『マッドサイエンティストの手帳』46
●マッドサイエンティスト日記(1997年12月前半)
主な事件
・ラバコレ行列
・岡本喜八にはやっぱり御殿場が似合う
1997年
12月1日(月)
本町のビジネス街に明日開店予定のディスカウントショップ前に昨夜かららしい若いのが3,4人並んでいる。なんであろうか。夕方には20人くらいに増えている。
夜、チラシをボンクラ息子が分析。徹夜の列はどうやらカシオのGショック「ラバーズ・クレクター」通称ラバコレ目当てらしい。正価3万なんぼが15万するとか。2晩の徹夜も採算はとれるということか。
12月2日(火)
いつもどおり午前7時半に本町の地下鉄から地上へ出る。と、午前8時オープン予定の店の前、200人くらいの列ができている。これ、みんなラバコレ目当てなのか? おお歳のおっさんも多い。
以前、新装開店直前のパチンコ屋で、内部から店員と並んでドアの外を見たことがある。ガラスの扉が今にも破砕するのではないかと怖くなるほど撓っていた。どこかで見た光景だなと思ったら、「未来惑星ザルドス」の一場面だ。
ラバコレ争奪の修羅場を見たいが、30分も寒空で待つのはつらく、そのまま出社。
12月3日(水)
特許関係のもめ事が重なる。「攻撃側」で久しぶりに内容証明を書く。昔は血が騒いだものだが、もう今はただ事務的に進めるだけである。
海遊館・サントリーミュージアムの船越辰緒さん来社、パソコンに関して雑談。船越さんは旧NULLの同人。NULLに「遙かなる墓標」「数理錯乱機」が掲載されている。どうやらパソコン通信を始められるようで、ネット上での旧同人再会が楽しみである。
12月6日(土)
あるコラムのために007シリーズをビデオで確認。ついでに観ていなかった岡本喜八「EAST MEETS WEST」を見る。面白いのだが、現地ロケの西部の風景が御殿場ほどの緊密さに欠けるのはなぜか。風景に独立愚連隊の迫力がないのが物足りない。……ぼくは何度か御殿場へ行った。本場のアメリカ西部へは行ったことはないが、なぜか御殿場の方が好きである。
12月7日(日)
珍しいく2日つづけての休日。
ビデオで岡本喜八「ああ爆弾」を観る。映画館で観たときの方が面白かった気がするのは、たぶん耳が肥えてきたからだろう。異色のミュージカルだが、「邦楽」の茶化し方(沢村いき雄が横領を決意して銀行へ向かう場面の「浪花節」は名場面である)に比べて「洋楽」場面がマトモ過ぎるからだろう。……それにしても伊藤雄之助は「プーさん」以来の怪演である。
ビデオ返却のついでに、旭屋へ寄ると、高村薫さんのサイン会の最中だった。宮部みゆきさんと並んで「憧れの女性」である。書棚の陰からそっと見ただけ。
12月8日(月)
金融不安に関連してきな臭い話を耳にする。現時点ではマル秘。
この週、空気不穏。暗い話題多発。
12月12日(金)
テレビで「四七人の刺客」を観る。謀略戦の密度が低い。池上金男脚本であるから、原作者自らの脚色。もともとが「十三人の刺客」の手法で描いた忠臣蔵だから、どうしても名作「十三人の刺客」と比較してしまう。……やっぱり敵方が弱いわなあ。色川役が中井貴一ではなあ。半兵衛役の内田良平に比べて、チンケなマザコン役者を持ってきたのでは、話にならない。
12月13日(土)
堺沖人工島で作業。たぶん今年最後である。夕方、荷造り。ワゴンで南港の輸出梱包屋に搬入して、とりあえず一区切りである。
12月14日(日)
自転車で本町の会社へ。特許の明細書、途中まで。
12月15日(月)
新聞休刊日である。この日を狙ってまた金融機関の破綻があると予想していたら外れた。悪い予想が外れるのは珍しいことである。
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