『マッドサイエンティストの手帳』107
●宇宙作家クラブ・第1回大阪例会
宇宙作家クラブという凄い組織がある。半分秘密結社? まだ活動方針も決まらぬまま、どういうわけか第1回の大阪例会が成り行き的に開催されてしまった。
5月29日(土)
「宇宙作家クラブ」という団体がある……らしい。いや、確かにあるのである。
規約とか活動方針もあることはある……らしい。が、詳しいことはよくわからない。
メンバーも、これはだいたいわかっているのだが、どんな増え方・勧誘の仕方をしているのか、これまたよくわからない。
SF関係でいえば、人外協みたいなものだろうか。
一種の秘密結社かな。そんな雰囲気もしないではないが、秘密結社だと困ることになる。発足の主旨のひとつに、組織として認知されれば、宇宙開発関係での取材がしやすくなる……ということがるように思う。
まだよくわからないまま、関西方面で、なぜか「例会」が開かれてしまった。
予約も出欠確認もなし。集合場所だけ決めておいて、集まったメンバーでなにかやるという、実にええかげんな会。現実のスペースツアーがスケジュール・ガチガチに縛られるから、地上での会は成り行きで進めようということになった。
で、集合場所ヒルトンプラザに現れたのが、野尻抱介、林譲治、福江純、小林泰三、都築由浩、堀の6名。近くの喫茶店「大都」へ。……どういうわけか、田中啓文氏来たり去る。シナリオ学校出番の日で、田中哲弥氏もいっしょという。後刻できれば合流ということにして……さらに30分後、なんと谷甲州氏が出現。頑張って締め切りをクリア、小松からの来会。感激である。
夕方からビアホールへ移動。
この間、主な話題は、現実の宇宙開発から離れて、「降着円盤」である。
福江博士提唱の「降着円盤文明」のひとつ、降着円盤上に光圧で保持される雲。これはまだ日本語論文では発表されていないという。イメージがさまざまに広がり……したがって、料理もこの日は「降着円盤型」で徹底する。
まずジャンボピザ、つぎに「直径30センチ近い薄くてコロモだけみたいなジャンボ豚カツ」、極めつけは「なんとか焼き」という、鉄板上に肉海鮮を載せて焼くやつ。光圧で保持される雲世界のモデルである。(と、ちょっとこじつけが過ぎるか)
降着円盤料理のあと、おなじみ「ストローハット」へ移動。
色々な話題が出た。
三枝貴代とは何者なのか。話を聞く限り「正義の味方」としか思えないが……。
ベストセラーを出そう。「子供に受ける降着円盤手品」とか「本当は怖い降着円盤」。7の月に降着円盤が降りてくるというのは……なんと本当にコンタクティ諸君が間違って降着円盤解説書を買うらしい。
小林泰三氏とは初対面だが、ぼくと同学部とは知らなかった。産学協同……およそ「文芸」などとは縁遠い学部なので、「二人目」が生じるとは不思議でならない。ぼくとちがって優等生みたいだしなあ。しゃべっている限り、この人はハードSF作家以外の呼称がつけられない人に思えてくる。
福江博士の「雲をいただく降着円盤文明」のイメージは魅力的だ。
このような「降着円盤文明」は宇宙SFでどんな風に展開できるのか。
・開発する(林譲治)
・戦争する(谷甲州)
・妖怪に遭遇する(小林泰三)
・女子高生が行く(野尻抱介)
・滅びた頃にたどり着く(堀晃)
……ということになるのかな。
これらの要素を全部含む長編は可能か。やってみたいなあ。
左から、福江純、都築由浩、堀晃、林譲治、小林泰三、野尻抱介、谷甲州
21時過ぎてから、津への野尻氏、京都への福江氏去る。21時30分、谷氏、小松へ日帰りという。ポンビキをかき分けて谷氏の新大阪行きタクシーをお見送り。
……本日の話の内容からすれば、宇宙作家クラブとは「宇宙SFを書く作家と最重要ブレイン天文学者の集まり」ということになってしまうが、これでいいのかな。いや、まだ会の存在を公開するのがいいのか悪いのかわからない。ともかく以上のメンバーが集まって降着円盤を中心に色々しゃべった。このことはホームページに書いてもいいとメンバー同意したので、ここまで書きました。
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