『マッドサイエンティストの手帳』180
●谷口英治『SWINGIN' SUMMIT』が出ました。
21世紀のジャズ・クラリネットの方向を決定づける、モダン・スイングの傑作。
谷口英治さんのリーダー・アルバム第2作が出ました。
4年ちょっと前に聴いて感嘆、できる限りそのライブ活動を追ってきたジャズ・クラリネットの俊才・谷口英治さんの、待ちに待った新CD。モダン・スイングの傑作です。
『SWINGIN' SUMMIT』 Eiji Taniguchi (アート・ユニオン ARTCD-101)
1 TEMPTATION RAG
2 HOP,SKIP AND JUMP
3 IT HAD TO BE YOU
4 SERENADE IN BLUE
5 FASCINATIN' RHYTHM
6 YOU BROUGHT A NEW KIND OF LOVE TO ME
7 'TIS AUTUMN
8 DIGA-DIGA-DOO
9 THE DAYS OF WINE AND ROSES
10 SCUTTLEBUTT
11 SOMETIMES I'M HAPPY
12 SPLANKY
13 I'M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU
谷口英治(cl)
岸ミツアキ(p)
田辺充昭(g)
古西忠哲(b)
山下暢彦(ds)
右近茂(ts)
牧原正洋(tp)
1996年9月に西宮の小さなライブスペースで、「クラリネット・サミット」というミニ・コンサートがあり、この時初めて谷口英治さんを聴いた。(3クラセッションで、他に吉川裕之さんと滝川雅弘さん。)
厳密にはその前年、NHK−FM「セッション95」で北村英治さんの3クラ・セッションがあり、ここで谷口英治という名前は知っていたのだが。
以来5年、その音色の美しさと超絶的テクニックに感嘆して、できる限りそのライブを追っかけてきた。
その追っかけ記録は、谷口英治ディスコグラフィーの最後に付けてあるファイル・リストの通り。まあ熱心に聴いてきた方だろう。関西ではなかなかライブを聴ける機会がないのが残念だ。
今年はコンコード・ジャズフェスティバルに出演、谷口さんにとっても大きな飛躍の年だった。
そして、20世紀末最後の月に、待望の新CD。2枚目のリーターアルバムである。
『Swingin' Summit』は谷口英治さんの、そして同志的な結束を感じさせる参加メンバーによるモダン・スイングの快作である。メンバーはコンコードに参加の岸ミツアキ・トリオにテナーの右近茂とトランペットの牧原正洋が加わる。
モダン・スイングの定義はぼくには難しいのだが、ハードバップの洗礼を受けて以降のスイング感覚というところだろう。若々しくモダンなスイング感があふれている。3管セッションの編曲も素晴らしいし、ピアノとのスローなデュオの情感もたまらない。
21世紀のジャズ・クラリネットの中心は谷口英治というぼくの予感に、ますます確信を深める出来映えだ。SF作家は未来予想屋ではないのだけど、近未来予想はだいたい外れないからなあ。
なお、僭越ながら、このCD、不肖・堀晃めがライナーノーツを書かせていただいております。谷口さんの評価を落とさねばいいのですが。
ということでジャズ・ファンに限らず、SFファンの方もぜひよろしく。
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