『マッドサイエンティストの手帳』262
●マッドサイエンティスト日記(2003年1月前半)
主な事件
・第11回米朝一門会(3日)
・滝川雅弘"JAM SESSION"(4日)
・堀川戎にタイムマシン祈願(11日)
・NEW YEAR JAZZ PARTY 2003(12日)
・青春18で上京(15日)
・久しぶりに谷口英治5を聴く(15日)
2003年
1月1日(水)
午前2時に目が覚めた。今年も「早起き症」は直りそうにない。
「自宅」へ行くと専属料理人とボンクラ息子その2、シャンペンを飲んでいる。ついでだから朝祝い。シャンペン少し(しか残ってない)……「年中無休」が建前の焼き肉屋でバイト中のボンクラ息子その2、大晦日の店はガラガラで23時半に帰ってきた、1、2日は休業という。「格闘技」のビデオを見ている。
ボブ・サップをビデオで見てから、着替えて自転車で梅田へ。初詣である。
朝10時前に年賀状が届いたので、これを眺めながら、本格的朝祝い。
奈良方面から暮れにいただいていた「金嶽」というのを本格的に飲む。
餅は食べないつもりだったが、4個煮たのがひとつ余るというので、雑煮に1つだけ入れてもらう。本年度の餅はこれで予定終了である。
あとは積み上げてある本を読むだけである。
1月2日(木)
早朝の電車で播州龍野の実家へ。
さすがに電車はガラガラ。
年末からひとりで過ごしていた老母とビール飲みながら雑談。
毎年、箱根駅伝を見るたびに、女学校の修学旅行で「強羅」へ行ったのを思い出すという。
「米寿」の祝いで行ってみたいというが、それなら、少し暖かくなったら子供たちで案内するからという話になる。……おれも、こんなことでもなければ箱根なんて一生行く機会がない場所である。ついでに独立愚連隊のロケ地・御殿場も再訪してみたい。
夕刻帰阪。
夜は「親子3人猫入らず」でスキヤキ。ボンクラ息子その1はスキーに行ったまま帰省しないという。まあこれが普通であろう。 わが20代といえば、実家にはスキーに行くといい、会社関係には(年始回りが嫌で)実家に帰るといって、ずっと部屋に籠もって本を読むか原稿を書くかだったものなあ。
1月3日(金)
またも2時過ぎに目が覚める。
テレビで『ゴジラ対キングコング』を見る。高島忠夫の1962年主演作。ニュースが全部「新聞」であるところが時代であるなあ。 ……キングコングを吊り上げる「新繊維」が最初の方に出てくる。これでマンションのベランダから体を浮かせて驚かせるシーン、なにかで見たようなと思ったら、クラーク『楽園の泉』の冒頭、崖登りの場面だ。クラークの先を行ってたとは、ゴジラ、なかなかやるではないか。
面白くなってきて、「自宅」からオセチのパック詰めとビールを持ってくる。
引き続き朝までビールを飲みながら『座頭市と用心棒』、今どきの冗長な映画に比べて、さすがにテンポがいい。5:30頃まで。
午後2時、サンケイホールへ。
昨年までの米朝独演会が今年から一門会に変わった。
「第11回米朝一門会」、2階最前列左端の席で見る。
桂雀喜「道具屋」
桂む雀「稽古屋」
桂小米朝「阿弥陀池」
桂文我「浄瑠璃・犬のおまわりさん」
桂雀松「替り目」途中まで
桂米朝「抜け雀」
<中入>
桂朝太郎「手品」
桂雀三郎「G&G」だったかな、元気老人がロックグループを作る新作
桂南光「初天神」途中まで
……まあ「顔見せ」の雰囲気で、全体に短いのが物足りないが、米朝師匠の「抜け雀」はさすがに品がある。
まっすぐ帰宅。……後で聞いたところでは、楽屋で小松さんが酔いつぶれていたらしい。嗚呼。
1月4日(土)
わ、また2時起床だ。
3時半頃からテレビで『県警対組織暴力』
やはり傑作である。前に見たときには、梅宮辰夫がミスキャストと思ったが(年齢に無理がある)、やっぱりうまい役者だし、雰囲気もよく出している。ともかく「仁義なき戦い」とがらりと変わった役柄をよくぞこなしていると感嘆。成田三樹夫もやっぱりいい。
午後、年末から大阪にいたぶる氏から電話、本日東京に戻る途中で、大阪駅にいるという。【森山研】のぶる夫妻である。自転車で大阪駅まで10分で行く。寒い寒い。グランビアの上階で1時間ほど雑談。
夕刻から専属料理人と都島の「アンサンブル・ホール」へ。
ここは辻洋子記念のクラシック用ホールなのであった。
大阪ではカーネギーホールに当たるという見立てである。
ナムラボラトリ主催ジャズコンサート"JAM SESSION"
滝川雅弘(cl),八木隆幸(p),山口裕之(b),佐藤英宣(ds),田中洋一(tp),里村稔(ts),三寺順也(tb),鈴木央紹(ts)
要するに滝川カルテット+4管という編成で、まさにジャムセッションである。
リクエスト中心に20:45まで。テナーはともに初めて聴くが、片方、どこかで見たようなと思ったら、鈴木央紹さんはハチで時々吹いているクラリネット・鈴木孝紀くんのお兄さんなのだという。
休憩中にタイムドメイン社のバズーカ型スピーカーのデモも。クラシックのホールの最前列に置いて、そう大きな音で流しているのではないが、やっぱり凄い。ほしくなるが、うーん、迷うなあ。
休憩時間、ナムラボ関係の諸氏と新年の挨拶。
堺の住職兼CDデレクターの磯部宗寛さんと話す。フリージャズ・ファンで、田中啓文氏と知り合いだとか。なんとオーライ・レーベルの企画部長なのであった。大阪のレーベルとは知らなかった。板橋文夫のを1枚持っているのだが、今まで知らなかったのである。
最後はアンコールで、ここはわがリクエスト曲「A列車」を演ってもらった。
終了後、専属料理人と都島橋を渡って天六まで歩く。
上川屋が開いていれば湯豆腐を食べたかったのだが、休業。土曜だが、ひょっとしたら開いているかもしれないと、天五まで歩いてウナギの天五屋へ。21時オープンしたところであった。
う巻きでビールを飲んでいると、なんと滝川雅弘・美穂夫妻が入ってきた。ウチアゲとかはなしという。
美穂夫人の運転のクルマで中津まで送ってもらう。
せっかくだからコーヒーでもということになって、我が家でブランデーなど飲みながら夜中まで歓談。楽しい夜であった。……いちばん強いという噂の美穂へ夫人のみ、運転があるので本当にコーヒーだけというのは気の毒であったが。
1月5日(日)
定刻4時に目が覚めた。が、さすがに寝不足。朝刊を読んでから10時頃まで寝る。
終日穴蔵。
夕刻、テレビで綾小路きみまろを見るが、2回目にしてもうマンネリ。ネタはそうだぶっていないのだが。笑いの消費、恐るべし。
ニュース番組は雪崩程度で、大事件はない。
ボンクラ息子その2はバイトに復帰。夜は専属料理人とビール飲みながらセッション505、椎名豊カルテットを聴く。なんとなく「日常」復活である。
1月6日(月)
やはり2時頃に目が覚める。無理して5時まで寝るが、眠りは断続的である。
困ったものだ。
世間並みにタイムマシン業の仕事始めである。
防寒コートで梅田まで歩く。自転車では寒すぎるし、少しは運動しなくては。
銀行、予想していたほどの混雑はなし。
午後は穴蔵に戻るが、電話色々。
1月7日(火)
朝刊トップにコニカとミノルタの「統合」のニュース。カメラのブランドはどうなるのだろう。おれは長年「ビッグミニ」を愛用してきたし、フィルムは富士フィルムは生涯使わないと決めているほどのコニカ・ファンなのである。コニカビジネスマシンが展開しているオンデマンド出版システムにも期待している。
図書館に出向かねばならぬ用事があるのだが、あまりの寒さに終日穴蔵。
1月8日(水)
本日は比較的暖かく、9時前に自転車で出て、西長堀の中央図書館へ。
開館直後から夕刻まで、主に中間小説誌を読み続け。
昨年に比べてSFとその周辺ジャンルの短編が増えているのはうれしい。
夜は集合住宅の理事会。
専属料理人、本日は友達と「年に一度のフグ」を食べに行くとかで、わしゃひとり寂しく用意してあったハリハリ鍋。わびしいものである。
1月9日(木)
ADSLを導入、本日が切替日である。
念のためCD-RWにバックアップ。短い原稿も先にFAX送稿しておく。
ノートのXP機、別にトラブルもなく接続。
しかし、やはりメインで使用するのは98のデスクトップ機(こちらはLANボードはついていない)なので自転車でヨドバシへ。
870円のLANボードをポイントで購入して帰宅。こちらも接続成功、あっけないものである。
やはりうれしくて、ネットサーフィン、夜遅くまで。
1月10日(金)
「文芸春秋」2月号のグラビアページに「いとこいさん」の特集。
夢路いとしさんがジュンクドーで本を持った写真。
キャプションに、海外SFが好きで「ハインラインやブラッドベリは今も読み返す」とあるのに感動する。これは今まで知らなかった。
そういえば、年末の週刊文春に載ったウディ・アレンのインタビュー記事、最後の方にこんな発言があった。
飛行機でNYから西海岸へ行くより日本へ行く方が簡単そうだといったあと、
「敬愛する大阪のニューオリンズ・ジャズのバンドと、クラリネットのセッションをしてみたい」!!!
ウディ・アレンはラスカルズのCDを聴いているに違いない。
ウディ・アレンのCDは1枚しか持っていない(かつ、ちょっと思わせぶりが過ぎて愛聴盤とはいえない)が、これを機会に、ジャズメンとしてもファンになるからね。
夜10時から「地球時間」を見るが、やっぱり途中でうたた寝してしまう。
1月11日(土)
昼前に、自転車で梅田のはずれ「堀川戎」へ。
昨年の1月11日に桂米八「導師」からいただいた福笹をお返しして、新しい福笹をいただくためである。
残り戎で午前中ということで、空いていて、米八導師はいない。出番は午後からなのであろうか。
まあ、柄にもなくタイムマシンの商売繁盛を祈願。
しかし、これは別に「神様」の存在を信じて他力本願的に利益を求めているわけではない。
商都・大阪で経済活動を行ってきた先人に敬意を表しているのである。
その結果として、まあなんとか黒字が維持できれば結構なことではないか。
この精神は、新年早々、石原藤夫博士の著作でで学んだばかりである。
『靖國神社一問一答』石原藤夫(展転社)1000円+税
政治色のない解説書である。
昼前から荒本の府立中央図書館へ。小説誌チェックのつづき。
府立図書館は、雑誌は貸し出し禁止となっているので調べやすいのだが、小説誌はあまり揃っていない。ポピュラーな雑誌類は市立図書館の方が揃っているのだが、こちらは最新号以外は借り出しできる。したがって2,3月前の雑誌はほとんどが「貸し出し中」となってしまう。
3時間ほどいて、中央線で阿波座→西長堀と移動。市立中央図書館へ。夕方まで。
帰路、かんべむさし氏の仕事場に寄って1時間ほど雑談。
本年度の北朝鮮予測を聞くが、恐ろしくてここには書けない。
小金ちゃん王朝、どうなりますやら。
1月12日(日)
昼過ぎ、専属料理人と梅田の「スーパードライ・梅田」へ。
NEW YEAR JAZZ PARTY 2003。
関西のトラディショナル・ジャズファンの合同新年会ともいうべきパーティ。
350人で満員。ビール、酒、ワイン、焼酎その他飲み放題、9バンドが続々と登場する。
今回、専属料理人とふたり用テーブルだったので気楽。が、隣テーブルに末廣光夫氏がいるので緊張するなあ。
ラスカルズ/ロイヤル・フラッシュ/ピンカラと
演奏は、出演順に
●ニューオリンズ・レッドビーンズ
メンバーが揃わなかったらしく、ラスカルズの木村さんがドラムを叩いている。
●デキシー・プリンセス
かねだたつこさん(バンジョー)率いる女性4人組。華やかである。
●デキシーランド・ハートウォーマーズ
これは「日本最古」のアマチュア・デキシーバンドというが、メンバーの多くはロイヤル・フラッシュと重なっている。
●グローリー・ジャズバンド
神戸を本拠地とするバンド。
●キャッスル・ジャズバンド
これはわが故郷の近く、姫路を拠点とするバンド。桔梗亮三さんのクラを聴くのは久しぶりである。
●ニューオリンズ・ラスカルズ
やっぱり、ウディ・アレンが敬愛するだけに、ずば抜けている。あと5曲くらい聴きたかったが、まあ週末にサントリー5へ行けばいいわけだから。珍しくも「チャイナ・ボーイ」が演奏された。
●YO・KIMURA・TRIO
ベース、ドラムはそのままで小川理子さんが加わった編成。古酒を飲み続けてきたところに粋なカクテルを一杯、という雰囲気。スンンギーである。
●ロイヤル・フラッシュ・ジャズバンド
クラの渡辺某さん、本職はエライ人らしいのだが、容貌はどうも疫病神に見えてしかたがない。そのユニークなボーカルもしかり。
●マホガニーホール・ストンパーズ
トリをつとめるピンカラ、出番までに酔っぱらってしまわないかと本人が心配していたが、堂々の演奏。なんだか風格まで出てきた感じた。当然ながら「聖者の行進」で終わる。
……ジルバ(本人たちは「スイング・ダンス」と自称しているというが)を踊る数組、外人2名を含むがいずれも小柄なのが不思議だ。(専属料理人「大男にあの動きはできないわよ」おれ「ボブ・サップがおるやんか」) さらに不思議なのは、激しく踊ってる女性に痩せた人が見あたらない。ダイエットにはならんのか? 面白いけど、目の前の狭い通路で踊られて視界をふさがれるとなあ……。
カラオケと同じで、踊っている本人ほど周囲は楽しくはないのである。広いスペースが用意してあれば別だけど。わしゃダンス見物に来たのではないよ。
と、いいにくいことだけど一言いっとくぞ、諸君。
トラディショナル・ジャズに似合うダンスはチャールストンなんだけどね。
ODJCの諸氏と新年の挨拶。
ビール(ハーフ&ハーフだが、この会では「クレオール」と呼ぶ)をメインに最後はワイン、よく飲んだ。
帰路はさすがにしんどいので地下鉄。
午後7時過ぎに寝てしまう。
1月13日(月)
終日穴蔵。
夕方の大相撲、貴乃花と雅山、二丁投げの大ワザで貴が完敗と見えたのに、同体で取り直し。ははは。見え見えだね。相撲はワザもルールもプロレス並に面白くなってきた。
1月14日(火)
出かける予定が、朝から集合住宅のトラブル2件重なる。1件は水漏れ事故。加害者側がエキセントリックな人物で、事故原因は認めるが、被害者側の保険による焼け太り(こういう場合は「濡れ太り」というのかね)は許せないという。つまり、水漏れで汚れた壁紙は、もともと古びていたから、新しい壁紙に張り替えるのは釈然としないという理屈だ。困ったものだ。もう1件が玄関のガラス破損。防犯カメラの死角で、状況的には蹴飛ばした人物はわかるが、決定的証拠がない。防犯カメラの画像チェックに1時間以上。困ったものだ。
保険会社への連絡後、地下鉄で西長堀の市立中央図書館へ。
夕方まで中間小説誌のチェック。
1月15日(水)
朝から上京。
ちょっと思うところあって、青春18切符を使って在来線を乗り継いで上京する。夕方、有楽町到着。
東京會舘で会議。午後9時頃まで。
終了後、田原町へ移動。
浅草HUB、谷口英治とグラマシー・ファイブ・リバイバルズの出演日。9時40分からの3セット目に間に合った。
今度の新CDに参加のギター、西村俊哉。ピアノは二村希一。
カルテットで3曲。あと5、6曲は聴きたいなあ。
ボーカルが霧生ナブ子さんで、来月「SINGING LOVE」というCDがWhat's New Recordsから出る予定。初めて聴くが、なかなか艶がある。
会場になんと内田晃一氏。『日本ジャズ史』の著者で、その記憶力の凄さには感嘆したものである。ミーハー的に記念写真をお願いする。
浅草ビューホテル泊。シングルが満室らしく、ツイン部屋にシングル料金である。
月が西の空に皓々と輝いている。
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