレビで007を見る。悪役の設定がちと複雑というところが新味か。
「ゴールド・フィンガー」の頃が懐かしい。
3月3日(月)
短い2月の末から遊びすぎた。
月次の決算関係業務を忘れていたのであった。
夕刊に生島治郎氏の訃報。
『傷痕の街』以来、『薄幸の街』あたりまでの愛読者である。金沢と思われる地方都市への怨念が感じられる『死者だけが血を流す』が特に好きだ。
3月4日(火)
寒い。市内を自転車でウロウロする仕事あり、途中、小雪がちらつく。
キンタマが収縮してしまう。
こんな日こそ防寒肌着を着用すべきであるのに、洗濯したのが、まだ乾いてないのかな。
3月5日(水)
終日穴蔵。
3月6日(木)
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
夜、東京にいるボンクラ息子その1から電話。明日、出張で大阪へ行くことになったという。
明日はSF大賞贈賞式で、上京を予定していたのである。
東京會舘で午後8時頃まで、その後、新宿でボンクラ息子その1と合流、阿佐ヶ谷の「鳥正」というコースを計画していたのが、予定が変わってしまった。
3分ほど迷うが、上京中止とする。牧野修氏の受賞はまことにめでたいのだが、約1名、嫌な某委員を見なければならず、しかも気持ちの悪い付属物がついてくる可能性もあるから気が重くなる。
ホテルにキャンセルの電話。
まあ、タイムマシン関係の雑務もあることだし。
3月7日(金)
終日穴蔵。
夕刊に黒岩重吾氏の訃報と、橋本大二郎の次男33歳が「強制猥褻で逮捕されていた」というニュース。なんじゃ、これは。
夜、24歳のボンクラ息子その1が帰宅。大二郎の息子みたいにはならんでくれよ、まして今岡清みたいなクズには……。
久しぶりなのでワイン少々。
3月8日(土)
定刻4時に起床。
午前5時前に「自宅」へ朝刊を取りに行くと、ボンクラ息子その1とその2が、まだプレステをやっている。仲が良さそうでいいが、いい年した成人のやることか。まあ、大二郎の息子よりマシか。
集合住宅関係の雑用すこし。
午後は穴蔵。
今ひとつ気分が晴れないので、夜、ニューサントリー5へ。
ニューオリンズ・ラスカルズの出演日。
ピアノの尾崎さんも来ていて、珍しくメンバー全員が揃っている。最後まで、トラなしゲストなしでの演奏であった。
最後のステージはちょっと空いたので、正面のODJC関係者の席に座らせてもらう。
音響は最高だが、クチの悪い連中ばかり。
この際、名前も紹介しとこうか。
前列、左から通称「うわばみ」の高井さん、おれ、坂田明さんとは旧知という鈴木さん。
この3人、共通してアタマが薄くなっていると、背後から嬉しそうに見ているのがODJC事務局長の口羽さんである。
4月のニューオリンズ・ジャズ・カーニバル、5月の大阪ビッグリバー・ジャズ・フェスティバル2003の相談も。春が待ち遠しいことである。
ラストは「タイガー・ラグ」
帰路、ツタヤを覗く。一部で話題騒然(になりかけている)『サイン』、数十本のビデオDVD、やっぱり全部貸し出し中である。しばらくは無理か。
3月9日(日)
定刻4時に起きる。
5時、朝刊を読むために穴蔵から外に出ると、なんと雪が舞っているではないか。
終日穴蔵。
ボンクラ息子その1、夕刻帰京。
夜、またもテレビで007ムーア版。マンネリだなあ。だから見てしまう。
007の終盤近く、テロップで豊郷町の町長リコール成立のニュースが流れる。
和三郎くんの方が悪役としては映画よりよほど魅力的なのが不思議だ。大魔神もピンカラ演歌も演れそうなところがさらに凄い。
3月10日(月)
早朝の電車で播州龍野のタイムマシン格納庫へ移動。
今回はノートパソコン持参なので、ちと重い。
某相棒が日本の「亜熱帯」の島へ出かけているので、格納庫の見張り役である。
盗賊は現れず。
実家泊。
老母の希望で、龍野の写真をデザインした絵はがきを作る。天気がいいので、旧城下町まで行けばよかったのだが、格納庫を長時間離れるわけにもいかず。揖保川沿いの風景がメインとなる。
午後8時を過ぎると、何もすることがなくなる。
望月<グズラ>英明さんとの約束で、小林信彦『冬の神話』資料を整理。藤脇邦夫『仮面の道化師』を再読する。
3月11日(火)
タイムマシン格納庫の見張り続行。
と、専属料理人から、わが留守中にまたも集合住宅で漏水騒ぎというメール。過失というよりも、「レバーの操作がもはや覚えられない」らしいから困ったものである。
わが老母の方が10歳以上上のはずだが、短歌を作ったり夏樹静子の分厚い新作を読んだりしているから、まあこちらは安心である。……身内の人間、どう考えてはるのだろう。いや、だいたいわかっているのだが、やばくて書けないことばかり。
午後、横浜の兄が来る。
大阪まで来たついでに、早めの彼岸の墓参という。
夜は実家で、ビール飲みながら兄弟で遅くまで雑談。
実家でこんな雰囲気でSF談義をするのは35、6年ぶりか。
50年以上、相変わらずのSF談義をやってるのが凄いところだ。
ただ、今や蔵書の「押しつけ合い」が議題になるとはなあ……。
3月12日(水)
タイムマシン格納庫の見張り続行。
兄が帰省しているので、近くのK産機の会長を表敬訪問。インテリア関係の機械で知られている会社で、わが家とは昔から懇意。K会長、70歳になったのを機に「喜寿までに77件の特許を取る」目標を立てて、2年目に入った現在、目標を上回るペースというから凄い。
県の工業会の役員でもあり、午後に「スプリング8」を見学に行かないかと誘われるが、タイムマシン関係の引継もあるので断念。機本伸司さんの『神様のハズル』のモデルとなったらしきスプリング8、近くなのにまだ見ていないのである。
午後、某パートナー、亜熱帯の島から帰還。
みやげに黒糖焼酎を貰う。……「宝島」というのがあればと頼んでいたのが、現地で訊いてもわからなかったという。何しろ、そう大きくない島に焼酎メーカーが100社あり、平均5ブランドくらい出しているから、全部で500銘柄以上だという。
焼酎瓶を抱えて夕刻の電車で帰阪。
帰ったら、直ちに集合住宅の理事会。
ややこしい事故もあったものだから、時間がかかる。
……ODJC関係から、クラリネットのトム・シャープスティンが来ていて、夕方からマホガニーホールで内輪のライブをやると聞いていたのだが、理事会終了が午後9時ではどうしようもない。
黒糖焼酎の湯割りで自棄酒。
3月13日(木)
市内をウロウロする仕事と机に向かうべき雑用が重なって、慌ただしい日である。
夕刻、かんべむさし氏が来穴蔵。
1時間ほど北朝鮮ネタ。および「ホームレス問題」。……かんべ氏がわが穴蔵へ来る途中、公園のホームレス氏が携帯電話でしゃべっていたという。もう6年くらいになるからなあ。
夜、「ゴルゴ13」季刊のコンパクト版を読んでいて愕然。
砂漠の中にあるシンクロトロンの設備にいる男を狙撃する設定。なぜか、シンクロトロンのすぐそばに電波望遠鏡がある。なぜ広大な砂漠にそんな研究設備が隣接しているのかはしらないけど。
で、眼目は、パラボラをある方向に向けさせて、パラボラで弾丸を「反射」させて命中させる。うへえ。「弾丸も電磁波と同じ軌道」というのだが、ほんまかいな。もっと驚くべきは、パラボラの向きを変えさせるのに、ある方向に「新彗星が発見された」という情報を流す。うーん、彗星観測に電波望遠鏡が使われているのであった。色々勉強になるなあ。
小池一雄やK元美津から舟戸与一あたりまでのシナリオは面白かったが。
3月14日(金)
朝から専属料理人が出かける。東京で友達と会ったあと静岡の実家というコースだが、今夜はホンマにボンクラ息子その1のワンルームに転がり込む計画らしい。
まあ、安眠できそうなら、おれも厄介になることにしよう。
昼、自転車で、インタープレイ・ハチへ。
先日、朝日の関西版に短いエッセイを書いた。趣味がテーマなので、最近、ジャズ喫茶通いが復活と書いたのである。
わが試算では、20年前には、人口15万人に1軒、これが今では5、60万人に1軒ではないかと思う。
喫茶店の経営自体が難しい時代だ。
ただ、マンション生活では、ミニコンポでも音量はそう上げられない。幸い、昼間、ハチでは「ガンガンタイム」というのがあって、リクエスト可能。30年以上通っているから、自分のLPを持っていってもかけてもらえる程度の無理がいえるようになったのである。
記事を読んで、何人か、わざわざ店を探して来られたという。
ジャズ喫茶を懐かしがる人たちはいるのだなあ。
せっかくだから、ハチを紹介しておこう。
「インタープレイ・ハチ」
電話06-6363-4888
お初天神から、堀川戎参道を東へ。旧関西テレビの2筋手前を南へ曲がったあたりに看板あり。地下1階。
昼〜14時頃までランチタイム。(日替わりランチあり)
14:30頃〜17時頃 「ガンガンタイム」と称して、昔ながらのジャズ喫茶時間。
夕方〜夜は「バー・タイム」で、音は少し落とされる。
昼間は、ハチママが相変わらず元気に仕切っている。
久しぶりなので、ランチタイムにビール。ランチメニューが鶏唐揚げに野菜あんかけだから、ちょっと飲みたくなるではないか。
15時頃に帰宅。
今朝まで龍野の実家にいた兄が、大阪での用事を済ませて、来穴蔵。
宇宙論を1時間。
専属料理人が留守だから、2、3日滞在してライブを聴いていったらと誘うが、さすがに疲労気味で、夕刻の新幹線で帰浜。
ボンクラ息子その2はバイト。
夕食は、冷蔵庫の中身をぶち込んだ寄せ鍋でビール、焼酎。
あと、ハチからの帰りにツタヤで借りてきたビデオ『サイン』を観る。
愕然! 一部で話題騒然となりかけているはずだ。
これはホラーである。先日来のビデオ・DVDの貸し出し状況からみて、この『サイン』をマジメに観た青少年が普通の顔をしてそこいらへんをウロウロしているのかと思うと身の毛がよだつ。そういう意味での怖さである。抗議の声があがらんのかなあ。
……『シックス・センス』のオチで大失敗したから、今度はオチなしにしたってことか。
それにしてもなあ。
昨日の「ゴルゴ13」に続いて愕然の連続である。
3月15日(土)
雨である。
集合住宅関係の文書整理。理事長の実質的な任期は連休明けの総会まで、あと2月である。
業務についてできるだけマニュアル化するつもり。それでないと、後任が決まらないのである。
最終的にはくじ引きか。
昼過ぎに雨がほとんどやんだので、自転車でツタヤへビデオ返却に行く。
ボンクラ息子その2に『サイン』を観るかと打診したら、観ないという返事だったのでホッ。
夜までまた穴蔵にこもる。
本日もひとり寂しく晩酌。
本日はサントリー5にシャープスティンがゲスト出演するらしいのだが、集合住宅関係で気の重いことが重なり、連絡待ちの案件もあり、出かける気力なくなる。
ビールをワインに切替えて、プティ・ウィックマンのCDを聴く。滝川雅弘の方がうまいな。
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