『マッドサイエンティストの手帳』49
●マッドサイエンティスト日記(1998年1月前半)
主な事件
・星新一さんの訃報
・福井謙一先生の訃報
・越年籠城
1998年
1月1日(木)
形ばかり朝祝い。仕事始めである。終日原稿。あまりはかどらないが、ともかく机に向かう習慣が大事なのである。
おだやかな朝である。1月1日のわが部屋からの眺望はつぎのごとし。
PHOTO SHOPでパノラマに加工すればいいのだが、そこまで手間がかけられない。
昼前に年賀状到着。
午後、雨になるが、外出の予定はないので落ち着く。
ジョージ・ルイス、シドニー・ベッシェからアーティ・ショー、ベニー・グッドマンあたりまで、クラリネットCDを流しながらパソコンに向かう。
1月2日(金)
午前7時から原稿。たいして進まない。
朝食後、自転車で本町の会社へ。海外関係のFAXなどチェック。1時間ほどいて帰宅。また原稿。バディ・デフランコからエディー・ダニエルあたりまで。夜はニューオリンズ・ラスカルズを中心に流す。
1月3日(土)
終日、机に向かう。たいして捗らない。気分転換に特許明細書の下書き。
例年だとこの日はサンケイホールで米朝師匠の独演会である。十年以上皆勤であったが、今年は思うところあってやめる。夕方まで机に向かう。プリンターのインクが切れた。梅田のロフト横に出来たパソコンショップまで自転車でいくが、休み。
夜、晩酌。ボンクラ息子が見ているテレビの白痴番組ただただ喧し。また書斎でCD。鈴木章治から谷口英治まで。
1月4日(日)
終日机に向かうが、半分以上は会社の仕事。
午後、パソコンショップへ行くが、Canon BJ15のカートリッジなどもはや置いていない。自転車でそのまま本町の会社まで。特許資料プリントアウト。連休6日目となるとさすがにビル内部も冷え切っている。2時間で退散。
夜、ワイン。CDはクラリネットを聞きすぎたので、ロリンズ、尾田悟、ゴードン、宮沢昭、グリフィン、中村誠一とテナー中心。
明日から会社かと憂鬱な気分でいたところに、23時、高井信氏から電話。「星新一さんが年末に亡くなられたらしい。年末年始ということで、既に荼毘に伏されたようである。担当編集者からエヌ氏の会ルートで流れてきた話なのだが、いかがしたものか」……うーん、長い入院生活については聞いていたから、いつ何があってもという覚悟はしていたものの……。いずれにせよ確認が必要と、高井氏から事務局長・高千穂氏に連絡をとってもらうことにする。深夜、また高井氏から電話。話に間違いなく、正式に「連絡網」を通じてSF関係者に連絡することになる。夜中なので高井氏と手分けしてFAX/電子メールで関西方面の各氏に連絡。
1時過ぎ、ふだんだと熟睡の時刻だが、眠れない。
色々と思い出すことが多い。
1月5日(月)
会社の仕事始め。
15分ほどの新年祝賀式。「明けましておめでとうございます」という儀礼的挨拶がこんなに虚しい新年は初めてである。通常通りの勤務。
昼のテレビでも星さん死去のニュースは流れたらしい。夕刊に記事。朝日のみ一面である。
夜、パソコンでのメール色々。
1月6日(火)
昼、自転車でかんべ事務所。星さんのことなど、新年だが気分盛り上がらない。忘年会もなしだったが、新年会もやる気分にならない。
1月7日(水)
夕方、阪急宝塚線・石橋へ。
古い友人が年末に開店した餃子専門店へ。
石橋は学生時代に住んでいた場所で、今でも時々行く「一力」という居酒屋がある。同じ路地かと思ったら、別の路地にあって予想外に洒落た店。デジカメを持っていなかったので、後日改めて紹介いたします。
1月8日(木)
某原稿、電子メールで送稿。
午後、近江八幡から八日市にある研究所へ。
1月9日(金)
夕刊に福井謙一先生死去のニュース。79歳。
「SOFT」誌の企画で福井先生のインタビューを行ったのは78年5月20日だから、もう1年半になる。その後、「複雑系」がらみで色々な発言をされている。また話をうかがえる機会があるかなと思っていたのだが……。
夜、播州龍野の実家へ帰る。
1月10日(土)
書庫で星新一さんの著作をチェック。某紙から短い追悼の文章を依頼されたためである。夕方帰阪。
1月11日(日)
終日自宅を出ず原稿。夕方電子メール。
1月12日(月)
朝日新聞の朝刊、トップが「インターネット宝くじ、本日摘発」であるが、それほどのニュースであろうか。ネズミ講も見かけるしねえ。
1月13日(火)
終日サラリーマン゜。
1月14日(水)
2番目のひかり、6:18新大阪で上京。関東方面、今夜から大雪の予報のせいか、自由席ガラガラ。
午前中サラリーマン。都内数社。
午後、2時間SF作家。乃木坂の青山葬儀場へ。星新一さんの葬儀に参列。
夕方サラリーマン。
19時23分、ひかりで帰阪、帰宅22時40分。大雪からは逃げ切りである。
1月15日(木)
朝のニュース、関東はやはり、夜明けから雨から雪に。
成人の日で世間は休みなれど、関連会社操業中につき本町の会社へ。長野の工場からの出荷が、雪でトラック便動かず、電話連絡色々。
夕方からやっと高村薫「レディ・ジョーカー」(上)を読み始める。
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