HORI AKIRA:マッドサイエンティストの手帳

●マッドサイエンティスト日記（2000年10月後半）

主な事件
　・「ロボフェスタ関西2001」のプレイベント（17日）
　・猫の糖尿病（28日）

２０００年

１０月１７日（火）
　昼休みをはさんで会社の近所で「ロボフェスタ関西２００１」に関する打ち合わせ。
　「ロボフェスタ関西２００１」というのは来年開催されるロボット競技や展示、フォーラムなどの「ロボット・イベント」で、眉村卓さんがチーフ・プロデューサーを務める。そのプレイベントとして「おもしろロボット塾」という連続企画が開催される。第一回目に「ＳＦとロボット」を中心にやろうとのお声掛かりである。
　日本でロボットＳＦといえば、当然、眉村さんが中心となるだろう。……ロボットといえば、アシモフ（ロボットＳＦ）と手塚治虫（鉄腕アトム）である。この両者に深く重なるのが眉村ＳＦなのである。このことを書き出すと長くなるので当日（11月19日）の話題とするが、眉村さんの『消滅の光輪』がアシモフに捧げられていること、また手塚治虫さんが当時サラリーマンだった眉村さんの会社の受付に現れたことがある、といったエピソードだけでも想像できるでしょう。
　ビジュアル関係が寂しいので、その場から大迫公成氏に協力を依頼する。
　詳しくは「ロボフェスタ関西２００１」のホームページをご参照ください。１１月１９日（日）１３：３０～マイドームおおさか。入場無料です。
　午後、今度は５次元制御のタイムマシンを輸出するために、「役務取引許可証」を受け取りに通産局を自転車で往復。この前近代的乗り物はたまらんなあ。宇宙船を鍛冶屋が作っている感覚か。
　ロボットとタイムマシンとくれば、あと宇宙人関係がほしいところだが、空飛ぶ円盤の降臨もなく、平凡にボンサラの一日を終える。

１０月１８日（水）
　少し肌寒い日。昼のニュースでは、北海道で初雪、東京で木枯らし一号という。
　某ショートショート・コンテスト……と隠すこともないか、大阪シナリオ学校が募集したショートショート・コンテストの候補作を集中して読む。昨年の「お題」は『たまご』だった。今回は『光』である。昨年の方が、出来不出来は別として、破天荒なのがあったが、今回、レベルは揃っているが、ちょっと寂しい。（昨年の破天荒作品というのは、スーパーの安売り卵の争奪戦を真っ正面から描いた、主婦らしき人の作品であった）
　結果は近日……１１月中旬……発表されます。

１０月１９日（木）
　金髪陵辱魔・織原城二の記事を幾つか読むが、どれもいまひとつだなあ。

１０月２０日（金）
　某作業所で夕方まで珍しく肉体労働。
　帰宅後、珍しく「徹夜」。完全に徹夜で原稿を書くのは久しぶりである。

１０月２１日（土）
　徹夜明け、そのまま、所用あって播州龍野の実家へ。
　母の愛猫が老化（と思うのだが。もう１２、３歳だからなあ）で衰弱気味。しかし、子供よりも可愛がっている猫だから、まさかの時が心配である。
　ネコ用トイレと砂を買いに行く。これから冬を迎えるので、深夜の「外出」の負担軽減のためである。
　夕方帰阪。
　日本シリーズ第一線、ダイエーの逆転勝ち。どう見ても長島采配が敗因。

１０月２２日（日）
　終日書斎。岩波新書「思想検事」を読む。恐っろしいものである。
　シナリオ学校のショートショート選考、途中まで。迷って再読。

１０月２３日（月）
　早朝、迷ったあげく、シナリオ学校のショートショート選考の最終結果を決める。事務局にメール。

１０月２４日（火）
　天気がいいのと、市内色々回る用事があって、自転車で出勤。
　10時頃から、上町台地の合同庁舎、南へ移動して商工会議所、一気に西に下って、うつぼ公園近くの某事務所、ついでにその近くの「某事務所」（と書けばだいたい検討はつくだろうけど、ここでは某氏としておいて）で某氏と１時間ほど雑談。
　恐っろしい話ばかりである。
　・今は「やっていけない作家がほとんど」という。
　・その根拠として、文庫の単価×部数×年間の点数×印税率という簡単な掛け算で恐ろしい数字をはじき出す。嗚呼……。
　・噺家の某某某はとっくに離婚している……（全然知らなかった）
　・板東英二は×××とつきあいあり、むしろ桂××が「被害者」ともいえる。なんと春団治師匠から「詫び状」をとり、それを公開しているの。とんでもない話である。
　……など色々。
　胃が痛くなりそうな話ばかり。
　自転車で西梅田へ。「はがくれよりもずっと西の方にあるうどん屋Ｓ」の所在地を田中啓文に教えて貰ったので、さっそく出向く。「ひえひえ」という「冷うどんぶっかけ」を食べる。確かにうまい。列に並ぶのが嫌で、はがくれには１年以上行ってないから、単純に比較できないが、なかなかの実力である。いずれ全メニューにトライしてみよう。

１０月２５日（水）
　５次元制御のタイムマシン、無事に船積み完了。無事Ｂ／Ｌを受け取る。銀行に持ち込むには時間が遅く、事情があって会社の金庫が使用できないので、ドキュメント一式、鞄に入れて持ち帰る。寄り道せず、まっすぐ帰宅。明朝の出勤まで鞄を抱えて眠る。

１０月２６日（木）
　９時過ぎに某銀行にL/CとB/Lを持ち込んで、夏からの某「プロジェクト」は一応完了、虚脱状態に陥る。
　日本シリーズ第４戦、結局2-1で巨人。誤審が勝因であることは間違いない。なんだかむしゃくしゃしてふて寝。

１０月２７日（金）
　朝刊、中川官房長官辞任がトップ。昨夜、テレビで「覚醒剤情報」の電話テープを流されたのがトドメらしい。「実家のベット」へ愛人を連れ込んだ写真（フォーカス）も凄いらしいが、やっぱり結局はテレビの力か。
　出勤前に、近所のコンビニへフォーカスを立ち読みに行く。ほほう、これが「留守中に運転手が女性を案内して撮った」という写真か。運転手が女を勝手に「寝室」に案内してくるというのも困るだろうなあ。２０年前から書斎の万年床でひとりで寝ているボンサラのわしには、想像もつかない生活ぶりである。
　仕事の区切りでファイル類の整理。書類、かなり捨てる。整理したみると、たいした仕事をしていなかったこともわかってくるのが辛い。

１０月２８日（土）
　野球が面白くないので、昨夜21時前に寝たら、午前2時頃に目が覚めてしまった。
　自転車で梅田へ行って、ビデオ３本（「座頭市物語」「ワイルドバンチ」「宇宙水爆戦」）を借りてくる。
　明け方までビデオで「座頭市物語」……やはり傑作。「不知火検校」の流れで、座頭の陰湿さ（金をせびるくだりなど）とコンプレックスが見事だし、天知茂が抜群にいい。その後の数ある「対戦相手」の中で、やっぱり天知茂が際だっている。カツシンも痩せていたし、超人として描かれてないからなあ。
　引き続き「宇宙水爆戦」、これは１０数年ぶりだが……誉めるほどの映画じゃないなあ。
　母の誕生日なので電話。愛猫を獣医に診せたところ「糖尿病」だという。母がインシュリンを注射しているらしい。大丈夫であろうか。
　少し寝て、午後会社へ。書類の整理に引き続き、フロッピーの文書も整理しておくことにして、夕方、この１０年間のフロッピー約５０枚を持ち帰る。
　夜、日本シリーズ第６戦、巨人が大きくリードしているらしく、家族誰もが見たがらない。わしも見たくもない。
　書斎で10年分のフロッピーを整理したら、ＣＤ－Ｒ１枚の容量の１／１０にも満たない量であることがわかる。まあ、問題は質なのであるが。
　作家生活数十年の営為も、まあ、たいていの作家はＣＤ－ＲＯＭ１枚に納まってしまうだろうからなあ。

１０月２９日（日）
　朝刊を見ると、やっぱり巨人が優勝している。面白くない日だ。
　ビデオで「ワイルドバンチ」をやっと観る。……今頃と思われるかもしれないが、この作品、どういうわけか映画館で見損なって、また、ビデオ化されるのが遅かった事情もあって、初めて観るのである。老ガンマンと「自動車」が出てくることで、『砂漠の流れ者』と対になるのだろうな。静と動。待機型と追跡型。ともに西部劇の挽歌。アーネスト・ヴォーグナインもいいが、ロバート・ライアンがいいなあ。
　終日書斎、たいした仕事できず、午後ＣＤの整理。アッカー・ビルクやリチャード・ストルツマンを聴く。

１０月３０日（月）
　タイムマシンの輸出先から、オファーシートに記載の「serial no.」が間違っていて通関できないとの連絡、ひゃっとするが、先方のミスと判明、なんとかなりそうで、ほっ。
　夜、来阪の兄と梅田で会う。
　軽くビール。兄は血圧と中性脂肪に警告が出ているとかで節酒中という。
　最終月曜日はヨウ木村（木村陽一）トリオの出演日なので、午後８時頃から１ステージ聴く。小川理子（p,vo）、石田信雄（b）、木村陽一（ds,vo）。ラスカルズの時とはまるで違う、軽いスイング感がじつに楽しい。最後まで聴きたいところだが、明日早朝会議と節酒中の賢兄につき合って、午後9時頃にいっしょに帰る。午後10時まで営業の旭屋書店内で「流れ解散」と、これも定番コースになってきた。

１０月３１日（火）
　夜中に地震で飛び起きる。1時43分。テレビを見ると、震源は三重南部。野尻抱介は大丈夫か。愛知（碧南あたり）で震度５、大阪は２程度らしいが、結構揺れたなあ。
　4時に朝刊、一面に地震の記事があるから立派なものだ。この間、仕事をしていたとしても、わしゃ２枚も書けないだろうなあ。
　終日ボンサラ仕事。
　最終火曜日はサウスサイド・ジャズバンドの出演日だが、終末にコンサートが集中しているので、本日はまっすぐ帰宅。
　10月も終わる。いよいよ晩秋であり晩年であるなあ……。