HORI AKIRA JALINET

【森山研】は全部聴く

 「GREEN RIVER」

=== <945> jazz/salon, XL4O-ENDU(遠藤 治), 98/10/22 00:41, 33行, 1(18)関連
標題: 【森山研】『グリーン・リヴァー』
---
 次のアルバムは1984年7月にニュルンベルク「East-West Jazz Festival」にてライヴ録音された『グリーン・リヴァー』。前作から パーカッションの定成さんが抜けた2サックスのカルテットによる、 怒涛の演奏が記録されています。
 1曲目。前作『イースト・プランツ』からのナンバーで「TA-KE」。 井上テナー→榎本テナー。本アルバム全体を通じ、榎本さんは前作に比 べ一気にフリー度が高まっています。
 2曲目。新曲「NIGHT STORY」。「マイ・ディア」「遠く」路線の 静です。井上さんのテナーと森山さんのブラシのデュオがフィーチャー されます。ベースの弓弾きと榎本さんのテナーが加わったアンサンブル 部分の抑揚がなんとも濡れています。
 3曲目。新曲「GRADATION」。榎本テナー→井上テナー。凶悪なフ リー・ナンバーです。
 4曲目。新曲「GREEN RIVER」。コルトレーンの曲で「インディア」 だったか、こんなようなリズム・フィギュアの曲がありました。井上テ ナー→榎本テナー。
 5曲目。前作『イースト・プランツ』からのナンバーで「TOHKU」。 榎本フルート→井上ソプラノ。「日本の祭太鼓」状態の森山さんのブラ シのソロが圧巻です。
 6曲目。前々作『マイ・ディア』からのナンバーで「NON CHECK」。 井上テナー→榎本テナー。もう少し後期になると榎本さんはこの曲でテ ナーを吹きながら声を出すようになるのですが、この演奏ではまだ楽器 のみのソロです。
 7曲目。前作『イースト・プランツ』からのナンバーで「FIELDS」。 井上テナー→榎本テナー。ここでは前作と異なり、普通の長いソロを順 番にとっています。

 井上さん、榎本さんをフロントに構えた2テナー・カルテットは、こ の後約2年存続し、86年の夏に突如森山さんは二度目の引退をすること になります。この頃、私はつらいことがある度にこのカルテットのライ ヴを聴き、生きる勇気のようなものを得ていたのでした。

by ヨNDO


=== <947> jazz/salon, IB9S-YSI(吉井 誠一郎), 98/10/25 23:46, 59行, 1(17)関連
標題: 【森山研】『グリーン・リヴァー』
---
このアルバムは、森山さんのリーダー作としては今のところ唯一の海外レー ベル(enja)からのもので、ドイツでのライヴ録音であります。
1曲めのの「TA-KE(竹)」は、スタジオ録音よりも爆走度が増しています。 森山さん自身もテンションがばりばりに上がりまくっており、またヨNDOさん も指摘しているように、榎本さんのフリー度が格段に進んでいるためではな いでしょうか。
2曲め「NIGHT STORY」は森山さんのブラシを味わう曲であります。ただし、 森山さんにしては若干抑え目に叩いているように聞こえます。メロディにつ いては「遠く・・・」に似たところがありますが、こっちの方がもっとエグ 味の強い、むしろ「苦い音」であるように思います。
3曲めは「GRADATION」。ふたたび森山さんを先頭に全員が驀進します。森 山さんのソロの時のフレーズにかなり「祭太鼓」が入っているような気がし ますね。ただこの曲、爆走系の曲でありながら、ソロ受け渡しの際のいわゆ る「見栄を切る」キメのフレーズがなく、すうっと次のプレイヤーへと移っ ていく形になっています(テーマに戻るフレーズはあるようですが)。これ はちょっと異色かも知れません。山下トリオの時代から、森山さんというと 「キメ」のフレーズでバシッと合わせてソロの受け渡しをする、という印象 があるのですが、その意味ではちょっと変わった曲であります。あ。それか ら、後ろで望月さんが執拗に繰り出す、おそらくは第6弦の開放弦の音が、 かなりこの曲のイメージを決定しているような気がします。
4曲め「GREEN RIVER」。テーマのメロディは遅めで、ちょっとインドっぽ い響きがあるように感じます。ただし、アドリブに入った途端にいきなり榎 本さんがぶっ飛ぶので、テンポやメロディはあまり関係なくなってしまいま すが(^^;)。
5曲めはかの「TOHKU(遠く・・・)」であります。榎本さんのソロまでは、 森山さんはブラシの握りの部分で叩いているようです(マレットにしては音 が硬いような気がする)。井上さんのソロが始まるところでハイハットを軽 く2度「しゃんしゃーん」と踏み(ペダルを普通に「踏みしめる」のではな く、上下のシンバルが合うとすぐに足を離すような感じで踏む)、それを合 図にブラシに変わります。この「ハイハット軽く2度踏み→ブラシ」という パターン、確か昨年の浜松でヤノピ様とやった「ミナのセカンド・テーマ」 の時にも出ていましたね。最初のテーマからアドリブに入る時にマレットか ら持ち替えるところです。これも一種の「足くせ」なのかしらん。・・・ま あそれはともかく、何はともあれ必殺のブラシです。皆さん、これを聴いて 悶絶いたしましょう。
6曲めの「NON CHECK」は、アレンジはスタジオ録音と同じようですね。し かし、ヨNDOさんが書いている「吹きながら声を出す」ってどういうんだろう。 ホーン吹きながら声を出すってかなり難しいんじゃないかという気がするの ですが・・・。声が「漏れてる」という感じなのかな。
ラストは「FIELDS」です。2人のテナーが炸裂しております。それから、森 山さんのソロの中に、珍しくスネア+ハイハットの「したたしたた」が出て 来ます。これ、エルヴィンというよりはロイ・ヘインズっぽいような気がす るんですけれども・・・(エルヴィンも似たフレーズを出すことがあります が、エルヴィンの場合は確かこれにベース・ドラムも加わってもっと複雑に なっていたんじゃないかしらん)。これは単なる偶然なのか、それとも何か 違うものを絞り出そうとしていたのか。

それにしても、このアルバムに限らずピアノレス時代の音は、なんか息が詰 まりそうな程に重苦しく煮詰まってしまいそうな感じを受けることがあり、 実は普段はあまり聴きません。こっちの調子が悪い時などは完全に弾き飛ば されてしまうからです。これ、やっている方はどんな感覚だったのかしらん。 興味のあるところです。

ぶる


=== <948> jazz/salon, IU8N-TKMT(高松 紀子), 98/10/26 03:32, 13行, 1(16)関連
標題: 【森山研】『グリーン・リヴァー』
---
うーん。とっても難しいです。大雑把に言って(いつもそうだけど) 死と再生のイメージでしょうか。「死」の部分は見えないんですけど、 「再生」のとこ、確実にあります。なんでかな。あっ、きっと「死」 は曲と曲のあいだの空白(これは、冗談ではなく本気の発言です)。

「尋常ではない生命力」とでも申しましょうか、これは今まで聴いて きた全部を通じて感じることですけど。この濃い強さが、あるひとに はつらいことがあるとき勇気づけたり、別のひとには弱ってるとこへ さして息の根を止めたり、などということをもたらすのではないでし ょうか。

                           のりこり


=== <949> jazz/salon, LA1A-HR(堀 晃), 98/10/26 04:05, 11行, 1(15)関連
標題: 【森山研】「グリーン・リヴァー」
---
 イースト・プランツとほぼ同じメンバーですが、スタジオ作品とライブ感覚がこんなに顕著に出るというところが凄い。
 この頃に聴いたライブの雰囲気はまさにこれ。
 1曲目、井上さんと榎本さんの音の違いが、これりゃ半音痴のぼくが聴いてもよくわかります。コルトレーンがファラオ・サンダースを連れてきた時ほどでないにしても。
 ……さて、人物主義で感想を書いてきた半魚めとしては、この後、森山さんが多治見に移り、名古屋のラヴリーで叩き出すまでの5年間に興味があります。
 この間に、なにか知られざる「音」があるのではないか。
 重要な研究テーマです。

                    半魚人

……と、30日のピットイン、いよいよ近づいてまいりました。


   目次へ [次へ] [戻る]

HomePage 森山威男ディスコグラフィへ